電気事業法

法律第百七十号(昭三九・七・一一)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 電気事業

  第一節 事業の許可(第三条―第十七条)

  第二節 業務

   第一款 供給(第十八条―第二十七条)

   第二款 広域的運営(第二十八条・第二十九条)

   第三款 監督(第三十条―第三十四条)

  第三節 会計及び財務(第三十五条―第四十条)

  第四節 電気工作物

   第一款 工事計画及び検査(第四十一条―第四十七条)

   第二款 保安(第四十八条―第五十七条)

  第五節 土地等の使用(第五十八条―第六十五条)

 第三章 電気事業用以外の電気工作物

  第一節 一般用電気工作物及び自家用電気工作物(第六十六条―第七十四条)

  第二節 指定調査機関(第七十五条―第八十五条)

 第四章 電気事業審議会及び電気主任技術者資格審査会(第八十六条―第九十九条)

 第五章 雑則(第百条―第百十四条)

 第六章 罰則(第百十五条―第百二十三条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによつて、公共の安全を確保することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「一般電気事業」とは、一般の需要に応じ電気を供給する事業をいう。

2 この法律において「一般電気事業者」とは、一般電気事業を営むことについて次条第一項の許可を受けた者をいう。

3 この法律において「卸電気事業」とは、一般電気事業者にその一般電気事業の用に供するための電気を供給することを主たる目的とする事業をいう。

4 この法律において「卸電気事業者」とは、卸電気事業を営むことについて次条第一項の許可を受けた者をいう。

5 この法律において「電気事業」とは、一般電気事業及び卸電気事業をいう。

6 この法律において「電気事業者」とは、一般電気事業者及び卸電気事業者をいう。

7 この法律において「電気工作物」とは、発電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物(船舶、車両又は航空機に設置されるものその他の政令で定めるものを除く。)をいう。

8 一般電気事業者が他の一般電気事業者に当該他の一般電気事業の用に供するための電気を供給する事業を営むときは、その事業は、一般電気事業とみなす。

   第二章 電気事業

    第一節 事業の許可

 (事業の許可)

第三条 電気事業を営もうとする者は、通商産業大臣の許可を受けなければならない。

2 前項の許可は、一般電気事業及び卸電気事業の区分により行なう。

 (許可の申請)

第四条 前条第一項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名及び住所

 二 供給区域又は供給の相手方たる一般電気事業者及び供給地点

 三 電気事業の用に供する電気工作物に関する次の事項

  イ 発電用のものにあつては、その設置の場所、原動力の種類、周波数及び出力

  ロ 変電用のものにあつては、その設置の場所、周波数及び出力

  ハ 送電用のものにあつては、その設置の場所、電気方式、設置の方法、回線数、周波数及び電圧

  ニ 配電用のものにあつては、その電気方式、周波数及び電圧

2 前項の申請書には、事業計画書、事業収支見積書その他通商産業省令で定める書類を添附しなければならない。

 (許可の基準)

第五条 通商産業大臣は、第三条第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

 一 その電気事業の開始が一般の需要又は一般電気事業の需要に適合すること。

 二 一般電気事業にあつては、その事業の用に供する電気工作物の能力がその供給区域における電気の需要に応ずることができるものであること。

 三 一般電気事業にあつては、その事業の開始によつてその供給区域の全部又は一部について一般電気事業の用に供する電気工作物が著しく過剰とならないこと。

 四 その電気事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。

 五 その電気事業の計画が確実であること。

 六 その他その電気事業の開始が電気事業の総合的かつ合理的な発達その他公共の利益の増進のため必要であり、かつ、適切であること。

 (許可証)

第六条 通商産業大臣は、第三条第一項の許可をしたときは、許可証を交付する。

2 許可証には、次の事項を記載しなければならない。

 一 許可の年月日及び許可の番号

 二 氏名又は名称及び住所

 三 供給区域又は供給の相手方たる一般電気事業者及び供給地点

 四 電気事業の用に供する電気工作物に関する次の事項

  イ 発電用のものにあつては、その設置の場所、原動力の種類、周波数及び出力

  ロ 変電用のものにあつては、その設置の場所、周波数及び出力

  ハ 送電用のものにあつては、その設置の場所、電気方式、設置の方法、回線数、周波数及び電圧

  ニ 配電用のものにあつては、その電気方式、周波数及び電圧

 (電気工作物の設置及び事業の開始の義務)

第七条 電気事業者は、事業の許可を受けた日から五年以内において通商産業大臣が指定する期間内に、前条第二項第四号の電気工作物を設置し、その事業を開始しなければならない。

2 通商産業大臣は、特に必要があると認めるときは、供給区域若しくは供給の相手方若しくは供給地点又は前条第二項第四号の電気工作物を区分して前項の規定による指定をすることができる。

3 通商産業大臣は、電気事業者から申請があつた場合において、正当な理由があると認めるときは、第一項の規定により指定した期間を延長することができる。

4 電気事業者は、その事業(第二項の規定により供給区域又は供給の相手方若しくは供給地点を区分して第一項の規定による指定があつたときは、その区分に係る事業)を開始したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

 (供給区域等の変更)

第八条 電気事業者は、第六条第二項第三号又は第四号の事項を変更しようとするときは、通商産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、同号の事項の変更であつて、通商産業省令で定める軽微なものをしようとするときは、この限りでない。

2 電気事業者は、前項ただし書の通商産業省令で定める変更をしたときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

3 第五条の規定は、第一項の許可に準用する。

4 前条の規定は、第一項の場合(供給区域又は供給の相手方若しくは供給地点の減少の場合を除く。)に準用する。

 (氏名等の変更)

第九条 電気事業者は、第六条第二項第二号の事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

 (事業の譲渡し及び譲受け並びに法人の合併)

第十条 電気事業の全部の譲渡し及び譲受けは、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

2 電気事業者たる法人の合併は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 第五条の規定は、前二項の認可に準用する。

 (承継)

第十一条 電気事業の全部の譲渡しがあり、又は電気事業者について相続若しくは合併があつたときは、電気事業の全部を譲り受けた者又は相続人若しくは合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、電気事業者の地位を承継する。

2 前項の規定により電気事業者の地位を承継した相続人は、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。


 (一般電気事業以外の事業)

第十二条 一般電気事業者は、一般電気事業以外の事業を営もうとするときは、通商産業大臣の許可を受けなければならない。

2 通商産業大臣は、一般電気事業者が一般電気事業以外の事業を営むことにより一般電気事業の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないと認めるときでなければ、前項の認可をしてはならない。

 (設備の譲渡し等)

第十三条 電気事業者は、電気事業の用に供する設備を譲り渡し、又は所有権以外の権利の目的としようとするときは、通商産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、通商産業省令で定める設備については、この限りでない。

2 通商産業大臣は、電気事業者がその設備を譲り渡し、又は所有権以外の権利の目的とすることにより電気事業の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないと認めるときでなければ、前項の許可をしてはならない。

 (事業の休止及び廃止並びに法人の解散)

第十四条 電気事業者は、電気事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、通商産業大臣の許可を受けなければならない。

2 電気事業者たる法人の解散の決議又は総社員の同意は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 通商産業大臣は、電気事業の休止若しくは廃止又は法人の解散により公共の利益が阻害されるおそれがないと認めるときでなければ、第一項の許可又は前項の認可をしてはならない。

 (事業の許可の取消し等)

第十五条 通商産事大臣は、電気事業者が第七条第一項の規定により指定した期間(同条第三項の規定による延長があつたときは、延長後の期間。以下同じ。)内に第六条第二項第四号の電気工作物を設置せず、又は事業を開始しないときは、第三条第一項の許可を取り消すことができる。

2 通商産業大臣は、前項に規定する場合を除くほか、電気事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるときは、第三条第一項の許可を取り消すことができる。

3 通商産業大臣は、前二項の規定による許可の取消しをしたときは、理由を記載した文書をその電気事業者に送付しなければならない。

第十六条 通商産業大臣は、第八条第一項の規定による第六条第二項第三号又は第四号の事項の変更の許可を受けた電気事業者が第八条第四項において準用する第七条第一項の規定により指定した期間内にその増加する供給区域において、若しくはその増加する供給の相手方に対し、若しくはその増加する供給地点において事業を開始せず、又はその期間内に第六条第二項第四号の事項を変更しないときは、その許可を取り消すことができる。

