農薬取締法の一部を改正する法律

法律第百五十一号(昭二六・四・二〇)

 農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。

 第一条の次に次の一条を加える。

 (公定規格)

第一条の二 農林大臣は、農薬につき、その種類ごとに、含有すべき有効成分の量、含有を許される有害成分の最大量その他必要な事項についての規格(以下「公定規格」という。)を定めることができる。

2 農林大臣は、公定規格を設定し、変更し、又は廃止しようとするときは、その期日の少くとも三十日前までに、これを公告しなければならない。

 第二条第二項から第四項までを次のように改める。

2 前項の登録の申請は、左の事項を記載した申請書及び農薬の見本を提出して、これをしなければならない。

 一 氏名(法人の場合にあつては、その名称及び代表者の氏名。以下同じ。)及び住所

 二 農薬の種類、名称、物理的化学的性状並びに有効成分とその他の成分との別にその各成分の種類及び含有量

 三 販売する場合の包装及びその内容量

 四 適用病害虫、使用方法並びに薬効及び薬害に関する試験成績

 五 人畜に有毒な農薬については、その旨及び解毒方法

 六 引火し、爆発し、又は皮膚を害する等の危険のある農薬については、その旨

 七 貯蔵上又は使用上の注意事項

 八 製造場の名称及び所在地

 九 製造業者の製造し、又は加工した農薬については、製造方法及び製造責任者の氏名

3 農林大臣は、前項の申請を受けたときは、農薬検査所の官吏(以下「検査官吏」という。)に農薬の見本について検査をさせ、次条第一項の指示をする場合を除き、遅滞なく当該農薬を登録し、且つ、左の事項を記載した登録票を交付しなければならない。

 一 登録番号及び登録年月日

 二 登録の有効期間

 三 農薬の種類、名称、物理的化学的性状並びに有効成分とその他の成分との別にその各成分の種類及び含有量

 四 製造業者又は輸入業者の氏名及び住所

 五 製造場の名称及び所在地

4 現に登録を受けている農薬について再登録の申請があつた場合には、農林大臣は、これについて、前項の検査を省略することができる。

5 登録の申請をする者は、三千円をこえない範囲内において省令で定める額の手数料を納付しなければならない。

 第三条第一項を次のように改め、第二項中「書面」を「申請書」に改め、第三項を削る。

  農林大臣は、前条第三項の検査の結果、左の各号の一に該当する場合は、同項の規定による登録を保留して、申請者に対し申請書の記載事項を訂正し、又は当該農薬の品質を改良すべきことを指示することができる。

 一 申請書の記載事項に虚偽の事実があるとき。

 二 申請書に記載する使用方法により当該農薬を使用する場合に農作物又は農林産物に害があるとき。

 三 当該農薬を使用するときは、危険防止方法を講じた場合においてもなお人畜に著しい危険を及ぼすおそれがあるとき。

 四 当該農薬の名称が、その主成分又は効果について誤解を生ずるおそれがあるものであるとき。

 五 当該農薬の薬効が著しく劣り、農薬としての使用価値がないと認められるとき。

 六 公定規格が定められている種類に属する農薬については、当該農薬が公定規格に適合せず、且つ、その薬効が公定規格に適合している当該種類の他の農薬の薬効に比して劣るものであるとき。

 第四条第二項中「、農業資材審議会の議決を経て」を削る。

 第六条を次のように改める。

 (登録を受けた者の義務)

第六条 第二条の登録を受けた者は、登録票を、製造業者にあつては主たる製造場に、輸入業者にあつては主たる事務所に備え付け、且つ、その写をその他の製造場又は事務所に備え付けて置かなければならない。

2 第二条の登録を受けた者は、同条第二項第一号又は第三号から第九号までの事項中に変更を生じたときは、その変更を生じた後二週間以内に、その理由を附してその旨を農林大臣に届け出、且つ、変更のあつた事項が登録票の記載事項に該当する場合にあつては、その書替交付を申請しなければならない。

