外国保険事業者に関する法律
法律第百八十四号(昭二四・六・一)
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 免許及び事業の開始(第三条―第十条)
第三章 業務(第十一条―第十九条)
第四章 免許の取消及び事業の廃止(第二十条―第二十九条)
第五章 登記(第三十条―第三十三条)
第六章 罰則(第三十四条―第三十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、日本保険事業者と衡平の条件の下に、外国保険事業者の日本における保険事業を規正することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「外国保険事業者」とは、日本以外の国の法令に準拠して、主として日本以外の国において保険事業を営む法人又は個人をいい、外国生命保険事業者及び外国損害保険事業者に分ける。
2 この法律において「本国」とは、外国保険事業者が設立又は事業の開始にあたつて準拠した法令を制定した国をいう。
3 この法律において「主たる店鋪」とは、外国保険事業者の日本における支店、従たる事務所その他の事務所又は募集をする者の店舗のうち、外国保険事業者がその事業の本拠として定めたものをいう。
4 この法律において「募集」とは、保険募集の取締に関する法律(昭和二十三年法律第百七十一号)第二条第三項に規定する募集をいう。
第二章 免許及び事業の開始
(免許)
第三条 外国保険事業者が日本において保険事業を営むには、大蔵大臣の免許を受けなければならない。
2 何人も、日本において免許を受けない外国保険事業者の締結する保険契約について、日本において代理又は媒介の行為をしてはならない。
(免許の申請及び添附書類)
第四条 外国保険事業者が免許を申請するには、左に掲げる事項を記載した申請書を大蔵大臣に提出しなければならない。
一 保険事業者の本国名、氏名又は名称、本店又は主たる事務所の所在地及び設立又は事業の開始の年月日(法人の場合は、代表者の氏名及び住所を附記する。)
二 日本において営もうとする生命保険事業又は損害保険事業の種類
三 日本における代表者の氏名及び住所
四 日本における主たる店舗
2 前項の申請書には、外国保険事業者の法人の設立又は事業の開始が適法に行われた旨及び日本において営もうとする生命保険事業又は損害保険事業の種類と同種類の保険事業を本国において適法に行つている旨を証する本国の権限のある機関の証明書を添附しなければならない。
3 第一項の申請書には、日本における代表者の代表権を証する書面を添附しなければならない。
4 前二項に規定するものの外、第一項の申請書には、左の書類を添附しなければならない。
一 定款又はこれに準ずる書類
二 日本における事業の方法書
三 日本において締結する保険契約の普通保険約款
四 生命保険事業者にあつては、日本において締結する保険契約の保険料及び責任準備金の算出の方法を記載した書類
五 損害保険事業者にあつては、日本において締結する保険契約の保険料を記載した書類及び未経過保険料準備金の算出の方法を記載した書類
六 最終の財産目録、貸借対照表及び損益計算書
七 その他大蔵大臣が必要と認める書類
5 前項第二号から第五号までに掲げる書類の記載事項については、大蔵省令で定めることができる。
6 大蔵大臣は、第四項第四号及び第五号に掲げる責任準備金及び未経過保険料準備金の算出の方法が外国保険事業者の本国の法令に基いて定めた方法である場合であつても、第三条第一項の免許をすることができる。
(保険事業の種類の変更認可)
第五条 外国保険事業者は、日本において営む生命保険事業若しくは損害保険事業について、その種類を変更し、又は日本において新たな種類の生命保険事業若しくは損害保険事業を営もうとするときは、大蔵省令の定めるところにより、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
(公告)
第六条 大蔵大臣は、第三条第一項の免許をしたときは、その旨及び第四条第一項に掲げる事項を、前条の認可をしたときは、その旨を、遅滞なく、告示をもつて公告しなければならない。
(申請書記載事項の変更届出及び公告)
第七条 第五条に該当する場合を除く外、外国保険事業者は、第四条第一項に掲げる事項につき変更があつたときは、遅滞なく、大蔵大臣にその旨を届け出で、且つ、公告しなければならない。
2 第四条第二項及び第三項の規定は、前項の届出に準用する。
