民間学術研究機関の助成に関する法律
法律第二百二十七号(昭二六・六・一一)
(目的)
第一条 この法律は、民間学術研究機関がわが国の学術及び産業の振興上重要な使命を有することにかんがみ、これに対し現下の経済情勢に対処して財政的援助を行い、学術の研究の遂行を容易にすることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「民間学術研究機関」(以下「研究機関」という。)とは、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人で、学術の研究を目的とするものをいう。
(研究機関の助成)
第三条 国は、研究機関に対し、予算の範囲内で、その維持運営に要する経費の一部を補助することができる。
(補助の申請)
第四条 研究機関は、前条の規定による補助金の交付を受けようとするときは、主務大臣に申請しなければならない。
(補助の決定)
第五条 主務大臣は、前条の申請があつたときは、左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、備えていると認めたときは当該研究機関に対する補助金の額及び使用の目的を決定し、備えていないと認めたときは補助をしない旨の決定をするものとする。
一 当該研究機関の行う研究が学術又は産業の振興上重要なものであること。
二 当該研究機関がその研究を遂行するために必要な研究者及び研究設備を有すること。
三 当該研究機関において補助を必要とする相当な事由があること。
2 主務大臣は、前項の規定により審査をするに当つては、審査の方針及び対象の範囲をあらかじめ日本学術会議に諮問してその意見を聞かなければならない。
(通知)
第六条 主務大臣は、前条第一項の決定をしたときは、すみやかに当該研究機関に対し、これを通知しなければならない。
(補助金の目的外流用の禁止)
第七条 研究機関は、交付を受けた補助金を第五条第一項の決定により定められた目的以外の目的に使用してはならない。
(補助金の経理)
第八条 研究機関は、交付を受けた補助金については、他の収入支出と区別してその経理を明らかにしなければならない。
(公表義務)
第九条 補助金の交付を受けた研究機関は、その研究の成果を公表しなければならない。
(補助金の還付等)
第十条 主務大臣は、補助の決定を受けた研究機関が、左の各号の一に該当するときは、当該決定を取り消し、補助金の交付を停止し、又は交付した補助金の全部若しくは一部の還付を命ずるものとする。
一 第五条第一項各号の要件を欠くにいたつたとき。
二 前三条の規定に違反したとき。
2 前項の処分については、第五条第二項の規定を準用する。
(監督)
第十一条 主務大臣は、必要があると認めるときは、補助の決定を受けた研究機関に対して報告をさせ、又はその職員をして帳簿その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。
(収支決算書)
第十二条 補助金の交付を受けた研究機関は、毎会計年度、収支決算書を作製し、主務大臣に提出しなければならない。
(委任規定)
第十三条 補助金の交付の申請手続、補助金の交付を受けた研究機関において備えつけるべき帳簿その他この法律施行のため必要な事項は、主務省令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二百九十六条中「宗教法人、」の下に「民法第三十四条の法人で学術の研究を目的とするもの、」を加える。
第三百四十八条第二項第十号の次に次の一号を加える。
十一 民法第三十四条の法人で学術の研究を目的とするものがその目的のため直接その研究の用に供する固定資産
(内閣総理大臣・法務総裁・外務・大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸・郵政・電気通信・労働・建設大臣・経済安定本部総裁署名)