旅館業法の一部を改正する法律
法律第百七十六号(昭三二・六・一五)
旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第一条中「取締を行い」を「取締を行うとともに、あわせて旅館業によつて善良の風俗が害されることがないようにこれに必要な規制を加え」に改める。
第二条を次のように改める。
第二条 この法律で「旅館業」とは、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業及び下宿営業をいう。
2 この法律で「ホテル営業」とは、洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
3 この法律で「旅館営業」とは、和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいう。
4 この法律で「簡易宿所営業」とは、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。
5 この法律で「下宿営業」とは、施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいう。
6 この法律で「宿泊」とは、寝具を使用して前各項の施設を利用することをいう。
第三条第一項中「人を宿泊させる営業を営もうとする者」を「旅館業を経営しようとする者」に改め、同条同項に次のただし書を加える。
ただし、ホテル営業、旅館営業又は簡易宿所営業の許可を受けた者が、当該施設において下宿営業を経営しようとする場合は、この限りでない。
第三条第二項を次のように改める。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、その申請に係る施設の構造設備が政令で定める基準に適合しないと認めるとき、当該施設の設置場所が公衆衛生上不適当であると認めるとき、又は申請者が次の各号の一に該当するときは、同項の許可を与えないことができる。当該施設の設置場所が学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(大学を除くものとし、以下単に「学校」という。)の敷地(その用に供するものと決定した土地を含む。以下同じ。)の周囲おおむね百メートルの区域内にある場合において、その設置によつて当該学校の清純な教育環境が著しく害されるおそれがあると認めるときも、同様とする。
一 この法律又はこの法律に基く処分に違反して刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者
二 第八条の規定により許可を取り消され、取消の日から起算して三年を経過していない者
三 法人であつて、その業務を行う役員のうちに前二号の一に該当する者があるもの
第三条に次の四項を加える。
3 都道府県知事は、学校の敷地の周囲おおむね百メートルの区域内の施設につき第一項の許可を与える場合には、あらかじめ、その施設の設置によつて当該学校の清純な教育環境が著しく害されるおそれがないかどうかについて、当該学校が大学附置の国立学校であるときは当該大学の学長、その他の国立学校であるときは当該学校の校長、公立学校であるときは都道府県の教育委員会、私立学校であるときは学校教育法に定めるその所管庁の意見を求めなければならない。
4 都道府県の教育委員会は、市町村の設置する学校に関し前項の規定により意見を述べる場合には、あらかじめ、当該市町村の教育委員会の意見を求めなければならない。
5 第二項の規定により、第一項の許可を与えない場合には、都道府県知事は、理由を附した書面をもつて、その旨を申請者に通知しなければならない。
6 第一項の許可には、公衆衛生上必要な条件を附することができる。
第四条に次の一項を加える。
3 第一項に規定する事項を除くほか、営業者は、営業の施設を利用させるについては、政令で定める基準によらなければならない。
第七条第一項中「第四条第一項の規定による措置の実施の状況」を「その構造設備若しくはこれに関する書類」に改める。
第七条の次に次の一条を加える。
第七条の二 都道府県知事は、営業の施設の構造設備が第三条第二項の規定に基く政令で定める基準に適合しなくなつたと認めるときは、当該営業者に対し、相当の期間を定めて、当該施設の構造設備をその基準に適合させるために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第八条中「第四条第一項の規定に違反したとき」を「この法律若しくはこの法律に基く処分に違反したとき、又は第三条第二項第三号に該当するに至つたとき」に改め、同条に後段として次のように加える。
営業者(営業者が法人である場合におけるその代表者を含む。)又はその代理人、使用人その他の従業者が、当該営業に関し次に掲げる罪を犯したときも、同様とする。
一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十四条、第百七十五条又は第百八十二条の罪
二 風俗営業取締法(昭和二十三年法律第百二十二号)に規定する罪(同法第一条第一号及び第二号に掲げる営業に関するものに限る。)
三 婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令(昭和二十二年勅令第九号)に規定する罪
第八条の次に次の一条を加える。
第八条の二 国立大学の学長その他第三条第三項に規定する者は、当該学校の敷地の周囲おおむね百メートルの区域内にある営業の施設の構造設備が同条第二項の規定に基く政令で定める基準に適合しなくなつた場合又は営業者が当該学校の敷地の周囲おおむね百メートルの区域内において第四条第三項の規定に違反した場合において、当該学校における清純な教育環境が著しく害されていると認めるときは、前二条に規定する処分について都道府県知事に意見を述べることができる。
2 市町村の教育委員会は、当該市町村の設置する学校に関し、前項に規定する事実があると認めるときは、都道府県の教育委員会に対し、同項の規定により都道府県知事に意見を述べるべきことを申し出ることができる。
第九条中「前条」を「第八条」に改める。
第十条中「五千円以下」を「三万円以下」に、同条第一号中「規定に違反した者」を「規定に違反して同条同項の規定による許可を受けないで旅館業を経営した者」に改める。
第十一条中「千円以下」を「五千円以下」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律の施行の際現に従前の第三条第一項の規定による許可を受けて旅館業を経営している者は、それぞれその業態に応じこの法律による改正後の第三条第一項の規定によりホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業又は下宿営業の許可を受けたものとみなす。
3 前項の者がこの法律の施行の際現にその営業の用に供している施設については、この法律の施行後三年間は、その構造設備がこの法律による改正後の第三条第二項の規定に基く政令で定める基準に適合しない場合においても、従前の規定による基準に適合している限り、この法律による改正後の第七条の二の規定を適用しない。
4 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条中第二十九号を削り、第三十号を第二十九号とし、第三十一号を第三十号とし、同号の次に次の一号を加える。
三十一 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)の施行に関し都道府県知事を指揮監督すること。
第九条第十一号中「旅館、」を削り、第十一号の次に次の一号を加える。
十一の二 旅館業法を施行すること。
(文部・厚生・内閣総理大臣署名)