3 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百四十四条(公告の方法)の規定は、第一項の公告に準用する。
(供託)
第八条 外国保険事業者は、一千万円の金額の金銭を供託しなければ、日本においてその事業を開始することができない。
2 大蔵大臣は、必要があると認めるときは、外国保険事業者に対しその日本における事業を開始する前に、前項に定める供託金額の外相当と認める金額の金銭の供託を命ずることができる。
3 外国保険事業者は、国債その他大蔵大臣の認可した有価証券をもつて、前二項の供託金に代えることができる。
(供託物に対する優先権)
第九条 日本における保険契約者、被保険者、保険金額を受け取るべき者又は外国相互会社(これに類似する外国の法人を含む。以下同じ。)の社員は、前条第一項又は第二項、第十九条において準用する保険業法(昭和十四年法律第四十一号)第九条及び第二十七条において準用する同法第百三十六条の規定による供託物の上に優先権を有する。
2 外国相互会社の日本における一般の債権者は、日本における社員、被保険者及び保険金額を受け取るべき者に対し、前項に規定する供託物の上に優先権を有する。
(日本における代表者)
第十条 商法(明治三十二年法律第四十八号)第七十八条(代表社員の権限)の規定は、外国保険事業者の日本における代表者に準用する。
2 日本における代表者は、退任の後においても、これに代わるべき代表者の氏名及び住所につき商法第四百七十九条第二項の登記並びに第七条第一項の届出及び公告があるまで、なお代表者の権利義務を有する。
第三章 業務
(事業の報告書)
第十一条 外国保険事業者は、毎年日本における事業の報告書を作成し、大蔵大臣に提出しなければならない。
2 前項の報告書の書式及びその提出の時期は、大蔵省令で定める。
(本店の決算書類の提出)
第十二条 外国保険事業者は、事業年度ごとにその本店において作成した財産目録、貸借対照表、事業報告書及び損益計算書を、当該事業年度終了後相当の期間内に、大蔵大臣に提出しなければならない。
(責任準備金等の計算)
第十三条 外国保険事業者の日本における代表者は、第十一条第二項の大蔵省令で定める時期において、日本における保険契約についてその種類に従つて責任準備金又は未経過保険料準備金及び支払備金を計算して、帳簿に記載しなければならない。
(外国生命保険事業者の財産)
第十四条 外国生命保険事業者は、日本において締結した生命保険契約のうち日本通貨で表示された生命保険契約について、責任準備金及び支払備金に相当する金額を日本において日本通貨で表示された財産として所有しなければならない。
(外国損害保険事業者の財産)
第十五条 外国損害保険事業者は、日本において締結した損害保険契約のうち日本通貨で表示された損害保険契約について、収入した保険料から再保険料を控除した残額の未経過部分に相当する金額を日本において日本通貨で表示された財産として所有しなければならない。
2 前項の再保険料は、保険業法又はこの法律に基き免許を受けた保険事業者に対し、日本通貨で支払われたものに限る。
(外貨建保険契約)
第十六条 外国保険事業者は、保険金額が外国通貨をもつて表示された保険契約を締結しようとするときは、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
(定款その他の書類の備付)
第十七条 外国保険事業者の日本における代表者は、定款又はこれに準ずる書類、日本における社員の名簿並びに第十一条第一項及び第十二条に掲げる書類を、日本における主たる店舗に備えて置かなければならない。
2 保険業法第八十三条の規定(決算書類の閲覧等)は、前項の書類に準用する。
(商法の規定の準用)
第十八条 商法第十九条から第二十一条まで(商号の登記及び保護)、第三十条及び第三十一条(商号の廃止)、第五章(商業帳簿)、第六章(商業使用人)(第四十四条(物品販売店舗の使用人の権限)を除く。)及び第七章(代理商)(第四十九条(物品販売及び媒介の代理商の権限)を除く。)の規定は、外国相互会社に準用する。
(保険業法の規定の準用)
第十九条 保険業法第五条第一項本文(兼業の禁止)、第六条から第十条(常務役員の専業主義、生命保険と損害保険との兼業禁止、報告徴収及び検査、監督命令及び基礎書類の変更)及び第百二十七条(営業譲渡の禁止)の規定は、外国保険事業者の営む保険事業に準用する。
第四章 免許の取消及び事業の廃止
(解散及び事業廃止の届出)
第二十条 外国保険事業者がその事業を廃止し、解散し、又は日本における事業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
