義務教育諸学校施設費国庫負担法
法律第八十一号(昭三三・四・二五)
(目的)
第一条 この法律は、公立の義務教育諸学校の施設の整備を促進するため、これらの学校の建物の建築に要する経費について国がその一部を負担することとし、もつて義務教育諸学校における教育の円滑な実施を確保することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「義務教育諸学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校及び中学校並びに盲学校及び聾学校の小学部及び中学部をいう。
2 この法律において「建物」とは、校舎、屋内運動場及び寄宿舎をいう。
(国の負担)
第三条 国は、政令で定める限度において、次の各号に掲げる経費について、その一部を負担する。この場合において、その負担割合は、それぞれ当該各号に掲げる割合によるものとする。
一 公立の小学校における不正常授業を解消するための校舎の新築又は増築(買収その他これに準ずる方法による取得を含む。以下同じ。)に要する経費 三分の一
二 公立の中学校における不正常授業を解消するための校舎の新築又は増築に要する経費 二分の一
三 公立の中学校の屋内運動場の新築又は増築に要する経費 二分の一
四 公立の盲学校及び聾学校の小学部及び中学部の建物の新築又は増築に要する経費 二分の一
五 公立の小学校及び中学校を適正な規模にするため統合したことに伴つて必要となつた校舎の新築又は増築に要する経費 二分の一
六 公立の義務教育諸学校の建物で構造上危険な状態にあるものの改築(買収その他これに準ずる方法による取得を含む。以下同じ。)に要する経費 三分の一
2 前項第一号及び第二号の不正常授業の範囲、同項第五号の適正な規模の条件及び同項第六号の構造上危険な状態にある建物の範囲の決定に関し必要な危険度の判定基準その他の事項は、政令で定める。
(経費の種目)
第四条 前条第一項各号に掲げる経費の種目は、本工事費及び附帯工事費(買収その他これに準ずる方法による取得の場合にあつては、買収費とし、以下「工事費」と総称する。)並びに事務費とする。
(工事費の算定方法)
第五条 第三条第一項第一号から第四号までに規定する建物の新築又は増築に係る工事費は、校舎、屋内運動場又は寄宿舎のそれぞれについて、児童又は生徒一人当りの基準坪数に当該新築又は増築を行う年度の五月一日(政令で定める集団的な住宅の建設に基いて五月二日以降政令で定める日までの間に新たに小学校又は中学校の校舎の不足を生じた場合には、文部大臣の定める日)における当該学校の児童又は生徒の数(盲学校及び聾学校にあつては児童及び生徒の数とし、寄宿舎にあつては収容する児童及び生徒の数とする。以下同じ。)を乗じて得た坪数からその日における保有坪数を控除して得た坪数を、一坪当りの建築の単価に乗じて算定するものとする。
2 第三条第一項第五号に規定する校舎の新築又は増築に係る工事費は、児童又は生徒一人当りの基準坪数に当該新築又は増築を行う年度の五月一日(学校の統合が五月二日以降政令で定める日までの間に行われたことに伴つて校舎の新築又は増築の必要が生じたときは、文部大臣の定める日)における当該学校の児童又は生徒の数を乗じて得た坪数からその日における保有坪数を控除して得た坪数を、一坪当りの建築の単価に乗じて算定するものとする。
3 第三条第一項第六号に規定する建物の改築に係る工事費は、校舎、屋内運動場又は寄宿舎のそれぞれについて、次の各号に掲げる坪数のうちいずれか少い坪数から第二号に掲げる坪数のうち危険でない部分の坪数を控除して得た坪数を、一坪当りの建築の単価に乗じて算定するものとする。
一 児童又は生徒一人当りの基準坪数に当該改築を行う年度の五月一日における当該学校の児童又は生徒の数を乗じて得た坪数
二 当該改築を行う年度の五月一日における保有坪数
(児童又は生徒一人当りの基準坪数)
第六条 前条の規定により工事費を算定する場合の児童又は生徒一人当りの基準坪数は、小学校、中学校、盲学校又は聾学校ごとに、校舎、屋内運動場又は寄宿舎のそれぞれについて、標準的な規模の学校においてその教育を行うのに必要な最低限度の坪数として政令で定める児童又は生徒一人当りの坪数に、政令で定めるところにより、当該学校の児童若しくは生徒の数、当該学校における一学級の平均収容児童数若しくは平均収容生徒数又は当該学校の所在地の積雪寒冷度に応じ、必要な補正を加えた坪数とする。
(一坪当りの建築単価)
第七条 第五条の規定により工事費を算定する場合の一坪当りの建築の単価は、建物の構造の種類別に、当該新築、増築又は改築を行おうとする時における建築費を参酌して、文部大臣が大蔵大臣と協議して定める。
