家畜商法(衆法)
法律第二百八号(昭二四・六・一〇)
(この法律の目的)
第一条 この法律は、家畜商について免許制度を実施することにより家畜の取引の公正を確保することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「家畜」とは、牛、馬、豚、めん羊及び山羊をいい、「家畜商」とは、次条の規定による免許を受けて、家畜の売買若しくは交換又はそのあつ旋(以下「家畜の取引」と総称する。)の業務を営む者をいう。
(免許)
第三条 家畜商になろうとする者は、千円をこえない範囲内で省令で定める手数料を納めて、その住所地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項の免許の申請があつたときは、その者が次条各号の一に該当する場合を除き、遅滞なく免許を与えなければならない。
(免許を与えない場合)
第四条 左の各号の一に該当する者には、前条の免許を与えない。
一 禁治産者又は準禁治産者
二 この法律又は家畜伝染病予防法(大正十一年法律第二十九号)に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終つた日又は執行を受けないことが確定した日から一年を経過しない者
三 第七条第一項又は第二項の規定による免許の取消(家畜商からの申請によるものを除く。)があつた日から二年を経過しない者。但し、本条第一号に該当するため取り消された者であつて同号に該当しなくなつたものを除く。
(家畜商名簿)
第五条 都道府県に家畜商名簿を備え、家畜商の免許に関する事項を登録する。
(登録及び免許証の交付)
第六条 第三条の免許は、家畜商名簿に登録することによつて与えられる。
2 都道府県知事は、第三条の免許を与えたときは、家畜商免許証を交付する。
(免許の取消及び業務の停止)
第七条 家畜商が第四条第一号若しくは第二号に該当するとき、又は家畜商から申請があつたときは、都道府県知事は、その免許を取り消さなければならない。
2 家畜商が左の各号の一に該当するときは、都道府県知事は、その免許を取り消し、又は期間を定めてその業務の停止を命ずることができる。
一 第十一条の規定に違反したとき。
二 正当な事由がなくて引き続き一年以上家畜の取引をしないとき。
3 都道府県知事は、前項の規定による処分をしようとするときは、当該家畜商に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、聴聞をしなければならない。当該家畜商は、聴聞の場所において意見を述べ、及び証拠を提出することができる。
(免許等の効力)
第八条 第三条の免許及び前条の免許の取消又は業務の停止の効力は、全都道府県に及ぶ。
(免許の申請手続等)
第九条 第三条から前条までに規定するものの外、免許の申請、家畜商名簿の登録、訂正及びまつ消並びに免許証の交付、書換交付、再交付及び返納については、省令で定める。
(家畜の取引業務の制限)
第十条 家畜商でなければ、家畜の取引の業務を営んではならない。
(免許証の呈示)
第十一条 家畜商は、家畜の取引をするときには、家畜商免許証を携帯し、且つ、取引の相手方の要求があるときは、これを呈示しなければならない。
(罰則)
第十二条 左の各号の一に該当する者は、二年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十条の規定に違反して、家畜商でなくて家畜の取引の業務を営んだ者
二 虚偽又は不正の事実に基いて、家畜商の免許を受けた者
第十三条 第七条第二項の規定による義務の停止の命令に違反した者は、一年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第十四条 第十一条の規定に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。
第十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
附 則
1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して九十日をこえない期間内において政令で定める。
2 この法律施行の際現に家畜の取引の業務を営んでいる者は、この法律施行の日から六十日間は、第十条の規定にかかわらず、家畜の取引の業務を営むことができる。
3 前項の者が同項の期間内に第三条の規定による免許を申請した場合において、これについて許否の決定があるまでの期間についても、また同様とする。
(農林・内閣総理大臣署名)