2 前項の届出のあつた日において、外国保険事業者に対する大蔵大臣の免許は、その効力を失う。
3 外国保険事業者は、日本における保険事業の種類を廃止したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
(保険契約の包括移転)
第二十一条 外国保険事業者は、契約をもつて責任準備金又は未経過保険料準備金の算出の基礎が同じである日本における保険契約の全部を包括して、日本において事業を営む他の保険事業者に移転することができる。
2 保険業法第百十条(保険契約の移転に関する部分に限る。)、第百十一条第二項、第百十二条第一項から第三項まで及び第百十三条から第百十八条までの規定(保険契約の移転関係)は、前項の場合に準用する。この場合において、同法第百十二条第一項中「第百九条ノ決議ノ日」とあるのは「移転契約書作成の日」と、同法第百十三条及び第百十五条第一項中「株主総会又ハ社員総会ノ決議アリタル時」とあるのは「移転契約書作成の時」と、同法第百十七条第二項中「保険契約移転ノ決議ノ後」とあるのは「移転契約書作成の後」と読み替えるものとする。
3 前項に掲げる規定中総会の決議に関する規定は、外国保険事業者については準用しない。
4 外国保険事業者が日本における保険契約の全部を移転したときは、その日本における事業を廃止したものとみなす。
(事業停止、代表者解任命令及び免許の取消)
第二十二条 外国保険事業者が法令の規定又は大蔵大臣の命令に違反したときは、大蔵大臣は、その日本における事業の停止若しくは代表者の解任を命じ、又は免許若しくは第五条の認可を取消すことができる。
2 大蔵大臣は、前項の規定による処分をしようとするときは、公開による聴聞を行わなければならない。
3 大蔵大臣は、前項の聴聞をしようとするときは、その期日の二週間前までに、第一項の規定による処分をしようとする理由並びに聴聞の期日及び場所を当該外国保険事業者に通知し、且つ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
4 聴聞においては、当該外国保険事業者又はその代理人が出頭して、自己のために釈明し、且つ、有利な証拠を提出することができる。
5 大蔵大臣は、外国保険事業者の免許を取り消したときは、その処分が確定した後、遅滞なく、その旨を支店又は従たる事務所の登記所に通知しなければならない。
6 登記所が前項の通知を受けたときは、その支店又は従たる事務所の登記をまつ消し なければならない。
(事業停止、管理及び保険契約の移転命令)
第二十三条 大蔵大臣は、外国保険事業者の業務又は財産の状況により、その日本における事業の継続が困難であり、又は不適当であると認めたときは、その日本における事業の停止、日本における業務及び財産の管理又は日本における保険契約の移転の命令をすることができる。
2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による処分をする場合に準用する。
3 保険業法第百一条から第百三条まで、第百四条第一項及び第三項前段、第百五条(保 険契約の移転に関する部分に限る。)及び第百六条の規定(業務及び財産の管理関係)は、前項の業務及び財産の管理の命令があつた場合に、同法第百三条、第百四条第一項及び第三項前段、第百十七条、第百十八条及び第百二十一条から第百二十五条まで並びに保険業法施行令(昭和十四年勅令第九百四号)第十二条から第十四条までの規定(命令による保険契約の移転関係)は、前項の保険契約の移転の命令があつた場合に準用する。この場合において、保険業法第百十七条第二項中「保険契約移転ノ決議ノ後」とあるのは「移転契約書作成の後」と、同法第百二十一条第三項中「各会社」とあるのは「相手会社である日本の会社」と、同法第百二十二条第三項において準用する同法第百十五条第一項中「株主総会又ハ社員総会ノ決議アリタル時」とあるのは「移転契約書作成の時」と読み替えるものとする。
4 前項に掲げる規定中総会の決議に関する規定は、外国保険事業者については準用しない。
(事業廃止及び免許取消の公告)
第二十四条 外国保険事業者がその事業を廃止し、解散し、日本における事業を廃止し、若しくは保険事業の種類を廃止し、又は免許若しくは第五条の認可を取り消された場合には、大蔵大臣は、遅滞なく、その旨を告示をもつて公告しなければならない。
(供託物の返還請求)
第二十五条 外国保険事業者がその事業を廃止し、解散し、日本における事業を廃止し、又は免許を取り消された場合には、第九条の規定によつて優先権を有する者に弁済をし、又は担保を供しなければ供託物の返還を請求することができない。
