政府職員の新給与実施に関する法律

法律第四十六号(昭二三・五・三一)

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、政府職員の俸給等に関する法律(昭和二十三年法律第十二号 以下法第十二号という。)の本則第三項の規定に基き政府職員の人事及び給与に関する方針の統一を図るため、官吏、官吏の待遇を受ける者(官吏と同格の政府職員を含む。)、雇員、傭人及び工員であつて常時勤務に服する者(内閣総理大臣、最高裁判所長官、日本国憲法第七条の規定による認証官及び他の法律に特別の定のある者を除く。以下職員という。)に対し支給すべき俸給等の額及びその支給に関する事項を、臨時に、定めることを目的とする。

2 この法律の規定は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号。今後同法が改正せられたときは、その改正せられた規定を含む。以下同じ。)の如何なる条項をも廃止し、若しくは修正し、又はこれに代わるものではない。昭和二十三年七月一日以後においては、国家公務員法、同法に基く法律、政令又は人事委員会規則の規定に矛盾するこの法律の規定は、当然その効力を失うものとする。この法律のすべての規定は、昭和二十三年十二月三十一日(法律をもつてそれ以前の期日を定めたときはその期日)限り、その効力を失うものとする。

3 この法律の第十四条の規定による職務の分類は、これを国家公務員法第二十九条その他同法中のこれに関する条項に従い国会の承認を得て定めらるべき職務の分類の計画であつて、且つ、同法の要請するところに適合したものであるとみなし、その改正が人事委員会によつて立案せられ、国会の承認を得て実施せられるまで、その効力をもつものとする。

 (実施機関)

第二条 この法律の完全な実施を確保し、その目的を達成するため、内閣総理大臣の所轄の下に、臨時に、新給与実施本部、地域給審議会及び新給与苦情処理委員会を置く。

第三条 新給与実施本部は、この法律による俸給の決定に関する総合調整及びこの法律においてその権限に属せしめた事項に関する事務を掌るものとする。

第四条 新給与実施本部には、本部長一人、次長一人及び部員若干人を置く。

2 本部長は内閣官房長官、次長は大蔵省給与局長をもつて、これに充てる。

3 部員は、各庁において給与事務を担当する職員で内閣総理大臣が新給与実施本部に勤務すべきことを命じた者をもつて、これに充てる。

4 本部長は、部務を総理する。

5 次長は、本部長を助けて部務を整理する。

6 部員は、上司の命を承けて部務に従事する。

第五条 地域給審議会は、生計費の高い特定の地域の指定及び当該地域に対する勤務地手当の支給割合に関する事項その他勤務地手当の支給に関する事項を調査審議するものとする。

第六条 地域給審議会は、職員を代表する委員及び政府を代表する委員各々同数をもつて、これを組織し、委員は、内閣総理大臣が、これを委嘱する。

2 委員の数は、二十人を超えてはならない。

第七条 地域給審議会は、その権限に属せしめられた事項につき必要な調査を行わせるため都道府県毎に地域給調査会を設けることができる。

第八条 新給与苦情処理委員会は、第二十四条第一項の規定による再審査の請求に対し、最終の決定をなすものとする。

第九条 新給与苦情処理委員会は、委員九人をもつて、これを組織する。

2 委員は、職員を代表する委員、政府を代表する委員及び第三者である委員各々三人とし、内閣総理大臣が、これを委嘱する。

第十条 新給与苦情処理委員会に会長を置く。会長は、第三者である委員のうちから、委員が、これを選挙する。

2 会長は、会務を総理する。

3 会長に事故がある場合においては、委員は、第三者である他の委員のうちから、会長の職務を代理する者を選挙する。

第十一条 新給与苦情処理委員会は、会長がこれを招集し、その議事は、会長を除く出席委員の過半数で、これを決する。可否同数である場合には、会長の決するところによる。

2 新給与苦情処理委員会は、職員を代表する委員、政府を代表する委員及び第三者である委員各々二人以上が出席しなければ、議事を開き議決することができない。

3 会長は、第二十四条第一項の規定による再審査の請求があつた場合においては、遅滞なく、委員会を招集しなければならない。

 (給与の種類)

第十二条 この法律による給与は、俸給、扶養手当、勤務地手当及び特殊勤務手当とする。

 (俸給)

