国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律の一部を改正する法律

法律第二十号(昭四〇・三・三一)

 国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。

 第二条を次のように改める。

 (外貨債務の保証)

第二条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、次に掲げる法人が国際復興開発銀行等からの資金の借入契約に基づき外貨で支払わなければならない債務について、予算をもつて定める金額(法人ごとにその金額を定めることが困難であるときは、保証契約をすることができる金額を総額をもつて定めるものとし、この場合においては当該総額。次項において同じ。)の範囲内において、保証契約をすることができる。

 一 日本開発銀行

 二 日本輸出入銀行

 三 日本国有鉄道

 四 日本電信電話公社

 五 日本道路公団

 六 首都高速道路公団

 七 電源開発株式会社

 八 その他政令で定める法人

2 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、次に掲げる法人が発行する債券又は地方債証券のうち外貨で支払われるもの(地方債証券については、政令で定めるものに限る。以下「外貨債」という。)に係る債務について、予算をもつて定める金額の範囲内において、保証契約をすることができる。

 一 日本開発銀行

 二 日本国有鉄道

 三 日本電信電話公社

 四 地方公共団体

 五 前各号に掲げるもののほか、次に掲げる法人で、政令で定めるもの

  イ 法律の定めるところにより、予算について国会の議決を経なければならない法人

  ロ 特別の法律により設立された法人(イに規定する法人を除く。)で、国、イに規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行することができるもの

3 政府は、前項の規定によるほか、外貨債を失つた者に交付するため発行される外貨債に係る債務について保証契約をすることができる。

 第三条の見出しを「(債券の発行等)」に改め、同条第一項中「日本開発銀行又は日本輸出入銀行は、その」を「第二条第一項各号に掲げる法人は、」に、「基き」を「基づき」に改め、「必要があるときは」の下に「、他の法律の規定による場合のほか」を加え、同条第二項中「外資に関する法律」を「第二条第一項各号に掲げる法人が、国際復興開発銀行等からの外貨資金の借入契約に基づき国際復興開発銀行等に引き渡すための債券(以下「引渡債券」という。)を発行した場合において、外資に関する法律」に、「前項の債券」を「引渡債券」に改め、同条に次の二項を加える。

3 第二条第一項各号及び第二項各号に掲げる法人は、他の法律に定めがある場合を除くほか、政令で定める主務大臣の認可を受けて、引渡債券又は外貨債(外貨債については、その債務につき、同項又は同条第三項の規定により政府が保証契約をしたものに限る。以下この項において同じ。)の発行、償還、利子の支払その他引渡債券又は外貨債に関する事務の全部又は一部を外国の銀行、信託会社又は証券業者に委託することができる。

4 前項の主務大臣は、同項の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。

 第三条の次に次の二条を加える。

 (一般担保)

第四条 第二条第一項各号に掲げる法人の財産について、他の法律において、特定の者が民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次いで他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有することとされているときは、当該法人に対して貸付けをしている国際復興開発銀行及び第三条第一項の規定により発行する債券の債権者は、当該法人の財産について、当該特定の者と同一順位の優先権を有する。

 (利子等の非課税)

第五条 第二条第一項各号に掲げる法人が発行する引渡債券のうち国際復興開発銀行からの資金の借入契約に係るもの及び同条第二項各号に掲げる法人が発行する外貨債で当該外貨債に係る債務について同項又は同条第三項の規定により政府が保証契約をしたもの(以下この条において「債券等」という。)の利子及び償還差益(その債券等の償還により受ける金額がその債券等の発行価額をこえる場合におけるその差益をいう。以下この項において同じ。)については、租税その他の公課を課さない。ただし、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)第一条第一項に規定する個人、法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第一条第一項第一号に掲げる法人又はこれらに準ずるものとして政令で定めるものが支払を受ける当該利子又は償還差益については、この限りでない。

2 所得税法第四十一条第二項の規定は、債券等の利子で前項ただし書に規定する政令で定めるものが支払を受けるものについては、適用しない。


   附 則


 (施行期日)

1 この法律は、昭和四十年四月一日から施行する。


 (関係法律の廃止)

2 次に掲げる法律は、廃止する。

 一 国際復興開発銀行からの外資の受入について日本開発銀行、日本輸出入銀行、愛知用水公団等が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律(昭和二十八年法律第百六号)

 二 大阪港及び堺港並びにその臨港地域の整備のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法(昭和三十六年法律第百十三号)

 三 東京港港湾区域における土地造成事業等のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法(昭和三十八年法律第三十六号)


 (関係法律の一部改正)

3 日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。

  第四十二条の二第一項ただし書中「鉄道債券」の下に「及び政令で定めるところにより、外貨鉄道債券(外国通貨をもつて表示する鉄道債券をいう。以下同じ。)を失つた者からの請求によりその者に交付するためにする外貨鉄道債券」を加え、同条第二項中「鉄道債券」の下に「(同項ただし書の政令で定めるところにより、外貨鉄道債券を失つた者からの請求によりその者に交付するために発行する外貨鉄道債券を除く。)」を加え、同条中第九項を削り、第十項を第九項とし、第十一条を第十項とする。

4 公庫の予算及び決算に関する法律(昭和二十六年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。

  第五条第二項第二号中「発行」の下に「(外国通貨をもつて支払われる北海道東北開発債券、公営企業債券又は中小企業債券を失つた者からの請求によりその者に交付するためにするこれらの債券の発行を除く。)」を加える。

