所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律
法律第九号(昭四〇・三・三〇)
所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律(昭和三十二年法律第八十一号)の全部を改正する。
(趣旨)
第一条 この法律は、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約(以下「条約」という。)を実施するため、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)、法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の特例その他必要な事項を定めるものとする。
(使用料、利子等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例)
第二条 所得税法第一条第二項の規定に該当する個人で条約第二条第一項(d)に規定するスウェーデンの居住者であるもの(以下「スウェーデンの居住者」という。)又は同法第一条第六項の規定に該当する法人で条約第二条第一項(f)に規定するスウェーデンの法人であるもの(以下「スウェーデンの法人」という。)が支払を受ける条約第六条第一項若しくは第四項に規定する使用料若しくは所得又は条約第八条第一項に規定する利子で同法の施行地にその源泉があるもの(その者の同法の施行地にある条約第二条第一項(j)に規定する恒久的施設(以下「恒久的施設」という。)に帰せられるものを除く。以下「使用料及び利子等」という。)に対する同法第十七条第一項、第十八条第二項又は第四十一条第一項若しくは第二項の規定の適用については、これらの規定中「百分の二十」とあるのは、「百分の十」とする。
2 前項の規定は、使用料及び利子等に対し所得税を課さず、又は使用料及び利子等に対する所得税額をその支払を受けるべき金額の百分の十に相当する金額以下とする他の法律の規定の適用を妨げない。
(配当に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例)
第三条 スウェーデンの居住者又はスウェーデンの法人が支払を受ける条約第七条第一項に規定する配当で所得税法の施行地にその源泉があるもの(その者の同法の施行地にある恒久的施設に帰せられるものを除く。)に対する同法第十七条第一項、第十八条第二項又は第四十一条第一項若しくは第二項の規定の適用については、これらの規定中「百分の二十」とあるのは、「百分の十五」とする。ただし、当該配当のうち条約第七条第一項ただし書の規定に該当するものに対する同法第十八条第二項又は第四十一条第一項若しくは第二項の規定の適用については、これらの規定中「百分の二十」とあるのは、「百分の十」とする。
(使用料、配当、利子等に対する申告納税に係る所得税の軽減)
第四条 所得税法第一条第八項第一号に掲げる事業を有するスウェーデンの居住者が次の各号に掲げる所得を有する場合において、その者の所得税額のうち当該所得に対応する部分の金額が、第一号に掲げる所得に係る収入金額及び第二号に規定する配当の金額にそれぞれ当該各号に掲げる割合を乗じて計算した金額の合計額をこえるときは、その者の所得税額につき、そのこえる金額に相当する税額を軽減する。
一 使用料及び利子等に係る所得 百分の十
二 前条に規定する配当に係る所得 百分の十五
2 スウェーデンの居住者(前項に規定する者を除く。)が第二条第一項に規定する使用料又は利子で所得税法第一条第三項第一号に掲げる所得に該当するもの(その者の同法の施行地にある恒久的施設に帰せられるものを除く。)に係る所得を有する場合において、その者の所得税額のうち当該所得に対応する部分の金額が、当該使用料又は利子の金額の合計額の百分の十に相当する金額をこえるときは、その者の所得税額につき、そのこえる金額に相当する税額を軽減する。
3 前二項に規定する所得税額のうちこれらの規定に規定する所得に対応する部分の金額は、当該所得の生じた年分につき、これらの規定の適用がないものとして計算した場合における所得税額に相当する金額から、当該所得が生じなかつたものとして計算した場合における所得税額に相当する金額を控除して得た金額とする。
(使用料、配当、利子等に対する法人税の軽減)