第十三条 各職員の受ける俸給は、その職務の複雑、困難及び責任の度、勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤労に関する条件に基いたものでなければならない。

第十四条 職員の職務は、これを十五級に分類し、その分類の基準となるべき標準的の職務の内容は、新給与実施本部長が、これを定める。

2 前項の規定により分類せられた職務の各級における俸給の幅は、別表による。

3 現業に従事する職員、教育職員、税務職員その他その職務について特別に取扱うことを適当とする事情のある職員については、職務の級の分類及びその各級における俸給の幅につき、政令で、前二項と異つた定をすることができる。但し、その政令は、前条の規定の精神に沿い前二項の規定と趣旨を同じくし、且つ、これと権衡のとれたものでなければならない。

第十五条 内閣総理大臣、最高裁判所長官、法務総裁、各省大臣若しくは会計検査院長(以下各省各庁の長という。)又は各省各庁の長の委任を受けた者は、新給与実施本部長の承認を受け、それぞれその所属の職員について、第十四条の規定するところに基き、その職務の級及び俸給を決定する。

第十六条 あらたに職員となつた場合及び職員が一の職務の級から他の職務の級に移つた場合の俸給並びに同一級内における俸給の昇給の基準は、政令でこれを定める。

第十七条 俸給の支給に関しては、官吏俸給令(昭和二十一年勅令第百九十二号)による俸給支給の例による。但し、月二回俸給支給の慣習のある場合においては、その例によることができる。

 (扶養手当)

第十八条 扶養手当は、扶養親族のある職員に対し、これを支給する。

2 法第十二号附則第五条の規定は、扶養手当に関して、これを準用する。

 (勤務地手当)

第十九条 勤務地手当は、生計費の高い特定の地域に在勤する職員に対し、これを支給する。

2 勤務地手当の月額は、俸給の月額と扶養手当の月額との合計額に一定の割合を乗じて得た額とする。

3 生計費の高い特定の地域の指定及び当該地域について支給さるべき勤務地手当の割合の決定は、地域給審議会の議を経て、大蔵大臣が、これを行う。

4 第十七条の規定は、勤務地手当の支給について、これを準用する。

 (特殊勤務手当)

第二十条 職員が、通常にない特殊の勤務に従事し、その勤務に対する報酬について特別の考慮を必要とする場合において、それを俸給に組入れることが不可能であるか、又は著しく困難な事情があるときは、その特殊性に応じ、特殊勤務手当を支給することができる。

2 特殊勤務手当の種類、支給を受ける者の範囲、手当の額及びその支給の方法は、政令で、これを定める。

 (欠勤等の場合の給与)

第二十一条 法第十二号附則第七条の規定は、職員が正式の承認なくして執務しなかつた場合について、これを準用する。

 (俸給の更正決定)

第二十二条 新給与実施本部長は、各省各庁の長又はその委任を受けた者が第十五条の規定により決定した職員の職務の級及び俸給が第十三条の俸給支給の原則に照し適当でないと認めるときは、各省各庁の長又はその委任を受けた者の行つた決定を更正し、又はこれらの者に対しその決定を更正すべき旨を命ずることができる。

 (審査の請求)

第二十三条 第十五条の規定による俸給の決定(前条の規定による俸給の更正決定を含む。)に関して苦情のある職員は、新給与実施本部長に対し、審査の請求をすることができる。

2 前項の請求があつたときは、新給与実施本部長は、これを決定し、これを本人及び関係各省各庁に通知しなければならない。

3 前条の規定は、前項の場合について、これを準用する。

第二十四条 前条第二項の決定に関して苦情のある職員は、新給与苦情処理委員会に対し、再審査の請求をすることができる。

2 前項の請求があつたときは、新給与苦情処理委員会は、これを決定し、これを本人及び関係各省各庁に通知しなければならない。

3 第二十二条の規定は、前項の場合に、これを準用する。この場合において、「新給与実施本部長」とあるのは「新給与苦情処理委員会」と読み替えるものとする。

附 則

 (施行期日)

第二十五条 この法律は、公布の日から、これを施行する。

 (新俸給への切替の場合における経過的取扱)

第二十六条 この法律の施行に際し、各職員の属する職務の級における俸給の幅の最高が、法第十二号附則第四条に規定する現俸給の十六割に相当する金額に達しない場合においては、その職員は、新給与実施本部長の定める俸給の額を受けるものとする。

