当せん金附証票法
法律第百四十四号(昭二三・七・一二)
(この法律の目的)
第一条 この法律は、経済の現状に即応して、当分の間、当せん金附証票の発売により、浮動購買力を吸収し、もつて財政資金の調達に資することを目的とする。
(当せん金附証票の意義)
第二条 この法律において「当せん金附証票」とは、その売得金の中から、くじびきにより購買者に当せん金品を支払い、又は交付する証票をいう。
(政府の当せん金附証票の発売)
第三条 国会が、当せん金附証票の発売に関する予算を議決したときは、政府は、その議決された金額の範囲内において、この法律の定めるところに従い、当せん金附証票を発売することができる。
(都道府県の当せん金附証票の発売)
第四条 都道府県議会が、公共事業の費用の財源に充てるため必要があると認めて、当せん金附証票の発売に関する予算を議決したときは、都道府県は、その議決された金額の範囲内において、この法律の定めるところに従い、内閣総理大臣の許可を受けて、当せん金附証票を発売することができる。内閣総理大臣の行う許可に関しては、地方財政委員会が、これを補佐する。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により許可をしようとするときは、あらかじめ大蔵大臣と協議しなければならない。
3 第一項の許可を受けようとする都道府県は、第七条第一項に掲げる事項及び当せん金附証票の発売により調達する資金を財源とする公共事業の計画を記載した申請書を、内閣総理大臣に提出しなければならない。
(当せん金附証票の当せん金品の限度)
第五条 当せん金附証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の五割に相当する額をこえてはならない。
2 一当せん金附証票の当せん金品の最高の金額又は価格は、証票金額の十万倍に相当する額をこえてはならない。
(当せん金附証票の売買)
第六条 当せん金附証票の発売及び当せん金品の支払又は交付については、大蔵大臣又は都道府県知事は、銀行(日本銀行を除く。以下同じ。)の申請により、その事務をこれに委託して取り扱わせる。
2 大蔵大臣又は都道府県知事は、前項の委託に先だち、一定期日までに申請する銀行に対し、当せん金附証票の発売及び当せん金品の支払又は交付の事務を委託して取り扱わせ、且つ、一定の手数料を支払う旨を公告しなければならない。
3 前項の手数料率は、一当せん金附証票につき、証票金額の一割をこえない範囲で、発売する大蔵大臣又は都道府県知事が、これを定める。
4 何人も、当せん金附証票を転売してはならない。
(当せん金附証票に関する告示)
第七条 大蔵大臣は、第三条の規定により発売する当せん金附証票につき、その発売前に、左に掲げる事項を告示しなければならない。
一 名称
二 発売及び当せん金品の支払又は交付の委託を受けた銀行(以下受託銀行という。)の商号及び所在地
三 発売の数及び総額
四 証票金額
五 発売期間
六 当せん金品の金額又は種類及び当せんの数
七 受託銀行から直接に購入した者又はその相続人その他の一般承継人以外の者は当せん金品を受領できないこと
八 証票を転売できないこと
九 その他必要な事項
2 前項の告示は、当せん金附証票の発売後は、これを変更することができない。
第八条 都道府県知事は、当せん金附証票の発売につき、第四条第一項の規定により許可を受けたときは、その発売前に、前条第一項各号に掲げる事項を告示しなければならない。
2 前項の告示は、当せん金附証票の発売後は、これを変更することができない。
(証票の記載事項)
第九条 当せん金附証票には、左の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
一 名称
二 発売者
三 受託銀行の商号
四 証票金額
五 くじびきに必要な組及び番号又は標示
六 第十条に掲げる事項
七 当せん金附証票の当せん金品の債権の時効完成の年月日
八 受託銀行から直接に購入した者又はその相続人その他の一般承継人以外の者は当せん金品を受領できないこと
九 証票を転売できないこと
(証票の再交付)
第十条 滅失、紛失又は盗難に因る当せん金附証票の再交付は、これをなさない。
(当せん金品の支払)
第十一条 当せん金附証票の当せん金品は、受託銀行から直接に当せん金附証票を購入した者又はその相続人その他の一般承継人に対して、当せんが確認し得られる当せん金附証票と引換に、これを支払い、又は交付する。
2 当せん金附証票を発売した政府、都道府県又は受託銀行は、受託銀行から直接に当せん金附証票を購入した物又はその相続人その他の一般の承継人に対してのみ、その当せん金品を支払い、又は交付する責に任ずる。
(特別措置)
第十二条 当せん金附証票の当せん金品の債権は、一年間これを行わないときは、時効に因つて消滅する。
第十三条 当せん金附証票の当せん金品については、所得税及び地方税法による不動産所得税を課さない。
(受託銀行の経理)
第十四条 受託銀行は、当せん金附証票の発売及び当せん金品の支払又は交付に関する経理を、その通常の業務の勘定と別な勘定を設けてこれをなし、且つ、その勘定に属する資金を貸付、投資その他の通常の業務に使用してはならない。
(受託銀行への当せん金品の交付)
第十五条 大蔵大臣又は都道府県知事は、その発売する当せん金附証票について、当せん金品として支払うべき金銭の支払に必要な資金を、その受託銀行に交付するものとする。
2 大蔵大臣又は都道府県知事は、その発売する当せん金附証票について、当せん金品として交付すべき金銭以外のものを、その受託銀行に交付するものとする。
(売得金の納付)
第十六条 受託銀行は、政府又は都道府県の発売する当せん金附証票の売得金を、その発売期間満了後一月をこえない範囲で大蔵大臣又は当該都道府県知事の指定する期間内に、政府又は当該都道府県に納付するものとする。
(報告及び検査)
第十七条 受託銀行は、大蔵大臣又は都道府県知事に、その委託を受けた当せん金附証票に関し、各月及び要求せられるごとに報告書を提出しなければならない。但し、各月の報告書は、十五日以内に、これを提出するものとする。
2 大蔵大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、職員をして、その委託した業務に関し、受託銀行の営業所に立ち入り、帳簿その他の関係書類を検査させる。
3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(罰則)
第十八条 左の各号の一に該当する者は、これを十年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第六条第四項の規定に違反し当せん金附証票を転売した者
二 第十一条第一項の規定に違反し、当せん金品を支払い、若しくは交付し、又は受領した者
三 第十四条の規定に違反し、当せん金附証票の発売及び当せん金品の支払又は交付に関し、その勘定に属する資金を貸付、投資その他の通常の業務に使用し、又はその経理を他の勘定と区分してなさず、若くは虚偽の経理をした者
四 前条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
五 前条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第十九条 受託銀行の代表者、代理人又は使用人その他の従業者が、その受託銀行の業務に関して、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その受託銀行に対しても、十万円以下の罰金刑を科する。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
(内閣総理・大蔵大臣署名)