協同組合による金融事業に関する法律
法律第百八十三号(昭二四・六・一)
(目的)
第一条 この法律は、協同組織による金融業務の健全な経営を確保し、預金者その他の債権者及び出資者の利益を保護することにより一般の信用を維持し、もつて協同組織による金融の発達を図ることを目的とする。
(免許)
第二条 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)に規定する信用協同組合(同法第七十七条第一項第一号の事業を行う協同組合連合会を含む。以下「信用協同組合」という。)は、大蔵大臣の免許を受けなければ、事業を行うことができない。
2 前項の免許を受けようとする信用協同組合は、申請書に、定款並びに業務の種類及び方法を記載した書面及び事業計画書を添附し、大蔵大臣に提出しなければならない。
(出資の金額)
第三条 信用協同組合の出資の額は、外部負債の総額の百分の三以上でなければならない。
2 前項の「外部負債の総額」とは、貸借対照表の負債の部の総額及び繰越損の額の合計額から出資金、積立金(配当引当積立金以外の特定の目的のために積み立てられた積立金を除く。)及び繰越金の合計額を控除した額をいう。
(余裕金の運用の制限)
第四条 信用協同組合は、左の方法による以外に、その業務上の余裕金を運用してはならない。
一 銀行、信託会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫、農業協同組合連合会、水産業協同組合連合会又は信用協同組合への預金、貯金又は金銭信託
二 大蔵省預金部への預金又は郵便貯金
三 国債、地方債又は大蔵大臣の認可を受けた有価証券の取得
(事業年度)
第五条 信用協同組合の事業年度は、四月から翌年三月までとする。
(銀行法及び貯蓄銀行法の準用)
第六条 銀行法(昭和二年法律第二十一号)第八条(法定準備金)、第十条(業務報告書)、第十二条から第十四条まで(監査書、役員の兼職制限及び合併の認可)及び第十九条から第三十一条まで(預金の払戻の停止並びに主務大臣及び裁判所の監督権限)並びに貯蓄銀行法(大正十年法律第七十四号)第十六条(定款又は業務の変更)の規定は、信用協同組合について準用する。
(罰則)
第七条 第二条第一項の規定に違反した場合には、その違反行為をした信用協同組合の代表者、代理人、使用人その他の従業者を五千円以下の罰金に処する。
第八条 左の各号に該当する場合には、その違反行為をした信用協同組合の代表者、代理人、使用人その他の従業者を一年以下の懲役又は千円以下の罰金に処する。
一 第四条の規定に違反したとき。
二 第六条において準用する銀行法(以下本条及び第九条中「銀行法」という。)第十条の規定による業務報告書又は銀行法第十二条の規定による監査書の不実の記載その他の方法により官庁又は公衆を欺もうしたとき。
三 銀行法第二十一条の規定による検査に際し、帳簿書類の隠ぺい、不実の申立その他の方法により検査を妨げたとき。
第九条 左の各号に該当する場合には、その違反行為をした信用協同組合の代表者、代理人、使用人その他の従業者を十円以上千円以下の過料に処する。
一 銀行法第八条又は第十三条の規定に違反したとき。
二 銀行法第十二条の規定により信用協同組合に備えて置かなければならない書類の備付を怠り、又は銀行法第十条若しくは第二十条の規定により主務大臣に提出しなければならない書類の提出を怠り、これに記載すべき事項を記載せず、若しくはこれに不実の記載をしたとき。
三 銀行法第十九条の規定による届出若しくは公告をすることを怠り、又は不実の届出若しくは公告をしたとき。
四 銀行法第二十二条、第二十三条、第二十六条又は第二十九条の規定により主務大臣又は裁判所のした命令に違反したとき。
五 第六条において準用する貯蓄銀行法第十六条第一項の規定に違反したとき。
六 第六条において準用する貯蓄銀行法第十六条第二項の規定により主務大臣のした命令に違反したとき。
第十条 第八条の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
第十一条 信用協同組合の代表者、代理人、使用人その他の従業者がその信用協同組合の業務に関して第七条又は第八条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その信用協同組合に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
この法律の規定中信用協同組合(中小企業等協同組合法第七十七条第一項第一号の事業を行う協同組合連合会を除く。)に関する部分は、同法施行の日から、同法第七十七条第一項第一号の事業を行う協同組合連合会に関する部分は、同法施行の日から八月を経過した日から施行する。但し、第三条の規定は、この法律公布の日から一年を経過した日から施行する。
(大蔵・内閣総理大臣署名)