(残務の取扱を行う者)
第二十六条 外国保険事業者がその事業を廃止し、解散し、日本における事業を廃止し、又は免許を取り消された場合において、大蔵大臣は、必要と認めるときは、残務の取扱を行う者を選任し、又は解任することができる。
2 第十条第一項及び保険業法第百三十三条(主務大臣の選任する清算人の報酬)の規定は、前項の残務の取扱を行う者に準用する。
(保険業法第百三十六条の準用)
第二十七条 保険業法第百三十六条(清算監督命令)の規定は、事業を廃止し、解散し、日本における事業を廃止し、又は免許を取り消された外国保険事業者が残務の取扱をする場合に準用する。
(保険業法第百三十四条の準用)
第二十八条 保険業法第百三十四条(解散後の保険金支払等)の規定は、外国保険事業者がその事業を廃止し、解散し、日本における事業を廃止し、又は免許を取り消された場合に準用する。
(商法第四百八十四条及び第四百八十五条の準用)
第二十九条 商法第四百八十四条(支店閉鎖命令)並びに第四百八十五条第一項及び第二項(日本にある財産の清算)の規定は、外国保険事業者が日本において従たる事務所その他の事務所を設け、又はもつぱら外国保険事業者のために募集をする者が営業所若しくは事務所を設けた場合に準用する。
第五章 登記
(商法の規定の準用)
第三十条 商法第九条(商業登記簿)、第十一条から第十五条まで(商業登記の公告及び効力)及び第六十一条(登記期間の起算点)の規定は、外国相互会社に準用する。
(登記簿)
第三十一条 各登記所に、外国相互保険会社登記簿を備える。
(登記申請)
第三十二条 外国相互会社が日本に事務所を設けた場合においてその登記を申請するときは、会社の代表者は、申請書にその日本における主たる店舗及び代表者の氏名及び住所を記載し、且つ、左に掲げる書面を添附しなければならない。
一 主たる事務所の存在を認めるに足る書面
二 代表者としての資格を証する書面
三 会社の定款又は会社の性質を識別するに足る書面
2 前項第一号から第三号までの書面は、会社の本国の管轄官庁が証明したものでなければならない。
(非訟事件手続法の規定の準用)
第三十三条 非訟事件手続法第百二十六条第三項、第百三十五条ノ九第三項、第百三十八条ノ十六、第百三十九条、第百三十九条ノ二、第百四十二条から第百四十九条まで、第百五十条ノ二、第百五十条ノ四、第百五十条ノ五、第百五十一条から第百五十一条ノ四まで、第百五十一条ノ六、第百五十四条から第百五十八条まで、第百七十二条から第百七十五条まで、第百七十六条、第百七十七条、第百七十八条及び第二百三条から第二百五条までの規定(商事非訟事件の登記関係)は、外国相互会社に準用する。
第六章 罰則
第三十四条 左の各号の一に該当する者は、五千円以下の罰金に処する。
一 第三条第一項又は第二項の規定に違反した者
二 第五条の規定に違反した者
三 第十四条の規定に違反した者
四 第十五条第一項の規定に違反した者
第三十五条 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。
2 前項の規定により法人でない社団又は財団を処罰する場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその社団又は財団を代表する外、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第三十六条 左の各号の一に該当する場合においては、外国保険事業者の代表者、支配人、保険管理人、清算人又は残務の取扱を行う者は、五千円以下の過料に処する。但し、その行為について刑を科すべきときはこの限りでない。
一 第十九条において準用する保険業法第五条第一項の規定に違反したとき。
二 第十九条において準用する保険業法第八条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は臨検若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
三 第十三条の規定に違反して責任準備金、未経過保険料準備金又は支払備金の計算をしなかつたとき。
四 第二十九条において準用する商法第四百八十四条又は第四百八十五条第一項の規定による裁判所の命令に違反したとき。
五 第八条第一項の規定に違反したとき。
六 第八条第二項、第二十二条第一項、第二十三条第一項、第二十三条第三項において準用する保険業法第百一条第四項又は第二十七条において準用する保険業法第百三十六条の規定による大蔵大臣の命令に違反したとき。