2 通商産業大臣は、一般電気事業者がその供給区域の一部において一般電気事業を行なつていない場合において、公共の利益を阻害すると認めるときは、その一部について供給区域を減少することができる。

3 前条第三項の規定は、第二項の場合に準用する。

 (一般電気事業者以外の者の供給)

第十七条 一般電気事業者以外の者であつて、一般電気事業者の供給区域における需要に応じ電気を供給する事業を営むものは、電気事業者にその電気事業の用に供するための電気を供給する場合を除き、供給の相手方及び供給地点ごとに、通商産業大臣の許可を受けなければならない。

2 通商産業大臣は、前項の者がその相手方にその供給地点において電気を供給することが一般電気事業者の供給区域内の電気の使用者の利益を阻害し、又は阻害するおそれがあると認めるときは、同項の許可をしてはならない。

    第二節 業務

     第一款 供給

 (供給義務)

第十八条 一般電気事業者は、正当な理由がなければ、その供給区域における一般の需要に応ずる電気の供給を拒んではならない。

2 一般電気事業者は、その供給区域以外の地域における一般の需要に応じ電気を供給してはならない。

3 電気事業者は、一般電気事業者にその一般電気事業の用に供するための電気の供給を約しているときは、正当な理由がなければ、電気の供給を拒んではならない。

4 電気事業者は、第三条第一項又は第八条第一項の許可を受けたところによるのでなければ、一般電気事業者にその一般電気事業の用に供するための電気を供給してはならない。

 (供給規程)

第十九条 一般電気事業者は、電気の料金その他の供給条件について供給規程を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 通商産業大臣は、前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。

 一 料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。

 二 料金が供給の種類により定率又は定額をもつて明確に定められていること。

 三 一般電気事業者及び電気の使用者の責任に関する事項並びに電気計器その他の用品及び配線工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められていること。

 四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。

 (供給規程の公表義務)

第二十条 一般電気事業者は、前条第一項の規定により供給規程の認可を受け、又は第二十三条第二項の規定による供給規程の変更があつたときは、その供給規程をその実施の日の十日前から、営業所及び事務所において、公衆の見やすい箇所に掲示しておかなければならない。

 (供給条件についての義務)

第二十一条 一般電気事業者は、第十九条第一項の認可を受けた供給規程(第二十三条第二項の規定による変更があつたときは、変更後の供給規程)以外の供給条件により電気を供給してはならない。ただし、第二十五条第一項の許可に係る契約により供給するとき、及び供給規程により難い特別の事情がある場合において、通商産業大臣の認可を受けた料金その他の供給条件(第二十三条第二項の規定による変更があつたときは、変更後の料金その他の供給条件)により供給するときは、この限りでない。

第二十二条 電気事業者は、通商産業大臣の認可を受けた料金その他の供給条件(次条第二項の規定による変更があつたときは、変更後の料金その他の供給条件)によるのでなければ、一般電気事業者にその一般電気事業の用に供するための電気を供給してはならない。ただし、第二十五条第一項の許可に係る契約により供給するとき、及び料金その他の供給条件を定め難い特別の事情がある場合において、通商産業大臣が期限を附して承認したときは、この限りでない。

2 第十九条第二項の規定は、前項の認可に準用する。この場合において、同項の認可を受けて電気を供給しようとする者が一般電気事業者であるときは、同条第二項第一号中「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」とあるのは、「適正な原価を下らず、かつ、供給の相手方たる一般電気事業者の電気の料金を適正にするもの」と読み替えるものとする。

 (供給規程等に関する命令及び処分)

第二十三条 通商産業大臣は、電気の料金その他の供給条件が社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり、公共の利益の増進に支障があると認めるときは、電気事業者に対し、相当の期限を定め、第十九条第一項の認可を受けた供給規程又は第二十一条ただし書若しくは前条第一項の認可を受けた料金その他の供給条件(次項の規定による変更があつたときは、変更後の供給規程又は料金その他の供給条件)の変更の認可を申請すべきことを命ずることができる。

2 通商産業大臣は、前項の規定による命令をした場合において、同項の期限までに認可の申請がないときは、供給規程又は料金その他の供給条件を変更することができる。

 (特定供給)

第二十四条 一般電気事業者は、その供給区域以外の地域における需要に応じ電気を供給しようとするときは、供給の相手方及び供給地点ごとに、通商産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、一般電気事業として供給するとき、及び次条第一項の許可に係る契約により供給するときは、この限りでない。

2 通商産業大臣は、前項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

 一 その一般電気事業の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。

 二 その供給が他の一般電気事業者の供給区域における需要に応じ行なわれるものであるときは、当該他の一般電気事業者がその供給を行なうことが容易かつ適切でないこと。

 (振替供給)

第二十五条 電気事業者は、他の者から電気の供給を受け、同時に、その供給を受ける地点以外の地点において、その者に、その供給を受ける電気の量に相当する量の電気を供給すべきことを定める契約をしようとするときは、通商産業大臣の許可を受けなければならない。

2 前項の規定は、卸電気事業者が一般電気事業者以外の者と同項の契約をしようとする場合には、適用しない。

3 第十三条第二項の規定は、第一項の許可に準用する。

 (電圧及び周波数)

第二十六条 一般電気事業者は、その供給する電気の電圧及び周波数の値を通商産業省令で定める値に維持するように努めなければならない。

2 一般電気事業者は、通商産業省令で定める方法により、その供給する電気の電圧及び周波数を測定し、その結果を記録しておかなければならない。

 (電気の使用制限等)

第二十七条 通商産業大臣は、電気の需給の調整を行なわなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、政令で定めるところにより、使用電力量の限度、使用最大電力の限度、用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて、一般電気事業者の供給する電気の使用を制限し、又は受電電力の容量の限度を定めて、一般電気事業者からの受電を制限することができる。

     第二款 広域的運営

 (電気事業者相互の協調)

第二十八条 電気事業者は、電源開発の実施、電気の供給、電気工作物の運用等その事業の遂行にあたり、広域的運営による電気事業の総合的かつ合理的な発達に資するように相互に協調しなければならない。

 (電気工作物の施設計画及び電気の供給計画)

第二十九条 通商産業大臣が指定する電気事業者(以下「指定電気事業者」という。)は、通商産業省令で定めるところにより、毎年度、当該年度以降の二年間について電気工作物の施設計画及び電気の供給計画を作成し、当該年度の開始前に、通商産業大臣に届け出なければならない。

2 前項の規定による指定は、広域的運営による電気事業の総合的かつ合理的な発達を図るためその事業の運営を調整することが必要と認められる者について行なう。

3 指定電気事業者は、電気工作物の施設計画又は電気の供給計画を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を通商産業大臣に届け出なければならない。

4 通商産業大臣は、電気工作物の施設計画又は電気の供給計画が広域的運営による電気事業の総合的かつ合理的な発達を図るため適切でないと認めるときは、指定電気事業者に対し、その施設計画又は供給計画を変更すべきことを勧告することができる。

     第三款 監督

 (電圧又は周波数の維持命令)

第三十条 通商産業大臣は、一般電気事業者の供給する電気の電圧又は周波数の値が第二十六条第一項の通商産業省令で定める値に維持されていないため、電気の使用者の利益を阻害していると認めるときは、一般電気事業者に対し、その値を維持するため電気工作物の修理又は改造、電気工作物の運用の方法の改善その他の必要な措置をすべきことを命ずることができる。

 (業務の方法の改善命令)

第三十一条 通商産業大臣は、前条に規定する場合のほか、事故により電気の供給に支障を生じている場合に一般電気事業者がその支障を除去するために必要な修理その他の措置をすみやかに行なわないとき、一般電気事業者が第六十七条第一項の規定による調査若しくは同条第二項の規定による通知をせず、又はその調査若しくは通知の方法が適当でないとき、その他電気の供給の業務の方法が適切でないため、電気の使用者の利益を阻害していると認めるときは、一般電気事業者に対し、その供給の業務の方法を改善すべきことを命ずることができる。

 (供給命令等)

第三十二条 通商産業大臣は、第二十九条第四項の規定による勧告をした場合において特に必要があり、かつ、適切であると認めるときは指定電気事業者に対し、災害その他非常の場合において公共の利益を確保するため特に必要があり、かつ、適切であると認めるときは電気事業者に対し、次の事項を命ずることができる。ただし、第二号の規定による命令は、卸電気事業者に対しては、することができない。

