中小企業信用保険臨時措置法

法律第百五十三号(昭四〇・一二・二八)

 (目的)

第一条 この法律は、中小企業信用保険に担保を提供させないで行なう中小企業者の債務の保証に係る特別の保険制度を設け、及び取引の相手方たる事業者の倒産等に伴い経営の安定に支障を生じている中小企業者の経営の安定に必要な資金に係る中小企業信用保険に関する特別措置を講ずること等により、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にし、もつて中小企業の経営の安定に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「中小企業者」、「小企業者」、「金融機関」、「特殊保証」、「第一種保険」、「第二種保険」、「借入金の額」又は「特別小口保険」とは、中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号。以下「保険法」という。)第二条第一項若しくは第二項、第三条第一項又は第三条の二第一項に規定する中小企業者、小企業者、金融機関、特殊保証、第一種保険、第二種保険、借入金の額又は特別小口保険をいう。

2 この法律において「倒産関連中小企業者」とは、中小企業者であつて、次の各号の一に該当することについてその住所地を管轄する市町村長又は特別区長の認定を受けたものをいう。

 一 破産、和議開始、更生手続開始、整理開始又は特別清算開始の申立てその他通商産業大臣が定める事由が生じた会社又は個人であつて、通商産業大臣が指定したものに対する売掛金債権その他通商産業省令で定める債権の回収が困難であるため、当該中小企業者の経営の安定に支障を生じていると認められること。

 二 取引の相手方たる事業者が事業活動の制限であつて通商産業大臣が指定するものを実施していることにより、当該事業者との取引について取引の数量の減少その他通商産業大臣が定める事由が生じているため、当該中小企業者の経営の安定に支障を生じていると認められること。

3 この法律において「倒産関連保証」とは、第五条第一項又は保険法第三条第一項若しくは第三条の二第一項に規定する債務の保証であつて、倒産関連中小企業者の経営の安定に必要な資金に係るものをいう。

 (第一種保険の特例)

第三条 第一種保険の保険関係(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号。以下「援助法」という。)第十二条第一項に規定する災害関係保証又は産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律(昭和三十八年法律第百六十六号。以下「措置法」という。)第二条第三項に規定する産炭地域関係保証に係るものを除く。)についての保険法第三条第二項及び第五条の規定の適用については、保険法第三条第二項中「百分の七十」とあり、保険法第五条中「百分の七十(特別小口保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。

 (特別小口保険の特例)

第四条 特別小口保険の保険関係についての保険法第三条の二第一項の規定の適用については、同項中「又は次条第一項」とあるのは、「若しくは次条第一項又は中小企業信用保険臨時措置法(昭和四十年法律第百五十三号)第五条第一項」とする。

 (無担保保険の保険契約)

第五条 中小企業信用保険公庫(以下「公庫」という。)は、中小企業信用保険公庫法(昭和三十三年法律第九十三号)第十八条第一項の規定にかかわらず、事業年度の半期ごとに、信用保証協会を相手方として、当該信用保証協会が中小企業者の金融機関からの借入れ(保険法第三条第一項に規定する借入れをいう。)による債務の保証(特殊保証を含む。)であつてその保証について担保(保証人の保証を除く。)を提供させないものをすることにより、中小企業者一人についての保険価額の合計額が二百万円をこえることができない保険(以下「無担保保険」という。)について、保証をした借入金の額の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、公庫と当該信用保証協会との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。

2 前項の保険関係においては、保険価額に百分の八十を乗じて得た金額を保険金額とする。

3 公庫と無担保保険の契約を締結し、かつ、第一種保険又は第二種保険の契約を締結している信用保証協会が第一項に規定する債務の保証(特別小口保険の保険関係が成立するものを除く。)をしたときは、当該債務者たる中小企業者に係る同項の保険関係における保険価額の合計額が二百万円をこえることとなる前までの債務の保証については、無担保保険の保険関係が成立し、その他の保証については、保険法第三条第一項、第五項及び第六項の規定により第一種保険又は第二種保険の保険関係が成立するものとする。

4 前項の場合において、当該保証をした借入金の額が二百万円から当該中小企業者につきすでに成立した無担保保険の保険価額の合計額を控除した残額以下であるときは、当該保証については、同項の規定にかかわらず、無担保保険の保険関係が成立するものとする。

5 公庫と特別小口保険の契約を締結し、かつ、無担保保険の契約を締結している信用保証協会が保険法第三条の二第一項に規定する債務の保証をしたときは、当該債務者たる小企業者に係る同項の保険関係における保険価額の合計額が五十万円をこえることとなる前までの債務の保証については、特別小口保険の保険関係が成立するものとする。

6 前項の信用保証協会(第一種保険又は第二種保険の保険契約を締結しているものを除く。)がした保険法第三条の二第一項に規定する債務の保証について特別小口保険の保険関係が成立している場合において、当該信用保証協会が当該債務者たる中小企業者について第一項に規定する債務の保証(特別小口保険の保険関係が成立するものを除く。)をしたときは、当該特別小口保険の保険関係は、当該保証の時において無担保保険の保険関係に変更されるものとする。この場合において、当該債務者たる中小企業者に係る債務の保証をしたことによる無担保保険の保険関係の成立に関しては、当該保証前に当該変更があつたものとみなす。