3 登録票を滅失し、又は汚損した者は、農林大臣にその旨を届け出で、その再交付を申請しなければならない。

4 前二項の規定により登録票の書替交付又は再交付の申請をする者は、二百円をこえない範囲内において省令で定める額の手数料を納付しなければならない。

 第七条各号を次のように改める。

 一 登録番号

 二 公定規格に適合する農薬にあつては、「公定規格」という文字

 三 登録票に記載された農薬の種類、名称、物理的化学的性状並びに有効成分とその他の成分との別にその各成分の種類及び含有量

 四 内容量

 五 適用病害虫及び使用方法

 六 人畜に有害な農薬については、その旨及び解毒方法

 七 引火し、爆発し、又は皮膚を害する等の危険のある農薬については、その旨

 八 貯蔵上又は使用上の注意事項

 九 製造場の名称及び所在地

 十 製造業者の製造し、又は加工した農薬については、製造年月及び包装年月

 第十条の次に次の一条を加える。

 (虚偽の宣伝等の禁止)

第十条の二 製造業者、輸入業者又は販売業者は、その製造し、加工し、輸入し、又は販売する農薬の有効成分の含有量又はその効果に関して虚偽の宣伝をしてはならない。

2 製造業者又は輸入業者は、その製造し、加工し、又は輸入する農薬について、その有効成分又は効果に関して誤解を生ずるおそれのある名称を用いてはならない。

 第十二条第一項中「農業資材審議会の議決を経て、」及び第三項中「、農業資材審議会の議決を経て」を削る。

 第十三条中「検査官吏」を「検査官吏その他の関係職員」に改める。

 第十四条を次のように改める。

第十四条 農林大臣は、製造業者、輸入業者又は販売業者がこの法律の規定に違反したときは、これらの者に対し、農薬の販売を制限し、若しくは禁止し、又はその製造業者若しくは輸入業者に係る第二条の規定による登録を取り消すことができる。

2 農林大臣は、その定める検査方法に従い、検査官吏に農薬を検査させた結果、農薬の品質、包装等が不良となつたため、農作物、農林産物又は人畜に害があると認められるときは、当該農薬の販売を制限し、又は禁止することができる。

3 前二項の処分があつた場合には、第十二条第二項及び第三項の規定を準用する。

 第十四条の次に次の一条を加える。

 (聴問)

第十四条の二 農林大臣は、前条第一項の規定により登録の取消をしようとするときは、当該登録を受けている者に対し、あらかじめ期日、場所及び取消の原因たる事由を通知して、公開による聴問を行い、その者又はその代理人が証拠を呈示して意見を述べる機会を与えなければならない。

 第十五条及び第十六条を次のように改める。

 (登録の制限)

第十五条 第十四条の規定により登録を取り消された者は、取消の日から一年間は、当該農薬について更に登録を受けることができない。

 (農業資材審議会)

第十六条 農林大臣は、第一条の二の規定により公定規格を設定し、変更し、若しくは廃止しようとするとき、又は第十四条第二項に規定する農薬の検査方法を決定し、若しくは変更しようとするときは、農業資材審議会の意見を聞くことができる。第十六条の次に次の一条を加える。

 (適用の除外)

第十六条の二 農薬を輸出するために製造し、加工し、又は販売する場合には、この法律は、適用しない。

 第十七条第一号中「第七条又は第九条」を「第七条、第九条又は第十条の二」に、同条第二号中「処分」を「命令又は禁止」に改め、同条第三号を次のように改める。

 三 第十四条第一項又は第二項の規定による制限又は禁止に違反した者

 第十八条第一号中「第六条」を「第六条第二項」に改める。

 第十八条の次に次の一条を加える。

第十八条の二 第六条第一項又は第三項の規定に違反した者は、五千円以下の罰金に処する。

 第十九条中「前二条」を「前三条」に改め、同条に次の但書を加える。

  但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (経過規定)

2 この法律の施行前に、改正前の第二条の規定により登録を受けた者は、この法律の施行の日から起算して六箇月以内に、登録票の書替交付を申請しなければならない。この場合には、第六条第四項の規定を適用しない。

3 前項の者が同項の期間内に書替交付の申請をしない場合には、その登録は、第五条の規定にかかわらず、前項の期間の満了によつてその効力を失う。

4 この法律の施行前に、改正前の第七条の規定により表示をされた農薬に関しては、この法律の施行の日から起算して一年を限り、第七条及び第九条の規定の適用については、なお従前の例による表示をもつて足りる。

5 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(農林・内閣総理大臣署名) 

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