 一 一般電気事業者に電気を供給すること。

 二 電気事業者から電気の供給を受けること。

 三 電気事業者に電気工作物を貸し渡し、若しくは電気事業者から電気工作物を借り受け、又は電気事業者と電気工作物を共用すること。

 四 電気事業者から電気の供給を受け、同時に、その供給を受ける地点以外の地点において、その電気事業者に、その供給を受ける電気の量に相当する量の電気を供給すること。

 五 電気事業者に電気を供給し、同時に、その供給地点以外の地点において、その電気事業者から、その供給する電気の量に相当する量の電気の供給を受けること。

2 前項の規定による命令があつた場合において、当事者が支払い、又は受領すべき金額その他命令の実施に関し必要な細目は、当事者間の協議により定める。

第三十三条 前条第二項の協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、当事者は、通商産業大臣の裁定を申請することができる。

2 通商産業大臣は、前項の規定による裁定の申請を受理したときは、その旨を他の当事者に通知し、期間を指定して答弁書を提出する機会を与えなければならない。

3 通商産業大臣は、第一項の裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を当事者に通知しなければならない。

4 第一項の裁定があつたときは、その裁定の定めるところに従い、当事者間に協議がととのつたものとみなす。

第三十四条 前条第一項の裁定のうち当事者が支払い、又は受領すべき金額について不服のある者は、その裁定の通知を受けた日から三月以内に、訴えをもつてその金額の増減を請求することができる。

2 前項の訴えにおいては、他の当事者を被告とする。

3 前条第一項の裁定についての異議申立てにおいては、当事者が支払い、又は受領すべき金額についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。

    第三節 会計及び財務


 (会計の整理)

第三十五条 電気事業者は、通商産業省令で定めるところにより、その事業年度並びに勘定科目の分類及び貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する諸表の様式を定め、その会計を整理しなければならない。


 (償却等)

第三十六条 通商産業大臣は、電気事業の適確な遂行を図るため特に必要があると認めるときは、電気事業者に対し、電気事業の用に供する固定資産に関する相当の償却につき方法若しくは額を定めてこれを行なうべきこと又は方法若しくは額を定めて積立金若しくは引当金を積み立てるべきことを命ずることができる。


 (資産の価額)

第三十七条 通商産業大臣は、電気事業者が財産目録その他の書類に記載した電気事業の用に供する資産について附した価額が適正でなく、公共の利益を阻害するおそれがあると認めるときは、その価額を変更すべきことを命ずることができる。


 (渇水準備引当金)

第三十八条 電気事業者は、毎事業年度において、河川の流量の増加により水力発電所において発生した電気の量が通商産業省令で定める量をこえたため、電気事業の収益が増加し、又は電気事業の費用が減少したときは、通商産業省令で定める額に達するまで、その増加し、又は減少した額を渇水準備引当金として積み立てなければならない。

2 前項の規定により積み立てた渇水準備引当金は、特別の理由がある場合において、通商産業大臣の許可を受けたときを除き、毎事業年度において、河川の流量の減少により水力発電所において発生した電気の量が通商産業省令で定める量を下つたため、電気事業の収益が減少し、又は電気事業の費用が増加した場合において、その収益の減少又は費用の増加に充当するのでなければ、取りくずしてはならない。

3 前二項に規定する収益又は費用の増加又は減少の額の算出の方法は、通商産業省令で定める。


 (社債発行限度の特例)

第三十九条 一般電気事業者たる会社(以下「一般電気事業会社」という。)は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十七条の規定による制限をこえて社債を募集することができる。ただし、社債の総額は、資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により一般電気事業会社に現存する純資産額のいずれか少ない額の二倍をこえてはならない。


 (一般担保)

第四十条 一般電気事業会社の社債権者は、その会社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

    第四節 電気工作物

     第一款 工事計画及び検査


 (工事計画)

第四十一条 電気事業者は、電気事業の用に供する電気工作物の設置又は変更の工事であつて、通商産業省令で定めるものをしようとするときは、その工事の計画について通商産業大臣の認可を受けなければならない。ただし、電気工作物が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事としてするときは、この限りでない。

2 電気事業者は、前項の認可を受けた工事の計画を変更しようとするときは、通商産業大臣の認可を受けなければならない。ただし、その変更が通商産業省令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。

3 通商産業大臣は、前二項の認可の申請に係る工事の計画が次の各号に適合していると認めるときは、前二項の認可をしなければならない。

 一 第三条第一項又は第八条第一項の許可を受けたところ(同項ただし書の通商産業省令で定める軽微な変更をしたものを含む。)によるものであること。

 二 その電気工作物が第四十八条第一項の通商産業省令で定める技術基準に適合しないものでないこと。

 三 その電気工作物が電気の円滑な供給を確保するため技術上適切なものであること。

 四 水力を原動力とする発電用の電気工作物に係るものにあつては、その電気工作物が発電水力の有効な利用を確保するため技術上適切なものであること。

4 電気事業者は、第一項ただし書の場合は、工事の開始の後、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

5 電気事業者は、第二項ただし書の場合は、その工事の計画を変更した後、遅滞なく、その変更した工事の計画を通商産業大臣に届け出なければならない。ただし、通商産業省令で定める場合は、この限りでない。

第四十二条 電気事業者は、通商産業省令で定める場合を除き、電気事業の用に供する電気工作物の設置又は変更の工事であつて、前条第一項の通商産業省令で定めるもの以外のものをしようとするときは、工事の開始の日の三十日前までに、その工事の計画を通商産業大臣に届け出なければならない。その工事の計画の変更(通商産業省令で定める軽微なものを除く。)をしようとするときも、同様とする。

2 通商産業大臣は、前項の規定による届出のあつた工事の計画が前条第三項各号の規定に適合していないと認めるときは、電気事業者に対し、その工事の開始前に限り、その工事の計画を変更し、又は廃止すべきことを命ずることができる。


 (使用前検査)

第四十三条 第四十一条第一項若しくは第二項の認可を受けて設置若しくは変更の工事をする電気工作物又は前条第一項の規定による届出をして設置若しくは変更の工事をする電気工作物(その工事の計画について、同条第二項の規定による命令があつた場合において同条第一項の規定による届出をしていないものを除く。)は、その工事について通商産業省令で定める工事の工程ごとに通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、これを使用してはならない。ただし、通商産業省令で定める場合は、この限りでない。

2 前項の検査においては、その電気工作物が次の各号に適合しているときは、合格とする。

 一 その工事が第四十一条第一項若しくは第二項の認可を受けた工事の計画(同項ただし書の通商産業省令で定める軽微な変更をしたものを含む。)又は前条第一項の規定による届出をした工事の計画(同項後段の通商産業省令で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従つて行なわれたものであること。

 二 第四十八条第一項の通商産業省令で定める技術基準に適合しないものでないこと。

第四十四条 通商産業大臣は、前条第一項に規定する電気工作物について同項の検査を行なつた場合においてやむを得ない必要があると認めるときは、期間及び使用の方法を定めて、その電気工作物を仮合格とすることができる。

2 前項の規定により仮合格とされた電気工作物は、前条第一項の規定にかかわらず、前項の規定により定められた期間内は、同項の規定により定められた方法により使用することを妨げない。

第四十五条 発電用原子炉に燃料として使用する核燃料物質(以下「燃料体」という。)は、その加工について通商産業省令で定める加工の工程ごとに通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、これを使用してはならない。ただし、第三項に定める場合及び通商産業省令で定める場合は、この限りでない。

2 前項の検査においては、その燃料体が次の各号に適合しているときは、合格とする。

 一 その加工があらかじめ通商産業大臣の認可を受けた設計に従つて行なわれていること。

 二 通商産業省令で定める技術基準に適合すること。

3 輸入した燃料体は、通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、これを使用してはならない。

4 前項の検査においては、その燃料体が第二項第二号の通商産業省令で定める技術基準に適合しているときは、合格とする。

第四十六条 発電用のボイラー、タービンその他の通商産業省令で定める機械若しくは器具(以下「ボイラー等」という。)であつて、通商産業省令で定める圧力以上の圧力を加えられる部分(以下「耐圧部分」という。)について溶接をするもの又は発電用原子炉に係る格納容器その他の通商産業省令で定める機械若しくは器具(以下「格納容器等」という。)であつて溶接をするものは、その溶接について通商産業省令で定める溶接の工程ごとに通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、これを使用してはならない。ただし、第三項に定める場合及び通商産業省令で定める場合は、この限りでない。

