農林物資規格法の一部を改正する法律
法律第九十二号(昭四五・五・二三)
農林物資規格法(昭和二十五年法律第百七十五号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律
第一条中「且つ」を「かつ」に、「消費の合理化を図り、あわせて」を「消費の合理化を図るとともに、農林物資の品質に関する適正な表示を行なわせることによつて一般消費者の選択に資し、もつて」に改める。
第二条第一項を次のように改める。
この法律で「農林物資」とは、次の各号に掲げる物資をいう。ただし、酒類並びに薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品、医薬部外品及び化粧品を除く。
一 飲食料品及び油脂
二 農産物、林産物、畜産物及び水産物並びにこれらを原料又は材料として製造し、又は加工した物資(前号に掲げるものを除く。)であつて、政令で定めるもの
第二条第二項中「農林物資の等級及びその標準(荷造、包装等の条件を含む。)」を「農林物資の品質(その形状、寸法、量目又は荷造り、包装等の条件を含む。以下同じ。)についての基準及びその品質に関する表示(名称の表示を含み、栄養成分の表示を除く。以下同じ。)の基準」に、「第八条」を「第七条」に改め、同条第三項中「第十七条第二項」を「第十六条第二項」に改める。
第三条第二項及び第三項を次のように改める。
2 調査会は、農林大臣の諮問に応じ、日本農林規格の制定及び普及、農林物資の品質に関する表示の適正化その他この法律の施行に関する重要事項を調査審議する。
3 調査会は、前項に規定する事項に関し、農林大臣に意見を述べることができる。
第四条第一項中「五十人」を「二十人」に改め、同条第二項から第四項までを次のように改める。
2 調査会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。
3 委員は学識経験のある者のうちから、専門委員は関係行政機関の職員又は学識経験のある者のうちから、それぞれ農林大臣が任命する。
4 委員及び専門委員は、非常勤とする。
第六条を次のように改める。
第六条 前三条に規定するもののほか、調査会の組織及び運営に関し必要な事項は、省令で定める。
第七条を削る。
第八条に次の二項を加える。
3 農林大臣は、需要者がその購入に際し容易にその品質を識別することができると認められる農林物資について、第一項の規定により規格を制定するときは、その品質に関する表示の基準を定めないことができる。
4 農林大臣は、第一項の規定により規格を制定しようとするときは、調査会の意見をきかなければならない。
第八条を第七条とし、第九条を第八条とし、第十条を削る。
第十一条中「前三条」を「前二条」に改め、同条を第九条とし、第十二条から第十四条までを二条ずつ繰り上げる。
第十五条第四項中「前三項」を「前各項」に、「外」を「ほか」に改め、同項を同条第五項とし、同条第一項から第三項までを一項ずつ繰り下げ、同条に第一項として次の一項を加え、同条を第十三条とする。
農林大臣は、必要があると認めるときは、日本農林規格を制定すべきかどうか、又は制定すベき日本農林規格の案について、公聴会を開いて利害関係人の意見をきくことができる。
第十六条の見出しを「(格付けの表示)」に改め、同条第二項中「規格証票」を「格付けの表示」に、「により表示されたもの」を「による表示」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項中「条例で定めるところにより」の下に「、省令で定める格付けの方法に従い」を加え、「により格付を行つた」を「による格付けを行なつた」に、「格付をしたことを示す証票(以下「規格証票」という。)」を「格付けをしたことを示す特別な表示(以下「格付けの表示」という。)」に、「省令で定めるところにより」を「当該省令で定める格付けの方法に従い」に改め、同項の次に次の一項を加える。
2 農林省の機関、都道府県又は登録格付機関は、日本農林規格による農林物資の格付けを円滑に実施するため特に必要があるときは、あらかじめ農林大臣の承認を受けて、その格付けに関する業務のうち日本農林規格に適合するかどうかの判定その他の省令で定める業務以外のものを当該農林物資の製造若しくは加工(調整又は選別を含む。以下同じ。)を業とする者(以下「製造業者」という。)に行なわせ、又はその行なう判定の結果に基づいて当該農林物資の製造業者に当該農林物資若しくはその包装若しくは容器に格付けの表示を附させることができる。
第十六条を第十四条とし、同条の次に次の一条を加える。
第十五条 前条第二項の規定に基づき格付けの表示を附することができる農林物資の製造業者で農林大臣の認定を受けたものは、その表示を能率的に行なうため特に必要があるときは、同条第一項の規定による格付け前に、当該農林物資又はその包装若しくは容器に格付けの表示を附しておくことができる。
