診療エツクス線技師法
法律第二百二十六号(昭二六・六・一一)
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 免許、診療エツクス線技師籍及び登録(第三条―第十六条)
第三章 診療エツクス線技師試験(第十七条―第二十三条)
第四章 業務(第二十四条―第二十七条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、診療の用に供するエツクス線の取扱に徒事する者の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるよう規律することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「診療エツクス線技師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示のもとに、エツクス線を人体に対して照射(撮影を含む。以下同じ。)することを業とする者をいう。
第二章 免許、診療エツクス線技師籍及び登録
(免許)
第三条 診療エツクス線技師にならうとする者は、診療エツクス線技師試験に合格し、都道府県知事の免許を受けなければならない。
2 虚偽又は不正の事実に基いて免許を受けた者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
(絶対的欠格事由)
第四条 左の各号に掲げる者には、免許を与えない。
一 精神障害者
二 つんぼ、おし又は盲の者
(相対的欠格事由)
第五条 左の各号に掲げる者には、免許を与えないことがある。
一 伝染牲の疾病にかかつている者
二 診療エツクス線技師の業務に関して犯罪又は不正の行為があつた者
(登録)
第六条 免許は、診療エツクス線技師籍に登録することによつて行う。
(診療エツクス線技師籍)
第七条 都道府県に診療エツクス線技師籍を備え、氏名、本籍地都道府県名(日本の国籍を有しない者についてはその国籍名)、登録年月日その他免許に関し省令で定める事項を登録する。
(免許証)
第八条 都道府県知事は、免許を与えたときは、免許証を交付する。
2 都道府県知事は、免許証を失い、又は破損した者に対して、その申請により免許証の再交付をすることができる。
3 前項の規定により免許証の再交付を受けた後、失つた免許証を発見したときは、旧免許証を十日以内に、住所地の都道府県知事に返納しなければならない。
(免許の取消及び業務停止)
第九条 診療エツクス線技師が第四条(絶対的欠格事由)各号の一に該当するに至つたときは、都道府県知事は、その免許を取り消す。
2 診療エツクス線技師が第五条(相対的欠格事由)各号の一に該当するに至つたときは、都道府県知事は、その免許を取り消し、又は期間を定めてその業務の停止を命ずることができる。
3 前二項の規定による取消処分を受けた者であつても、疾病がなおり、又は改しゆんの状が顕著であるときは、再免許を与えることができる。
4 第二項の業務停止の処分に違反して業務を行つた者は、一万円以下の罰金に処する。
(聴問)
第十条 都道府県知事は、前条第一項又は第二項の処分をしようとするときは、処分の理由並びに聴問の期日及び場所をその期日の二週間前までに、当該処分を受ける者に通知し、且つ、その者又はその代理人の出頭を求めて聴問を行わなければならない。
2 聴問においては、当該処分を受ける者又はその代理人は、自己又は本人のために釈明し、且つ、有利な証拠を提出することができる。
3 都道府県知事は、当該処分を受ける者又はその代理人が正当な理由がなくて聴問に応じなかつたときは、聴問を行わないで前条第一項又は第二項の処分をすることができる。
(免許証の返納)
第十一条 免許を取り消された者は、十日以内に、免許証を住所地の都道府県知事に返納しなければならない。
2 前項の規定に違反した者は、五千円以下の過料に処する。
(免許証の提出)
第十二条 診療エツクス線技師は、業務停止の処分を受けたときは、十日以内に、免許証を住所地の都道府県知事に提出しなければならない。
2 前項の規定に違反した者は、五千円以下の過料に処する。
(氏名等の変更届)
第十三条 診療エツクス線技師は、その氏名又は本籍(日本の国籍を有しない者であるときはその国籍)を変更したときは、免許証及び戸籍謄本又は戸籍抄本(日本の国籍を有しない者については変更後の国籍を証明する書類)を添えて、三十日以内に、都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の場合には、診療エツクス線技師籍を訂正の上免許証を書き換えて交付する。
3 第一項の規定に違反した者は、三千円以下の過料に処する。
(住所の変更届)
第十四条 診療エツクス線技師は、その住所を変更したときは、十日以内に、新旧の住所を前の住所地及び後の住所地の都道府県知事に届け出なければならない。
2 診療エツクス線技師がこの法律の施行地外にその住所を移そうとするときは、あらかじめ住所地の都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
3 第一項の規定に違反した者は、三千円以下の過料に処する。
(死亡の届出)
第十五条 診療エツクス線技師が死亡し、又は失そうの宣告を受けたときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)による死亡又は失そうの届出義務者は、三十日以内に、住所地の都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
2 前項の規定に違反した者は、三千円以下の過料に処する。
(省令への委任)
第十六条 この法律に規定するものの外、免許の申請及び診療エツクス線技師籍に関して必要な事項は、省令で定める。
第三章 診療エツクス線技師試験
(試験の目的)
第十七条 診療エツクス線技師試験は、診療エツクス線技師として具有すべき知識及び技能について行う。
(試験の実施)
第十八条 診療エツクス線技師試験は、厚生大臣が行う。
(試験委員)
第十九条 診療エツクス線技師試験の問題の作成、採点その他診療エツクス線技師試験の実施に関して必要な事項をつかさどらせるため、厚生省に診療エツクス線技師試験委員を置く。
