建築基準法

法律第二百一号(昭二五・五・二四)

目次

 第一章 総則(第一条―第十八条)

 第二章 建築物の敷地、構造及び建築設備(第十九条―第四十一条)

 第三章 道路及び壁面線(第四十二条―第四十七条)

 第四章 用途地域(第四十八条―第五十四条)

 第五章 建築物の面積、高さ及び敷地内の空地(第五十五条―第五十九条)

 第六章 防火地域(第六十条―第六十七条)

 第七章 美観地区(第六十八条)

 第八章 建築協定(第六十九条―第七十七条)

 第九章 建築審査会(第七十八条―第八十三条)

 第十章 雑則(第八十四条―第九十七条)

 第十一章 罰則(第九十八条―第百二条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

 (用語の定義)

第二条 この法律において左の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、これに附属する門若しくはへい、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舖、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びにこ線橋、プラツトホームの上家、貯蔵そうその他これらに類する施設を除くものとする。

 二 特殊建築物 学校、病院、劇場、観覧場、百貨店、舞踏場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と殺場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。

 三 建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

 四 居室 居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。

 五 主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

 六 延焼のおそれのある部分 隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の二以上の棟(延べ面積の合計が五百平方メートル以内の建築物は、一棟とみなす。)をなす建築物相互の外壁間の中心線から、一階にあつては三メートル以下、二階以上にあつては五メートル以下の距離にある建築物の部分をいう。但し、防火上有効な公園、広場、川等の空地若しくは水面又は耐火構造の壁その他これらに類するものに面する部分を除く。

 七 耐火構造 鉄筋コンクリート造、れん瓦造等の構造で政令で定める耐火性能を有するものをいう。

 八 防火構造 鉄網モルタル塗、しつくい塗等の構造で政令で定める防火性能を有するものをいう。

 九 不燃材料 コンクリート、れん瓦、瓦、石綿板、鉄鋼、アルミニユーム、ガラス、モルタル、しつくいその他これらに類する不燃性の建築材料をいう。

 十 設計図書 建築物の建築、修繕若しくは模様替、建築設備の設置又は工作物の築造の工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう。

 十一 建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

 十二 大規模の修繕 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。

 十三 大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。

 十四 建築主 建築、修繕若しくは模様替の工事の請負契約の註文者又は請負契約によらないで自ら建築、修繕若しくは模様替をする者をいう。

 十五 設計者 設計図書を作成した者をいう。

 十六 工事施工者 建築、修繕若しくは模様替の工事の請負人又は請負契約によらないで自らこれらの工事をする者をいう。

 十七 都市計画 都市計画法(大正八年法律第三十六号)第一条に規定する都市計画をいう。

 十八 都市計画区域 都市計画法第二条に規定する都市計画区域をいう。

 十九 特定行政庁 建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の 市町村の区域については都道府県知事をいう。

 (適用の除外)

第三条 この法律並びにこれに基く命令及び条例の規定は、国宝保存法(昭和四年法律第十七号)、史蹟名勝天然紀念物保存法(大正八年法律第四十四号)又は重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)の適用を受ける建築物を建築し、修繕し、又は模様替する場合には、適用しない。

2 この法律又はこれに基く命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物(以下「既存建築物」という。)については、これを増築し、若しくは改築し、又はその大規模の修繕若しくは大規模の模様替をする場合を除き、これらの規定に適合しない部分がある場合においては、当該部分に対しては、当該規定は、適用しない。

3 この法律又はこれに基く命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に建築、修繕又は模様替の工事中の建築物については、これらの規定に適合しない部分がある場合においては、当該部分に対しては、当該規定は、適用しない。

4 第三章から第七章までの規定並びにこれに基く命令及び条例の規定は、都市計画区域外においては、適用しない。

 (建築主事)

第四条 市町村は、その長の指揮監督の下に、第六条第一項の規定による確認に関する事務をつかさどらせるために、建築主事を置くことができる。

2 市町村は、前項の規定によつて建築主事を置こうとする場合においては、あらかじめ、その設置について、都道府県知事と協議しなければならない。

3 市町村が前項の規定による協議がととのつた場合において建築主事を置くときは、市町村の 長は、建築主事が置かれる日の三十日前までにその旨を公示し、且つ、これを都道府県知事に通知しなければならない。

4 都道府県は、都道府県知事の指揮監督の下に、第一項の規定によつて建築主事を置いた市町 村(以下「建築主事を置く市町村」という。)の区域外における建築物に係る第六条第一項の規定による確認に関する事務をつかさどらせるために、建築主事を置かなければならない。

5 第一項及び前項の建築主事は、市町村又は都道府県の吏員で建築主事の資格検定に合格した者のうちから、それぞれ市町村の長又は都道府県知事が命ずる。

6 特定行政庁は、その所轄区域を分けて、その区域を所管する建築主事を指定することができる。

 (建築主事の資格検定)

第五条 建築主事の資格検定は、建築主事として必要な建築行政に関する知識及び経験について行う。

2 建築主事の資格検定は、建設大臣が行う。

3 建築主事の資格検定は、建築士又はこれと同等以上の実務の経験を有する者で、二年以上の 建築行政に関する実務の経験を有し、又は建築の実務に関し技術上の責任のある地位にあつたものでなければ受けることができない。

4 建築主事の資格検定に関する事務をつかさどらせるために、建設省に、建築主事資格検定委 員を置く。

5 建築主事資格検定委員は、建築及び行政に関し学識経験のある者のうちから、建設大臣が命 ずる。

6 前各項に定めるものを除く外、建築主事の資格検定の手続及び基準その他建築主事の資格検 定に関し必要な事項は、政令で定める。

 (建築物の建築等に関する申請及び確認)

第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しよう とする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしよ うとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれ に基く命令及び条例の規定に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受けなければならない。但し、防火地域及び準防火地域外において建築 物を増築し、又は改築しようとする場合で、その増築又は改築に係る部分の延べ面積が十平方メートル以内のものについては、この限りでない。

 一 学校、病院、診療所、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、百貨店、マーケツト、公衆浴場、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎又は自動車車庫の用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の延べ面積が百平方メートルをこえるもの

 二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートルをこえるもの

 三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルをこえるもの

 四 前各号に掲げる建築物を除く外、都市計画区域内又は都道府県知事が関係町村の意見を聞いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

2 建築主事は、前項の申請書を受理した場合においては、同項第一号から第三号までに係るものにあつてはその受理した日から二十一日以内に、同項第四号に係るものにあつてはその受理した日から七日以内に、申請に係る建築物の計画が当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基く命令及び条例の規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基いてこれらの規定に適合することを確認したときは、その旨を文書をもつて当該申請者に通知しなければならない。

3 建築主事は、前項の場合において、申請に係る計画がこれらの規定に適合しないことを認めたとき、又は申請書の記載によつてはこれらの規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その理由をつけてその旨を文書をもつて前項の期限内に当該申請者に通知しなければならない。

4 第一項の規定による確認を受けない同項の建築物の建築、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事は、することができない。

5 第一項の規定による確認の申請をしようとする者は、当該建築物の建築、修繕又は模様替に係る部分の延べ面積が百平方メートル以内の場合にあつては五百円、その他の場合にあつては三千円をこえない金額の範囲内において政令で定める額の手数料を、建築主事を置く市町村の区域内の建築物に係るものにあつては当該市町村に、その他の市町村の区域内の建築物に係るものにあつては都道府県に納めなければならない。

6 第一項の規定による確認の申請書並びに第二項及び第三項の規定による通知書の様式は、建 設省令で定める。

 (建築物に関する検査及び使用承認)

第七条 建築主は、前条第一項の規定による工事を完了した場合においては、その旨を工事が完了した日から四日以内に到達するように、建築主事に文書をもつて届け出なければならない。

2 建築主事が前項の規定による届出を受理した場合においては、建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員は、その届出を受理した日から七日以内に、届出に係る完了した工事が前条第一項の法律並びにこれに基く命令及び条例の規定に適合しているかどうかを検査しなければならない。

3 建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物が前条第一項の法律並びにこれに基く命令及び条例の規定に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。

4 前条第一項第一号から第三号までの建築物の建築主は、前項の検査済証の交付を受けた後でなければ当該建築物を使用し、又は使用させてはならない。但し、第一項の規定による届出をした日から七日を経過した場合又は建築主事が仮使用の承認をした場合においては、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用し、又は使用させることができる。

5 第一項の規定による届出書及び第三項の規定による検査済証の様式は、建設省令で定める。

 (維持保全)

第八条 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

 (違反建築物に対する措置)