2 前項の検査においては、その溶接が次の各号に適合しているときは、合格とする。

 一 あらかじめ通商産業大臣の認可を受けた方法に従つて行なわれていること。

 二 通商産業省令で定める技術基準に適合すること。

3 耐圧部分について溶接をしたボイラー等又は溶接をした格納容器等であつて、輸入したものは、その溶接について通商産業大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、これを使用してはならない。

4 前項の検査においては、その溶接が第二項第二号の通商産業省令で定める技術基準に適合しているときは、合格とする。


 (定期検査)

第四十七条 電気事業者は、電気事業の用に供する発電用のボイラー、タービンその他の通商産業省令で定める電気工作物であつて、通商産業省令で定める圧力以上の圧力を加えられる部分があるもの並びに電気事業の用に供する発電用原子炉及びその附属設備であつて、通商産業省令で定めるものについては、通商産業省令で定める時期ごとに、通商産業大臣が行なう検査を受けなければならない。ただし、通商産業省令で定める場合は、この限りでない。

     第二款 保安


 (電気工作物の維持)

第四十八条 電気事業者は、電気事業の用に供する電気工作物を通商産業省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。

2 前項の通商産業省令は、次に掲げるところによらなければならない。

 一 電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。

 二 電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないようにすること。

 三 電気工作物の損壊により電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。


 (技術基準適合命令)

第四十九条 通商産業大臣は、電気事業の用に供する電気工作物が前条第一項の通商産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、電気事業者に対し、その技術基準に適合するように電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。


 (費用の負担等)

第五十条 電気事業者の電気事業の用に供する電気工作物が他の者の電気的設備その他の物件の設置(政令で定めるものを除く。)により第四十八条第一項の通商産業省令で定める技術基準に適合しないこととなつたときは、その技術基準に適合するようにするため必要な措置又はその措置に要する費用の負担の方法は、当事者間の協議により定める。ただし、その費用の負担の方法については、政令で定める場合は、政令で定めるところによる。

第五十一条 第三十三条及び第三十四条の規定は、前条の協議をすることができず、又は協議がととのわない場合に準用する。

2 通商産業大臣は、前項において準用する第三十三条第一項の裁定をしようとするときは、政令で定めるところにより、あらかじめ関係大臣に協議しなければならない。


 (保安規程)

第五十二条 電気事業者は、電気事業の用に供する電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、通商産業省令で定めるところにより、保安規程を定め、事業の開始前に、通商産業大臣に届け出なければならない。

2 電気事業者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を通商産業大臣に届け出なければならない。

3 通商産業大臣は、電気事業の用に供する電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、電気事業者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。

4 電気事業者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。


 (主任技術者)

第五十三条 電気事業者は、電気事業の用に供する電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、通商産業省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。

2 電気事業者は、前項の規定により主任技術者を選任したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。


 (主任技術者免状)

第五十四条 主任技術者免状の種類は、第一種電気主任技術者免状、第二種電気主任技術者免状、第三種電気主任技術者免状、第一種ダム水路主任技術者免状、第二種ダム水路主任技術者免状、第一種ボイラー・タービン主任技術者免状及び第二種ボイラー・タービン主任技術者免状とする。

2 主任技術者免状の交付を受けている者が保安について監督をすることができる電気工作物の工事、維持及び運用の範囲は、前項の主任技術者免状の種類に応じて通商産業省令で定める。

3 主任技術者免状は、通商産業大臣が交付する。

4 主任技術者免状は、次の各号の一に該当する者でなければ、その交付を受けることができない。

 一 主任技術者免状の種類ごとに通商産業省令で定める学歴又は資格及び実務の経験を有する者

 二 前号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有していると通商産業大臣が認定した者

5 第一種電気主任技術者免状、第二種電気主任技術者免状又は第三種電気主任技術者免状は、前項の規定にかかわらず、電気主任技術者国家試験に合格した者も、その交付を受けることができる。

6 通商産業大臣は、次の各号の一に該当する者に対しては、主任技術者免状の交付を行なわないことができる。

 一 次条の規定により主任技術者免状の返納を命ぜられ、その日から一年を経過しない者

 二 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者

7 主任技術者免状の交付に関する手続的事項は、通商産業省令で定める。

第五十五条 通商産業大臣は、主任技術者免状の交付を受けている者がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したときは、その主任技術者免状の返納を命ずることができる。


 (電気主任技術者国家試験)

第五十六条 電気主任技術者国家試験は、電気工作物の工事、維持及び運用の保安に関して必要な知識及び技能について行なう。

2 電気主任技術者国家試験は、第一種電気主任技術者免状、第二種電気主任技術者免状及び第三種電気主任技術者免状ごとに、電気主任技術者資格審査会が行なう。

3 電気主任技術者国家試験の試験科目、受験手続その他電気主任技術者国家試験の実施細目は、通商産業省令で定める。


 (主任技術者の義務等)

第五十七条 主任技術者は、電気事業の用に供する電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行なわなければならない。

2 電気事業の用に供する電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

    第五節 土地等の使用


 (一時使用)

第五十八条 電気事業者は、次に掲げる目的のため他人の土地又はこれに定着する建物その他の工作物(以下「土地等」という。)を利用することが必要であり、かつ、やむを得ないときは、その土地等の利用を著しく妨げない限度において、これを一時使用することができる。ただし、建物その他の工作物にあつては、電線路(その電線路の維持及び運用に必要な通信の用に供する線路を含む。)又はその附属設備(以下「電線路」と総称する。)を支持するために利用する場合に限る。

 一 電気事業の用に供する電線路に関する工事の施行のため必要な資材若しくは車両の置場、土石の捨場、作業場、架線のためのやぐら又は索道の設置

 二 天災、事変その他の非常事態が発生した場合において、緊急に電気を供給するための電線路の設置

 三 電気事業の用に供する電気工作物の設置のための測標の設置

2 電気事業者は、前項の規定により他人の土地等を一時使用しようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、天災、事変その他の非常事態が発生した場合において、十五日以内の期間一時使用するときは、この限りでない。

3 都道府県知事は、前項の許可の申請があつたときは、その旨を土地等の所有者及び占有者に通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。

4 電気事業者は、第一項の規定により他人の土地等を一時使用しようとするときは、あらかじめ、土地等の占有者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用の開始の後、遅滞なく、通知することをもつて足りる。

5 第一項の規定により一時使用しようとする土地等が居住の用に供されているときは、その居住者の承諾を得なければならない。

6 第一項の規定による一時使用の期間は、六月(同項第二号の場合において、仮電線路を設置したとき、又は同項第三号の規定により一時使用するときは、一年)をこえることができない。

7 第一項の規定による一時使用のため他人の土地等に立ち入る者は、第二項の許可を受けたことを証する書面を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。ただし、同項ただし書の場合は、この限りでない。


 (立入り)

第五十九条 電気事業者は、電気事業の用に供する電気工作物に関する測量又は実地調査のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、他人の土地に立ち入ることができる。

2 前条第三項の規定は、前項の許可の申請があつた場合に準用する。

3 前条第四項、第五項及び第七項本文の規定は、電気事業者が第一項の規定により他人の土地に立ち入る場合に準用する。


 (通行)

第六十条 電気事業者は、電気事業の用に供する電線路に関する工事又は電線路の維持のため必要があるときは、他人の土地を通行することができる。

2 前項の規定により他人の土地を通行する者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

3 第五十八条第四項及び第五項の規定は、電気事業者が第一項の規定により他人の土地を通行する場合に準用する。


 (植物の伐採又は移植)

第六十一条 電気事業者は、植物が電気事業の用に供する電線路に障害を及ぼし、若しくは及ぼすおそれがある場合又は植物が電気事業の用に供する電気工作物に関する測量若しくは実地調査若しくは電気事業の用に供する電線路に関する工事に支障を及ぼす場合において、やむを得ないときは、都道府県知事の許可を受けて、その植物を伐採し、又は移植することができる。

