国民生活センター法
法律第九十四号(昭四五・五・二三)
目次
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 役員等(第七条―第十七条)
第三章 業務(第十八条・第十九条)
第四章 財務及び会計(第二十条―第二十八条)
第五章 監督(第二十九条・第三十条)
第六章 雑則(第三十一条・第三十二条)
第七章 罰則(第三十三条・第三十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 国民生活センタ―は、国民生活の安定及び向上に寄与するため、総合的見地から、国民生活に関する情報の提供及び調査研究を行なうことを目的とする。
(法人格)
第二条 国民生活センター(以下「センター」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 センターは、事務所を東京都に置く。
(資本金)
第四条 センターの資本金は、次に掲げる金額の合計額とする。
一 二億円
二 別表に掲げる土地及びその定着物の価格の合計額に相当する金額
三 附則第七条第二項の規定により政府から出資があつたものとされる金額
2 政府は、センターの設立に際し、二億円と前項第二号の金額との合計額を出資するものとする。
3 政府は、必要があると認めるときは、センターに追加して出資することができる。
4 センターは、前項の規定による政府の出資があつたときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
5 政府は、第三項の規定によりセンターに出資するときは、金銭以外の財産を出資の目的とすることができる。
6 政府が出資の目的とする金銭以外の財産の価格は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価格とする。
7 前項の評価委員その他同項の規定による評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(登記)
第五条 センターは、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第六条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、センターについて準用する。
第二章 役員等
(役員)
第七条 センターに、役員として、会長一人、理事長一人、理事五人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第八条 会長は、センターを代表し、その業務を総理する。
2 理事長は、センターを代表し、会長の定めるところにより、会長を補佐してセンターの業務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行なう。
3 理事は、会長の定めるところにより、会長及び理事長を補佐してセンターの業務を掌理し、会長及び理事長に事故があるときはその職務を代理し、会長及び理事長が欠員のときはその職務を行なう。
4 監事は、センターの業務を監査する。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、会長又は経済企画庁長官に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第九条 会長、理事長及び監事は、内閣総理大臣が任命する。
2 理事は、内閣総理大臣の認可を受けて、会長が任命する。
(役員の任期)
第十条 会長、理事長及び理事の任期は、四年とし、監事の任期は、二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十一条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
(役員の解任)
第十二条 内閣総理大臣又は会長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣又は会長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 会長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、経済企画庁長官の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
(運営協議会)
第十五条 センターに、運営協議会を置く。
2 会長は、センターの業務の運営の基本方針及び毎事業年度の事業計画について、あらかじめ、運営協議会の意見をきかなければならない。
3 運営協議会は、前項に規定する事項のほか、センターの業務の運営に関する重要事項について、会長の諮問に応じて審議し、又は会長に意見を述べることができる。
4 運営協議会は、委員三十人以内で組織する。
5 委員は、センターの業務に関し学識経験を有する者並びに関係行政機関の職員及び地方公共団体の長のうちから、内閣総理大臣の認可を受けて、会長が任命する。
6 学識経験を有する者のうちから任命された委員の任期は、二年とする。
7 委員は、再任されることができる。
(職員の任命)
第十六条 センターの職員は、会長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第十七条 センターの役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
(業務)
第十八条 センターは、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 国民生活の改善に関する情報を提供すること。
二 国民生活に関する苦情、問合せ等に対して情報を提供すること。
三 前二号に掲げる業務に類する業務を行なう行政庁、団体等の依頼に応じて国民生活に関する情報を提供すること。
四 国民生活の実情及び動向に関する総合的な調査研究を行なうこと。
五 国民生活に関する情報を収集すること。
六 前各号に掲げる業務に附帯する業務
第十九条 センターは、経済企画庁長官の認可を受けて、前条第四号に掲げる業務の委託を受け、又は同号から同条第六号までに掲げる業務の一部を委託することができる。
第四章 財務及び会計
(事業年度)
第二十条 センターの事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算等の認可)
第二十一条 センターは、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、経済企画庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第二十二条 センターは、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に経済企画庁長官に提出して、その承認を受けなければならない。
2 センターは、前項の規定により財務諸表を経済企画庁長官に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添附しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第二十三条 センターは、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 センターは、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第二十四条 センターは、経済企画庁長官の認可を受けて、短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、経済企画庁長官の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(余裕金の運用)
第二十五条 センターは、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債、地方債その他経済企画庁長官の指定する有価証券の取得
二 銀行への預金又は郵便貯金
三 信託会社又は信託業務を行なう銀行への金銭信託
(財産の処分等の制限)
第二十六条 センターは、総理府令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、経済企画庁長官の認可を受けなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第二十七条 センターは、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、経済企画庁長官の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(総理府令への委任)
