電話の加入申込者等に公債を引き受けさせるための臨時措置に関する法律
法律第五十七号(昭二三・六・二五)
第一条 この法律は、国が電話の加入申込者、加入電話を譲り受ける者、戦災を受けた電話の復旧を請求する加入者等から加入電話の設備の増加に要する資金を借り入れることを目的とする。
第二条 加入電話の利用申込者が通信事業特別会計法第五条第一項の規定により発行される公債(通信事業の用に充てるため発行される公債)を引き受けないときは、電話官署は、その利用申込を受理せず、又は加入電話の利用をさせない。
第三条 加入電話を譲り受けることによつてこれを利用しようとする者が前条に規定する公債を引き受けないときは、電話官署は、その者には加入電話の利用をさせない。
第四条 昭和二十年閣令第六十六号の規定による届出(戦災に因る焼失等についての届出)のあつた電話の加入者が電話官署から復旧工事施行予定の通知を受けた後十五日以内に第二条に規定する公債を引き受けないときは、電話官署は、当分の間当該電話の復旧を繰り延べる。但し、当該電話の加入者がその期間内に同条に規定する公債を引き受けない場合においてその期間経過後に同条に規定する公債の引受を申し出て当該電話の復旧を申請することを妨げない。
前項に規定する届出のない電話で通話休止の取扱を受けているもの(戦時に際し官庁等の用に供するため設備を転用されたために、又は電話機械の移転の請求に応じられなかつたために通話休止の取扱を受けている電話。この法律施行後譲渡のあつた電話に限る。)についても、同項と同様とする。
第五条 第二条乃至前条の規定は、電話を国又は地方公共団体の用に供する場合、通話休止の取扱を受けている電話(戦時に際し官庁等の用に供するため設備を転用されたために、又は電話機械の移転の請求に応じられなかつたために通話休止の取扱を受けている電話。この法律施行後譲渡のあつた電話を除く。)、この法律施行の際現に利用者たる加入者が引き続き利用する電話及び三十日以内の期間を加入期間とする電話については、これを適用しない。
第六条 第二条乃至第四条の規定により引き受けるべき公債の額は、資料を存する最近六箇月間において加入電話の設備の増加に要した費用の額をその期間内に開通し、又は復旧した電話及び譲渡のあつた電話の総数を以て除して得た額を基準とし、将来における費用の額の変動を考慮して、会計年度ごとに、政令でこれを定める。
前項の規定により公債の額を定めた後、予見されなかつた費用の額の変動があつたときは、政令で同項の公債の額を変更することができる。
第七条 政令で定める増設機械の装置の請求については、第二条及び第五条の規定を準用する。
前項において準用する第二条の規定により引き受けるべき公債の額は、同項の増設機械の装置に要する費用の額を基準として、政令でこれを定める。
第八条 第二条(前条第一項において準用する場合を含む。)、第三条又は第四条の規定により引き受けらるべき公債の発行価格は、額面百円につき百円、その償還期限は、十五年以内、その利率は、年四分、利息支払の方法は、毎年一回支払とする。
第九条 第二条(第七条第一項において準用する場合を含む。)、第三条若しくは第四条の規定により引き受けられた公債又はこれを担保とする貸付金は、日本銀行法第三十二条第二項の規定にかかわらず、これを同条第一項の保証に充てることができない。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十四年四月一日から、その効力を失ぅ。
昭和二十二年四月一日以後電話の加入申込を受理され、この法律施行の際現に開通していない電話については、その加入申込者がこの法律施行後一箇月以内に第二条に規定する公債を引き受けないときは、電話官署は、その開通を繰り延べる。但し、当該電話が第五条に規定する電話である場合及びその加入申込者が電話の開通の用に充てるための資材等でその価額が省令の定める金額以上であるものをこの法律施行の時までに電話官署に無償で提供している場合は、この限りでない。
前項の規定により引き受けるべき公債の額は、第六条第一項の規定に準じて、政令でこれを定める。
第三項の規定により引き受けられるべき公債については、第八条の規定を準用する。
第三項の規定により引き受けられた公債又はこれを担保とする貸付金には、第九条の規定を準用する。
電話の加入者がその電話の復旧の用に充てるための資材等でその価額が省令の定める金額以上であるものをこの法律施行の時までに電話官署に無償で提供している場合には、当該電話の復旧については、第四条の規定は、これを適用しない。
(大蔵・逓信・内閣総理大臣署名)