2 電気事業者は、前項の規定により植物を伐採し、又は移植しようとするときは、あらかじめ、植物の所有者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、伐採又は移植の後、遅滞なく、通知することをもつて足りる。

3 電気事業者は、植物が電気事業の用に供する電線路に障害を及ぼしている場合において、その障害を放置するときは、電線路を著しく損壊して電気の供給に重大な支障を生じ、又は火災その他の災害を発生して公共の安全を阻害するおそれがあると認められるときは、第一項の規定にかかわらず、都道府県知事の許可を受けないで、その植物を伐採し、又は移植することができる。この場合においては、伐採又は移植の後、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出るとともに、植物の所有者に通知しなければならない。

4 第五十八条第三項の規定は、第一項の許可の申請があつた場合に準用する。


 (損失補償)

第六十二条 電気事業者は、第五十八条第一項の規定により他人の土地等を一時使用し、第五十九条第一項の規定により他人の土地に立ち入り、第六十条第一項の規定により他人の土地を通行し、又は前条第一項若しくは第三項の規定により植物を伐採し、若しくは移植したことによつて損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、通常生ずる損失を補償しなければならない。

第六十三条 前条の規定による損失の補償について、電気事業者と損失を受けた者との間に協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、電気事業者又は損失を受けた者は、都道府県知事の裁定を申請することができる。

2 第三十三条第二項から第四項まで及び第三十四条の規定は、前項の裁定に準用する。この場合において、第三十三条第二項及び第三項中「通商産業大臣」とあるのは「都道府県知事」と、第三十四条第三項中「異議申立て」とあるのは「審査請求」と読み替えるものとする。

3 損失の補償をすべき旨を定める裁定においては、補償金の額並びにその支払の時期及び方法を定めなければならない。


 (原状回復の義務)

第六十四条 電気事業者は、第五十八条第一項の規定による土地等の一時使用が終わつたときは、その土地等を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて通常生ずる損失を補償して、その土地等を返還しなければならない。


 (公共用の土地の使用)

第六十五条 電気事業者は、道路、橋、みぞ、河川、堤防その他公共の用に供せられる土地に電気事業の用に供する電線路を設置する必要があるときは、その効用を妨げない限度において、その管理者の許可を受けて、これを使用することができる。

2 前項の場合においては、電気事業者は、管理者の定めるところにより、使用料を納めなければならない。

3 管理者が正当な理由がないのに第一項の許可を拒んだとき、又は管理者の定めた使用料の額が適正でないときは、主務大臣は、電気事業者の申請により、使用を許可し、又は使用料の額を定めることができる。

4 前三項の規定は、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)の規定による道路並びに同法第十八条第一項の規定により決定された道路の区域内の土地及び当該土地に設置された道路の附属物となるべきものについては、適用しない。

5 主務大臣は、次の場合は、あらかじめ、通商産業大臣に協議しなければならない。

 一 第三項の規定により使用を許可し、又は使用料の額を定めようとするとき。

 二 電気事業者が電気事業の用に供する電線路を設置するため前項の道路又は道路となるべき区域内の土地若しくは当該土地に設置された道路の附属物となるべきものを占用しようとする場合において、道路法第三十九条第一項(同法第九十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定により道路管理者が徴収する占用料の額の決定又は同法第八十七条第一項(同法第九十一条第二項において準用する場合を含む。)の規定により許可若しくは承認に条件を附したことについての審査請求又は異議申立てに対して裁決又は決定をしようとするとき。

   第三章 電気事業用以外の電気工作物

    第一節 一般用電気工作物及び自家用電気工作物


 (定義)

第六十六条 この法律において「一般用電気工作物」とは、他の者から通商産業省令で定める電圧以下の電圧で受電し、その受電の場所と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)においてその受電に係る電気を使用するための電気工作物であつて、その受電のための電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。

 一 発電用の電気工作物を設置する者がその発電用の電気工作物の設置の場所と同一の構内に設置するもの

 二 爆発性又は引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所であつて、通商産業省令で定めるものに設置するもの

 三 興行場、公会堂その他の公衆の出入りする場所であつて、通商産業省令で定めるものに設置するもの

2 この法律において「自家用電気工作物」とは、電気事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。


 (調査の義務)

第六十七条 一般用電気工作物において使用する電気を供給する者は、通商産業省令で定めるところにより、その供給する電気を使用する一般用電気工作物が通商産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。ただし、その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は占有者の承諸を得ることができないときは、この限りでない。

2 前項に規定する者は、同項の規定による調査の結果、一般用電気工作物が同項の通商産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知しなければならない。

3 通商産業大臣は、第一項に規定する者(一般電気事業者を除く。)が同項の規定による調査若しくは前項の規定による通知をせず、又はその調査若しくは通知の方法が適当でないときは、その者に対し、その調査若しくは通知を行ない、又はその調査若しくは通知の方法を改善すべきことを命ずることができる。

4 第一項に規定する者は、帳簿を備え、同項の規定による調査及び第二項の規定による通知に関する業務に関し通商産業省令で定める事項を記載しなければならない。

5 前項の帳簿は、通商産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。

6 第四十八条第二項第一号及び第二号の規定は、第一項の技術基準を定める通商産業省令に準用する。


 (技術基準適合命令)

第六十八条 通商産業大臣は、一般用電気工作物が前条第一項の通商産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、その所有者又は占有者に対し、その技術基準に適合するように一般用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。


 (調査業務の委託)

第六十九条 第六十七条第一項に規定する者は、通商産業大臣が指定する者(以下「指定調査機関」という。)に限り、当該指定調査機関が第七十五条第二項の規定により定めた区域(第七十八条第一項の認可又は同条第二項の規定による届出に係る変更があつたときは、変更後の区域)の全部又は一部における一般用電気工作物について、その一般用電気工作物が第六十七条第一項の通商産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査すること並びにその調査の結果その一般用電気工作物がその技術基準に適合していないときはその技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知すること(以下「調査業務」という。)を委託することができる。

2 第六十七条第一項に規定する者は、前項の規定により指定調査機関に調査業務を委託したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。委託に係る契約が効力を失つたときも、同様とする。

3 第六十七条第一項の規定は、同項に規定する者が第一項の規定により指定調査機関に調査業務を委託しているときは、その委託に係る一般用電気工作物については、適用しない。


 (工事計画)

第七十条 自家用電気工作物を設置する者は、自家用電気工作物の設置又は変更の工事であつて、通商産業省令で定めるものをしようとするときは、その工事の計画について通商産業大臣の認可を受けなければならない。ただし、自家用電気工作物が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事としてするときは、この限りでない。

2 自家用電気工作物を設置する者は、前項の認可を受けた工事の計画を変更しようとするときは、通商産業大臣の認可を受けなければならない。ただし、その変更が通商産業省令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。

3 通商産業大臣は、前二項の認可の申請に係る工事の計画が次の各号に適合していると認めるときは、前二項の認可をしなければならない。

 一 その電気工作物が第七十四条第二項において準用する第四十八条第一項の通商産業省令で定める技術基準に適合しないものでないこと。

 二 水力を原動力とする発電用の電気工作物に係るものにあつては、その電気工作物が発電水力の有効な利用を確保するため技術上適切なものであること。

4 自家用電気工作物を設置する者は、第一項ただし書の場合は、工事の開始の後、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

5 自家用電気工作物を設置する者は、第二項ただし書の場合は、その工事の計画を変更した後、遅滞なく、その変更した工事の計画を通商産業大臣に届け出なければならない。ただし、通商産業省令で定める場合は、この限りでない。

第七十一条 自家用電気工作物を設置する者は、通商産業省令で定める場合を除き、自家用電気工作物の設置又は変更の工事であつて、前条第一項の通商産業省令で定めるもの以外のものをしようとするときは、工事の開始の日の三十日前までに、その工事の計画を通商産業大臣に届け出なければならない。その工事の計画の変更(通商産業省令で定める軽微なものを除く。)をしようとするときも、同様とする。

2 通商産業大臣は、前項の規定による届出のあつた工事の計画が前条第三項各号の規定に適合していないと認めるときは、自家用電気工作物を設置する者に対し、その工事の開始前に限り、その工事の計画を変更し、又は廃止すべきことを命ずることができる。


 (主任技術者)

