衛生検査技師法
法律第七十六号(昭三三・四・二三)
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 免許(第三条―第十条)
第三章 試験(第十一条―第十七条)
第四章 雑則(第十八条―第二十条)
第五章 罰則(第二十一条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、衛生検査技師の資格を定めることによりその資質を向上させ、もつて公衆衛生の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「衛生検査技師」とは、都道府県知事の免許を受け、衛生検査技師の名称を用いて、医師の指導監督の下に、細菌学的検査、血清学的検査、血液学的検査、病理組織学的検査、原虫・寄生虫学的検査その他の政令で定める検査を行うことを業とする者をいう。
第二章 免許
(免許)
第三条 衛生検査技師の免許(以下第十五条第二号の場合を除き、「免許」という。)は、衛生検査技師試験(以下「試験」という。)に合格した者又は政令の定めるところによりこれと同等以上の知識及び技能を有すると認められる者に対して与える。
(絶対的欠格事由)
第四条 つんぼ、おし又は盲の者には、免許を与えない。
(相対的欠格事由)
第五条 次の各号の一に該当する者には、免許を与えないことができる。
一 精神病者、麻薬、あへん若しくは大麻の中毒者又は伝染性の疾病にかかつている者
二 第二条に規定する検査(以下「衛生検査」という。)の業務に関し、犯罪又は不正の行為があつた者
(衛生検査技師名簿)
第六条 都道府県に衛生検査技師名簿を備え、免許に関する事項を登録する。
(登録及び衛生検査技師免許証の交付)
第七条 免許は、都道府県知事が衛生検査技師名簿に登録することによつて行う。
2 都道府県知事は、免許を与えたときは、衛生検査技師免許証を交付する。
(免許の取消等)
第八条 衛生検査技師が第四条の規定に該当するに至つたときは、都道府県知事は、その免許を取り消さなければならない。
2 衛生検査技師が第五条各号の一に該当するに至つたときは、都道府県知事は、その免許を取り消し、又は期間を定めて衛生検査技師の名称の使用の停止を命ずることができる。
3 前項の規定による取消処分を受けた者であつても、疾病がなおり、又は改しゆんの情が顕著であるときは、再免許を与えることができる。
(聴聞)
第九条 都道府県知事は、前条第一項又は第二項の処分をしようとするときは、処分の理由並びに聴聞の期日及び場所をその期日の二週間前までに当該処分を受ける者に通知し、かつ、その者又はその代理人の出頭を求めて聴聞を行わなければならない。
2 聴聞においては、当該処分を受ける者又はその代理人は、自己又は本人のために弁明し、かつ、有利な証拠を提出することができる。
3 都道府県知事は、当該処分を受ける者又はその代理人が正当な理由がなくて聴聞に応じなかつたときは、聴聞を行わないで、前条第一項又は第二項の処分をすることができる。
(政令への委任)
第十条 この章に規定するもののほか、免許の申請、衛生検査技師名簿の登録、訂正及びまつ消並びに衛生検査技師免許証の交付、書換交付、再交付、返納及び提出に関して必要な事項は、政令で定める。
第三章 試験
(試験の目的)
第十一条 試験は、衛生検査技師として必要な知識及び技能について行う。
(試験の実施)
第十二条 試験は、厚生大臣が毎年少くとも一回行う。
(試験委員)
第十三条 試験の実施に関して必要な事務をつかさどるため、厚生省に衛生検査技師試験委員(以下「試験委員」という。)を置く。
2 試験委員は、衛生検査に関して学識経験のある者のうちから、厚生大臣が任命する。
3 前二項に定めるもののほか、試験委員に関して必要な事項は、政令で定める。
(試験委員等の不正行為の禁止)
第十四条 試験委員その他試験に関する事務をつかさどる者は、その事務の施行に当つては厳正を保持し、不正の行為がないようにしなければならない。
(受験資格)
第十五条 試験は、次の各号の一に該当する者でなければ受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した衛生検査技師養成所において二年以上衛生検査技師として必要な知識及び技能を修得したもの
二 外国の衛生検査に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で衛生検査技師の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの
(不正行為の禁止)
第十六条 試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。この場合においては、なお、その者について、期間を定めて試験を受けることを許さないことができる。
(省令への委任)
