小型自動車競走法

法律第二百八号(昭二五・五・二七)

 (この法律の趣旨)

第一条 この法律は、小型自動車の性能の向上等品質の改善、小型自動車に関する海外宣伝その他小型自動車工業の振興に寄与するとともに、地方財政の改善を図るために行う小型自動車競走に関し規定するものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「小型自動車」とは、気筒容積千五百立方センチメートル以下の発動機を有する自動車をいう。

 (小型自動車競走の施行)

第三条 都道府県並びに京都市、大阪市、横浜市、神戸市及び名古屋市(以下小型自動車競走施行者という。)は、その議会の議決を経て、この法律により、小型自動車競走を行うことができる。

2 小型自動車競走施行者以外の者は、勝車投票券その他これに類似するものを発売して、小型自動車競走を行つてはならない。

 (小型自動車競走の実施の委任)

第四条 小型自動車競走施行者は、小型自動車競走の実施を当該都道府県に設立する小型自動車競走会に委任することができる。

 (小型自動車競走場)

第五条 小型自動車競走は、小型自動車競走場で行わなければならない。

第六条 小型自動車競走場の数は、都道府県ごとに各一筒所とする。

 (競走に使用する小型自動車の種類)

第七条 小型自動車競走に使用する小型自動車の種類は、左の通りとする。

 一 二輪車

 二 三輪車

 三 四輪車

 四 モータースクーター

2 小型自動車競走の各競走は、前項各号に掲げる種目ごとに、同一の規格のものをもつて行わなければならない。

 (登録)

第八条 小型自動車競走場、小型自動車競走に出場する選手及び小型目動車競走に使用する小型自動車は、全国小型自動車競走会連合会に登録されたものでなければならない。

2 全国小型自動車競走会連合会は、登録規準に合致する小型自動車競走場、選手又は小型自動車については、その登録を拒むことはできない。

 (入場料)

第九条 小型自動車競走施行者は、小型自動車競走を開催するときは、入場者から入場料を徴収しなければならない。

 (勝車投票券)

第十条 小型自動車競走施行者は、一口金二十円以下の勝車投票券を券面金額で発売することができる。

 (勝車投票券の購入等の禁止)

第十一条 左の各号の一に該当する場合においては、勝車投票券を購入し、又は譲り受けてはならない。

 一 選手、審判員及び競走の役員並びに小型自動車競走会及び全国小型自動車競走会連合会の役員にあつては、すべての小型自動車競走について

 二 前号に掲げる者を除き、事務員、会計係員、連絡係員その他の小型自動車競走の運営に従事する者にあつては、当該小型自動車競走について

 (払戻金)

第十二条 小型自動車競走施行者は、勝車投票の的中者に対し、その小型自動車競走についての勝車投票券の売上金(勝車投票券の発売金額から第十四条の規定により返還すべき金額を差し引いたもの。以下同じ。)の額の百分の七十五に相当する金額の払戻金を当該勝車に対する各勝車投票券にあん分して交付する。

2 勝車投票の的中者がない場合における売上金は、その金額の百分の七十五に相当する金額を、当該競走における勝車以外の出走した小型自動車に投票した者に対し、各勝車投票券にあん分して払戻金として交付する。

3 前二項の規定により勝車投票の的中者又は勝車投票券を購入した者に交付すべき金額の算出方法及びその交付については、省令で定める。

第十三条 前条の規定により払戻金を交付する場合において、その金額に一円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

2 前項の端数切捨によつて生じた金額は、小型自動車競走施行者の収入とする。

 (投票の無効)

第十四条 勝車投票券を発売した後、左の各号の一に該当する事由が生じたときは、その投票は、無効とする。

 一 出走すべき小型自動車がなくなり、又は一車のみとなつたこと。

 二 小型自動車競走が成立しなかつたこと。

 三 小型自動車競走に勝車がなかつたこと。

 四 発売した勝車投票券に表示された車が出走しなかつた場合は、その車(第一着及び第二着となつた車をその順位で一組として勝車とする勝車投票法(以下連勝式勝車投票法という。)にあつてはその車の属する組)に対する投票は、無効とする。連勝式勝車投票法において同一の連勝式番号をつけられた車を一組とした場合において、表示された車のうちいずれか一車のみが出走したときは、その組に対する投票についても、同様である。

2 前項の場合においては、当該勝車投票券を所有する者は、小型自動車競走施行者に対してその券面金額の返還を請求することができる。

 (払戻金及び返還金の債権の時効)

第十五条 第十二条の規定による払戻金又は前条の規定による返還金であつてやむを得ない事情により小型自動車競走の終了後遅滞なく支払を受けることのできなかつたものの債権は、三十日間行わないときは、時効によつて消滅する。

 (小型自動車競走施行者の収入)

第十六条 小型自動車競走施行者は、勝車投票券の売上金額の百分の二十五に相当する金額を自己の収入とするものとする。

 (国庫納付金)