第五条 法人税法第一条第四項第一号に掲げる事業を有するスウェーデンの法人が次の各号に掲げる所得を有する場合において、その者の法人税額のうち当該所得に対応する部分の金額が、第一号に掲げる所得に係る収入金額並びに第二号及び第三号に規定する配当の金額に当該各号に掲げる割合を乗じて計算した金額の合計額をこえるときは、その者の法人税額につき、そのこえる金額に相当する税額を軽減する。
一 使用料及び利子等に係る所得 百分の八・八
二 第三条に規定する配当(次号の配当に該当するものを除く。)に係る所得 百分の十三・二
三 第三条ただし書に規定する配当に係る所得 百分の八・八
2 スウェーデンの法人(前項に規定する者を除く。)が前条第二項に規定する使用料又は利子に係る所得を有する場合において、その者の法人税額のうち当該所得に対応する部分の金額が、当該使用料又は利子の金額の合計額の百分の八・八に相当する金額をこえるときは、その者の法人税額につき、そのこえる金額に相当する税額を軽減する。
3 前二項に規定する法人税額のうちこれらの規定に規定する所得に対応する部分の金額は、当該所得の生じた事業年度分につき、これらの規定の適用がないものとして計算した場合における法人税額に相当する金額から、当該所得が生じなかつたものとして計算した場合における法人税額に相当する金額を控除して得た金額とする。
(使用料、配当、利子等に係る法人の道府県民税又は市町村民税の税率の特例)
第六条 スウェーデンの法人に対して課する次の各号に掲げる地方税については、その課税標準である法人税額のうち前条第一項各号に掲げる所得に対応する部分の金額に係る税率は、それぞれ次の各号に掲げる税率とする。
一 道府県民税の法人税割 百分の五・四
二 市町村民税の法人税割 百分の八・一
三 都民税の法人税割 百分の十三・五
2 前項に規定するその課税標準である法人税額のうち前条第一項各号に掲げる所得に対応する部分の金額は、当該法人の法人税額のうち、当該所得に対応する部分の金額として同条第三項の規定により計算した金額から同条第一項又は第二項の規定によつて軽減された金額を控除した金額とする。
3 二以上の都道府県において事務所又は事業所を有する法人でこの条の規定の適用を受けるものが地方税法第五十七条第一項又は第三百二十一条の十三第一項の規定によりその法人税額を関係都道府県又は関係市町村に分割する場合には、当該法人税額をこの条の規定の適用がある部分の金額とその他の部分の金額とに区分して、それぞれ分割するものとする。
(地方税に関する条約第十七条の協議に係る手続)
第七条 大蔵大臣は、地方公共団体が課する租税に関し条約第十七条の協議をする場合には、あらかじめ自治大臣に協議し、その結果に基づいて、同条の協議をするものとする。
2 自治大臣は、前項の規定により大蔵大臣から協議を受けた場合には、必要に応じ、関係地方公共団体の意見をきかなければならない。
(実施規定)
第八条 第二条から前条までに定めるもののほか、条約の実施及びこの法律の適用に関し必要な事項は、大蔵省令、自治省令で定める。
附 則
1 この法律は、昭和三十九年四月十五日に署名された所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を修正補足する議定書の効力発生の日から施行する。
2 第二条及び第三条の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の属する年の翌年の一月一日以後に支払を受けるべき使用料及び利子等又は第三条に規定する配当について適用し、同日前に支払を受けるべき改正前の所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律第二条第一項又は第二項に規定する使用料、配当若しくは利子又は所得については、なお従前の例による。
3 第四条の規定は、施行日の属する年の翌年の一月一日以後に支払を受けるべき同条第一項又は第二項に規定する所得について適用する。
4 第五条の規定は、施行日の属する年の翌年の一月一日以後最初に開始する事業年度の開始の日以後に支払を受けるべき同条第一項又は第二項に規定する所得について適用する。
5 第六条の規定は、前項に規定する事業年度の開始の日以後に支払を受けるべき第五条第一項各号に掲げる所得に係る法人税額を課税標準として課する道府県民税、市町村民税及び都民税について適用する。
(大蔵・自治・内閣総理大臣署名)