第九条 特定行政庁は、この法律又はこれに基く命令若しくは条例の規定に違反した建築物については、その建築主、建築工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)、建築工事の現場管理者又はその所有者、管理者若しくは占有者に対して、工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限をつけて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

2 特定行政庁は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対して、その命じようとする措置及びその事由を記載した通知書を交付しなければならない。

3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による聴聞を行うことを請求することができる。

4 特定行政庁は、前項の規定による聴聞の請求があつた場合においては、第一項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による聴聞を行わなければならない。

5 特定行政庁は、前項の規定による聴聞を行う場合においては、第一項の規定によつて命じようとする措置並びに聴聞の期日及び場所を、期日の二日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。

6 第四項に規定する者は、聴聞に際して、証人を出席させ、且つ、自己に有利な証拠を提出することができる。

7 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、前五項の規定にかかわらず、これらに定める手続によらないで、仮に、工事の施工の停止、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。

8 前項の命令を受けた者は、その命令を受けた日から三日以内に、特定行政庁に対して公開による聴聞を行うことを請求することができる。この場合においては、第四項から第六項までの規定を準用する。但し、聴聞は、その請求があつた日から五日以内に行わなければならない。

9 特定行政庁は、前項の聴聞の結果に基いて、第七項の規定によつて仮にした命令が不当でないと認めた場合においては、第一項の命令をすることができる。聴聞の結果、第七項の規定によつて仮にした命令が不当であると認めた場合においては、直ちに、その命令を取り消さなければならない。

 (保安上危険であり、又は衛生上有害である建築物に対する措置)

第十条 特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備が第二章の規定又はこれに基く命令若しくは条例の規定に適合せず、且つ、著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限をつけて、その全部又は一部の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止又は使用制限を命ずることができる。

2 前条第二項から第九項までの規定は、前項の措置を命ずる場合に準用する。

3 第一項の場合においては、第三条第二項の規定は、適用しない。

 (第三章から第七章までの規定に適合しない建築物に対する措置)

第十一条 特定行政庁は、既存建築物の敷地、構造又は用途が第三章から第七章までの規定又はこれに基く命令若しくは条例の規定に適合しなくなり、且つ、公益上著しく支障があると認められるに至つた場合においては、当該建築物の所在地の市町村(都の特別区の存する区域においては、都 以下本条において同様とする。)の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限をつけて、前条第一項に規定する措置を命ずることができる。この場合においては、当該建築物の所在地の市町村は、当該命令に基く措置によつて通常生ずべき損害を時価によつて補償しなければならない。

2 前項の場合においては、第三条第二項の規定は、適用しない。

3 第一項の規定によつて補償を受けることができる者は、その補償金額に不服がある場合においては、政令の定める手続によつて、その決定の通知を受けた日から一月以内に土地収用法(明治三十三年法律第二十九号)による収用審査会の裁決を求めることができる。

4 前項の裁決に不服がある者は、裁判所に出訴することができる。

 (報告、臨検、検査及び試験)

第十二条 特定行政庁又は建築主事は、建築物の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、建築物の設計者又は建築物に関する工事の施工者に対して、建築物の敷地、構造、設備若しくは用途又は建築工事の計画若しくは施工の状況に関する報告を求めることができる。

2 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員は、第六条第二項、第七条第二項、第九条第一項、第十条第一項又は前条第一項の規定による確認、検査又は命令をしようとする場合においては、当該建築物又は建築工事場に立ち入り、建築物、建築設備、建築材料、設計図書その他建築工事に関係がある物件を検査し、又は試験することができる。但し、現に居住の用に供している建築物に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。

 (身分証明書の携帯)

第十三条 建築主事又は特定行政庁の命令若しくは建築主事の委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員は、前条第二項の規定によつて建築物又は建築工事場に立ち入る場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。

 (都道府県知事又は建設大臣の勧告、助言又は援助)

第十四条 建築主事を置く市町村の長は、都道府県知事又は建設大臣に、都道府県知事は、建設大臣に、この法律の施行に関し必要な助言又は援助を求めることができる。

2 建設大臣は、特定行政庁に対して、都道府県知事は、建築主事を置く市町村の長に対して、この法律の施行に関し必要な勧告、助言若しくは援助をし、又は必要な参考資料を提供することができる。

 (届出及び統計)

第十五条 建築主は、建築物の建築の工事に着手しようとする場合又は建築物を除却した場合においては、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。但し、当該建築物又は当該工事に係る部分の延べ面積が十平方メートル以内である場合においては、この限りでない。

2 市町村及び特別区の長は、当該市区町村の区域内における延べ面積が十平方メートルをこえる建築物が火災、震災、水災、風災その他の災害に因り滅失した場合においては、都道府県知事に報告しなければならない。

3 都道府県知事は、前二項の規定による届出及び報告に基き、建築統計を作成し、これを建設大臣に送付しなければならない。

4 前三項の規定による届出、報告並びに建築統計の作成及び送付の手続は、建設省令で定める。

 (建設大臣又は都道府県知事への報告)

第十六条 建設大臣は、特定行政庁に対して、都道府県知事は、建築主事を置く市町村の長に対して、この法律の施行に関して必要な報告又は統計の資料の提出を求めることができる。

 (特定行政庁等に対する監督)

第十七条 建設大臣は、都道府県の建築主事の処分がこの法律若しくはこれに基く命令の規定に 違反し、又は都道府県の建築主事がこれらの規定に基く処分を怠るものがあると認める場合においては、当該都道府県知事に対して、監督上必要な措置をとることを命ずることができる。

2 都道府県知事は、市町村の建築主事の処分がこの法律若しくはこれに基く命令の規定に違反し、又は市町村の建築主事がこれらの規定に基く処分を怠るものがあると認める場合においては、当該市町村の長に対して監督上必要な措置をとることを命ずることができる。

3 建設大臣は、前項の場合において都道府県知事がそのすべき命令をしない場合においては、自ら同項の命令をすることができる。

4 建設大臣は、都道府県知事がこの法律若しくはこれに基く命令の規定に違反し、又はこれら の規定に基く処分を怠るものがあると認める場合においては、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百四十六条の規定によつて、その行うべき事項を命令し、裁判所の裁判を請求することができる。

5 都道府県知事は、建築主事を置く市町村の長がこの法律若しくはこれに基く命令の規定に違 反し、又はこれらの規定に基く処分を怠るものがあると認める場合においては、地方自治法第百四十六条の規定によつて、その行うべき事項を命令し、裁判所の裁判を請求し、又は確認の裁判に基いて当該市町村の長に代つて自ら当該事項を行うことができる。

 (国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建設物に対する確認、検査又は是正措置に関する手続の特例)

第十八条 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物については、第六条、第七条、第九条及び第十条の規定は、適用しない。この場合においては、第二項から第九項までの規定に定めるところによる。

2 第六条第一項の規定によつて建築しようとする建築物の建築主が国、都道府県又は建築主事 を置く市町村である場合においては、当該国、都道府県若しくは市町村の機関の長又はその委任を受けた者は、当該工事に着手する前に、その計画を建築主事に通知しなければな らない。

3 建築主事は、前項の通知を受けた場合においては、第六条第二項に定める期間内に、当該通知に係る建築物の計画が当該建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基く命令及び条例の規定に適合するかどうかを審査し、その結果を前項の機関の長又はその委任を受けた者に通知しなければならない。

4 第二項の通知に係る建築物の工事は、前項の規定によつて当該建築物の計画が前項の法律、命令及び条例の規定に適合する旨の通知を受けた後でなければすることができない。

5 第二項の機関の長又はその委任を受けた者は、当該工事を完了した場合においては、その旨を、工事が完了した日から四日以内に到達するように、建築主事に通知しなければならない。

6 建築主事が前項の規定による通知を受けた場合においては、建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員は、その通知を受けた日から七日以内に、その通知に係る完了した工事が第三項の法律並びにこれに基く命令及び条例の規定に適合しているかどうかを検査しなければならない。

7 建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物が第三項の法律並びにこれに基く命令及び条例の規定に適合していることを認めたときは、第二項の機関の長又はその委任を受けた者に対して検査済証を交付しなければならない。

8 第六条第一項第一号から第三号までの建築物については、前項の検査済証の交付を受けた後でなければ当該建築物を使用し、又は使用させてはならない。但し、第五項の規定による通知をした日から七日を経過した場合又は建築主事が仮使用の承認をした場合においては、検査済証の交付を受ける前においても、仮に当該建築物を使用し、又は使用させることができる。

9 特定行政庁は、国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物が第九条第一項又は第十条第一項の規定に該当すると認める場合においては、直ちに、その旨を当該建築物を管理する機関の長に通知し、これらの規定に掲げる必要な措置をとるべきことを要請しなければならない。