(工事費の算定方法の特例)
第八条 第五条第一項又は第二項の規定により工事費を算定する場合において、当該学校の校舎の保有坪数のうち教室に使用することができる部分がきわめて少いことその他政令で定める特別の理由があるため、児童又は生徒一人当りの基準坪数に基く新築又は増築後の校舎が児童又は生徒の教育を行うのに著しく不適当であると認められるときは、当該保有坪数のうちから政令で定めるところによりその一部を控除した坪数を保有坪数とする。
2 第五条第三項の規定により工事費を算定する場合において、同項第二号に掲げる坪数が同項第一号に掲げる坪数をこえるときで、かつ、当該学校の校舎の危険でない部分の坪数のうち教室に使用することができる部分がきわめて少いことその他政令で定める特別の理由があるため、児童又は生徒一人当りの基準坪数に基く改築後の校舎が児童又は生徒の教育を行うのに著しく不適当であると認められるときは、当該危険でない坪数のうちから政令で定めるところによりその一部を控除した坪数を危険でない部分の坪数とする。
3 鉄筋コンクリート造の建物に関しては、第五条の規定により工事費を算定する場合の保有坪数又は一坪当りの建築の単価に乗ずべき坪数について、政令で定めるところにより、補正を行うものとする。
(事務費の算定方法)
第九条 第三条第一項各号に規定する建物の新築、増築又は改築に係る事務費は、前四条の規定により算定した工事費に政令で定める割合を乗じて算定するものとする。
(都道府県への事務費の交付)
第十条 国は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会が文部大臣の委任に基いてこの法律の実施に関する事務を行うために必要な経費を都道府県に交付するものとする。
(本校及び分校)
第十一条 この法律の適用については、本校及び分校は、それぞれ一の学校とみなす。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十三年四月一日から適用する。
(昭和三十二年度までの国庫負担金及び国庫補助金)
2 昭和三十二年度までの国庫負担金及び国庫補助金に関しては、なお従前の例による。
(公立小学校不正常授業解消促進臨時措置法の廃止)
3 公立小学校不正常授業解消促進臨時措置法(昭和三十年法律第百四十七号)は、廃止する。
(公立小学校施設費国庫負担法の一部改正)
4 公立学校施設費国庫負担法(昭和二十八年法律第二百四十七号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
公立学校施設災害復旧費国庫負担法
第一条中「公立学校の施設の整備を促進するため、」及び「及び戦災復旧並びに義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設」を削る。
第二条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 この法律において「施設」とは、建物、建物以外の工作物、土地及び設備をいう。
第三条及び第四条を次のように改める。
(国の負担)
第三条 国は、公立学校の施設の災害復旧に要する経費について、その三分の二を負担する。
(経費の種目)
第四条 前条に規定する経費の種目は、本工事費、附帯工事費(買収その他これに準ずる方法により建物を取得する場合にあつては、買収費)及び設備費(以下「工事費」と総称する。)並びに事務費とする。
第五条の見出し中「事業に要する」を削り、同条第一項中「公立学校の施設の災害復旧又は戦災復旧に要する経費」を「前条に規定する工事費」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 前条に規定する事務費は、前項の規定により算定した工事費に政令で定める割合を乗じて算定するものとする。第六条から第十一条までを削り、第十二条を第六条とし、同条の次に次の一条を加える。
(都道府県への事務費の交付)
第七条 国は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会が文部大臣の委任に基いてこの法律の実施に関する事務を行うために必要な経費を都道府県に交付するものとする。
第十三条及び附則第三項を削る。
(危険校舎改築促進臨時措置法の一部改正)
5 危険校舎改築促進臨時措置法(昭和二十八年法律第二百四十八号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
