高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律

法律第六十号(平二・六・二九)

 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)の一部を次のように改正する。

 第二条の四の次に次の一条を加える。

 (高年齢者等職業安定対策基本方針)

第二条の五 労働大臣は、高年齢者等の職業の安定に関する施策の基本となるべき方針(以下「高年齢者等職業安定対策基本方針」という。)を策定するものとする。

2 高年齢者等職業安定対策基本方針に定める事項は、次のとおりとする。

 一 高年齢者等の就業の動向に関する事項

 二 高年齢者(六十五歳未満の者に限る。)の雇用の機会の増大の目標に関する事項

 三 第二条の三の事業主が行うべき職業能力の開発及び向上並びに作業施設の改善その他の諸条件の整備に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針となるべき事項

 四 前三号に掲げるもののほか、高年齢者等の職業の安定を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項

3 労働大臣は、高年齢者等職業安定対策基本方針を定めるに当たつては、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するとともに、中央職業安定審議会の意見を聴かなければならない。

4 労働大臣は、高年齢者等職業安定対策基本方針を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表しなければならない。

5 第二項の規定は、高年齢者等職業安定対策基本方針の変更について準用する。

 第三条第二項中「次章」を「前条、次章」に改める。

 第四条の四の次に次の二条を加える。

 (定年後の再雇用)

第四条の五 事業主は、定年(六十歳以上六十五歳未満のものに限る。)に達した者(次条において「定年到達者」という。)が当該事業主に再び雇用されることを希望するときは、その者が六十五歳に達するまでの間、その者を雇用するように努めなければならない。ただし、職業能力の開発及び向上並びに作業施設の改善その他の諸条件の整備を行つてもなおその者の能力に応じた雇用の機会が得られない場合又は雇用を継続することが著しく困難となつた場合は、この限りでない。

 (諸条件の整備に関する勧告)

第四条の六 公共職業安定所長は、定年到達者の安定した雇用の確保を図るため必要と認めるときは、当該事業主に対し、職業能力の開発及び向上並びに作業施設の改善その他の諸条件の整備の実施に関して必要な勧告をすることができる。

 第五十二条中「図るため」の下に「、高年齢者等職業安定対策基本方針に従い高年齢者の雇用の機会の増大に資する措置を講ずる事業主であつて」を加え、「範囲の年齢」を「年齢以上六十五歳未満」に、「超える事業主」を「超えるもの」に改める。

 第五十五条中「労働大臣は」の下に「、前項の毎年一回の報告のほか」を加え、「定年に関する制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況」を「同項に規定する状況」に改め、同条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

  事業主は、毎年一回、労働省令で定めるところにより、定年に関する制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況を労働大臣に報告しなければならない。

 第六十一条第二項中「十万円」を「二十万円」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二年十月一日から施行する。

 (罰則に関する経過措置)

第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (検討)

第三条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「新法」という。)の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (労働省設置法の一部改正)

第四条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三十九号の二の次に次の一号を加える。

  三十九の三 高年齢者等職業安定対策基本方針の策定に関すること。

  第五条第五十号中「基づいて、」の下に「高年齢者等職業安定対策基本方針及び中高年齢失業者等の就職促進の措置に関する計画を定め、並びに」を加え、「命じ、並びに中高年齢失業者等の就職促進の措置に関する計画を定める」を「命ずる」に改める。

(労働・内閣総理大臣署名) 

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