7 第五項の信用保証協会であつて、第一種保険又は第二種保険の契約を締結しているものがした保険法第三条の二第一項に規定する債務の保証について特別小口保険の保険関係が成立している場合において、当該信用保証協会が当該債務者たる中小企業者について保険法第三条第一項に規定する債務の保証(特別小口保険の保険関係が成立するものを除く。)をしたときは、保険法第三条の二第四項の規定にかかわらず、当該特別小口保険の保険関係は、当該保証の時において無担保保険の保険関係に変更されるものとする。この場合において、当該債務の保証が第一項に規定する債務の保証であるときは、当該債務者たる中小企業者に係る債務の保証をしたことによる無担保保険の保険関係の成立に関しては、当該保証前に当該変更があつたものとみなす。

8 無担保保険は、中小企業信用保険公庫法の適用については、同法第十八条第一項第一号の業務とみなす。ただし、同法第二十六条第二項及び第二十八条中「中小企業信用保険法」とあるのは、「中小企業信用保険臨時措置法」とする。

9 保険法第三条第三項及び第四項並びに第四条から第十一条までの規定は、無担保保険の保険関係に準用する。この場合において、保険法第五条中「百分の七十(特別小口保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」と読み替えるものとする。

 (無担保保険の特例)

第六条 無担保保険の保険関係であつて、災害関連保証(援助法第十二条第一項の政令で定める日までに行なわれた同項各号に掲げる者の事業(同項第二号に掲げる者にあつては、その直接又は間接の構成員たる同項第一号に掲げる者の事業)の再建に必要な資金に係る前条第一項に規定する債務の保証をいう。)を受けた援助法第十二条第一項各号に掲げる者に係るものについての前条第一項及び第三項から第五項までの規定の適用については、同条第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「次条第一項に規定する災害関連保証(以下この条において「災害関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第三項中「当該債務者」とあるのは「災害関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」と、同条第四項中「当該保証をした」とあるのは「災害関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、同条第五項中「当該債務者」とあるのは「災害関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」とする。

2 無担保保険の保険関係であつて、前項に規定する災害関連保証に係るものについての保険料の額は、第五条第九項において準用する保険法第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。

第七条 前条第一項の規定は、無担保保険の保険関係であつて、産炭地域関連保証(措置法第二条第二項の認定に係る同項第一号に規定する事業所の移転若しくは事業の転換又は同項第二号に規定する支障の除去に必要な資金に係る第五条第一項に規定する債務の保証をいう。)を受けた措置法第二条第二項に規定する産炭地域関係中小企業者に係るものについて準用する。この場合において、「次条第一項」とあるのは「第七条第一項」と、「災害関連保証」とあるのは「産炭地域関連保証」と読み替えるものとする。

2 無担保保険の保険関係であつて、前項に規定する産炭地域関連保証に係るものについての保険料の額は、第五条第九項において準用する保険法第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。

 (倒産関連中小企業者に係る保険法等の特例)

第八条 無担保保険、第一種保険、第二種保険又は特別小口保険の保険関係であつて、倒産関連保証を受けた倒産関連中小企業者に係るものについての第五条第一項及び第三項から第五項まで並びに保険法第三条第一項、第五項及び第六項並びに第三条の二第一項及び第三項の規定の適用については、第五条第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「倒産関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第三項中「当該債務者」とあるのは「倒産関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」と、同条第四項中「当該保証をした」とあるのは「倒産関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、同条第五項中「当該債務者」とあるのは「倒産関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」と、保険法第三条第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「中小企業信用保険臨時措置法(昭和四十年法律第百五十三号)第二条第三項に規定する倒産関連保証(以下この条及び次条において「倒産関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、「その合計額が」とあるのは「倒産関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第五項中「当該債務者」とあるのは「倒産関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」と、同条第六項中「当該保証をした」とあるのは「倒産関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、保険法第三条の二第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「倒産関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第三項中「当該債務者」とあるのは「倒産関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」とする。

第九条 第二種保険の保険関係であつて、倒産関連保証に係るものについての保険法第三条第二項及び第五条の規定の適用については、保険法第三条第二項中「百分の七十」とあり、保険法第五条中「百分の七十(特別小口保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。

第十条 無担保保険、第一種保険、第二種保険又は特別小口保険の保険関係であつて、倒産関連保証に係るものについての保険料の額は、保険法第四条(第五条第九項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。


   附 則

1 この法律は、公布の日から施行し、昭和四十年十二月一日から適用する。

2 第三条の規定は、昭和四十年十一月三十日以前に成立している保険関係については、適用しない。

3 この法律は、昭和四十二年三月三十一日限り、その効力を失う。ただし、その時までに成立している保険関係については、なお従前の例による。

(大蔵・通商産業・内閣総理大臣署名) 

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