公立高等学校危険建物改築促進臨時措置法
第一条中「並びに公立の義務教育諸学校及び高等学校の危険校舎」を「及び公立の高等学校の危険建物」に、「当該危険校舎」を「当該危険建物」に、「これらの学校」を「公立の高等学校」に改める。
第二条から第七条までを削り、第一条の次に次の九条を加える。
(定義)
第二条 この法律において「高等学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する高等学校並びに盲学校及び聾学校の高等部をいう。
2 この法律において「建物」とは、校舎、屋内運動場及び寄宿舎をいう。
(国の補助)
第三条 国は、公立の高等学校の建物で構造上危険な状態にあるものの改築(買収その他これに準ずる方法による取得を含む。以下同じ。)に要する経費について、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、その三分の一以内を補助することができる。
2 前項の構造上危険な状態にある建物の範囲の決定に関し必要な危険度の判定基準その他の事項は、政令で定める。
(経費の種目)
第四条 前条第一項に規定する経費の種目は、本工事費及び附帯工事費(買収その他これに準ずる方法による取得の場合にあつては、買収費とし、以下「工事費」と総称する。)並びに事務費とする。
(工事費の算定方法)
第五条 工事費は、校舎、屋内運動場又は寄宿舎のそれぞれについて、次の各号に掲げる坪数のうちいずれか少い坪数から第二号に掲げる坪数のうち危険でない部分の坪数を控除して得た坪数を、一坪当りの建築の単価に乗じて算定するものとする。
一 生徒一人当りの基準坪数に当該改築を行う年度の五月一日における当該学校の生徒の数を乗じて得た坪数
二 当該改築を行う年度の五月一日における保有坪数
(生徒一人当りの基準坪数)
第六条 前条の規定により工事費を算定する場合の生徒一人当りの基準坪数は、校舎、屋内運動場又は寄宿舎のそれぞれについて、標準的な規模の学校においてその教育を行うのに必要な最低限度の坪数として政令で定める生徒一人当りの坪数に、政令で定めるところにより、当該学校の生徒の数、当該学校における一学級の平均収容生徒数、当該学校の学科の種類又は当該学校の所在地の積雪寒冷度に応じ、必要な補正を加えた坪数とする。
(一坪当りの建築の単価)
第七条 第五条の規定により工事費を算定する場合の一坪当りの建築の単価は、建物の構造の種類別に、当該改築を行おうとする時における建築費を参酌して、文部大臣が大蔵大臣と協議して定める。
(工事費の算定方法の特例)
第八条 第五条の規定により工事費を算定する場合において、同条第二号に掲げる坪数が同条第一号に掲げる坪数をこえるときで、かつ、当該学校の校舎の危険でない部分の坪数のうち教室に使用することができる部分がきわめて少いことその他政令で定める特別の理由があるため、生徒一人当りの基準坪数に基く改築後の校舎が生徒の教育を行うのに著しく不適当であると認められるときは、当該危険でない坪数のうちから政令で定めるところによりその一部を控除した坪数を危険でない部分の坪数とする。
2 鉄筋コンクリート造の建物に関しては、第五条の規定により工事費を算定する場合の保有坪数又は一坪当りの建築の単価に乗ずべき坪数について、政令で定めるところにより、補正を行うものとする。
(事務費の算定方法)
第九条 事務費は、前四条の規定により算定した工事費に政令で定める割合を乗じて算定するものとする。
(都道府県への事務費の交付)
第十条 国は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会が文部大臣の委任に基いてこの法律の実施に関する事務を行うために必要な経費を都道府県に交付するものとする。
(地方財政法の一部改正)
6 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条中第一号の次に次の一号を加える。
一の二 義務教育諸学校の建物の建築に要する経費
第三十四条第一項第一号及び第二号を次のように改める。
一及び二 削除
(戦災復旧に要する経費についての暫定措置)
7 前項の規定による改正前の地方財政法第三十四条第一項第二号の規定による学校の戦災復旧に要する経費についての国の負担に関しては、当分の間、なお従前の例による。
(新市町村建設促進法の一部改正)
8 新市町村建設促進法(昭和三十一年法律第百六十四号)の一部を次のように改正する。
第十二条第一項中第二号を削り、第三号を第二号とし、同項第四号中「前三号」を「前二号」に改め、同号を同項第三号とする。
(内閣総理・大蔵・文部大臣署名)