昭和四十三年産米穀についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律

法律第一号(昭四四・三・六)

 (所得税及び法人税の特例)

第一条 個人又は農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第七項に規定する農業生産法人(以下「農業生産法人」という。)が、その生産した昭和四十三年産の米穀を、次の各号に掲げる米穀の区分に応じ当該各号に掲げる期間内に政府に売り渡した場合には、当該個人又は農業生産法人のその売渡しの日の属する年分の所得税又は同日を含む事業年度分の法人税については、政令で定めるところにより、当該米穀の売渡しの数量に応じ、玄米換算正味六十キログラムにつき、当該米穀の売渡しの時期及び生産される区域の区分に応ずる別表に掲げる金額の割合で計算した金額の合計額に相当する金額は、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第三十五号に規定する農業所得に係る同法第二十七条第二項の総収入金額(以下「農業所得に係る総収入金額」という。)に算入せず、又は当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する。この場合において、当該合計額に相当する金額に対応する費用の額として政令で定めるところにより計算した金額は、同項の必要経費に算入せず、又は当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入する。

 一 千葉県、新潟県、富山県、石川県及び福井県の各区域内で生産される米穀 昭和四十三年十一月十六日から昭和四十四年四月十五日までの期間

 二 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、長野県、三重県、滋賀県及び島根県の各区域内で生産される米穀 昭和四十三年十二月十六日から昭和四十四年五月十五日までの期間

 三 前二号に掲げる区域以外の区域内で生産される米穀 昭和四十四年一月十六日から同年五月三十一日までの期間

2 前項前段の規定により損金の額に算入された金額から同項後段の規定により益金の額に算入された金額を控除した金額は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第十八号の規定の適用については同号イ(1)に規定する所得の金額に、同法第六十七条第二項及び第三項の規定の適用についてはこれらの規定に規定する所得等の金額にそれぞれ含まれるものとする。

 (所得税の経過的特例)

第二条 個人が、その生産した昭和四十三年産の米穀を政府に売り渡す旨を昭和四十三年八月三十一日までに申し込み、その申込みにより締結した契約に基づいて当該米穀を昭和四十四年三月十五日までに政府に売り渡した場合には、当該個人の昭和四十三年分の所得税については、政令で定めるところにより、当該米穀の売渡しの数量に応じ、玄米換算正味六十キログラムにつき二百八十円の割合で計算した金額は、農業所得に係る総収入金額に算入しない。

2 前項の規定は、個人がその生産した昭和四十三年産の米穀を政府に売り渡す旨を昭和四十三年八月三十一日までに申し込み、その申込みにより締結した契約に基づいて当該米穀を昭和四十四年三月十六日から次の各号に掲げる米穀の区分に応じ当該各号に掲げる日までの間に政府に売り渡す見込みであり、かつ、大蔵省令で定めるところにより納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合について準用する。この場合において、同項中「売渡しの数量」とあるのは、「売渡見込みの数量」と読み替えるものとする。

 一 前条第一項第一号に掲げる米穀 昭和四十四年四月十五日

 二 前条第一項第二号に掲げる米穀 昭和四十四年五月十五日

 三 前条第一項第三号に掲げる米穀 昭和四十四年五月三十一日

3 前項において準用する第一項の規定の適用を受けた者は、前項に規定する期間内に政府に売り渡した同項の米穀の数量が税務署長の承認を受けた売渡見込みの数量に満たないこととなる場合には、当該期間を経過した日から四月以内に、昭和四十三年分の所得税についての国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十九条第三項に規定する修正申告書(以下「修正申告書」という。)を提出し、かつ、当該期限内に当該申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならない。

4 前項の規定に該当することとなつた場合において、修正申告書の提出がないときは、納税地の所轄税務署長は、当該申告書に記載すべきであつた所得金額、所得税の額その他の事項につき国税通則法第二十四条又は第二十六条の規定による更正(以下「更正」という。)を行なう。

5 第三項の規定による修正申告書及び前項の更正に対する国税通則法の規定の適用については、次に定めるところによる。

 一 当該修正申告書で第三項に規定する提出期限内に提出されたものについては、国税通則法第二十条の規定を適用する場合を除き、これを同法第十七条第二項に規定する期限内申告書とみなす。

 二 当該修正申告書で第三項に規定する提出期限後に提出されたもの及び当該更正については、国税通則法第二章から第七章までの規定中「法定申告期限」とあり、及び「法定納期限」とあるのは「昭和四十三年産米穀についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律(昭和四十四年法律第一号)第二条第三項に規定する修正申告書の提出期限」と、同法第六十一条第一項第一号及び第六十五条第一項中「期限内申告書」とあるのは「所得税法第二条第一項第三十七号に規定する確定申告書」とする。

 三 国税通則法第六十一条第一項第二号及び第六十六条の規定は、前号に規定する修正申告書及び更正には、適用しない。

 (法人税の経過的特例)

第三条 農業生産法人が、その生産した昭和四十三年産の米穀を政府に売り渡す旨を昭和四十三年八月三十一日までに申し込み、その申込みにより締結した契約に基づいて当該米穀を前条第二項各号に掲げる米穀の区分に応じ当該各号に掲げる日までに政府に売り渡した場合には、当該農業生産法人のその売渡しの日を含む事業年度分の法人税については、政令で定めるところにより、当該米穀の売渡しの数量に応じ、玄米換算正味六十キログラムにつき二百八十円の割合で計算した金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

2 前項の規定により損金の額に算入された金額は、法人税法第二条第十八号の規定の適用については同号イ(1)に規定する所得の金額に、同法第六十七条第二項及び第三項の規定の適用についてはこれらの規定に規定する所得等の金額にそれぞれ含まれるものとする。


   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律の施行前に、第一条第一項又は第三条第一項に規定する売渡しの日を含む事業年度(以下「売渡事業年度」という。)分の法人税につき法人税法第二条第三十一号に規定する確定申告書(以下「確定申告書」という。)を提出し、又は国税通則法第二十五条の規定による決定(以下「決定」という。)を受けた農業生産法人は、第一条第一項又は第三条第一項の規定の適用により、次の各号に掲げる場合に該当することとなるときは、この法律の施行の日から二月以内に限り、政令で定めるところにより、税務署長に対し、当該各号に規定する金額につき国税通則法第二十三条第一項の規定による更正の請求をすることができる。

 一 売渡事業年度分の法人税につき確定申告書に記載した、又は決定を受けた法人税法第七十四条第一項第二号又は第四号に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)が過大となる場合

 二 売渡事業年度分の法人税につき確定申告書に記載した、又は決定を受けた法人税法第七十四条第一項第一号に掲げる欠損金額又は同項第三号若しくは第五号に掲げる金額(これらの金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)が過少となる場合

別表

売渡しの時期

(一) 千葉県、新潟県、富山県、石川県、及び福井県の各区域において生産される米穀

(二) 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、長野県、三重県、滋賀県及び島根県の各区域において生産される米殻

(三) (一)及び(二)の区域以外の区域において生産される米穀

昭和四十三年十一月十六日から同年十二月十五日まで

五四円

昭和四十三年十二月十六日から昭和四十四年一月十五日まで

一〇八円

五四円

昭和四十四年一月十六日から同年二月十五日まで

一六二円

一〇八円

五四円

昭和四十四年二月十六日から同年三月十五日まで

二一六円

一六二円

一〇八円

昭和四十四年三月十六日から同年四月十五日まで

二七〇円

二一六円

一六二円

昭和四十四年四月十六日から同年五月十五日まで

二七〇円

二一六円

昭和四十四年五月十六日から同月三十一日まで

二七〇円

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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