2 前項の規定により当該物資又はその包装若しくは容器に格付けの表示が附された農林物資は、前条第一項の規定による格付けが行なわれた後でなければ、譲り渡し、譲渡しの委託をし、又は譲渡しのために陳列してはならない。
3 第一項の規定により農林物資又はその包装若しくは容器に格付けの表示を附した農林物資の製造業者は、その表示が、当該農林物資に係る前条第一項の規定による格付けの結果と一致しないことが明らかとなつたときは、遅滞なく、その表示を除去し、又はまつ消しなければならない。
4 第一項の認定の技術的基準は、省令で定める。
第十七条第一項中「一万円」を「二万円」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 農林大臣は、前項の規定による登録の申請が次の各号に掲げる要件のすべてに適合していると認められるときは、省令で定めるところにより、その登録をしなければならない。
一 当該申請に係る農林物資の格付けのために使用する機械器具その他の設備、その格付けに従事する者の資格及び人員並びにその格付けを行なう区域が、これらの事項について農林大臣が定める基準に適合するものであること。
二 当該申請をした者が、営利を目的としない法人であり、かつ、当該申請に係る農林物資の格付けを適確かつ円滑に行なうのに十分な経理的基礎を有する者であること。
三 その登録をすることによつて当該申請に係る農林物資の格付けの能力が著しく過剰とならないこと。
第十七条第三項中「左の」を「次の」に改め、同項第一号中「行う」を「行なう」に、「終り」を「終わり」に改め、同項第二号中「次条第一項」を「第十七条の二第一項又は第二項」に、「取消」を「取消し」に改め、同項第三号を次のように改める。
三 第十七条の二第一項又は第二項の規定による登録の取消しの日前三十日以内にその取消しに係る法人の業務を行なう役員であつた者でその取消しの日から一年を経過しないものがその業務を行なう役員となつている法人
第十七条第四項各号列記以外の部分中「左に」を「次に」に、「行う」を「行なう」に改め、同項第一号中「登録番号」を「登録年月日及び登録番号」に改め、同項第三号中「格付を行う」を「格付けを行なう」に改め、同項に次の一号を加える。
四 登録格付機関が格付けを行なう区域及び格付けを行なう登録格付機関の事業所の所在地
第十七条第六項中「第四項第二号」を「第四項第二号若しくは第四号」に、「について変更があつたとき」を「を変更したとき、又はその登録に係る農林物資の格付けに関する業務を廃止したとき」に改め、同条を第十六条とし、同条の次に次の一条を加える。
(登録格付機関の格付けの義務)
第十七条 登録格付機関は、登録に係る種類の農林物資について格付けを行なうべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、その格付けを行なわなければならない。
第十七条の二の見出し中「取消」を「取消し」に改め、同条第三項中「第一項」の下に「又は第二項」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項又は前項」に、「行い」を「行ない」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項中「左の」を「次の」に、「期間」を「一年以内の期間」に、「行う格付」を「行なう格付け」に改め、同項第一号中「前条第二項に規定する登録基準」を「第十六条第二項第一号又は第二号に掲げる要件」に改め、同項第三号中「基く」を「基づく」に改め、同項の次に次の一項を加える。
2 農林大臣は、前項に規定する場合のほか、登録格付機関が、正当な理由がないのに、その登録を受けた日から一年を経過してもなおその登録に係る農林物資の格付けに関する業務を開始せず、又は一年以上継続してその格付けに関する業務を停止したときは、その登録を取り消すことができる。
第十八条を次のように改める。
(格付けの表示の禁止)
第十八条 農林省の機関、都道府県及び登録格付機関以外の者は、農林物資又はその包装若しくは容器に格付けの表示を附してはならない。ただし、農林物資の製造業者が、第十四条第二項又は第十五条第一項の規定に基づき、その製造若しくは加工に係る農林物資又はその包装若しくは容器に格付けの表示を附する場合には、この限りでない。
2 農林省の機関、都道府県又は登録格付機関は、第十四条第一項の規定による格付けを行なつた場合でなければ、農林物資又はその包装若しくは容器に格付けの表示を附してはならない。
3 何人も、農林物資又はその包装若しくは容器に格付けの表示と紛らわしい表示を附してはならない。
第十九条中「規格証票」を「格付けの表示」に、「まつ消した」を「除去し、又はまつ消した」に改める。
第十九条の次に次の三条を加える。
(改善命令等)