 (年齢給の改訂)

第二十七条 現行の年齢による最低保証給は、臨時給与委員会の第一報告書一、の5、に基き、政令でこれを改めるものとする。

 (勤務地手当の経過的取扱)

第二十八条 勤務地手当は、大蔵大臣が地域給審議会の議を経て生計費の高い特定の地域の指定及び当該地域について支給さるべき勤務地手当の割合の決定を行うまでの問、なお、従前の例により、これを支給する。

 (差額支給の取扱)

第二十九条 職員が昭和二十三年一月一日以後において、既に支給を受けた法第十二号による暫定給与、財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する税務特別手当の支給に関する法律(昭和二十二年法律第百六十八号)による手当その他この法律による給与に相当する給与は、この法律による給与の内払とみなす。

2 前項の規定により内払金とみなされた金額が、この法律により受くべき給与の額を超過する場合においても、既に支給を受けた給与は、これを返還せしめないことができる。

3 第一項の規定により内払金とみなされた金額とこの法律による給与との差額は、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の適用については、同法第三十八条第一項第五号の給与とみなす。

 (法律の廃止)

第三十条 左に掲げる法律は、これを廃止する。

政府職員に対する臨時手当の支給に関する法律(昭和二十二年法律第百四十号)

政府職員に対する一時手当の支給に関する法律(昭和二十二年法律第百六十六号)

財務局及び税務署に在勤する政府職員に対する税務特別手当の支給に関する法律(昭和二十二年法律第百六十八号)

政府職員に対する一時手当の支給に関する法律(昭和二十二年法律第二百十六号)

政府職員に対する一時手当の支給に関する法律(昭和二十三年法律第八号)

別表

     級別俸給額表

俸給

俸給月額

一号

二号

三号

四号

五号

六号

七号

八号

九号

十号

職務の級

                   

一級

       

一、〇〇〇

一、〇五〇

一、一〇〇

一、一五〇

一、二〇〇

一、二五〇

       

二級

           

     

一、一〇〇

一、一五〇

一、二〇〇

一、二五〇

一、三〇〇

一、三五〇

一、四〇〇

     

三級

一、三〇〇

一、三五〇

一、四〇〇

一、四五〇

一、五〇〇

一、五五〇

一、六〇〇

     

四級

一、五〇〇

一、五五〇

一、六〇〇

一、六五〇

一、七〇〇

一、七五〇

一、八〇〇

     

五級

             

一、七〇〇

一、七五〇

一、八〇〇

一、八五〇

一、九〇〇

一、九五〇

二、〇〇〇

二、〇五〇

二、一〇〇

二、一五〇

六級

二、〇〇〇

二、一〇〇

二、二〇〇

二、三〇〇

二、四〇〇

二、五〇〇

二、六〇〇

二、七〇〇

二、八〇〇

二、九〇〇

七級

二、五〇〇

二、六〇〇

二、七〇〇

二、八〇〇

二、九〇〇

三、〇〇〇

三、一〇〇

三、二〇〇

三、三〇〇

三、四〇〇

八級

三、〇〇〇

三、一〇〇

三、二〇〇

三、三〇〇

三、四〇〇

三、五〇〇

三、六〇〇

三、七〇〇

三、八〇〇

三、九〇〇

九級

三、五〇〇

三、六〇〇

三、七〇〇

三、八〇〇

三、九〇〇

四、〇〇〇

四、一〇〇

四、二〇〇

四、三〇〇

四、四〇〇

十級

四、〇〇〇

四、二〇〇

四、四〇〇

四、六〇〇

四、八〇〇

五、〇〇〇

五、二〇〇

     

十一級

五、〇〇〇

五、二〇〇

五、四〇〇

五、六〇〇

五、八〇〇

六、〇〇〇

       

十二級

六、〇〇〇

六、二〇〇

六、四〇〇

六、六〇〇

六、八〇〇

七、〇〇〇

       

十三級

七、〇〇〇

七、二〇〇

七、四〇〇

七、六〇〇

七、八〇〇

八、〇〇〇

       

十四級

八、〇〇〇

八、四〇〇

八、八〇〇

九、二〇〇

九、六〇〇

一〇、〇〇〇

       

十五級

別に定める額

(内閣総理・大蔵大臣署名)

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