労働安全衛生法の一部を改正する法律

法律第七十八号(昭五五・六・二)

 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。

 第十条第一項中「又は衛生管理者を指揮」を「、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮を」に改める。

 第十一条第一項及び第十二条第一項中「業務のうち」を「業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち」に改める。

 第十五条第一項中「行なう」を「行う」に、「もつとも」を「最も」に、「行なわれる」を「行われる」に改め、「その者に」の下に「元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、」を加え、同条第三項中「行なわれる」を「行われる」に、「第三十条第一項各号」を「元方安全衛生管理者の指揮をさせるとともに、同条第一項各号」に改め、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。

4 第一項又は前項に定めるもののほか、第二十五条の二第一項に規定する仕事が数次の請負契約によつて行われる場合においては、第一項又は前項の規定により統括安全衛生責任者を選任した事業者は、統括安全衛生責任者に第三十条の二第五項において準用する第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、同条第一項各号の措置を統括管理させなければならない。

 第十五条の次に次の一条を加える。

 (元方安全衛生管理者)

第十五条の二 前条第一項又は第三項の規定により統括安全衛生責任者を選任した事業者で、建設業その他政令で定める業種に属する事業を行うものは、労働省令で定める資格を有する者のうちから、労働省令で定めるところにより、元方安全衛生管理者を選任し、その者に第三十条第一項各号の事項のうち技術的事項を管理させなければならない。

2 第十一条第二項及び第三項の規定は、元方安全衛生管理者について準用する。この場合において、これらの規定中「事業者」とあるのは、「当該元方安全衛生管理者を選任した事業者」と読み替えるものとする。

 第十六条第一項中「前条第一項」を「第十五条第一項」に、「行なう」を「行う」に、「行なわせ」を「行わせ」に改める。

 第二十五条の次に次の一条を加える。

第二十五条の二 建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事で、政令で定めるものを行う事業者は、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、次の措置を講じなければならない。

 一 労働者の救護に関し必要な機械等の備付け及び管理を行うこと。

 二 労働者の救護に関し必要な事項についての訓練を行うこと。

 三 前二号に掲げるもののほか、爆発、火災等に備えて、労働者の救護に関し必要な事項を行うこと。

2 前項に規定する事業者は、労働省令で定める資格を有する者のうちから、労働省令で定めるところにより、同項各号の措置のうち技術的事項を管理する者を選任し、その者に当該技術的事項を管理させなければならない。

 第二十六条中「前条まで」を「第二十五条まで及び前条第一項」に改める。

 第二十七条第一項及び第二十八条第一項中「第二十五条まで」の下に「及び第二十五条の二第一項」を加える。

 第三十条第一項中「行なわれる」を「行われる」に、「行なう」を「行う」に改め、第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。

 五 仕事を行う場所が仕事ごとに異なることを常態とする業種で、労働省令で定めるものに属する事業を行う特定元方事業者にあつては、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成すること。

 第三十条の次に次の一条を加える。

第三十条の二 第二十五条の二第一項に規定する仕事が数次の請負契約によつて行われる場合(第四項の場合を除く。)においては、元方事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事するすべての労働者に関し、同条第一項各号の措置を講じなければならない。この場合においては、当該元方事業者及び当該元方事業者以外の事業者については、同項の規定は、適用しない。

2 前条第二項の規定は、第二十五条の二第一項に規定する仕事の発注者について準用する。この場合において、前条第二項中「特定元方事業者」とあるのは「元方事業者」と、「特定事業の仕事を二以上」とあるのは「仕事を二以上」と、「前項に規定する措置」とあるのは「第二十五条の二第一項各号の措置」と、「特定事業の仕事の全部」とあるのは「仕事の全部」と読み替えるものとする。

3 前項において準用する前条第二項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、労働基準監督署長がする。

4 第二項において準用する前条第二項又は前項の規定による指名がされたときは、当該指名された事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事するすべての労働者に関し、第二十五条の二第一項各号の措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、同項の規定は、適用しない。

5 第二十五条の二第二項の規定は、第一項に規定する元方事業者及び前項の指名された事業者について準用する。この場合においては、当該元方事業者及び当該指名された事業者並びに当該元方事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、同条第二項の規定は、適用しない。

 第三十二条第一項中「行なう」を「行う」に、「これらの項」を「これら」に改め、同条第四項中「及び第二項」を「から第三項まで」に、「並びに前項」を「及び前項」に、「特定元方事業者」を「特定元方事業者等、第三十条の二第一項の元方事業者等」に改め、「第四項」の下に「、第三十条の二第一項若しくは第四項」を加え、「若しくは第二項」を「から第三項まで」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「第四項」の下に「、第三十条の二第一項若しくは第四項」を加え、「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 第三十条の二第一項又は第四項の場合において、第二十五条の二第一項各号の措置を講ずべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、第三十条の二第一項又は第四項の規定により講ぜられる措置に応じて、必要な措置を講じなければならない。

 第三十六条中「第四項」の下に「、第三十条の二第一項若しくは第四項」を加え、「第三十二条第一項若しくは第二項」を「第三十二条第一項から第三項まで」に、「第三十二条第三項」を「第三十二条第四項」に改める。