第七十二条 自家用電気工作物を設置する者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、通商産業省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。

2 自家用電気工作物を設置する者は、前項の規定にかかわらず、通商産業大臣の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者として選任することができる。

3 自家用電気工作物を設置する者は、第一項の規定により主任技術者を選任したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。これを解任したとき、又は前項の規定により選任した主任技術者を解任したときも、同様とする。


 (使用の開始)

第七十三条 自家用電気工作物を設置する者は、その自家用電気工作物の使用の開始の後、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。ただし、第七十条第一項の認可又は同条第四項若しくは第七十一条第一項の規定による届出に係る自家用電気工作物を使用する場合及び通商産業省令で定める場合は、この限りでない。


 (準用)

第七十四条 第四十三条及び第四十四条の規定は、第七十条第一項又は第二項の認可を受けて設置又は変更の工事をする自家用電気工作物及び第七十一条第一項の規定による届出をして設置又は変更の工事をする自家用電気工作物(その工事の計画について、同条第二項の規定による命令があつた場合において同条第一項の規定による届出をしていないものを除く。)に準用する。

2 第四十七条から第五十一条までの規定は、自家用電気工作物に準用する。この場合において、第四十八条第二項第三号中「電気の供給」とあるのは、「電気事業者の電気の供給」と読み替えるものとする。

3 第五十二条の規定は、自家用電気工作物を設置する者に関し準用する。

4 第五十七条の規定は、自家用電気工作物に係る主任技術者に関し準用する。

5 第六十一条第三項、第六十二条及び第六十三条の規定は、自家用電気工作物を設置する者に準用する。この場合において、第六十一条第三項中「電線路を著しく損壊して電気の供給に重大な支障を生じ、又は火災その他の災害を発生して公共の安全を阻害する」とあるのは、「火災その他の災害を発生して公共の安全を阻害する」と読み替えるものとする。

    第二節 指定調査機関


 (指定)

第七十五条 第六十九条第一項の規定は、第六十七条第一項に規定する者の委託を受けて調査業務を行なおうとする者の申請により行なう。

2 前項の申請は、調査業務を行なおうとする区域(以下「調査区域」という。)を定めてしなければならない。


 (欠格条項)

第七十六条 次の各号の一に該当する者は、第六十九条第一項の指定を受けることができない。

 一 第八十三条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者

 二 その業務を行なう役員のうちに、この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者がある者


 (指定の基準)

第七十七条 通商産業大臣は、第六十九条第一項の指定の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、その指定をしてはならない。

 一 調査区域における調査業務を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。

 二 民法第三十四条の規定により設立された法人であつて、その役員又は社員の構成が調査業務の公正な遂行に支障を及ぼすおそれがないものであること。

 三 調査業務以外の業務を行なつているときは、その業務を行なうことによつて調査業務の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないものであること。


 (調査区域の変更)

第七十八条 指定調査機関は、調査区域を増加しようとするときは、通商産業大臣の認可を受けなければならない。

2 指定調査機関は、調査区域を減少したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

3 前条第一号の規定は、第一項の認可に準用する。


 (調査の義務)

第七十九条 指定調査機関は、第六十九条第一項の規定による調査業務の委託を受けているときは、第六十七条第一項の通商産業省令で定めるところにより、その調査業務を行なわなければならない。ただし、一般用電気工作物の設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。

2 通商産業大臣は、指定調査機関が第六十九条第一項の規定による調査業務の委託を受けている場合において、その調査業務を行なわず、又はその方法が適当でないときは、指定調査機関に対し、その調査業務を行ない、又はその方法を改善すべきことを命ずることができる。


 (業務規程)

第八十条 指定調査機関は、調査業務に関する規程(以下「業務規程」という。)を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 業務規程で定めるべき事項は、通商産業省令で定める。

3 通商産業大臣は、第一項の認可をした業務規程が調査業務の適確な遂行上不適当となつたと認めるときは、指定調査機関に対し、業務規程を変更すべきことを命ずることができる。


 (適合命令)

第八十一条 通商産業大臣は、指定調査機関が第七十七条各号に適合しなくなつたと認めるときは、指定調査機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。


 (調査業務の廃止)

第八十二条 指定調査機関は、調査業務を廃止したときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。


 (指定の取消し)

第八十三条 通商産業大臣は、指定調査機関が次の各号の一に該当するときは、第六十九条第一項の指定を取り消すことができる。

 一 第七十九条第二項、第八十条第三項又は第八十一条の規定による命令に違反したとき。

 二 第八十条第一項の認可を受けた業務規程によらないで調査業務を行なつたとき。

 三 不正の手段により指定を受けたとき。


 (公示)

第八十四条 通商産業大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。

 一 第六十九条第一項の指定をしたとき。

 二 第六十九条第二項、第七十八条第二項又は第八十二条の規定による届出があつたとき。

 三 第七十八条第一項の認可をしたとき。

 四 前条の規定により指定を取り消したとき。


 (準用)

第八十五条 第六十七条第四項及び第五項の規定は、指定調査機関に準用する。

   第四章 電気事業審議会及び電気主任技術者資格審査会


 (電気事業審議会)

第八十六条 通商産業省に、電気事業審議会を置く。

第八十七条 電気事業審議会(以下「審議会」という。)は、通商産業大臣の諮問に応じ、電気事業に関する重要事項を調査審議する。

2 審議会は、電気事業に関する重要事項について、通商産業大臣に建議することができる。

3 通商産業大臣は、前項の建議があつたときは、これを尊重しなければならない。

第八十八条 審議会は、委員二十人以内で組織する。

2 専門の事項を調査させるために、審議会に、専門委員を置くことができる。

第八十九条 審議会の委員及び専門委員は、学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。

2 審議会の委員の任期は、二年とする。ただし、委員に欠員が生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 審議会の委員は、再任されることができる。

4 審議会の委員及び専門委員は、非常勤とする。

第九十条 審議会に会長を置き、委員のうちから互選する。

2 審議会の会長は、会務を総理する。会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。

第九十一条 審議会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。

2 部会に部会長を置き、会長の指名する委員がこれにあたる。

3 部会に属すべき委員は、会長が指名する。

4 審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもつて審議会の決議とすることができる。

第九十二条 審議会の庶務は、通商産業省公益事業局において処理する。

第九十三条 この章に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、審議会が定める。


 (電気主任技術者資格審査会)

第九十四条 通商産業省に、電気主任技術者資格審査会を置く。

第九十五条 電気主任技術者資格審査会(以下「審査会」という。)は、電気主任技術者国家試験を行なうほか、通商産業大臣の諮問に応じ、電気主任技術者の資格に関する事項を調査審議する。

2 審査会は、電気主任技術者の資格に関する事項について、通商産業大臣に意見を述べることができる。

第九十六条 審査会は、委員三十人以内で組織する。

2 専門の事項を調査させるために、審査会に、専門委員を置くことができる。

第九十七条 審査会の委員及び専門委員は、関係行政機関の職員及び電気技術に関し学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。

2 通商産業大臣は、審査会の委員のうち一人を会長として指名し、会長は、会務を総理する。

第九十八条 第八十九条第二項及び第三項の規定は、学識経験のある者のうちから任命された審査会の委員に準用する。

2 第八十九条第四項の規定は、審査会の委員及び専門委員に準用する。

第九十九条 この章に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。

   第五章 雑則


 (許可等の条件)

第百条 許可又は認可には、条件を附し、及びこれを変更することができる。

2 前項の条件は、公共の利益を増進し、又は許可若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可又は認可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。


 (発電水力)

第百一条 通商産業大臣は、発電水力の開発上必要な調査を行なわなければならない。

第百二条 通商産業大臣は、発電水力の開発上必要があると認めるときは、水力を原動力とする発電用の電気工作物を設置している者に対し、その電気工作物を設置している河川について、通商産業省令で定めるところにより、その流量を測定し、その測定の結果を報告すべきことを命ずることができる。

第百三条 都道府県知事は、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第二十三条、第二十四条、第二十六条又は第二十九条第二項の許可の申請があつた場合において、その申請が発電水力の利用のためのものであるときは、意見を附して通商産業大臣に報告し、通商産業大臣の意見を求めなければならない。

