教科書の発行に関する臨時措置法

法律第百三十二号(昭二三・七・一〇)

第一条 この法律は、現在の経済事情にかんがみ、教科書の需要供給の調整をはかり、発行を迅速確実にし、適正な価格を維持して、学校教育の目的達成を容易ならしめることを目的とする。

第二条 この法律において「教科書」とは、小学校、中学校、高等学校及びこれらに準ずる学校において、教科課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書であつて、文部大臣の検定を経たもの又は文部大臣において著作権を有するものをいう。

2 この法律において「発行」とは、教科書を製造供給することをいい、「発行者」とは、発行を担当する者をいう。

第三条 教科書には、その表紙に「教科書」の文字を、その末尾に著作者の氏名、発行者の氏名住所及び発行の年月日、並びに印刷者の氏名住所及び印刷の年月日を記載しなければならない。

2 著作者及び発行権が法人その他の団体であるときは、団体名及びその代表者名を併記するものとする。

3 印刷者の住所と印刷所の所在地とが異なるときは、印刷所の名称及びその所在地をも記載しなければならない。

第四条 発行者は、毎年、文部大臣の指示する時期に、発行しようとする教科書の書目を、文部大臣に届け出なければならない。

第五条 都道府県知事は、毎年、文部大臣の指示する時期に、教科書展示会を開かなければならない。

2 教科書展示会に関しては、省令をもつてその基準を定める。

第六条 文部大臣は、第四条の届出に基き目録を作成し、都道府県知事にこれを送付するものとする。

2 都道府県知事は、前項の目録を当該都道府県の区域内にある第二条第一項に規定する学校に、配布するものとする。

3 発行者は、第四条によつて届け出た教科書の見本を、前条の教科書展示会に出品することができる。

第七条 国立の学校の長は、教科書の需要数を、都道府県知事に報告しなければならない。

2 都道府県知事は、都道府県内の教科書の需要数を、省令の定めるところにより、文部大臣に報告しなければならない。

第八条 文部大臣は、前条第二項の需要数を基礎にして、発行者にその発行すべき教科書の種類及び部数を指示(以下発行の指示という。)しなければならない。

第九条 文部大臣は、左の各号の一に当る事由があるときは、需要者の意思を考慮して、他の発行者に発行の指示を行うことができる。

一 需要数が教科書の発行に不十分なとき。

二 発行者の事業能力、信用状態が教科書の発行に不適当と認められるとき。

三 発行者が文部大臣の指示した発行を引き受けないとき。

四 第十四条又は第十五条の規定により発行の指示の全部又は一部を取り消したとき。

第十条 発行の指示を承諾した者は、省令の定めるところに従い、教科書を発行する義務を負う。

2 発行者は、教科書を各学校に供給するまで、発行の責任を負うものとする。

3 文部大臣は、必要に応じ、発行者から報告をとり、又はその業務の履行の状況を調査することができる。

第十一条 教科書の定価は、文部大臣の認可を経なければならない。

第十二条 発行者は、発行の指示を受けた日から十五日以内に、発行部数に応じて定価の三分にあたる保証金を、現金又は省令の定める種類の有償証券をもつて文部大臣に納めなければならない。

第十三条 保証金は、第十条の義務を履行した後でなければ、その還付を請求し、又はその債権を譲渡することができない。

第十四条 第十条第一項の義務に違反する行為があると認めるときは、文部大臣は、発行の指示を取り消し、又はその後三年間、発行の指示を行わないことができる。

茅十五条 第十二条に定める保証金の全部又は一部を納めない者に対しては、文部大臣は、発行の指示の全部又は一部を取り消すことができる。

第十六条 発行者において、第十条第一項の義務に違反する行為があると認められるときは、保証金は、これを国庫に帰属せしめることができる。

第十七条 この法律に定めるものの外、この法律施行のため必要な事項は、省令でこれを定める。

第十八条 この法律の規定は、教科書以外の教授上用いられる図書であつて、文部大臣の指定したものに、これを準用する。

附 則

この法律は、公布の日から、これを施行する。

(文部・内閣総理大臣署名)

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