第十九条の二 農林大臣は、登録格付機関の行なう格付け又は農林物資の製造業者が第十四条第二項の規定に基づき行なう格付け(農林物資の製造業者が同項又は第十五条第一項の規定に基づき行なう格付けの表示を含む。)が適当でないと認めるときは、当該登録格付機関又は製造業者に対し、期間を定めてその改善を命じ、又は格付けの表示の除去若しくはまつ消を命ずることができる。
(製造業者等が守るべき表示の基準)
第十九条の三 農林大臣は、日本農林規格が制定されている農林物資(日本農林規格を制定することが必要と認められる農林物資で、相当と認められる期間内にこれに係る日本農林規格が制定されると見込まれるものを含む。)で、一般消費者がその購入に際してその品質を識別することが特に必要であると認められるもののうち、一般消費者の経済的利益を保護するためその品質に関する表示の適正化を図る必要があるものとして政令で指定するものについては、その指定のあつた後すみやかに、その品質に関する表示について、その製造業者又は販売業者が守るべき基準を定めなければならない。
2 農林大臣は、日本農林規格の制定されている農林物資について、前項の規定により品質に関する表示の基準を定める場合には、当該日本農林規格において定める品質に関する表示の基準に準拠しなければならない。
3 農林大臣は、第一項の規定により品質に関する表示の基準を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
4 第七条第四項並びに第十三条第一項、第四項及び第五項の規定は第一項の場合について、第十三条第二項から第五項までの規定は第一項の規定により定められた品質に関する表示の基準について準用する。
(表示に関する指示等)
第十九条の四 農林大臣は、前条第一項の規定により定められた品質に関する表示の基準を守らない製造業者又は販売業者があるときは、当該製造業者又は販売業者に対し、その基準を守るべき旨の指示をすることができる。
2 農林大臣は、前項の指示に従わない製造業者又は販売業者があるときは、その旨を公表することができる。
第二十条及び第二十一条を次のように改める。
(報告及び立入検査)
第二十条 農林大臣は、この法律の施行に必要な限度において、都道府県若しくは登録格付機関に対し、格付けに関する業務に関し必要な報告を求め、又はその職員に、登録格付機関の事務所、事業所若しくは倉庫に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 農林大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第十四条第二項の規定に基づき格付けに関する業務の一部を行ない、若しくは格付けの表示を附する製造業者若しくは第十九条の三第一項の規定により品質に関する表示の基準が定められている農林物資の製造業者若しくは販売業者に対し、その格付け(格付けの表示を含む。以下この項において同じ。)若しくは品質に関する表示に関し必要な報告を求め、又はその職員に、これらの者の工場、店舗、事務所若しくは倉庫その他の場所に立ち入り、格付け若しくは品質に関する表示の状況若しくは農林物資、その原料、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
3 第一項又は前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(農林大臣に対する申出)
第二十一条 何人も、次に掲げる場合には、省令で定める手続に従い、その旨を農林大臣に申し出て適切な措置をとるべきことを求めることができる。
一 格付けの表示を附された農林物資が日本農林規格に適合しないと認めるとき。
二 農林物資の品質に関する表示が適正でないため一般消費者の利益が害されていると認めるとき。
2 農林大臣は、前項に規定する申出があつたときは、必要な調査を行ない、その申出の内容が事実であると認めるときは、第十九条の二から第十九条の四までに規定する措置その他の適切な措置をとらなければならない。
第二十二条を削る。
第二十三条の見出し中「食品衛生法」を「食品衛生法等」に改め、同条中「食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)」の下に「又は不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)」を加え、同条を同二十二条とし、同条の次に次の一条を加える。
(権限の委任)
第二十三条 この法律に規定する農林大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を地方支分部局の長又は都道府県知事に委任することができる。
第二十四条中「左の」を「次の」に改め、同条第三号を同条第四号とし、同条第二号中「第十八条第一項」を「第十八条第一項又は第三項」に改め、同号を同条第三号とし、同条第一号中「第十三条」を「第十一条」に改め、同号の次に次の一号を加える。
二 第十五条第二項又は第三項の規定に違反した者
