物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律

法律第七十号(昭四八・八・一一)

 (趣旨)

第一条 この法律は、物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)(以下「条約」という。)を実施するため、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)及び関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)の特例その他必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 通関手帳 条約の定めるところに従い発給される条約第一条(d)に規定するATAカルネをいう。

 二 保証団体 第五条第一項の規定により大蔵大臣の認可を受けた者をいう。

 三 輸入税 関税及び輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三十年法律第三十七号。以下「徴収法」という。)第二条第一号に規定する内国消費税をいう。


 (通関手帳による通関等)

第三条 関税定率法第十七条第一項各号の物品のうち政令で定める物品は、通関手帳(保証団体が輸入税を保証する者として記載されているものに限る。第五条第一項及び第六項を除き、以下同じ。)による輸入をすることができる。

2 関税法第六十三条第一項の規定に基づく運送(以下「保税運送」という。)は、通関手帳により行なうことができる。

3 通関手帳による物品の輸入又は保税運送をする者は、政令で定めるところにより、当該通関手帳につき保証団体の確認を受けなければならない。


 (再輸出期間)

第四条 通関手帳による輸入がされる物品に対する関税定率法第十七条の規定の適用については、同条第一項の期間は、当該物品の輸入の許可の日から当該通関手帳の有効期限の到来する日までの期間(以下「有効期間」という。)とする。ただし、同項第十一号に該当する物品については、当該有効期間が同項の政令で定める期間をこえる場合には、当該政令で定める期間とし、当該政令で定める期間をこえることがやむを得ないと認められる理由があり、政令で定めるところにより税関長の承認を受けた場合には、当該有効期間の範囲内において税関長が指定する期間とする。


 (保証団体)

第五条 通関手帳を発給し、及び第三条の通関手帳による輸入又は保税運送がされる物品に係る輸入税を保証することができる者となるには、大蔵大臣の認可を受けなければならない。

2 前項の認可を申請するには、申請書に、定款、事業計画書及び業務方法書その他大蔵省令で定める書類を添えて、これを大蔵大臣に提出しなければならない。

3 大蔵大臣は、第一項の認可の申請者が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。

 一 条約に基づく保証のための組織に加入することが確実な法人であること。

 二 輸入税の納付その他保証団体の業務を適正に遂行するに足りる能力があること。

4 保証団体は、通関手帳による輸入をした者又は通関手帳による保税運送の承認を受けた者が、関税定率法第十七条第四項(徴収法第十三条第三項において準用する場合を含む。)又は関税法第六十五条第一項及び徴収法第十一条第三項の規定により輸入税を徴収されることとなつたときは、条約の定めるところに従い、その者と連帯して当該輸入税を納付する義務を負う。

5 保証団体は、第三項第一号に規定する組織に加入したときは、直ちに、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。

6 保証団体は、前項の届出をした後でなければ、通関手帳を発給してはならない。

7 保証団体は、その業務を廃止しようとするときは、大蔵省令で定めるところにより、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。

8 大蔵大臣は、保証団体が第三項各号の一に適合しなくなつたと認めるとき、保証団体がこの法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反したとき、又は保証団体から前項の届出があつたときは、第一項の認可を取り消すことができる。

9 前項の規定により認可が取り消された場合において、当該認可を取り消された日前に発給された通関手帳があるときは、当該通関手帳については、当該認可を取り消された者を保証団体とみなして、この法律を適用する。


 (担保の提供等)

第六条 大蔵大臣は、輸入税の保全のため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、保証団体に対し、金額及び期間を指定し、輸入税につき担保の提供を命ずることができる。

2 大蔵大臣は、必要があると認めるときは、前項の金額又は期間を変更することができる。

3 大蔵大臣は、第一項の規定により担保を徴した場合において、保証団体が納付すべき輸入税がその納期限までに完納されないときは、税関長に、その担保として提供された財産の処分その他の処分を行なわせるものとする。

4 国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第五十二条の規定は、前項の処分について準用する。


 (報告の徴取及び検査)

第七条 大蔵大臣は、必要があると認めるときは、保証団体に対し業務若しくは財産に関し報告をさせ、又はその職員をして保証団体の事務所に立ち入り、業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。



 (政令への委任)

第八条 前各条に規定するもののほか、条約及びこの法律の実施に関し必要な事項は、政令で定める。


 (罰則)

第九条 第七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、五万円以下の罰金に処する。

第十条 保証団体の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、保証団体の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その保証団体に対して同条の罰金刑を科する。


   附 則

 この法律は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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