へい獣処理場等に関する法律
法律第百四十号(昭二三・七・一二)
第一条 この法律で「獣畜」とは、牛、馬、豚、めん羊及び山羊をいう。
2 この法律で「へい獣」とは、死んだ獣畜をいう。
3 この法律で「へい獣処理場」とは、へい獣取扱場及び化製場をいう。
4 この法律で「へい獣取扱場」とは、へい獣を解体し、埋却し、若しくは焼却するために設けられた施設又は区域で、へい獣取扱場として都道府県知事の許可を受けたものをいう。
5 この法律で「化製場」とは、獣畜の肉、皮、骨、臓器等を原料として皮革、油脂、にかわ、肥料、飼料その他の物を製造するために設けられた施設で、化製場として都道府県知事の許可を受けたものをいう。
第二条 へい獣の解体、埋却若しくは焼却はへい獣取扱場以外の施設又は区域で、これを行つてはならない。但し、都道府県知事が許可した場合はこの限りでない。
2 獣畜の肉、皮、骨、臓器等を原料とする皮革、油脂、にかわ、肥料、飼料その他の物の製造は、化製場以外の施設で、これを行つてはならない。
第三条 へい獣取扱場又は化製場を設けようとする者は、省令の定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 前項の規定により設けたへい獣処理場の施設又は区域を変更しようとする者も、同様とする。
第四条 都道府県知事は、へい獣処理場の設置の場所が左の各号の一に該当するとき又はその構造設備が公衆衛生上不適当であると認めるときは、前条の許可を与えないことができる。但し、この場合においては、都道府県知事は、理由を附した書面をもつて、その旨を通知しなければならない。
一 人家が密集してる場所
二 飲料水が汚染される虞のある場所
三 その他都道府県知事が公衆衛生上害を生ずる虞のある場所として指定する場所
第五条 へい獣処理場の所有者又は管理者は、左に掲げる措置を講じなければならない。
一 へい獣処理場の内外は、常に清潔にし、汚物処理を十分にすること。
二 こん虫の発生の防止及び駆除に努めること。
三 その他都道府県知事が定める衛生上必要な措置。
第六条 都道府県知事は、公衆衛生上の見地から必要があると認めるときは、へい獣処理場の所有者又は管理者から必要な報告を求め、又は当該吏員に、へい獣処理場に立ち入り、前条の規定による措置の実施の状況を検査させることができる。
2 前項の規定により当該吏員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
第七条 都道府県知事は、へい獣処理場の所有者又は管理者が、へい獣処理場につき第五条の規定による措置を講じない場合においては、第三条の許可を取り消し、又は期間を定めてその施設の使用の制限若しくは禁止を命ずることができる。
2 都道府県知事が、前項の処分をしようとするときは、あらかじめ当該管理者に、その処分の原因と認められる違反行為を文書をもつて通知し、当該管理者又はその代理人が公開の聴聞において弁明し、且つ有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
第八条 左の各号の一に該当する者は、これを六月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第三条(第十一条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 前条(第十一条及び第十二条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者
第九条 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若くは科料に処する。
一 第二条(第十一条及び第十二条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二 第六条第一項(第十一条及び第十二条において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は当該吏員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金又は科料を科する。
第十一条 第二条から第七条までの規定は、魚類又は鳥類の肉、皮、骨、臓器等を原料として油脂、にかわ、肥料又は飼料その他の物を製造する施設及び獣畜、魚類又は鳥類の肉、皮、骨、臓器等を化製場に供給するために貯蔵する施設にこれを準用する。
第十二条 第五条から第七条までの規定は、警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)第四十条にいう市及び市街的町村の区域内において獣畜を収容し、又は飼養する施設に、これを準用する。
附 則
第十三条 この法律は、昭和二十三年七月十五日から、これを施行する。
第十四条 この法律施行の際、現に従前の命令の規定により許可を受けて、へい獣取扱場又は化製場を設けている者は、これを第三条第一項の許可を受けたものとみなす。
第十五条 昭和二十三年一月一日からこの法律施行の日までに、新たにへい獣取扱場又は化製場を設け、この法律施行の際現にこれを経営している者は、この法律施行の日から二月間は、第三条第一項の規定にかかわらず引き続きこれを経営することができる。
2 前項の規定に該当する者は、この法律施行後二月以内に、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
3 前項の届出をした者は、第三条第一項の許可を受けたものとみなす。
第十六条 屠場法(明治三十九年法律第三十二号)の一部を次のように改正する。
第一条第二項中「牛、羊、豚及馬」を「牛、緬羊、山羊、豚及馬」に改める。
第二条、第六条、第九条、第十一条及び第十二条中「地方長官(東京府ニ於テハ警視総監)」を「都道府県知事」に改める。
第四条第二項中「食用ニ供スル部分」を「獣畜ノ全テノ部分」に改める。
第七条第二項中「地方長官」を「都道府県知事」に、「内務大臣」を「厚生大臣」に改める。
第十三条中「三百円以下ノ罰金」を「三年以下ノ懲役又は五万円以下ノ罰金」に改める。
第十八条 削除
(厚生・内閣総理大臣署名)