5 日本開発銀行法(昭和二十六年法律第百八号)の一部を次のように改正する。

  第三十七条の三及び第三十七条の四を削る。

6 日本電信電話公社法(昭和二十七年法律第二百五十号)の一部を次のように改正する。

  第六十二条第五項中「及び公社に対して資金の貸付けをしている国際復興開発銀行」を削り、同条中第八項を削り、第九項を第八項とし、第十項を第九項とし、第十一項を第十項とし、第十二項から第十四項までを削り、第十五項を第十一項とする。

7 電源開発促進法(昭和二十七年法律第二百八十三号)の一部を次のように改正する。

  第二十四条の見出し中「特例等」を「特例」に改め、同条第二項を削る。

  第二十五条第一項中「及び会社に対して資金の貸付けをしている国際復興開発銀行」を削る。

  第二十七条中「外貨で支払わなければならない債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。

  第三十九条第二号中「第二十四条第一項ただし書」を「第二十四条ただし書」に改める。

8 国際電信電話株式会社法(昭和二十七年法律第三百一号)の一部を次のように改正する。

  第八条中「債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。

9 鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証に関する法律(昭和二十八年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。

  本則中「電信電話債券に係る債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号。以下「特別措置法」という。)第二条第二項又は第三項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を、「外貨をもつて支払われるものに係る債務」の下に「(特別措置法第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。

10 中小企業金融公庫法(昭和二十八年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。

  第二十五条の三中「債券」の下に「(外国通貨をもつて支払われる債券を除く。)」を加える。

11 日本航空株式会社法(昭和二十八年法律第百五十四号)の一部を次のように改正する。

  第九条中「債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。

12 日本住宅公団法(昭和三十年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。

  第五十一条中「宅地債券に係る債務」の下に「並びに国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務」を加える。

13 愛知用水公団法(昭和三十年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。

  第三十七条第三項中「債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第二項又は第三項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。

14 石油資源開発株式会社法(昭和三十年法律第百五十二号)の一部を次のように改正する。

  第十三条の二中「債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。

15 日本道路公団法(昭和三十一年法律第六号)の一部を次のように改正する。

  第二十六条第四項中「及び公団に対して資金の貸付をしている国際復興開発銀行」を削り、同条中第九項を削り、第十項を第九項とする。

  第二十八条第一項中「(次項の規定により保証することができる債務を除く。)」を「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」に改め、同条第二項を削る。

16 北海道東北開発公庫法(昭和三十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条中「債券」の下に「(外国通貨をもつて支払われる債券を除く。)」を加える。

17 公営企業金融公庫法(昭和三十二年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。

  第二十六条中「債券」の下に「(外国通貨をもつて支払われる債券を除く。)」を加える。

18 航空機工業振興法の一部を改正する法律(昭和三十四年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

  附則第三条の二中「債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。

19 首都高速道路公団法(昭和三十四年法律第百三十三号)の一部を次のように改正する。

  第三十七条第四項中「及び公団に対して資金の貸付けをしている国際復興開発銀行」を削り、同条中第九項を削り、第十項を第九項とする。

  第三十八条の二第一項中「(次項の規定により保証することができる債務を除く。)」を「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」に改め、同条第二項を削る。

20 畜産物の価格安定等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十三号)の一部を次のように改正する。

  第五十四条第四項中「債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。

21 水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)の一部を次のように改正する。

  第四十一条中「債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。

22 阪神高速道路公団法(昭和三十七年法律第四十三号)の一部を次のように改正する。

  第三十八条中「債務」の下に「(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)」を加える。


 (関係法律の廃止又は改正に伴う経過措置)

23 愛知用水公団がこの法律の施行前に愛知用水公団法(昭和三十年法律第百四十一号)第三十四条第二項の規定により国際復興開発銀行と締結した外貨資金の借入契約に基づき同法第三十五条第一項の規定により発行する債券及び農地開発機械公団がこの法律の施行前に農地開発機械公団法(昭和三十年法律第百四十二号)第二十四条第二項の規定により国際復興開発銀行と締結した外貨資金の借入契約に基づき同法第二十五条第一項の規定により発行する債券については、これらの債券を国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第五条第一項に規定する引渡債券とみなして、同条の規定を適用する。

24 この法律の施行前に発行された旧大阪港及び堺港並びにその臨港地域の整備のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法第二条又は旧東京港港湾区域における土地造成事業等のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法第二条に規定する地方債証券、附則第五項による改正前の日本開発銀行法第三十七条の四に規定する外貨債券並びに附則第六項による改正前の日本電信電話公社法第六十二条第十二項及び第十三項に規定する外貨電信電話債券に係るこれらの規定に規定する利子又は差益については、これらの規定は、なおその効力を有する。

25 この法律の施行前に、旧大阪港及び堺港並びにその臨港地域の整備のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法第一条、旧東京港港湾区域における土地造成事業等のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法第一条又はこの附則による改正前の日本開発銀行法第三十七条の三、日本電信電話公社法第六十二条第八項、鉄道債券及び電信電話債券等に係る債務の保証に関する法律、日本道路公団法第二十八条第二項、首都高速道路公団法第三十八条の二第二項若しくは電源開発促進法第二十七条の規定により政府がした保証契約については、これらの規定は、なおその効力を有する。

(内閣総理・大蔵・農林・通商産業・運輸・郵政・建設・自治大臣署名) 

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