第十七条 この章に規定するもののほか、試験科目、受験手続、受験手数料その他試験に関して必要な事項及び第十五条第一号の学校又は衛生検査技師養成所の指定に関して必要な事項は、省令で定める。
第四章 雑則
(信用失墜行為の禁止)
第十八条 衛生検査技師は、衛生検査技師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第十九条 衛生検査技師は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。衛生検査技師でなくなつた後においても、同様とする。
(名称の使用禁止)
第二十条 衛生検査技師でない者は、衛生検査技師という名称を使用してはならない。
第五章 罰則
第二十一条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第八条第二項の規定による衛生検査技師の名称の使用の停止命令に違反した者
二 第十四条の規定に違反して故意若しくは重大な過失により事前に試験問題を漏らし、又は故意に不正の採点をした者
三 第十九条の規定に違反した者
四 前条の規定に違反した者
2 前項第三号の罪は、告訴を待つて論ずる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三箇月をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。
(試験に関する特例)
2 次の各号に掲げる者は、当分の間、第十五条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
一 この法律の施行前に通算して二年以上、医師の指導監督の下に、衛生検査の業務に従事していた者
二 衛生検査の業務に必要な知識及び技能を修得させる施設であつて、学校教育法第五十六条第一頂の規定により大学に入学することができる者又は附則第四項に規定する者であることをその入所資格とし、かつ、その修業年限が二年以上であるもので厚生大臣が指定したものにおいてこの法律の施行前にその課程を修了した者又は当該施設においてこの法律の施行の際現に修業中でありこの法律の施行後その課程を修了した者
三 衛生検査の業務に必要な知識及び技能を修得させる施設であつて、その修業年限が一年以上であり、かつ、厚生大臣がその教科の内容が充実していると認めて指定したものにおいてこの法律の施行前にその課程を修了した者又は当該施設においてこの法律の施行の際現に修業中でありこの法律の施行後その課程を修了した者で、それぞれ当該課程を修了した後通算して一年六月以上、医師の指導監督の下に、衛生検査の業務に従事したもの
3 衛生検査の業務に必要な知識及び技能を修得させる施設であつて、学校教育法第四十七条の規定により高等学校に入学することができる者又は省令の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められる者であることをその入所資格とし、かつ、その修業年限が一年以上であるもののうち厚生大臣がその教科の内容が充実していると認めて指定したものにおいて、その課程を修了した後、通算して五年以上、医師の指導監督の下に衛生検査の業務に従事した者は、昭和四十一年十二月三十一日までの間に限り、第十五条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
4 旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校を卒業した者又は省令の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められる者は、第十五条第一号の規定の適用については、学校教育法第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者とみなす。
5 試験は、第十二条の規定にかかわらず、昭和三十三年においては行わないことができる。
(名称の使用の経過規定)
6 この法律の施行の際、現に衛生検査技師という名称を用いている者については、第二十条の規定は、この法律の施行後六箇月間は、適用しない。
(厚生省設置法の一部改正)
7 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条第二十九号の次に次の一号を加える。
二十九の二 衛生検査技師の試験及び衛生検査技師養成所の指定を行うこと。
第九条第十号の次に次の一号を加える。
十の二 衛生検査技師の身分及び業務について、指導監督を行うこと。
(地方自治法の一部改正)
8 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第三第一号中(二十の二)を(二十の三)とし、(二十)の次に次のように加える。
(二十の二) 衛生検査技師法(昭和三十三年法律第七十六号)の定めるところにより、衛生検査技師の免許及び名称の使用の停止に関する事務を行うこと。
(内閣総理・文部・厚生大臣署名)