   第二章 建築物の敷地、構造及び建築設備

 (敷地の衛生及び安全)

第十九条 建築物の敷地は、これに接する道の境より高くなければならず、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければならない。但し、敷地内の排水に支障がない場合又は建築物の用途により防湿の必要がない場合においては、この限りでない。

2 湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない。

3 建築物の敷地には、雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管、下水溝又はためますその他これらに類する施設をしなければならない。

4 がけ崩れ、地すべり等のおそれのある土地に建築物の敷地を造成する場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を購じなければならない。

 (構造耐力)

第二十条 建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造でなければならない。

2 第六条第一項第二号又は第三号に掲げる建築物に関する設計図書の作成にあたつては、構造 計算によつて、その構造が安全であることを確かめなければならない。

 (大規模の建築物の主要構造部)

第二十一条 高さ十三メートル、軒の高さ九メートル又は延べ面積三千平方メートルをこえる建築物は、主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を木造としてはならない。

2 高さ十三メートル又は軒の高さ九メートルをこえる建築物は、主要構造部(床、屋根及び階 段を除く。)を石造、れん瓦造、コンクリートブロツク造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造としてはならない。但し、特別の補強をし、且つ、構造計算によつて、その構造が安全であることを確かめた場合においては、この限りでない。

 (屋根)

第二十二条 特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について関係市町村の同意を得て指定する区域内においては、建築物の屋根は、不燃材料で造り、又はふかなければならない。但し、茶室、あづまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない。

 (外壁)

第二十三条 前条の市街地の区域内にある木造の建築物は、その外壁のうち、延焼のおそれのある部分を土塗壁とし、又は延焼防止についてこれと同等以上の効力を有する構造としなければならない。

 (木造の特殊建築物の外壁等)

第二十四条 第二十二条の市街地の区域内にある木造の特殊建築物で、左の各号の一に該当するものは、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造としなければならない。

 一 学校、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、マーケツト、公衆浴場又は自動車車庫の用途に供するもの

 二 百貨店、共同住宅、寄宿舎、病院又は倉庫の用途に供するもので、階数が二であり、且つ、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルをこえるもの

2 前項の区域内にある木造の特殊建築物で、左の各号の一に該当するものは、その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分を防火構造とし、又は不燃材料、木毛セメント板その他これらに類するものでおおい、若しくは防火塗料で塗装しなければならない。

 一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供するもので、その客席の床面積の合計が百平方メートルをこえるもの

 二 共同住宅、寄宿舎又は病院の用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルをこえるもの

 三 自動車車庫の用途に供するもの

 (大規模の木造建築物の外壁等)

第二十五条 延べ面積(同一敷地内に二以上の棟をなす木造の建築物がある場合においては、その延べ面積の合計)が千平方メートルをこえる木造の建築物は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、その屋根を不燃材料で造り、又はふかなければならない。

 (防火壁)

第二十六条 延べ面積が千平方メートルをこえる建築物は、防火上有効な構造の防火壁によつて 有効に区画し、且つ、各区画の延べ面積を千平方メートル以内としなければらない。但し、建築物の主要構造部が耐火構造であり、又は不燃材料で造られている場合においては、この限りでない。

 (特殊建築物の耐火構造)

第二十七条 左の各号の一に該当する特殊建築物は、主要構造部を耐火構造としなければならない。但し、廷べ面積が五十平方メートル以内の平家建の附属建築物で外壁及び軒裏を防火構造としたもの、第六号の建築物の屋根で不燃材料で造られたもの又は舞台の床は、この限りでない。

 一 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の用途に供するもので、その客席の床面積の合計が二百平方メートル(屋外観覧席にあつては、千平方メートル)をこえるもの

 二 建築物の二階を病院、共同住宅、寄宿舎、下宿又は倉庫の用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が四百平方メートルをこえるもの

 三 建築物の三階以上の階を学校、病院、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、共同住宅、寄宿舎又は下宿の用途に供するもの

 四 建築物の三階以上の階を百貨店、市場、展覧会場、舞踏場、遊技場又は倉庫の用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルをこえるもの

 五 自動車車庫の用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が三百平方メートルをこえるもの

 六 別表第一(は)項二号に掲げる危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供するもの(貯蔵又は処理に係る危険物の数量が政令で定める限度をこえないものを除く。)

 (居室の採光及び換気)

第二十八条 居室の窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対し て、住宅にあつては七分の一以上、学校、病院、診療所、寄宿舎又は下宿にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上、その他の建築物にあつては十分の一以上でなければならない。但し、映画館、地下工作物内に設ける事務所、店舗その他これらに類するものの居室については、この限りでない。

2 居室の窓その他の開口部で換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、二十分の一以上でなければならない。但し、適当な換気装置があつて衛生上支障がない場合においては、この限りでない。

3 ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前二項の規定の適用については、一室とみなす。

 (住宅の居室の日照)

第二十九条 住宅は、敷地の周囲の状況によつてやむを得ない場合を除く外、その一以上の居室の開口部が日照を受けることができるものでなければならない。

 (地階における住宅の居室の禁止)

第三十条 住宅の居室は、地階に設けてはならない。但し、居室の前面に空堀がある場合その他衛生上支障がない場合においては、この限りでない。

 (便所)

第三十一条 汚物処理の設備を有する下水道を利用することができる区域内においては、便所は、くみ取便所としてはならない。

2 便所から排出する汚物を前項の下水道以外に放流しようとする場合においては、衛生上支障がない構造の汚物処理そうを設けなければならない。

3 第一項の下水道及び区域は、特定行政庁が指定する。

 (電気設備)

第三十二条 建築物の電気設備は、法律又はこれに基く命令の規定で電気工作物に係る建築物の安全及び防火に関するものの定める工法によつて設けなければならない。

 (避雷設備)

第三十三条 高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。

 (昇降機)

第三十四条 建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、且つ、その昇降路の周壁及び開口部は、 防火上支障がない構造でなければならない。

 (特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準)

第三十五条 学校、病院、劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、百貨店、ホテル、旅館、下 宿、共同住宅若しくは寄宿舎の用途に供する特殊建築物又は延べ面積(同一敷地内に二以上の棟をなす建築物がある場合においては、その延べ面積の合計)が千平方メートルをこ える建築物については、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火せん、スプリンクラー、貯水そうその他の消火設備並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定 める技術的基準に従つて、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。

 (この章の規定を実施し、又は補足するため必要な技術的基準)

第三十六条 建築物の安全上必要な構造方法及び構造計算の方法、居室の採光面積、天井及び床 の高さ、床の防湿方法、階段及び便所の構造、防火壁、防火区画、消火設備及び避雷設備の設置及び構造、給水、排水その他の配管設備の工法並びに煙突及び昇降機の構造に関し て、この章の規定を実施し、又は補足するために安全上、防火上及び衛生上必要な技術的基準は、政令で定める。

 (建築材料の品質)

第三十七条 建築物の基礎及び主要構造部に使用する鋼材、セメントその他の建築材料の品質 は、建設大臣の指定する日本工業規格に適合するものでなければならない。

 (特殊の材料又は構法)

第三十八条 この章の規定又はこれに基く命令若しくは条例の規定は、その予想しない特殊の建 築材料又は構造方法を用いる建築物については、建設大臣がその建築材料又は構造方法がこれらの規定によるものと同等以上の効力があると認める場合においては、適用しない。

 (災害危険区域)

第三十九条 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険 区域として指定することができる。

2 災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する 制限で災害防止上必要なものは、前項の条例で定める。

 (地方公共団体の条例による制限の附加)

第四十条 地方公共団体は、その地方の気候若しくは風土の特殊性又は特殊建築物の用途若しく は規模に因り、この章の規定又はこれに基く命令の規定のみによつては建築物の安全、防火又は衛生の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。

 (町村の条例による制限の緩和)

第四十一条 第六条第一項第四号の区域外においては、町村は、土地の状況に因り必要と認める場合においては、建設大臣の承認を得て、条例で、区域を限り、第十九条、第二十一条第一項、第二十八条から第三十条まで及び第三十六条の規定の全部若しくは一部を適用せ ず、又はこれらの規定による制限を緩和することができる。但し、第六条第一項第一号及び第三号の建築物については、この限りでない。

   第三章 道路及び壁面線

 (道路の定義)

第四十二条 この章及び第五章の規定において「道路」とは、左の各号の一に該当する幅員四 メートル以上のものをいう。

 一 道路法(大正八年法律第五十八号)第一条にいう道路

 二 都市計画法によつて築造した道路

 三 この章及び第五章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道

 四 道路法又は都市計画法による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業 が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの

 五 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法又は都市計画法によらないで築造する道 で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの

2 この章及び第五章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メート ル未満一・八メートル以上の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートルの線をその道路の境界線 とみなす。

 (敷地と道路との関係)

第四十三条 建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。但し、建築物の周 囲に広い空地があり、その他これと同様の状況にある場合で安全上支障がないときは、この限りでない。

2 地方公共団体は、第三十五条に規定する建築物又は自動車車庫の敷地が接しなければならな い道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性に因り、前項の規定によつては避難又は通行の 安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、必要な制限を附加することができる。

 (道路及び計画道路内の建築制限)

第四十四条 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築 し、又は築造してはならない。但し、地盤面下に建築するもの又は公衆便所、巡査派出所、公共用歩廊その他これらに類する公益上必要な建築物で通行上支障がないものについて は、この限りでない。

2 都市計画として決定して内閣の認可を受けた計画道路(第四十二条第一項第四号に該当する ものを除く。)内においては、左の各号に該当する建築物で、容易に移転し、又は除却することができるものでなければ、建築してはならない。

 一 階数が二以下で、且つ、地階を有しないこと。

 二 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロツク造その他これらに類する構造であるこ と。

 (私道の変更又は廃止の制限)

第四十五条 私道の変更又は廃止によつて、その道路に接する敷地が第四十三条第一項の規定又 は同条第二項の規定に基く条例の規定に抵触することとなる場合においては、特定行政庁は、その私道の変更又は廃止を禁止し、又は制限することができる。

2 第九条第二項から第六項までの規定は、前項の措置を命ずる場合に準用する。

 (壁面線の指定)

第四十六条 特定行政庁は、街区内における建築物の位置を整えその環境の向上を図るために必 要があると認める場合においては、建築審査会の同意を得て、壁面線を指定することができる。この場合においては、あらかじめ、その指定に利害関係を有する者の出頭を求めて 公開による聴聞を行わなければならない。

2 前項の規定による聴聞を行う場合においては、同項の規定による指定の計画並びに聴聞の期 日及び場所を期日の三日前までに公告しなければならない。

3 特定行政庁は、第一項の規定による指定をした場合においては、遅滞なく、その旨を公告し なければならない。

 (壁面線による建築制限)

第四十七条 建築物の壁又はこれに代る柱は、壁面線を越えて建築してはならない。但し、地盤 面下の部分又は高さ二メートル以下の門若しくはへいについては、この限りでない。

   第四章 用途地域

 (用途地域)

第四十八条 建設大臣は、都市計画区域内において、都市計画法の定める手続によつて、都市計 画の施設として住居地域、商業地域、準工業地域又は工業地域(以下「用途地域」と総称する。)を指定することができる。

2 建設大臣は、前項の規定による指定をする場合においては、関係市町村の申出に基いてしな ければならない。

3 厚生大臣は、必要があると認める場合においては、用途地域の指定について、建設大臣に対 して意見を述べることができる。

 (用途地域内の建築制限)

第四十九条 住居地域内においては、別表第一(い)項に掲げる建築物は、建築してはならな い。但し、特定行政庁が住居の安寧を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

2 商業地域内においては、別表第一(ろ)項に掲げる建築物は、建築してはならない。但し、 特定行政庁が商業の利便を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

3 準工業地域内においては、別表第一(は)項に掲げる建築物は、建築してはならない。但 し、特定行政庁が安全上若しくは防火上の危険の度若しくは衛生上の有害の度が低いと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

4 工業地域内においては、学校、病院、劇場、映画館、演芸場、料理店又は族館の用途に供す る建築物は、建築してはならない。但し、特定行政庁が工業の利便上又は公益上必要と認めて許可した場合においては、この限りでない。

 (専用地区)

第五十条 建設大臣は、住居の環境を保護するため必要と認める場合においては、都市計画法の 定める手続によつて、都市計画の施設として、住居地域内に、住居専用地区を指定することができる。

2 前項の地区内においては、別表第二(い)項に掲げる建築物以外の建築物は、建築してはな らない。但し、特定行政庁が住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

3 建設大臣は、工業の利便を増進するため必要と認める場合においては、都市計画法の定める 手続によつて、都市計画の施設として、工業地域内に、工業専用地区を指定することができる。

4 前項の地区内においては、別表第二(ろ)項に掲げる建築物は、建築してはならない。但 し、特定行政庁が工業の利便を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

5 第四十八条第二項の規定は、第一項又は第三項の規定による指定をする場合に準用する。

 (用途地域又は専用地区内における既存建築物に対する制限の緩和)

第五十一条 既存建築物で第四十九条又は前条第二項若しくは第四項の規定に適合しないもの は、これらの規定(第八十七条第二項において準用する場合を含む。)にかかわらず、政令で定める範囲内において、増築し、改築し、又はその用途を変更することができる。

 (特別用途地区)

第五十二条 建設大臣は、都市計画上必要があると認める場合においては、都市計画法の定める 手続によつて、都市計画の施設として、用途地域内に、特別工業地区、文教地区その他政令で定める特別用途地区を指定することができる。

2 第四十八条第二項の規定は、前項の規定による指定をする場合に準用する。

3 特別用途地区内においては、第四十九条並びに第五十条第二項及び第四項の規定に定めるも のを除く外、その地区の指定の目的のためにする建築物の建築の制限又は禁止に関して必要な規定は、地方公共団体の条例で定める。

 (特殊建築物の位置)

第五十三条 火葬場、と殺場、卸売市場、伝染病院、ごみ焼却場又は汚物処理場の用途に供する 建築物は、その敷地の位置について特定行政庁の許可を受けなければ、建築してはならない。但し、都市計画の施設としてその位置が決定しているものについては、この限りでな い。

2 特定行政庁は、都市計画上支障があると認める場合においては、前項の許可をしないことが できる。

 (聴聞及び建築審査会の同意)

第五十四条 特定行政庁は、第四十九条各項但書、第五十条第二項但書若しくは第四項但書又は 前条第一項の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、その許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開による聴聞を行い、且つ、建築審査会の同意を得なければな らない。

2 第四十六条第二項の規定は、前項の規定による聴聞を行う場合に準用する。

   第五章 建築物の面積、高さ及び敷地内の空地

 (建築面積の敷地面積に対する割合)

第五十五条 建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の棟をなす建築物がある場合においては、 その建築面積の合計とする。以下この章において同様とする。)は、住居地域内、準工業地域内又は工業地域内においては、敷地面積から三十平方メートルを引いたものの十分の 六を、商業地域内又は用途地域の指定のない区域内においては、敷地面積の十分の七を、それぞれこえてはならない。但し、公衆便所、巡査派出所、公共用歩廊その他これらに類 するものについては、この限りでない。

2 前項の規定の適用については、第一号又は第二号のいずれかに該当する建築物に対しては、 同項中「十分の六」とあるのは「十分の七」と、「十分の七」とあるのは「十分の八」とそれぞれ読み替え、第一号及び第二号に該当する建築物に対しては、同項中「十分の六」 とあるのは「十分の八」と、「十分の七」とあるのは「十分の九」とそれぞれ読み替えるものとする。

 一 防火地域内にある建築物で、主要構造部が耐火構造のもの

 二 街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で、特定行政庁が指定するものの内にある建築 物

 (空地地区)

第五十六条 建設大臣は、住居の環境を保護するため必要と認める場合においては、都市計画法 の定める手続によつて、都市計画の施設として、住居地域内に、別表第三(い)欄の各項に掲げる空地地区を指定することができる。

2 第四十八条第二項の規定は、前項の規定による指定をする場合に準用する。

3 別表第三(い)欄の各項に掲げる空地地区内においては、建築物の延べ面積(同一敷地内に 二以上の棟をなす建築物がある場合においては、その延べ面積の合計)の敷地面積に対する割合は、同表の(ろ)欄の当該各項に掲げる限度以下、建築物の建築面積の敷地面積に 対する割合は、同表の(は)欄の当該各項に掲げる限度以下でなければならない。

4 別表第三(い)欄の各項に掲げる空地地区内においては、建築物の外壁又はこれに代る柱の 面から敷地境界線までの距離は、同表(に)欄の当該各項に掲げる限度以上でなければならない。

 (高さの限度)

第五十七条 建築物の高さは、住居地域内においては二十メートルを、住居地域外においては三 十一メートルをこえてはならない。但し、左の各号の一に該当する場合において、特定行政庁の許可を受けたときは、この限りでない。

 一 建築物の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地があつて、通行上、安全上、防火上及 び衛生上支障がないと認める場合