七 第五章に定める登記をすることを怠り、又は不正の登記をしたとき。
八 第七条第一項、第二十条第一項若しくは第三項又は第十九条において準用する保険業法第十条第四項の規定による公告若しくは届出をすることを怠り、又は不正の公告若しくは届出をしたとき。
九 第十一条第一項に規定する報告書を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書を提出したとき。
十 第十二条に規定する財産目録、貸借対照表、事業報告書又は損益計算書を提出せず、又は虚偽の記載をしたこれらの書類を提出したとき。
十一 第十七条第一項に規定する書類を備えて置かず、これに記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき。
十二 正当の事由がなく第十七条第一項に掲げる書類の閲覧又はその謄本若しくは抄本の交付を拒んだとき。
十三 第十六条又は第十九条において準用する保険業法第十条第一項の規定に違反したとき。
十四 第二十三条第三項において準用する保険業法第百一条第二項の規定に違反して、正当の事由がなく保険管理人となることを拒否したとき。
十五 第二十三条第三項において準用する保険業法第百一条第一項に規定する大蔵大臣の選任する保険管理人に事務の引継をしなかつたとき。
十六 第二十一条第二項において準用する保険業法第百十一条第二項、第百十二条第一項から第三項まで、第百十三条、第百十五条又は第百十六条の規定に違反して、保険契約移転の手続をし、又は保険契約、財産の処分若しくは債務を負担すべき行為をしたとき。
十七 第二十三条第三項において準用する保険業法第百三条の規定に違反して事業を営んだとき。
十八 第十九条において準用する保険業法第百二十七条の規定に違反したとき。
十九 第二十九条において準用する商法第四百八十五条第二項において準用する商法第四百二十一条から第四百二十四条まで及び第四百三十条から第四百五十六条までの規定に違反したとき。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 外国保険会社に関する件(明治三十三年勅令第三百八十号)は、廃止する。
3 この法律施行の際現に外国保険会社に関する件の規定によつて免許を受けている外国保険事業者は、この法律の規定によつて免許を受けたものとみなす。
4 外国保険会社に関する件の規定によつて免許を受けた外国保険事業者で昭和十六年十二月七日に日本において保険事業を営んでいたものが、日本において保険事業を行おうとするときは、第四条第一項から第三項までに掲げる書類を添附して、大蔵大臣に届け出なければならない。
5 前項の外国保険事業者は、大蔵大臣が前項の届出を受理した日において、第三条第一項の規定による免許を受けたものとみなす。
6 保険募集の取締に関する法律の一部を次のように改正する。
第二条に次の一項を加える。
6 この法律における保険会社には、外国保険事業者に関する法律(昭和二十四年法律第百八十四号)に基いて免許を受けた外国保険事業者(以下外国保険事業者という。)を含む。
第二十一条中「生命保険会社」の下に「(外国保険事業者を除く。)」を加える。
7 保険業法の一部を次のように改正する。
第三条中「基金」の次に「(第六十五条ノ規定ニ依ル積立金ヲ含ム)」を加え、「十万円以上」を「三千万円以上」に改める。
第十二条に次の三項を加える。
主務大臣前項ノ規定ニヨル処分ヲ為サントスルトキハ公開ニヨル聴聞ヲ行フベシ
主務大臣前項ノ聴聞ヲ行ハントスルトキハ其ノ期日ノ二週間前マデニ第一項ノ規定ニヨル処分ヲ行ハントスル理由並ビニ聴聞ノ期日及場所ヲ当該保険会社ニ通知シ且聴聞ノ期日及場所ヲ公示スベシ
聴聞ニオイテハ当該保険会社又ハ其ノ代理人出頭ノ上自己ノ為釈明ヲ為シ且有利ナル証拠ヲ提出スルコトヲ得
第百条に次の一項を加える。
第十二条第二項乃至第四項ノ規定ハ前項ノ処分ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
第百一条第一項中「前条」を「前条第一項」に改める。
第百六十九条を次のように改める。
第百六十九条 削除
8 この法律施行の際、資本又は基金(保険業法第六十五条に規定する積立金を含む。)の総額が三千万円未満の保険会社は、なるべく速かに、その額を三千万円以上に増加しなければならない。但し、生命保険会社で責任準備金の総額が三千万円をこえるものについては、この限りでない。
9 前項の規定により資本又は基金の総額を増加するまでは、当該保険会社は、保険業法第三条の規定にかかわらず、保険事業を営むことができる。
(大蔵・内閣総理大臣署名)