2 通商産業大臣は、前項の規定により意見を求められたときは、建設大臣に協議するものとする。

3 通商産業大臣は、都道府県知事に対し河川法第二十三条、第二十四条、第二十六条又は第二十九条第二項の許可の申請があつた場合(第一項に規定する場合を除く。)において、発電水力の有効な利用を確保するため必要があると認めるときは、その都道府県知事に対し、これらの規定による処分に関し必要な勧告をすることができる。


 (電気工作物検査官)

第百四条 通商産業省に、電気工作物検査官を置く。

2 電気工作物検査官は、第四十三条第一項(第七十四条第一項において準用する場合を含む。)、第四十五条第一項若しくは第三項、第四十六条第一項若しくは第三項又は第四十七条(第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の検査に関する事務に従事する。

3 電気工作物検査官の資格に関し必要な事項は、政令で定める。


 (監査)

第百五条 通商産業大臣は、毎年、電気事業者の業務及び経理の監査をしなければならない。


 (報告の徴収)

第百六条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、電気事業者に対し、その業務又は経理の状況に関し報告をさせることができる。

2 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、自家用電気工作物を設置する者又は指定調査機関に対し、その業務の状況に関し報告をさせることができる。


 (立入検査)

第百七条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、電気事業者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、業務若しくは経理の状況又は電気工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、自家用電気工作物を設置する者、燃料体の加工をする者又はボイラー等若しくは格納容器等の溶接をする者の工場又は営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、電気工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

3 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、一般用電気工作物の設置の場所(居住の用に供されているものを除く。)に立ち入り、一般用電気工作物を検査させることができる。

4 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、指定調査機関の事務所又は事業所に立ち入り、業務の状況又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

5 前四項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

6 第一項から第四項までの規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。


 (公聴会)

第百八条 通商産業大臣は、第三条第一項(一般電気事業に係るものに限る。)、第八条第一項(供給区域の増加に係るものに限る。)、第十九条第一項又は第二十三条第二項(供給規程に係るものに限る。)の規定による処分をしようとするときは、公聴会を開き、広く一般の意見をきかなければならない。


 (聴聞)

第百九条 通商産業大臣は、第十五条第一項若しくは第二項、第十六条第一項若しくは第二項又は第八十三条の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当の期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行なわなければならない。

2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。

3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。

第百十条 この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分についての審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定は、前条の例により公開による聴聞をした後にしなければならない。


 (苦情の申出)

第百十一条 一般電気事業者の電気の供給又は指定調査機関の調査業務に関し苦情のある者は、通商産業大臣に対し、理由を記載した文書を提出して苦情の申出をすることができる。

2 通商産業大臣は、前項の申出があつたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を申出者に通知しなければならない。


 (手数料)

第百十二条 次の表の上欄に掲げる者(国を除く。)は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。

手数料を納付しなければならない者

金額

一 第四十三条第一項(第七十四条第一項において準用する場合を含む。)の検査を受けようとする者

 

 イ 原子力を原動力とする発電用の電気工作物

三十万円

 ロ その他の電気工作物

十万円

二 第四十五条第一項又は第三項の検査を受けようとする者

十万円

三 第四十六条第一項又は第三項の検査を受けようとする者

 

 イ 原子力を原動力とする発電用の電気工作物

三十万円

 ロ その他の電気工作物

五万円

四 第四十七条(第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の検査を受ける者

一万五千円

五 第五十四条第四項第二号の規定による認定を受けようとする者

八百円

六 電気主任技術者国家試験を受けようとする者

千五百円

七 主任技術者免状の交付を受けようとする者

四百円

八 主任技術者免状の再交付を受けようとする者

二百円


 (経過措置)

第百十三条 この法律の規定に基づき政令又は通商産業省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ、政令又は通商産業省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。


 (権限の委任)

第百十四条 この法律の規定により通商産業大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、通商産業局長又は都道府県知事に委任することができる。

   第六章 罰則

第百十五条 電気事業の用に供する電気工作物を損壊し、その他電気事業の用に供する電気工作物の機能に障害を与えて発電、変電、送電又は配電を妨害した者は、五年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

2 みだりに電気事業の用に供する電気工作物を操作して発電、変電、送電又は配電を妨害した者は、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

3 電気事業に従事する者が正当な理由がないのに電気事業の用に供する電気工作物の維持又は運行の業務を取り扱わず、発電、変電、送電又は配電に障害を生ぜしめたときも、前項と同様とする。

4 第一項及び第二項の未遂罪は、罰する。

第百十六条 第三条第一項の規定に違反して電気事業を営んだ者は、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第百十七条 次の各号の一に該当する者は、二年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第十四条第一項の規定に違反して電気事業の全部又は一部を休止し、又は廃止した者

 二 第十八条第一項又は第三項の規定に違反して電気の供給を拒んだ者

 三 第十八条第二項又は第四項の規定に違反して電気を供給した者

第百十八条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第八条第一項の規定に違反して電気工作物を変更した者

 二 第十二条第一項の規定に違反して一般電気事業以外の事業を営んだ者

 三 第二十一条、第二十二条第一項又は第二十四条第一項の規定に違反して電気を供給した者

 四 第三十条、第三十一条、第三十二条第一項、第六十七条第三項又は第七十九条第二項の規定による命令に違反した者

 五 第四十一条第一項又は第七十条第一項の規定に違反して電気工作物の設置又は変更の工事をした者

 六 第四十九条(第七十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定による命令又は処分に違反した者

 七 第五十三条第一項又は第七十二条第一項の規定に違反して主任技術者を選任しなかつた者

第百十九条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

 一 第十七条第一項の規定に違反して電気を供給する事業を営んだ者

 二 第二十七条の規定による命令又は処分に違反した者

 三 第四十二条第二項又は第七十一条第二項の規定による命令に違反して電気工作物の設置又は変更の工事をした者

 四 第四十三条第一項(第七十四条第一項において準用する場合を含む。)、第四十五条第一項若しくは第三項又は第四十六条第一項若しくは第三項の規定に違反して電気工作物を使用した者

第百二十条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第七条第四項(第八条第四項において準用する場合を含む。)、第十一条第二項、第二十九条第一項若しくは第三項、第四十一条第四項若しくは第五項、第五十二条第一項若しくは第二項(これらの規定を第七十四条第三項において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項、第六十九条第二項、第七十条第四項若しくは第五項又は第七十二条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二 第二十条の規定に違反して掲示をしなかつた者

 三 第二十六条第二項の規定による記録をせず、又は虚偽の記録をした者

 四 第四十二条第一項又は第七十一条第一項の規定に違反して電気工作物の設置又は変更の工事をした者

 五 第四十七条(第七十四条第二項において準用する場合を含む。)又は第百七条第一項から第四項までの規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

 六 第五十二条第三項(第七十四条第三項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

 七 第六十七条第四項(第八十五条において準用する場合を含む。)の規定に違反して同項に規定する事項の記載をせず、又は虚偽の記載をした者

 八 第六十七条第五項(第八十五条において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を保存しなかつた者

 九 第六十八条の規定による命令又は処分に違反した者

 十 第百二条又は第百六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第百二十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し、第百十六条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。

第百二十二条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の過料に処する。

 一 第十三条第一項、第三十五条、第三十八条第一項若しくは第二項又は第三十九条ただし書の規定に違反した者

 二 第三十六条又は第三十七条の規定による命令に違反した者

第百二十三条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の過料に処する。

 一 第八条第二項、第九条、第七十三条、第七十八条第二項又は第八十二条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二 正当な理由がないのに第五十五条の規定による命令に違反して主任技術者免状を返納しなかつた者


   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第八十六条から第九十三条までの規定及び附則第二十六項の通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)第二十五条第一項の改正規定中石炭対策連絡協議会の項の次に電気事業審議会の項を加える部分は、公布の日から施行する。

2 電気に関する臨時措置に関する法律(昭和二十七年法律第三百四十一号。以下「旧法」という。)は、廃止する。

3 旧法に基づき旧公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)の規定の例によつてした処分、手続その他の行為は、この法律中にこれに相当する規定があるときは、この法律の規定によつてしたものとみなす。

4 この法律の施行の際現に電気事業者以外の者であつて、一般電気事業者の供給区域における需要に応じ電気を供給する事業(電気事業者にその電気事業の用に供するための電気を供給する事業を除く。)を営むものについては、この法律の施行の日から一月間は、第十七条第一項の規定は、適用しない。その期間内に同項の許可を申請した場合において、その申請について許可又は不許可の処分があるまでの間も、同様とする。