 二 工業用の建築物その他の建築物でその用途によつてやむを得ないと認める場合

2 特定行政庁は、前項但書の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会 の同意を得なければならない。

 (道路の幅員と建築物の高さとの関係)

第五十八条 建築物の各部分の高さは、その部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離 の一・五倍以下で、且つ、その道路の幅員の一・五倍に八メートルを加えたもの以下としなければならない。

2 住居地域内における建築物に対する前項の規定の適用については、「一・五倍」とあるのは 「一・二五倍」と読み替えるものとする。

3 建築物の敷地が二以上の道路に接し、又は公園、広場、川若しくは海その他これらに類する ものに接する場合、建築物の敷地とこれに接する道路との高低の差が著しい場合その他特別の場合における前二項の規定の適用の緩和に関する措置は、政令で定める。

 (高度地区)

第五十九条 建設大臣は、都市計画上又は土地利用上必要があると認める場合においては、都市 計画法の定める手続によつて、都市計画の施設として高度地区を指定し、その地区内における建築物の高さの最高限度又は最低限度を定めることができる。

2 第四十八条第二項の規定は、前項の規定による指定をする場合に準用する。

   第六章 防火地域

 (防火地域又は準防火地域の指定)

第六十条 建設大臣は、都市計画区域内において、都市計画法の定める手続によつて、都市計画 の施設として、防火地域又は準防火地域を指定することができる。

2 第四十八条第二項の規定は、前項の規定による指定をする場合に準用する。

3 建設大臣は、第一項の規定による指定をする場合においては、あらかじめ、国家消防庁長官 の意見を聞かなければならない。

 (防火地域内の建築物)

第六十一条 防火地域内においては、延べ面積が百平方メートルをこえる建築物の主要構造部及 びその他の建築物の外壁は、耐火構造としなければならない。但し、左の各号の一に該当するものは、この限りでない。

 一 延べ面積が五十平方メートル以内の平家建の附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のも の

 二 卸売市場の上家その他これに類する建築物で、主要構造部が不燃材料で造られたもの

 三 高さ二メートルをこえる門又はへいで不燃材料で造り、又はおおわれたもの

 四 高さ二メートル以下の門又はへい

 (準防火地域内の建築物)

第六十二条 準防火地域内にある建築物で、階数が三以上であり、又は延べ面積が五百平方メー トルをこえるものは、主要構造部を耐火構造としなければならない。但し、前条第二号に該当するものは、この限りでない。

2 準防火地域内にある木造の建築物は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構 造としなければならない。但し、前条第四号に該当するものは、この限りでない。

 (屋根)

第六十三条 防火地域又は準防火地域内においては、建築物の屋根で耐火構造でないものは、不 燃材料で造り、又はふかなければならない。

 (開口部の防火戸)

第六十四条 防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのあ る部分に、政令で定める構造の防火戸その他の防火設備を設けなければならない。

 (隣地境界線に接する外壁)

第六十五条 防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、そ の外壁を隣地境界線に接して設けることができる。

 (看板等の防火措置)

第六十六条 防火地域内にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、建築物の 屋上に設けるもの又は高さ三メートルをこえるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。

 (建築物が防火地域又は準防火地域の内外にわたる場合の措置)

第六十七条 建築物が防火地域又は準防火地域とこれらの地域として指定されていない区域にわ たる場合においては、その全部についてそれぞれ防火地域又は準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。但し、その建築物が防火地域又は準防火地域外において防火壁で区 画されている場合においては、その防火壁外の部分については、この限りでない。

2 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の 建築物に関する規定を適用する。但し、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規 定を適用する。

   第七章 美観地区

 (美観地区)

第六十八条 建設大臣は、市街地の美観を維持するため必要があると認める場合においては、都 市計画法の定める手続によつて、都市計画の施設として、都市計画区域内に美観地区を指定することができる。

2 第四十八条第二項の規定は、前項の規定による指定をする場合に準用する。

3 美観地区内における建築物の敷地、構造又は建築設備に関する制限で美観の保持のために必 要なものは、地方公共団体の条例で定める。

   第八章 建築協定

 (建築協定の目的)

第六十九条 市町村(都の特別区の存する区域においては、都)は、その区域の一部について、 住宅地としての環境又は商店街としての利便を高度に維持増進する等建築物の利用を増進し、且つ、土弛の環境を改善するために必要と認める場合においては、土地の所有権者並 びに建築物の所有を目的とする地上権者及び賃借権者(以下「土地の所有権者等」と総称する。)が当該権利の目的となつている土地について一定の区域を定め、その区域内にお ける建築物の敷地、位置、構造、形態、意匠又は建築設備に関する基準を協定することができる旨を、条例で、定めることができる。

 (建築協定の認可の申請)

第七十条 前条の規定による建築物に関する協定(以下「建築協定」という。)をしようとする 者は、その全員の合意によつて、協定の目的となつている土地の区域(以下「建築協定区域」という。)、建築物に関する基準、協定の有効期間及び協定違反があつた場合の措置 を定めた建築協定書を作成し、その代表者によつて、これを特定行政庁に提出し、その認可を受けなければならない。

2 前項の規定によつて建築協定書を提出する場合において、当該建築協定区域が建築主事を置 く市町村の区域外にあるときは、その所在地の市町村(特別区を含む。以下この章において同様とする。)の長る経由しなければならない。

 (申請に係る建築協定の公告)

第七十一条 市町村の長は、前条の規定による建築協定書の提出があつた場合においては、遅滞 なく、その旨を公告し、二十日以上の相当の期間を定めて、これを関係人の縦覧に供さなければならない。

 (公開による聴聞)

第七十二条 市町村の長は、前条の縦覧期間の満了後、関係人の出頭を求めて公開による聴聞を 行わなければならない。

2 建築主事を置く市町村以外の市町村の長は、前項の聴聞をした後、遅滞なく、当該建築協定 書を、これに対する意見及び前項の規定による聴聞の記録を添えて、都道府県知事に送付しなければならない。

 (建築協定の認可)

第七十三条 特定行政庁は、当該建築協定がその目的となつている土地又は建築物の利用を不当 に制限するものでなく、且つ、第六十九条の目的に合致するものであると認めるときは、当該建築協定を認可しなければならない。

2 特定行政庁は、前項の認可をした場合においては、遅滞なく、その旨を公告しなければなら ない。この場合において、当該建築協定が建築主事を置く市町村の区域外の区域に係るものであるときは、都道府県知事は、その認可した建築協定に係る建築協定書の写一通を当 該建築協定区域の所在地の市町村の長に送付しなければならない。

3 第一項の規定による認可をした市町村の長又は前項の規定によつて建築協定書の写の送付を 受けた市町村の長は、その建築協定書を当該市町村の事務所に備えて、一般の縦覧に供さなければならない。

 (建築協定の変更)

第七十四条 建築協定区域内における土地の所有権者等は、前条第一項の規定による認可を受け た建築協定に係る建築協定区域、建築物に関する基準、有効期間又は協定違反があつた場合の措置を変更しようとする場合においては、その全員の合意をもつてその旨を定め、こ れを特定行政庁に申請してその認可を受けなければならない。

2 前四条の規定は、前項の認可の手続に準用する。

 (建築協定の効力)

第七十五条 第七十三条第二項又はこれを準用する前条第二項の規定による認可の公告のあつた 建築協定は、その公告のあつた日以後において当該建築協定区域内の士地の所有権者等となつた者に対しても、その効力があるものとする。

 (建築協定の廃止)

第七十六条 建築協定区域内の土地の所有権者等は、第七十三条第一項の規定による認可を受け た建築協定を廃止しようとする場合においては、その過半数の合意をもつてその旨を定め、これを特定行政庁に申請してその認可を受けなければならない。

2 特定行政庁は、前項の認可をした場合においては、遅滞なく、その旨を公告しなければなら ない。

 (建築物の借主の地位)

第七十七条 建築協定の目的となつている建築物に関する基準が建築物の借主の権限に係る場合 においては、その建築協定については、当該建築物の借主は、土地所有権者等とみなす。

   第九章 建築審査会

 (建築審査会)

第七十八条 この法律に規定する裁定及び同意についての議決を行わせるとともに、特定行政庁 の諮問に応じて、この法律の施行に関する重要事項を調査審議させるために、建築主事を置く市町村及び都道府県に、建築審査会を置く。

2 建築審査会は、前項に規定する事務を行う外、この法律の施行に関する事項について、関係 行政機関に対し建議することができる。

 (建築審査会の組織)