第十七条 小型自動車競走施行者は、前条の規定により自己の収入とすべき金額の中から、勝車投票券の売上金額の百分の三に相当する金額を国庫に納付しなければならない。

 (小型自動車競走会への交付金)

第十八条 小型自動車競走施行者は、小型自動車競走会に小型自動車競走の実施を委任したときは、第十六条の規定により自己の収入とすべき金額の中から、勝車投票券の売上金額の百分の五を超えない金額を当該小型自動車競走会に交付しなければならない。

 (小型自動車競走施行者の負担する実施に要する費用)

第十九条 小型自動車競走施行者は、第十六条の規定により自己の収入とすべき金額から前二条の規定により支出すべき金額を差し引いた残額の一部をもつて、小型自動車競走の実施につき小型自動車競走会に委任しない事項に関する経費に充てなければならない。

 (小型自動車競走会及び全国小型自動車競走会連合会)

第二十条 小型自動車競走会は、都道府県内に各一箇を限り設立するものとする。

2 すべての小型自動車競走会は、国内において一箇の全国小型自動車競走会連合会を設立し、その会員となるものとし、各会員は、一箇の平等の表決権を有し、多数決をもつて全国小型自動車競走会連合会の総会の議事を議決する。

3 小型自動車競走会及び全国小型自動車競走会連合会は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条(公益法人の設立)の規定により設立される法人とする。

4 小型自動車競走会は、小型自動車競走の実施を、全国小型自動車競走会連合会は、小型自動車競走場、選手及び小型自動車の登録、各小型自動車競走施行者の競走日程の作成その他の小型自動車競走の実施の調整並びに小型自動車に関する事項の振興を目的とする。

 (勝車投票券の発売の停止等)

第二十一条 小型自動車競走施行者、小型自動車競走会又は全国小型自動車競走会連合会がこの法律若しくはこの法律に基いて発する命令又はこれらに基いてする処分に違反した場合には、通商産業大臣は、当該小型自動車競走施行者、小型自動車競走会又は全国小型自動車競走会連合会に対し、あらかじめ戒告をした上、勝車投票券の発売の停止その他必要な措置を命ずることができる。

2 通商産業大臣は、前項の規定により戒告以外の処分をしようとするときは、あらかじめ、期日及び場所を通知して、当該小型自動車競走施行者、小型自動車競走会又は全国小型自動車競走会連合会に対し公開による聴聞をしなければならない。但し、急速を要する場合は、事後に聴聞をすることができる。

 (届出又は報告)

第二十二条 通商産業大臣は、小型自動車競走施行者から小型自動車競走の開催、終了及び会計その他必要があると認める事項について届出又は報告を求めることができる。

 (委任事項)

第二十三条 この法律に定めるものの外、小型自動車競走の実施の委任に関する事項、小型自動車競走場及び小型自動車競走に使用する小型自動車の規格に関する事項、小型自動車競走場、小型自動車競走に出場する選手及び小型自動車競走に使用する小型自動車の登録規準その他登録に関する事項その他この法律の施行に関し必要な事項は、省令で定める。

 (罰則)

第二十四条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はその刑を併せ科する。

 一 第三条第二項の規定に違反した者

 二 この法律により行う小型自動車競走に関し、多数の者に対し財物をもつてかけごとをした者

 三 第十一条の規定により勝車投票券の購入又は譲受を禁止されている者であつて前号に規定する行為の相手方となつた者

第二十五条 左の各号の一に該当する者は、二万円以下の罰金に処する。

 一 第十一条の規定により勝車投票券の購入を禁止されている者であることを知りながら、その者に対して勝車投票券を発売した者

 二 第十一条の規定に違反した者

 三 前条第一号に規定する行為の相手方となつた者

 四 前条第三号に規定する者を除き、同条第二号に規定する行為の相手方となつた者

第二十六条 小型自動車競走会若しくは全国小型自動車競走会連合会の役員、小型自動車競走に関する事務に従事する者又は選手が、その職務又は競走に関して、賄ろを収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。

2 前項に規定する者が、その職務又は競走に関して、賄ろを収受し、又はこれを要求し、若しくは約束し、よつて不正の行為をし、又はなすべき行為をしなかつたときは、五年以下の懲役に処する。

3 前二項の場合において、収受した賄ろは、没収する。もし、その全部又は一部を没収することができない場合には、その価額を追徴する。

第二十七条 前条第一項又は第二項に規定する賄ろを供与し、又はその申込若しくは約束をした者は、三年以下の懲役に処する。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律施行の際現に農地調整法(昭和十三年法律第六十七号)に規定する農地であるものは、小型自動車競走場の用に供してはならない。

3 通商産業省設置法(昭和二十四年法律第百二号)の一部を次のように改正する。

  第十三条第一項第五号中「自転車競走」の下に「及び小型自動車競走」を加える。

(通商産業・内閣総理大臣署名) 

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