クリーニング業法
法律第二百七号(昭二五・五・二七)
(目的)
第一条 この法律は、クリーニング業に対して、公衆衛生の見地から必要な指導及び取締を行い、もつてその経営を公共の福祉に適合させることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「クリーニング業」とは、ドライクリーニング営業及びその他の洗たく業をいう。
2 この法律で「ドライクリーニング営業」とは、石油質溶剤を使用して衣類その他の繊維製品又は皮革製品を、「その他の洗たく業」とは、石油質溶剤以外の溶剤又は洗剤を使用して衣類その他の繊維製品を原型のまま洗たくすることを営業とすることをいう。
3 この法律で「営業者」とはクリーニング業を営む者をいう。
4 この法律で「ドライクリーニング師」とは、第六条に規定する免許を受けた者をいう。
5 この法律で「クリーニング所」とは、洗たく物を処理するための営業者の施設をいう。
(クリーニング所)
第三条 営業者は、クリーニング所以外において、営業として洗たく物の処理を行い、又は行わせてはならない。
2 営業者は、クリーニング所において左に掲げる措置を講じなければならない。
一 クリーニング所並びに業務用の機械及び器具を清潔に保つこと
二 洗たく物を洗たく又は仕上を終つたものと終らないものに区分しておくこと
三 洗たく物をその用途に応じ区分して処理すること
(ドライクリーニング師の選任)
第四条 ドライクリーニング営業の営業者で従事者十人以上を使用する者は、その従事者のうち一人以上をドライクリーニング師の中から選任しなければならない。但し、営業者がドライクリーニング師であつて自ら従事するときは、この限りでない。
(営業者の届出)
第五条 営業者は、厚生省令の定めるところにより、クリーニング所の位置、設備及び従事者数を相当の期間内に都道府県知事に届け出なければならない。
2 ドライクリーニング営業の営業者にあつては、前項に規定するものの外、ドライクリーニング師の選任及び解任についても同様とする。
(ドライクリーニング師の免許)
第六条 ドライクリーニング師の免許は、都道府県知事がドライクリーニング師試験に合格した者に与える。
(試験)
第七条 ドライクリーニング師の試験は、左の各号に掲げる科目について、都道府県知事が行う。
一 衛生法規に関する常識
二 公衆衛生に関する常識
三 洗たく物の処理方法
2 都道府県知事は、少くとも毎年一回以上前項の試験を行わなければならない。
(登録)
第八条 都道府県に原簿を備え、ドライクリーニング師の免許に関する事項を登録する。
2 この法律に定めるものの外、ドライクリーニング師の免許、試験及び登録の手続に関して必要な事項は、厚生省令で定める。
(健康診断)
第九条 クリーニング業の従事者は、毎年二回以上結核、トラホーム、皮膚疾患等の疾病の有無につき、行政庁の行う健康診断を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項の健康診断の結果その従事者の就業が公衆衛生上不適当と認める場合には、期間を定めてその業務を停止することができる。
(立入検査)
第十条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該吏員に、クリーニング所に立ち入り、第三条及び第四条に規定する措置の実施状況を検査させることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定により当該吏員に立入検査をさせる場合においては、これにその身分を示す証票を携帯させなければならない。
(営業停止、閉鎖処分)
第十一条 都道府県知事は、営業者が第三条及び第四条の規定に違反したときは、期間を定めてその営業の停止又はクリーニング所の閉鎖を命ずることができる。
(免許取消)
第十二条 都道府県知事は、ドライクリーニング師がクリーニング業に関し犯罪を犯して罰金以上の刑に処せられたときは、その免許を取り消すことができる。
(聴問)
第十三条 都道府県知事は、前二条の処分をしようとするときは、当事者又はその代理人の出頭を求めて、公開による聴問を行わなければならない。
2 都道府県知事は、前項の聴問を行う場合には、前二条の処分の原因と認められる事実又は違反行為並びに聴問の期日及び場所を、その期日の一週間前までに当事者に通知しなければならない。
3 都道府県知事は、当事者又はその代理人が、正当な理由がなく聴問の期日に出頭しないときは、聴問を行わないで前二条の処分をすることができる。
(権限の行使)
第十四条 第五条及び第九条から第十三条まで中都道府県知事の権限に属する事項(但し、第十二条及び第十三条については、免許の取消の場合を除く。)は、保健所法(昭和二十二年法律第百一号)第一条の規定に基く政令で定める市については、市長がこれを行うものとする。
2 この法律の規定に基く都道府県知事又は市長の権限の行使については、その所属の衛生主管部局長及びその所属の職員がこれを補助するものとする。
(罰則)
第十五条 左の各号の一に該当する者は、五千円以下の罰金に処する。
一 第五条の規定による届出をしなかつた者
二 第九条第二項の規定による業務停止の処分に違反した者
三 第十一条の規定による営業停止又はクリーニング所閉鎖の処分に違反した者
第十六条 第十条第一項の規定による当該吏員の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、一千円以下の罰金に処する。
第十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の刑を科する。但し、法人の役員(理事、取締役その他これに準ずべき者をいう。)又は人(人が無能力者であるときは、その法定代理人とする。)がその法人又は人の代理人又は使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、相当の注意及び監督を怠らなかつたことの証明があつたときは、その法人又は人についてはこの限りでない。
附 則
この法律は、昭和二十五年七月一日から施行する。但し、第四条の規定は、昭和二十七年六月三十日までは適用しない。
(厚生・内閣総理大臣署名)