第七十九条 建築審査会は、委員五人又は七人をもつて、組織する。

2 建築審査会の委員は、建築、都市計画、公衆衛生又は行政に関し学識経験のある者のうちか ら、市町村にあつてはその長が、都道府県にあつては都道府県知事が、それぞれ当該市町村又は都道府県の議会の同意を得て、命ずる。但し、建築に関し学識経験のある者のうち から命ぜられる委員の数は、委員の総数の二分の一を下ることができない。

3 市町村の建築審査会の委員と都道府県の建築審査会の委員とは、兼ねることができない。

 (委員の任期)

第八十条 委員の任期は、二年とする。但し、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

 (会長)

第八十一条 建築審査会に会長を置く。会長は、委員が互選する。

2 会長は、会務を総理し、建築審査会を代表する。

3 会長に事故があるときは、委員のうちからあらかじめ互選された者が、その職務を代理す る。

 (委員の除斥)

第八十二条 委員は、自己又は三親等以内の親族の利害に関係のある事件については、この法律 に規定する裁定又は同意に関する議事に加わることができない。

 (条例への委任)

第八十三条 この章に規定するものを除く外、建築審査会の組織、議事並びに委員の報酬及び費 用弁償その他建築審査会に関して必要な事項は、条例で定める。

   第十章 雑則

 (被災市街地における建築制限)

第八十四条 特定行政庁は、市街地に災害のあつた場合において都市計画又は都市計画法第十二 条に規定する土地区画整理のため必要があると認めるときは、区域を指定し、災害が発生した日から一月以内の期間を限り、その区域内における建築物の建築を制限し、又は禁止 することができる。

2 特定行政庁は、建設大臣の承認を得た場合においては、更に一月をこえない範囲内において 前項の期間を延長することができる。

 (仮設建築物に対する制限の緩和)

第八十五条 非常災害があつた場合において、その発生した区域又はこれに隣接する区域で特定 行政庁が建設大臣の承認を得て指定するものの内においては、災害に因り破損した建築物の応急の修繕又は左の各号の一に該当する応急仮設建築物の建築でその災害が発生した日 から一月以内にその工事に着手するものについては、この法律並びにこれに基く命令及び条例の規定は、適用しない。但し、防火地域内に建築する場合については、この限りでな い。

 一 国、地方公共団体又は日本赤十字社が災害救助のために建築するもの

 二 被災者が自ら使用するために建築するもので延べ面積が三十平方メートル以内のもの

2 災害があつた場合において建築する停車場、郵便局、官公署その他これらに類する公益上必 要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物については、第六条、第七条、第十五条、第 十九条、第二十一条から第二十三条まで、第二十六条、第三十一条、第三十三条、第三十五条、第三十六条中第十九条、第二十一条、第二十六条、第三十一条、第三十三条及び第 三十五条に関する部分、第三十七条、第三十九条並びに第四十条の規定並びに第三章から第七章までの規定は、適用しない。但し、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積が五 十平方メートルをこえるものについては、第二十二条の規定の適用があるものとする。

3 前二項の応急仮設建築物を建築した者は、その建築工事を完了した後三月をこえて当該建築 物を存続しようとする場合においては、特定行政庁の許可を受けなければならない。この場合において、特定行政庁は、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときは、二 年以内の期間を限つて、その許可をすることができる。

4 特定行政庁は、仮設興行場、博覧会建築物その他これらに類する仮設建築物について安全 上、防火上及び衛生上支障がないと認める場合においては、一月以内の期間を定めてその建築を許可することができる。この場合においては、第二十一条から第二十七条まで及び 第三十一条の規定並びに第三章から第六章までの規定は、適用しない。

5 特定行政庁は、前項の仮設建築物について安全上、防火上及び衛生上支障がないものと認め る場合においては、一月をこえ六月以内の期間を定めてその建築を許可することができる。この場合においては、第二十一条、第二十二条、第二十六条、第二十七条及び第三十一 条の規定並びに第三章から第六章までの規定は、適用しない。

 (一街区内における綜合的設計による建築物の取扱)

第八十六条 一街区内に二以上の構えをなす建築物を綜合的設計によつて建築する場合におい て、特定行政庁がその各建築物の位置及び構造が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものについては、第二十三条、第四十三条、第五十六条第三項若しくは第四項、第 五十八条、第六十二条第二項又は第六十四条の規定を適用する場合においては、これらの建築物は、同一敷地内にあるものとみなす。

 (用途の変更に対するこの法律の適用)

第八十七条 建築物の用途を変更して第六条第一項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合に おいては、当該用途の変更を同号の建築物を建築するものとみなして、同条及び第七条第一項の規定を準用する。

2 建築物の用途を変更する場合においては、当該建築物を建築するものとみなして、第二十四 条、第二十七条、第二十八条第一項、第二十九条、第三十条、第三十五条、第三十六条中第二十八条第一項及び第三十五条に関する部分、第四十九条、第五十条第二項若しくは第 四項若しくは第五十三条の規定又は第三十九条、第四十条、第四十三条第二項若しくは第五十二条第三項の規定に基く条例の規定を準用する。但し、当該用途の変更が政令で指定 する類似の用途相互間におけるものであつて、且つ、建築物の模様替をしない場合又はその模様替が大規模でない場合においては、この限りでない。

 (工作物への準用)

第八十八条 煙突、広告塔、高架水そう、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するも のについては、その築造を第六条第一項第四号の建築物の建築とみなして、第六条から第十三条まで、第十八条、第二十条、第三十二条、第三十三条、第三十六条中第二十条及び 第三十三条に関する部分、第三十七条、第三十八条、第四十条、第八十九条並びに第九十条の規定を準用する。

2 第八条から第十三条まで及び第十八条の規定は、第六十六条に規定する工作物について準用 する。

 (工事現場における確認の表示等)

第八十九条 第六条第一項の建築工事の施行者は、当該工事現場の見易い場所に、建設省令で定 める様式によつて、建築主、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事に係る同項の確認があつた旨の表示をしなければならない。

2 第六条第一項の建築工事の施工者は、当該工事に係る設計図書を当該工事現場に備えておか なければならない。

 (工事現場の危害の防止)

第九十条 建築物の建築、修繕、模様替又は除却のための工事の施行者は、当該工事の施工に伴 う地盤の崩落、建築物又は工事用の工作物の倒壊等により危害を防止するために必要な措置を講じなければならない。

2 前項の措置の技術的基準は、政令で定める。

 (建築物の敷地が区域、地域又は地区の内外にわたる場合の措置)

第九十一条 建築物の敷地がこの法律の規定による建築物の敷地、構造又は建築設備に関する禁 止又は制限を受ける区域、地域(防火地域及び準防火地域を除く。以下本条において同様とする。)又は地区の内外にわたる場合においては、その建築物又はその敷地の全部につ いて敷地の過半の属する区域、地域又は地区内の建築物に関するこの法律又はこれに基く命令の規定を適用する。

 (面積、高さ及び階数の算定)

第九十二条 建築物の敷地面積、建築面積、延べ面積、床面積及び高さ、建築物の軒、天井及び 床の高さ並びに建築物の階数の算定方法は、政令で定める。

 (許可又は確認に関する消防長等の同意等)

第九十三条 特定行政庁又は建築主事は、この法律の規定による許可又は確認をする場合におい ては、当該許可又は確認に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得なければ、当該許可又は確認をすることができない。

2 消防長又は消防署長は、前項の規定によつて同意を求められた場合においては、当該建築物 の計画が法律又はこれに基く命令若しくは条例の規定で建築物の防火に関するものに違反しないものであるときは、第六条第一項第四号に係る場合にあつては、同意を求められた 日から三日以内に、その他の場合にあつては、同意を求められた日から七日以内に同意を与えてその旨を当該特定行政庁又は建築主事に通知しなければならない。この場合におい ては、消防長又は消防署長は、同意することができない事由があると認めるときは、これらの期限内に、その事由を当該特定行政庁又は建築主事に通知しなければならない。

3 建築主事は、第十八条第二項の規定による通知を受けた場合においては、遅滞なく、これを 当該通知に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長に通知しなければならない。

4 保健所長は、必要があると認める場合においては、この法律の規定による許可又は確認につ いて、特定行政庁又は建築主事に対して意見を述べることができる。

 (異議の申立)

第九十四条 特定行政庁又は建築主事がこの法律又はこれに基く命令若しくは条例の規定に基い てした処分について、又はこれらの規定に基く処分をしないことについて不服がある者は、当該市町村又は都道府県の建築審査会に、文書をもつて、異議の申立をすることができ る。