2 診療エツクス線技師試験委員は、診療エツクス線に関し学識経験のある者のうちから、厚生大臣が任命する。
3 前二項に定めるものの外、診療エツクス線技師試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。
(受験資格)
第二十条 診療エツクス線技師試験は、左の各号の一に該当する者でなければ受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十六条第一項(大学への入学資格)の規定により大学に入学することができる者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した診療エツクス線技師養成所において二年以上診療エツクス線技師として必要な知識及び技能の修習をおえたもの
二 外国の診療エツクス線技術に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で診療エツクス線技師免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前項に掲げるものと同等以上の学力及び技能を有すると認めたもの
(不正行為の禁止)
第二十一条 診療エツクス線技師試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者についてその受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。この場合においては、なお、その者について期間を定めて診療エツクス線技師試験を受けることを許さないことができる。
(試験手数料)
第二十二条 診療エツクス線技師試験を受けようとする者は、省令の定めるところにより、試験手数料を納めなければならない。
(省令への委任)
第二十三条 この法律に規定するものの外、試験の科目、受験手続その他診療エツクス線技師試験に関して必要な事項及び第二十条第一号の学校又は診療エツクス線技師養成所に関して必要な事項は、省令で定める。
第四章 業務
(禁止行為)
第二十四条 医師、歯料医師又は診療エツクス線技師でなければ、エツクス線を人体に対して照射することを業としてはならない。
2 前項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
(名称の禁止)
第二十五条 診療エツクス線技師でなければ、診療エツクス線技師という名称又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
2 前項の規定に違反した者は、五千円以下の罰金に処する。
(業務上の制限)
第二十六条 診療エツクス線技師は、医師又は歯科医師の具体的な指示を受けなければ、エツクス線を人体に対して照射してはならない。
2 診療エツクス線技師は、病院又は診療所以外の場所においてその業務を行つてはならない。但し、左に掲げる場合はこの限りでない。
一 医師又は歯科医師が診察した患者について、その医師又は歯科医師の指示を受け、出張して照射をする場合
二 多数の者の健康診断を一時に行う場合において、医師又は歯科医師の立会のもとに照射をするとき。
3 前二項の規定に違反したときは、一万円以下の罰金に処する。
(照射録)
第二十七条 診療エツクス線技師は、エツクス線を人体に対して照射したときは、遅滞なく左の事項を記載した照射録を作成し、その照射について指示をした医師又は歯科医師の署名を受けなければならない。
一 照射を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢
二 照射の年月日
三 照射の方法(具体的に且つ精細に記載すること。)
四 指示を受けた医師又は歯科医師の氏名及びその指示の内容
2 都道府県知事は、必要があると認めるときは、前項の照射録を提出させ、又は当該職員に照射録を検査させることができる。
3 前項の規定によつて検査に従事する職員は、その身分を証明する証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
4 第一項の規定に違反した者は、五千円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六十日を経過した日から施行する。
(現在の業務者の届出)
2 この法律施行の際、現に第二条(診療エツクス線技師の定義)に規定する義務を行つている者又はこの法律施行前引き続き三年以上第二条に規定する業務を行つていた者は、この法律施行後三箇月以内に、その氏名、年齢、性別、本籍及び住所並びに業務に従事している施設の名称及び所在地をその住所地の都道府県知事に届け出なければならない。
(業務の暫定的継続)
3 前項に規定する者は同項の届出をするまでの間、同項の届出をした者はその届出をした後昭和三十一年十二月三十一日までの間、第二十四条(禁止行為)の規定にかかわらず、第二条の業務を行うことができる。
4 前項に規定する者については、第二十六条(業務上の制限)及び第二十七条(照射録)の規定を準用する。
(業務の禁止)
5 都道府県知事は、第三項に規定する者が第四条(絶対的欠格事由)各号の一又は第五条(相対的欠格事由)各号の一に該当するに至つたときは、その業務を禁止することができる。
6 前項の業務禁止の処分に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
(試験)
7 厚生大臣は、昭和三十一年十二月三十一日までの間に、第二項の届出をした者に対して、特に試験を行う。この場合には、第十八条(診療エツクス線技師試験の実施)及び第二十一条(不正行為の禁止)の規定を準用する。
8 前項の試験に関して必要な事項は、省令で定める。
(免許の特例)
9 都道府県知事は、第七項の試験に合格した者に対し、第三条(免許)の規定にかかわらず、診療エツクス線技師の免許を与えることができる。
(厚生省設置法の一部改正)
10 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条中第三十七号の次に次の一号を加える。
三十七の二 診療エツクス線技師の試験を行うこと。
第十条第三号中「保健婦」を「診療エツクス線技師、保健婦」に改める。
(厚生・内閣総理大臣署名)