第二十四条の二中「左の」を「次の」に改め、同条第二号を同条第三号とし、同条第一号中「第十四条」を「第十二条」に改め、同号の次に次の一号を加える。
二 第十四条第二項の規定に違反して、農林大臣の承認を受けないで、製造業者に格付けに関する業務を行なわせ、又は格付けの表示を附させたとき。
第二十四条の三を次のように改める。
第二十四条の三 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 第十七条の三第一項の規定に違反した者
二 第二十条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第二十四条の四中「左の」を「次の」に改め、同条第一号中「第十七条第六項」を「第十六条第六項」に改め、同条第三号及び第四号を次のように改める。
三 第十九条の二の規定による格付けの表示の除去又はまつ消の命令に違反したとき。
四 第二十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三十日をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過規定)
2 この法律の施行の際現に改正前の農林物資規格法(以下「旧法」という。)第八条第一項の規定により制定されている日本農林規格は、改正後の農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(以下「新法」という。)第七条第一項の規定により制定された日本農林規格とみなす。
3 この法律の施行前に旧法第十六条第一項の規定により附した規格証票は、新法第十九条又は第二十一条の規定の適用に関しては、格付けの表示とみなす。
4 この法律の施行の日から起算して一年を経過するまでの間は、都道府県は、新法第十四条第一項の規定にかかわらず、この法律の施行の際現に条例で定められている格付けの方法に従い、農林物資について日本農林規格による格付けを行ない、当該農林物資又はその包装若しくは容器に格付けの表示を附することができる。
5 前項の規定により格付けを行なう都道府県についての新法第十八条第二項の規定の適用については、同項中「第十四条第一項」とあるのは、「農林物資規格法の一部を改正する法律(昭和四十五年法律第九十二号)附則第四項」とする。
6 この法律の施行の際現に旧法第十七条第二項の規定により農林大臣の登録を受けている法人は、新法第十六条第二項の規定により農林大臣の登録を受けた登録格付機関とみなす。
7 前項の規定により登録格付機関とみなされた法人についての登録の取消し及び日本農林規格により行なう格付けの停止の命令については、新法第十七条の二第一項及び第二項の規定にかかわらず、この法律の施行の日から起算して一年を経過するまでの間は、なお従前の例による。
8 前六項に規定するもののほか、この法律の施行前に旧法又は旧法に基づく命令の規定によつてした処分、手続その他の行為は、新法又は新法に基づく命令の相当規定によつてしたものとみなす。
9 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(農林省設置法の一部改正)
10 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第二十五条第二項中「農林物資」の下に「及び表示の基準(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)第十九条の三第一項に規定する品質に関する表示の基準をいう。)の定められた農林物資」を加え、「及び登録格付機関」を「並びに登録格付機関(同法第十四条第二項の規定に基づき格付けに関する業務の一部を行なう同項の製造業者を含む。)」に改める。
第三十四条第一項の表中農林物資規格調査会の項を次のように改める。
農林物資規格調査会 |
農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律によりその権限に属させた事項を行なうこと。 |
(工業標準化法の一部改正)
11 工業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)の一部を次のように改正する。
第二条第一号中「食料品その他農林物資規格法(昭和二十五年法律第百七十五号)による農林物資」を「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)による農林物資」に改める。
(農産物検査法の一部改正)
12 農産物検査法(昭和二十六年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項中「農林物資規格法」を「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」に改める。
(農林・内閣総理大臣署名)