2 前項の規定による異議の申立は、同項の処分を受けた日から二十日以内にしなければならな い。

3 建築審査会は、第一項の規定による異議の申立を受理した場合においては、その申立を受理 した日から二十日以内に、裁定をしなければならない。

4 建築審査会は、前項の裁定を行う場合においては、あらかじめ、異議の申立をした者、特定 行政庁、建築主事その他の関係人又はこれらの者の代理人の出頭を求めて、公開による口頭審査を行わなければならない。

5 建築審査会は、第三項の規定による裁定をした場合においては、その裁定をした日から七日 以内に、異議の申立をした者及び特定行政庁又は建築主事に、文書をもつて、これを通知しなければならない。

6 特定行政庁又は建築主事は、前項の規定による裁定の通知を受けた場合において、その行つ た処分を変更し、若しくは取り消し、又は行わなかつた処分を行う必要があると認めるときは、その通知を受けた日から七日以内に、その行つた処分を変更し、若しくは取り消 し、又はその行わなかつた処分をし、その旨を異議の申立をした者に通知しなければならない。

 (訴願)

第九十五条 前条第一項の規定によつて異議の申立をした者は、同条第三項の規定による裁定に 不服がある場合又は特定行政庁若しくは建築主事が裁定に従わない場合においては、同条第五項の規定による通知を受けた日から一月以内に、建設大臣に訴願することができる。

 (この法律の規定と出訴権との関係)

第九十六条 この法律又はこれに基く命令若しくは条例の規定は、これらに基いて建設大臣、都 道府県知事、市町村若しくは特別区の長又は建築主事のした処分に不服がある者の裁判所に出訴する権利を妨げるものと解釈してはならない。

 (地方公共団体の組合に対するこの法律の適用)

第九十七条 この法律又はこれに基く命令の規定の適用については、全部事務組合は市町村と、 役場事務組合の執行機関は市町村の長とみなす。

   第十一章 罰則

第九十八条 第九条第一項(第八十八条において準用する場合を含む。)の規定による特定行政 庁の命令に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。

第九十九条 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。

 一 第六条第一項(第八十七条第一項又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。) 又は第九十条第一項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

 二 第十条第一項又は第十一条第一項(第八十八条においてこれらの規定を準用する場合を含 む。)の規定による特定行政庁の命令に違反した者

 三 第六条第四項(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した場合 における当該建築物又は工作物の工事施工者

 四 第十九条、第二十条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第二十一条か ら第二十七条まで、第二十八条第一項若しくは第二項、第三十一条第一項若しくは第二項、第三十二条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十三条(第八十 八条第一項において準用する場合を含む。)、第三十四条、第三十五条、第三十七条(第八十八条第一項において準用する場合を含む。)、第四十三条第一項、第四十四条、第四 十七条、第五十五条第一項、第五十六条第三項若しくは第四項、第五十七条第一項、第五十八条第一項、第六十一条から第六十四条まで又は第六十六条の規定に違反した場合にお ける当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物、工作物又は建築設 備の工事施工者)

 五 第三十六条の規定に基く政令の規定に違反した場合における当該建築物又は建築設備の設 計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物又は建築設備の工事施工者)

 六 第四十九条、第五十条第二項若しくは第四項又は第五十三条第一項の規定に違反した場合 における当該建築物の建築主

 七 第五十九条第一項の規定による制限に違反した場合における当該建築物の設計者(設計図 書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物の工事施工者)

 八 第八十五条第三項、第四項又は第五項の規定に違反した場合における当該建築物の建築主

 九 第八十四条第一項の規定による制限又は禁止に違反した場合における当該建築物の建築主

 十 第八十七条第二項において準用する第二十四条、第二十七条、第二十八条第一項、第三十 五条、第四十九条、第五十条第二項若しくは第四項又は第五十三条第一項の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

 十一 第八十七条第二項において準用する第三十六条中第二十八条第一項又は第三十五条に関 する部分の規定に違反した場合における当該建築物の所有者、管理者又は占有者

2 前項第四号、第五号又は第七号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主、 工作物の築造主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰する外、当該建築主、工作物の築造主又は建築設備の設置者に対して同項の 刑を科する。

第百条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第七条第一項(第八十七条第一項又は第八十八条第一項において準用する場合を含む。) 又は第十五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二 第七条第四項又は第八十九条の規定に違反した者

 三 第十二条第一項(第八十八条において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、 又は虚偽の報告をした者

 四 第十二条第二項(第八十八条において準用する場合を含む。)の規定による立入、検査又 は試験を拒み、妨げ、又は忌避した者

第百一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人 の業務に関して、前三条の違反行為をした場合においては、その行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従 業者の当該違反行為を防止するため、当該業務に対し、相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。

第百二条 第三十九条第二項、第四十条、第四十三条第二項、第五十二条第三項(第八十七条第 二項において準用する場合を含む。)又は第六十八条第三項の規定に基く条例には、これに違反した者に対し、五万円以下の罰金に処する旨の規定を設けることができる。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえ六月をこえない期間内において政令で定める 日から施行する。

 (市街地建築物法その他の法令の廃止)

2 左に掲げる法律及び命令は廃止する。

 一 市街地建築物法(大正八年法律第三十七号)

 二 市街地建築物法の適用に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十八号)

 三 市街地建築物法施行令(大正九年勅令第四百三十八号)

 四 市街地建築物法施行規則(大正九年内務省令第三十七号)

 五 市街地建築物法第十四条の規定に依る特殊建築物耐火構造規則(大正十二年内務省令第十 五号)

 六 特殊建築物規則(昭和十一年内務省令第三十一号)

 七 特殊建築物に関する東京都令、警視庁令、北海道庁令及び府県令の効力に関する命令(昭 和二十三年総理庁令第二号)

 八 臨時防火建築規則(昭和二十三年建設省令第六号)

 九 臨時建築制限規則(昭和二十四年建設省令第九号)

 (建築主事の任用の特例)

3 この法律施行の際現に建築監督主事である者で市街地建築物法の施行に関する事務をつかさ どつているものは、第四条第五項の規定にかかわらず、同項の規定による資格検定を受けないで、この法律の規定による建築主事となることができる。但し、その在任期間は、こ の法律施行の日から一年をこえることができない。

 (この法律施行前に指定された地域及び地区)

4 この法律施行の際、市街地建築物法第一条、第二条第二項、第四条第三項、第十一条第二項 又は第十五条の規定によつて指定されている住居地域、商業地域、工業地域、住居専用地区、工業専用地区、空地地区、高度地区又は美観地区は、それぞれこの法律第四十八条第 一項、第五十条第一項若しくは第三項、第五十六条第一項、第五十九条第一項又は第六十八条第一項の規定によつて指定された住居地域、商業地域、工業地域、住居専用地区、工 業専用地区空地地区、高度地区又は美観地区とみなし、市街地建築物法第十三条並びに市街地建築物法施行規則第百十八条及び臨時防火建築規則第六条の規定によつて指定されて いる甲種防火地区又は乙種防火地区及び準防火地域は、それぞれこの法律第六十条第一項の規定によつて指定された防火地域又は準防火地域とみなす。

 (この法律施行前に指定された建築線)

5 市街地建築物法第七条但書の規定によつて指定された建築線で、その間の距離が四メートル 以上のものは、その建築線の位置にこの法律第四十二条第一項第五号の規定による道路の位置の指定があつたものとみなす。

 (この法律施行前の違反行為及び訴願に対する取扱)

6 この法律施行前にした附則第二項第一号から第八号までに掲げる法令又はこれらに基いてし た処分に違反する行為に対する市街地建築物法第十七条第三号、第十九条及び第二十条の規定の適用については、なお、従前の例による。

7 附則第二項第一号から第八号までに掲げる法令に基いてした処分に対する訴願でこの法律施 行前に提起したものの取扱については、なお、従前の例による。

8 この法律の施行前にした臨時建築制限規則又はこれに基いて発せられた命令に違反する行為 に対する臨時物資需給調整法(昭和二十一年法律第三十二号)の罰則の規定の適用については、なお、従前の例による。

 (都市計画法の一部の改正)

9 都市計画法の一部を次のように改正する。

  第十条中「市街地建築物法」を「建築基準法」に改める。

 (建設省設置法の一部の改正)

10 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第二十号を次のように改める。

  二十 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)の施行に関する事務を管理すること。

  第四条第八項中「市街地建築物法(大正八年法律第三十七号)」を「建築基準法」に、同条 第九項中「市街地建築物法」を「建築基準法」に改める。

 (消防法の一部の改正)

11 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。

  第七条を次のように改める。

 第七条 建築物の新築、増築、改築、移転、修繕、模様替、用途の変更又は使用について許 可、認可又は確認をする権限を有する行政庁又はその委任を受けた者は、当該許可、認可又は確認に係る建築物の工事施行地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長の同意を得 なければ、当該許可、認可又は確認をすることができない。