5 この法律の施行の際現に電気事業を営んでいる者及び自家用電気工作物を使用している者に関する第五十二条第一項(第七十四条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、第五十二条第一項中「事業の開始前に」とあるのは、「この法律の施行の日から三月以内に」とする。

6 この法律の施行の際現に発電用のダムを設置している者については、この法律の施行の日から六月間は、第五十三条第一項又は第七十二条第一項の規定は、適用せず、旧発電用高堰堤規則(昭和十年逓信省令第十八号)第八条から第十条までの規定の例による。

7 この法律の施行の際現に旧電気に関する臨時措置に関する法律施行規則(昭和二十七年通商産業省令第九十九号。以下「旧規則」という。)第一条第一項の規定に基づき旧電気事業主任技術者資格検定規則(昭和七年逓信省令第五十四号)の規定の例により第一種、第二種又は第三種の資格を有している者は、それぞれ第五十四条第一項の第一種電気主任技術者免状、第二種電気主任技術者免状又は第三種電気主任技術者免状の交付を受けている者とみなす。

8 この法律の施行の際現に旧規則第一条第一項の規定に基づき旧発電用汽機汽罐取締規則(昭和十五年逓信省令第五号)第二十条の規定の例により汽機汽かん主任者に選任されている者のうち、気圧六十キログラム毎平方センチメートル以上の発電所の汽機汽かん主任者又は気圧十五キログラム毎平方センチメートル以上六十キログラム毎平方センチメートル未満の発電所の汽機汽かん主任者は、それぞれ第五十四条第一項の第一種ボイラー・タービン主任技術者免状又は第二種ボイラー・タービン主任技術者免状の交付を受けている者とみなす。

9 この法律の施行の際現に国が設置又は変更の工事(第七十条第一項ただし書の場合又は第七十一条第一項前段の通商産業省令で定める場合においてするもの及び発電用の原子炉施設に係るものを除く。)をしている電気工作物は、旧規則第一条第一項の規定に基づき旧自家用電気工作物施設規則(昭和七年逓信省令第五十六号)第五十一条又は第五十二条の規定の例による報告又は承認があつたものに限り、その工事の計画について、第七十条第一項の認可を受け、又は第七十一条第一項の規定による届出をしたものとみなす。

10 旧電気事業再編成令(昭和二十五年政令第三百四十二号)に基づき設立された九の電気事業会社が旧過度経済力集中排除法(昭和二十二年法律第二百七号)第七条第二項第七号の規定により承認を受け、又は作成された企業再編成計画に基づき旧電気事業再編成令に基づき解散した電気事業会社から出資を受け、又は譲り受けた不動産に関する権利の取得の登記を受ける場合における登録税は、免除する。

11 前項に規定する不動産に関する権利の取得に関する登記の手続については、政令で定める。

12 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

13 電源開発促進法(昭和二十七年法律第二百八十三号)の一部を次のように改正する。

  第二十三条第三項中「供給についての料金」を「料金その他の供給条件」に改め、同項後段を削る。

  第二十八条を次のように改める。

 第二十八条 削除

  第三十五条の二の次に次の一条を加える。

  (電気事業法の適用除外)

 第三十五条の三 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第十条第二項、第十三条第一項(発電施設又は送電変電施設に係る場合に限る。)、第十四条第二項及び第二十二条第一項の規定は、会社については、適用しない。

  第三十六条中「前条第一項」を「第三十五条第一項」に改める。

14 電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項を次のように改める。

   この法律において「一般用電気工作物」とは、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第六十六条第一項に規定する一般用電気工作物をいう。

  第七条第一項中「法令で定める一般用電気工作物の保安に関する基準」を「電気事業法第六十七条第一項の通商産業省令で定める技術基準」に改める。

15 電気用品取締法(昭和三十六年法律第二百三十四号)の一部を次のように改正する。

  第二条中「電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)第二条第一項」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第六十六条第一項」に改める。

  第二十八条第一項を次のように改める。

   電気事業法第二条第六項に規定する電気事業者、同法第六十六条第二項に規定する自家用電気工作物を設置する者又は電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)第三条に規定する電気工事士は、第二十五条第一項の表示が附されているものでなければ、電気用品を電気事業法第二条第七項に規定する電気工作物の設置又は変更の工事に使用してはならない。

16 経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の一部を次のように改正する。

  別表乙号第二十九号を次のように改める。

  二十九 削除

17 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律(昭和二十二年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。

  第一条第六号を次のように改める。

  六 削除

18 郵便振替貯金法(昭和二十三年法律第六十号)の一部を次のように改正する。

  第六十三条第一項中「公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)」に改める。

19 日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。

  第六十三条中「電気事業法(昭和六年法律第六十一号)」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)」に改める。

20 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第四百八十六条第三項中「電気に関する臨時措置に関する法律(昭和二十七年法律第三百四十一号)においてその例によるものとされた旧公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)第二条第四号」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第六項」に改める。

  第四百九十条の二第一項中「電気に関する臨時措置に関する法律においてその例によるものとされた旧公益事業令第三十九条第一項」を「電気事業法第十九条第一項」に改める。

21 高圧ガス取締法(昭和二十六年法律第二百四号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第六号を次のように改める。

  六 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第七項の電気工作物(政令で定めるものに限る。)内における高圧ガス

22 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。

  第三条第十七号を次のように改める。

  十七 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)による電気事業の用に供する電気工作物

  第三条中第十七号の三を削り、第十七号の四を第十七号の三とする。

  第十七条第一項第三号ホ中「旧公益事業令」を「電気事業法」に改める。

23 気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。

  第六条第二項第三号中「公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)第二条第一号」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第五項」に改める。

24 道路法の一部を次のように改正する。

  第三十六条第一項中「公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)」に改める。

25 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。

  第五十四条第一項中「公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)による電気事業者又は同令附則第三項の規定によりなお効力を有する旧電気事業法(昭和六年法律第六十一号)第三十条第二項の事業を営む者(以下「電気事業者」と総称する。)」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第六項に規定する電気事業者(以下「電気事業者」という。)」に改める。

26 通商産業省設置法の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第四十三号中「融通につき契約を認可し」を「供給に関し契約を許可し」に改める。

  第二十五条第一項の表中

電気事業主任技術者資格検定審議会

電気事業主任技術者の資格の検定を行い、及びその資格に関する事項を調査審議すること。

 を

電気主任技術者資格審査会

電気主任技術者国家試験を行ない、及び電気主任技術者の資格に関する事項を調査審議すること。

 に改め、石炭対策連絡協議会の項の次に次のように加える。

電気事業審議会

電気事業に関する重要事項を調査審議すること。

27 農山漁村電気導入促進法(昭和二十七年法律第三百五十八号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三号中「電気に関する臨時措置に関する法律(昭和二十七年法律第三百四十一号)の規定によりその例によるとされた公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)第二条第四号」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第六項」に改める。

  第十二条(見出しを含む。)中「電気に関する臨時措置に関する法律」を「電気事業法」に改める。

28 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十三条中「電気に関する臨時措置に関する法律(昭和二十七年法律第三百四十一号)の規定によりその例によるものとされた旧公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)附則第三項の規定によりなお効力を有する旧電気事業法(昭和六年法律六十一号)」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)に改める。

29 公共用地の取得に関する特別措置法(昭和三十六年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。

  第二条第七号中「電気に関する臨時措置に関する法律(昭和二十七年法律第三百四十一号)の規定によりその例によるものとされた旧公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)」に改める。

30 ばい煙の排出の規制等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条中「電気に関する臨時措置に関する法律(昭和二十七年法律第三百四十一号)の規定によりその例によるものとされた旧公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)附則第三項の規定によりなお効力を有する旧電気事業法(昭和六年法律第六十一号。以下「旧電気事業法」という。)の適用を受ける電気工作物」を「電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第七項に規定する電気工作物」に、「旧電気事業法又は」を「電気事業法又は」に改める。

31 共同溝の整備等に関する特別措置法(昭和三十八年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  第二条第三項第二号を次のように改める。

  二 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)による電気事業者

     (内閣総理・法務・大蔵・厚生・農林・通商産業・運輸・郵政・建設・自治大臣署名)

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