 第八十八条第五項中「、第一項」を「第一項」に、「第三項の規定による届出(以下「届出」という。)があつた場合において、」を「第四項の規定による届出があつた場合において、労働大臣は第三項の規定による届出があつた場合において、それぞれ」に改め、同項を同条第七項とし、同条第四項中「前項」を「前三項」に、「行なわれる」を「行われる」に、「行なう」を「行う」に改め、同項を同条第六項とし、同条第三項中「事業の仕事」の下に「(建設業に属する事業にあつては、前項の労働省令で定める仕事を除く。)」を加え、同項を同条第四項とし、同項の次に次の一項を加える。

5 事業者は、第三項の労働省令で定める仕事の計画及び前項の規定による届出に係る仕事のうち労働省令で定める仕事の計画を作成するときは、当該仕事から生ずる労働災害の防止を図るため、労働省令で定める資格を有する者を参画させなければならない。

 第八十八条第二項の次に次の一項を加える。

3 事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の三十日前までに、労働省令で定めるところにより、労働大臣に届け出なければならない。

 第八十九条第一項中「届出」を「前条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第三項又は第四項の規定による届出(以下「届出」という。)」に改める。

 第九十八条第一項中「第二十五条まで」の下に「、第二十五条の二第一項、第三十条の二第一項若しくは第四項」を加える。

 第百六条第二項中「、第五十七条の四」を削る。

 第百十九条第一号中「第二十五条まで」の下に「、第二十五条の二第一項、第三十条の二第一項若しくは第四項」を加え、同条第二号中「第八十八条第五項」を「第八十八条第七項」に改める。

 第百二十条第一号中「第十五条第一項若しくは第三項」を「第十五条第一項、第三項若しくは第四項」に、「第十六条第一項」を「第十五条の二第一項、第十六条第一項」に改め、「第十八条第一項」の下に「、第二十五条の二第二項(第三十条の二第五項において準用する場合を含む。)」を加え、「第三十二条第一項から第三項まで」を「第三十二条第一項から第四項まで」に、「、第百一条」を「から第五項まで、第百一条」に改め、同条第二号中「第十二条第二項」の下に「及び第十五条の二第二項」を加える。


   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第十五条第三項の次に一項を加える改正規定(第二十五条の二第一項各号の措置の統括管理に係る部分に限る。)、第二十五条の次に一条を加える改正規定(第二十五条の二第一項に係る部分に限る。)、第二十六条の改正規定、第二十七条第一項及び第二十八条第一項の改正規定、第三十条の次に一条を加える改正規定(第三十条の二第一項から第四項までに係る部分に限る。)、第三十二条の改正規定、第三十六条の改正規定、第八十八条の改正規定(改正後の同条第五項に係る部分に限る。)、第九十八条第一項の改正規定、第百十九条第一号の改正規定、第百二十条第一号の改正規定(「第十五条第一項若しくは第三項」を「第十五条第一項、第三項若しくは第四項」に改める部分(第十五条第四項については、第二十五条の二第一項各号の措置の統括管理に係る部分に限る。)、「第三十二条第一項から第三項まで」を「第三十二条第一項から第四項まで」に改める部分及び「、第百一条」を「から第五項まで、第百一条」に改める部分(改正後の第八十八条第五項に係る部分に限る。)に限る。)、次条第一項の規定並びに附則第三条第三項の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日

 二 第十条第一項の改正規定、第十一条第一項及び第十二条第一項の改正規定、第十五条第三項の次に一項を加える改正規定(第二十五条の二第一項各号の措置の統括管理に係る部分を除く。)、第二十五条の次に一条を加える改正規定(第二十五条の二第二項に係る部分に限る。)、第三十条の次に一条を加える改正規定(第三十条の二第五項に係る部分に限る。)、第百二十条第一号の改正規定(「第十五条第一項若しくは第三項」を「第十五条第一項、第三項若しくは第四項」に改める部分(第十五条第四項については、第二十五条の二第一項各号の措置の統括管理に係る部分を除く。)及び「第十八条第一項」の下に「、第二十五条の二第二項(第三十条の二第五項において準用する場合を含む。)」を加える部分に限る。)並びに次条第二項の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日

 (経過措置)

第二条 改正後の労働安全衛生法(以下「新法」という。)第二十五条の二第一項に規定する仕事で、前条第一号に定める日前に開始され、かつ、同日から起算して三月以内に終了する予定であるものについては、同項及び新法第三十条の二第一項から第四項までの規定は、適用しない。

2 新法第二十五条の二第一項に規定する仕事で、前条第二号に定める日前に開始され、かつ、同日から起算して三月以内に終了する予定であるものについては、新法第二十五条の二第二項(新法第三十条の二第五項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。

第三条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に改正前の労働安全衛生法第八十八条第三項の規定により計画の届出をした事業者に対する仕事の開始の差止め又は当該計画の変更の命令については、なお従前の例による。

2 新法第八十八条第三項の労働省令で定める仕事で、施行日から起算して、十四日を経過する日から三十日を経過する日までの間に開始しようとするものの計画の届出については、同項中「三十日」とあるのは「十四日」と、「労働大臣」とあるのは「労働基準監督署長」と、同条第七項中「労働大臣」とあるのは「労働基準監督署長」とする。

3 附則第一条第一号に定める日から起算して三月以内に開始される新法第八十八条第五項に規定する仕事の計画の作成については、同項の規定は、適用しない。

第四条 この法律の施行前にした行為及び前条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる命令に係る違反の行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(労働・内閣総理大臣署名) 

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