 2 消防長又は消防署長は、前項の規定によつて同意を求められた場合において、当該建築物 の計画が法律又はこれに基く命令若しくは条例の規定で建築物の防火に関するものに違反しないものであるときは、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項第四 号に係る場合にあつては、同意を求められた日から三日以内に、その他の場合にあつては、同意を求められた日から七日以内に同意を与えて、その旨を当該行政庁又はその委任を 受けた者に通知しなければならない。この場合において、消防長又は消防署長は、同意することができない事由があると認めるときは、これらの期間内に、その事由を当該行政庁 又はその委任を受けた者に通知しなければならない。

 別表第一 用途地域内の建築物の制限

(い)

住居地域内に建築してはならない建築物

 一 (ろ)項及び(は)項に掲げるもの

 二 原動機を使用する工場で作業場の床面積の合計が五十平方メートルをこえるもの

 三 左の各号に掲げる事業を営む工場

  (一) 容量十リツトル以上三十リツトル以下のアセチレンガス発生器を用いる金属の工作

  (二) 馬力数の合計が〇・二五以下の原動機を使用する塗料の吹付

  (三) 原動機を使用する二台以下の研ま機による金属の乾燥研ま(工具研まを除く。)

  (四) コルク、エボナイト又は合成樹脂の粉砕又は乾燥研まで原動機を使用するもの

  (五) 木材の引割若しくはかんな削り、裁縫、機織、ねん糸、組ひも、編物、製袋又はやすりの目立で馬力数の合計が一をこえる原動機を使用するもの

  (六) 印刷、製針又は石材の引割で馬力数の合計が二をこえる原動機を使用するもの

 四 床面積の合計が五十平方メートルをこえる自動車車庫

 五 劇場、映画館、演芸場又は観覧場

 六 待合、キヤバレー、舞踏場その他これらに類するもの

 七 倉庫業を営む倉庫

(ろ)

商業地域内に建築してはならない建築物

 一 (は)項に掲げるもの

 二 原動機を使用する工場で作業場の床面積の合計が百五十平方メートルをこえるもの(日刊新聞の印刷所を除く。)

 三 左の各号に掲げる事業を営む工場

  (一) がん具用普通火工品の製造

  (二) アセチレンガスを用いる金属の工作(アセチレンガス発生器の容量三十リツトル以下のもの又は溶解アセチレンガスを用いるものを除く。)

  (三) 引火性溶剤を用いるドライクリーニング又はドライダイイング

  (四) セルロイドの加熱加工又は機械のこぎりを使用する加工

  (五) 印刷用インキ又は絵具の製造

  (六) 馬力数の合計が〇・二五をこえる原動機を使用する塗料の吹付

  (七) 亜硫酸ガスを用いる物品の漂白

  (八) 骨炭その他動物質炭の製造

  (九) 羽又は毛の洗じよう、染色又は漂白

  (十) ぼろ、くず綿、くず紙、くず糸、くず毛その他これらに類するものの消毒、選別、洗じよう又は漂白

  (十一) 製綿、古綿の再製、起毛、反毛又はフエルトの製造で原動機を使用するもの

  (十二) 骨、角、きば、ひずめ若しくは貝がらの引割若しくは乾燥研ま又は三台以上の研ま機による金属の乾燥研まで原動機を使用するもの

  (十三) 鉱物、岩石、土砂、硫黄、金属、ガラス、れん瓦、陶じ器、骨又は貝がらの粉砕で原動機を使用するもの

  (十四) 墨、懐炉灰又はれん炭の製造

  (十五) 活字又は金属工芸品の鋳造(印刷所における活字の鋳造を除く。)

  (十六) 瓦、れん瓦、土器、陶じ器、人造と石、るつぼ又はほうろう鉄器の製造

  (十七) ガラスの製造又は砂吹

  (十八) 動力つちを使用する金属の鍛造

(は)

準工業地域内に建築してはならない建築物

 一 左の各号に掲げる事業を営む工場

  (一) 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)の火薬類の製造

  (二) 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、硝酸塩類、黄りん、赤りん、硫化りん、金属カリウム、金属ナトリウム、マグネシユーム、過酸化水素水、過酸化カリ、過酸化ソーダ、過酸化バリウム、二硫化炭素、メタノール、アルコール、エーテル、アセトン、さく酸エステル類、ニトロセルローズ、ベンゾール、トルオール、キシロール、ピクリン酸、ピクリン酸塩類、テレピン油又は石油類の製造

  (三) マツチの製造

  (四) セルロイドの製造

  (五) ニトロセルローズ製品の製造

  (六) ビスコース製品の製造

  (七) 合成染料若しくはその中間物、顔料又は塗料の製造(うるし又は水性塗料の製造を除く。)

  (八) 溶剤を用いるゴム製品又は芳香油の製造

  (九) 乾燥油又は溶剤を用いる擬革紙布又は防水紙布の製造

  (十) 溶剤を用いる塗料の加熱乾燥又は焼付

  (十一) 石炭ガス類又はコークスの製造

  (十二) 圧縮ガス又は液化ガスの製造(製氷又は冷凍を目的とするものを除く。)

  (十三) 塩素、臭素、ヨード、硫黄、塩化硫黄、ふつ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、りん酸、か性カリ、か性ソーダ、アンモニア 水、炭酸カリ、洗たくソーダ、ソーダ灰、さらし粉、次硝酸そう鉛、亜硫酸塩類、チオ硫酸塩類、ひ素化合物、鉛化合物、バリウム化合物、銅化合物、水銀化合物、シヤン化合物、クロロホルム、四塩化炭素、ホルマリン、ズルホナール、グリセリン、イヒチオールズルホン酸アンモン、さく酸、石炭酸、安息香酸、タンニン酸、アセトアニリド、アスピリン又はグアヤコールの製造

  (十四) たん白質の加水分解による製品の製造

  (十五) 油脂の採取、硬化又は加熱加工

  (十六) 石けん、フアクチス又は合成樹脂の製造

  (十七) 肥料の製造

  (十八) 製紙

  (十九) 製革、にかわの製造又は毛皮若しくは骨の精製

  (二十) アスフアルトの精製

  (二十一) アスフアルト、コールタール、木タール、石油蒸りゆう産物又はその残渣を原料とする製造

  (二十二) セメント、石こう、消石灰、生石灰又はカーバイドの製造

  (二十三) 金属の溶解又は精れん(活字又は金属工芸品の製造を目的とするものを除く。)

  (二十四) 電気用カーボンの製造

  (二十五) 金属厚板又は形鋼の工作でびよう打又は孔埋作業を伴うもの

  (二十六) 鉄釘類又は鋼球の製造

  (二十七) 伸線、伸管又はロールを用いる金属の圧延

 二 一号(一)号、(二)号、(三)号、(四)号及び(十二)号の物品、可燃性ガス又はカーバイドの貯蔵又は処理に供するもの

 別表第二 専用地区内の建築物の制限

(い)

住居専用地区内に建築することができる建築物

 一 住宅又は住宅で事務所、店舗その他これらに類する用途を兼ねるもの

 二 共同住宅、寄宿舎又は下宿

 三 学校、図書館その他これらに類するもの

 四 神社、寺院、教会その他これらに類するもの

 五 養育院、託児所その他これらに類するもの

 六 公衆浴場

 七 診療所

 八 前各号の建築物に附属するもの

(ろ)

工業専用地区内に建築してはならない建築物

 一 住宅

 二 共同住宅、寄宿舎、下宿又は旅館

 三 物品販売業を営む店舗

 四 料理店又は飲食店

 五 待合、キヤバレーその他これらに類するもの

 六 劇場、映画館、演芸場又は観覧場

 七 学校、図書館その他これらに類するもの

 別表第三 空地地区の種別及び空地地区内の建築物の制限

(い)

(ろ)

(は)

(に)

空地地区の種別

延べ面積の敷地面積に対する割合

建築面積の敷地面積に対する割合

外壁又はこれに代る柱の面から敷地境界線までの距離

第一種空地地区

十分の二以下

 

一・五メートル以上

第二種空地地区

十分の三以下

 

一・五メートル以上

第三種空地地区

十分の四以下

 

一メートル以上

第四種空地地区

十分の五以下

   

第五種空地地区

十分の六以下

   

第六種空地地区

 

十分の二以下

一・五メートル以上

第七種空地地区

 

十分の三以下

一・五メートル以上 

第八種空地地区

 

十分の四以下

 

第九種空地地区

 

十分の五以下

 

(建設・内閣総理大臣署名) 

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