第二十八条 この法律に規定するもののほか、センターの財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第五章 監督
(監督)
第二十九条 センターは、経済企画庁長官が監督をする。
2 経済企画庁長官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、センターに対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第三十条 経済企画庁長官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、センターに対しその業務に関し報告をさせ、又はその職員にセンターの事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(解散)
第三十一条 センターの解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第三十二条 内閣総理大臣は、第二十六条又は第二十八条の規定による総理府令を定めようとするときは、大蔵大臣に協義しなければならない。
2 経済企画庁長官は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第二十一条、第二十四条第一項若しくは第二項ただし書又は第二十六条の規定による認可をしようとするとき
二 第二十二条第一項又は第二十七条の規定による承認をしようとするとき。
三 第二十五条第一号の規定による指定をしようとするとき。
第七章 罰則
第三十三条 第三十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をしたセンターの役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第三十四条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をしたセンターの役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により内閣総理大臣又は経済企画庁長官の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第十八条に規定する業務以外の業務を行なつたとき
四 第二十五条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第二十九条第二項の規定による経済企画庁長官の命令に違反したとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十条から第十八条までの規定は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(センターの設立)
第二条 内閣総理大臣は、センターの会長、理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された会長、理事長又は監事となるべき者は、センターの成立の時において、この法律の規定により、それぞれ会長、理事長又は監事に任命されたものとする。
第三条 経済企画庁長官は、設立委員を命じて、センターの設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、センターの設立の準備を完了したときは、遅滞なく、政府に対し、出資金の払込み及び出資の目的たる財産の給付を求めなければならない。
3 設立委員は、出資金の払込み及び出資の目的たる財産の給付があつた日において、その事務を前条第一項の規定により指名された会長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された会長となるべき者は、前条第三項の指定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 センターは、設立の登記をすることによつて成立する。
(持分の払いもどし)
第六条 政府以外の者が国民生活研究所(以下「研究所」という。)に出資した金額については、当該出資者は、研究所に対し、総理府令で定めるところにより、当該持分の払いもどしを請求することができる。
2 研究所は、前項の規定による請求があつたときは、国民生活研究所法(昭和三十七年法律第八十号)第五条第一項の規定にかかわらず、当該持分に係る出資額に相当する金額により払いもどしをしなければならない。
(研究所の解散等)
第七条 研究所は、センターの成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時においてセンターが承継する。
2 研究所の解散の時までに政府から研究所に対して出資された金額は、センターの設立に際して政府からセンターに対し出資されたものとする。
3 研究所の解散の日の前日を含む事業年度に係る決算及び損益の処理については、なお従前の例による。
4 第一項の規定により研究所が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(経過規定)
第八条 センターの最初の事業年度は、第二十条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和四十六年三月三十一日に終わるものとする。
第九条 センターの最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、第二十一条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「センターの成立後遅滞なく」とする。
(国民生活研究所法の廃止)
第十条 国民生活研究所法は、廃止する。
(罰則に関する経過規定)
第十一条 前条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(所得税法の一部改正)
第十二条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中
「 |
国民生活研究所 |
国民生活研究所法(昭和三十七年法律第八十号) |
」 |
を
「 |
国民生活センター |
国民生活センター法(昭和四十五年法律第九十四号) |
」 |
に改める。
(法人税法の一部改正)
第十三条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中国立教育会館の項の前に次のように加える。
国民生活センター |
国民生活センター法(昭和四十五年法律第九十四号) |
別表第二第一号の表中国民生活研究所の項を削る。
(印紙税法の一部改正)
第十四条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二中国民金融公庫の項の次に次のように加える。
国民生活センター |
国民生活センター法(昭和四十五年法律第九十四号) |
(登録免許税法の一部改正)
第十五条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第二中国民金融公庫の項の次に次のように加える。
国民生活センター |
国民生活センター法(昭和四十五年法律第九十四号) |
(地方税法の一部改正)
第十六条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第三号中「国際観光振興会」の下に「、国民生活センター」を加える。
第七十二条の五第一項第六号中「、国民生活研究所」を削る。
第七十三条の四第一項に次の一号を加える。
二十四 国民生活センターが国民生活センター法(昭和四十五年法律第九十四号)第十八条第一号から第五号までに規定する業務の用に供する不動産で政令で定めるもの
第三百四十八条第二項に次の一号を加える。
二十九 国民生活センターが国民生活センター法第十八条第一号から第五号までに規定する業務の用に供する固定資産で政令で定めるもの
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第十七条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「オリンピック記念青少年総合センター」の下に「、国民生活センター」を加える。
(経済企画庁設置法の一部改正)
第十八条 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第七条の二第六号中「国民生活研究所」を「国民生活センター」に改める。
別表
東京都港区高輪三丁目十三番地 所在
宅地 千四百三十四平方メートル
(内閣総理・法務・大蔵・自治大臣署名)