揮発油税法

法律第五十五号(昭三二・四・六)

 揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)の全部を改正する。

目次

 第一章 総則(第一条―第七条)

 第二章 課税標準及び税率(第八条・第九条)

 第三章 徴収(第十条―第十三条)

 第四章 免税、税額控除等(第十四条―第十七条)

 第五章 納税の担保(第十八条―第二十一条)

 第六章 雑則(第二十二条―第二十六条)

 第七章 罰則(第二十七条―第三十一条)

 附則

   第一章 総則

 (課税物件)

第一条 揮発油には、この法律により、揮発油税を課する。

 (定義)

第二条 この法律において「揮発油」とは、摂氏十五度において○・八〇一七をこえない比重を有する炭化水素油をいう。

2 この法律において「保税地域」とは、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二十九条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。

 (納税義務者)

第三条 揮発油の製造者は、その製造場から移出した揮発油の数量に応じ、揮発油税を納める義務がある。

2 揮発油を保税地域から引き取る者は、その引き取る揮発油の数量に応じ、揮発油税を納める義務がある。

 (保税地域に該当する製造場)

第四条 揮発油の製造場が保税地域に該当する場合には、この法律(第十四条第一項第一号及び第二号、第十七条第三項各号列記以外の部分並びに第二十三条を除く。)の適用上、これを揮発油の製造場でないものとみなす。

 (移出又は引取等とみなす場合)

第五条 揮発油の製造場において揮発油が消費される場合(新たな揮発油を製造するために消費される場合を除く。以下次項において同じ。)には、当該製造者がその消費の時に当該揮発油をその製造場から移出したものとみなす。ただし、その消費につき、当該製造者の責に帰することができない場合には、その消費者を揮発油の製造者とみなし、当該消費者が消費の時に当該揮発油をその製造場から移出したものとみなす。

2 保税地域において揮発油が消費される場合には、その消費者が消費の時に当該揮発油をその保税地域から引き取るものとみなす。

 (揮発油等とみなす場合)

第六条 揮発油の製造場又は保税地域において、揮発油に炭化水素油以外の物を混和して揮発油以外の物(その性状及び用途が揮発油に類するものに限る。以下この条において同じ。)としたときは、当該混和を製造とみなし、当該揮発油以外の物を揮発油とみなす。

 (製造者等とみなす場合)

第七条 揮発油が揮発油の製造場から移出された場合において、その移出につき、当該製造者の責に帰することができないときは、当該揮発油を移出した者を揮発油の製造者とみなして、この法律を適用する。

2 揮発油の製造者がその製造を廃止した場合において、揮発油がその製造場であつた場所に現存するときは、当該揮発油については、なおその場所を揮発油の製造場とみなして、この法律を適用する。

   第二章 課税標準及び税率


 (課税標準)

第八条 揮発油税の課税標準は、揮発油の製造場から移出した揮発油又は保税地域から引き取る揮発油の数量から、消費者に販売するまでに貯蔵及び輸送により減少すべき揮発油の数量に相当する数量で政令で定めるものを控除した数量とする。

2 第五条の規定により揮発油を製造場から移出したものとみなされ、又は保税地域から引き取るものとみなされる場合における当該揮発油に係る揮発油税の課税標準は、前項の規定にかかわらず、その消費される揮発油の数量とする。

 (税率)

第九条 揮発油税の税率は、揮発油一キロリットルにつき一万四千八百円とする。

   第三章 徴収

 (移出数量等の申告)

第十条 揮発油の製造者は、毎月その製造場から移出した揮発油(当該移出につき第十四条第一項、第十五条第一項又は第十六条第一項の規定の適用を受けた揮発油を除く。)の数量その他政令で定める事項を記載した申告書を、翌月十日までに、その製造場の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。

2 揮発油を保税地域から引き取ろうとする者は、当該引取に係る揮発油税を免除されるべき場合を除き、あらかじめ、引取の日時、引き取る揮発油の数量その他政令で定める事項を記載した申告書をその保税地域の所在地の所轄税関長に提出しなければならない。

 (移出数量等の決定通知)

第十一条 前条の規定による申告書の提出があつた場合において、当該申告書に記載された揮発油の数量が税務署長若しくは税関長において調査したところと異なるとき、又は当該申告書を提出すべき者がこれを提出しなかつた場合には、税務署長又は税関長は、その調査によつて当該揮発油の数量を決定し、当該申告書を提出した、又は提出すべき者に、これを通知する。

 (納期)

第十二条 揮発油の製造場から移出した揮発油に係る揮発油税は、税務署長が、その移出した月の翌月末日を納期限として徴収する。

2 保税地域から引き取る揮発油に係る揮発油税は、税関長が、その引取の際徴収する。

 (徴収猶予)

第十三条 揮発油の製造場から移出した揮発油に係る揮発油税について、政令で定めるところにより、その税額に相当する担保が提供された場合には、税務署長は、二月以内、その徴収を猶予することができる。

2 保税地域から引き取る揮発油に係る揮発油税について、政令で定めるところにより、その税額に相当する担保が提供された場合には、税関長は、三月以内、その徴収を猶予することができる。

   第四章 免税、税額控除等

 (未納税移出及び未納税引取)

第十四条 次に掲げる場合において、当該揮発油をその製造場から移出し、又は保税地域から引き取ろうとする者が、政令で定めるところにより、その製造場の所在地の所轄税務署長又はその保税地域の所在地の所轄税関長の承認を受けたときは、当該移出又は引取に係る揮発油税を免除する。ただし、第六項又は第二十八条第二項本文の規定の適用がある場合には、この限りでない。

 一 揮発油の製造者が揮発油を揮発油の製造場又は蔵置場へ移出する場合

 二 揮発油の製造者が揮発油を保税地域から揮発油の製造場又は蔵置場に引き取る場合

 三 その他政令で定める場合

2 税務署長又は税関長は、前項の承認を与える場合には、その承認の申請者に対し、相当の期限を指定して、当該揮発油がその移出先又は引取先に移入されたことについての当該移出先又は引取先の所在地の所轄税務署長(当該移出先又は引取先が保税地域に該当する場合には、所轄税関長)の証明書を提出すべきことを命じなければならない。

3 第一項の承認を申請した者が第十八条第一項第一号の規定により命ぜられた担保の提供をしない場合には、税務署長又は税関長は、その承認を与えてはならない。

4 第一項の承認の申請に係る揮発油の移出先又は引取先等につき、揮発油税の保全上特に不適当と認められる事情がある場合には、税務署長又は税関長は、その承認を与えないことができる。

5 第一項の規定により揮発油税を免除された揮発油については、当該承認に係る移出先又は引取先が保税地域に該当する場合を除くほか、同項の承認に係る移出先又は引取先にその揮発油を移入した者が揮発油の製造者でないときは、これを揮発油の製造者とみなし、当該移出先又は引取先が揮発油の製造場でないときは、これを揮発油の製造場とみなして、この法律を適用する。

6 第一項の承認を受けて移出し、又は引き取つた揮発油について、第二項の規定により税務署長又は税関長の指定した期限内に同項に規定する証明書の提出がないときは、直ちにその揮発油税を徴収する。ただし、災害その他やむを得ない事情により亡失した揮発油につき、政令で定める手続により、当該税務署長又は税関長の承認を受けた場合には、その揮発油税を免除する。

 (輸出免税)

第十五条 揮発油を輸出する目的で揮発油の製造場から移出し、又は保税地域から引き取ろうとする場合において、当該製造者又は当該揮発油を保税地域から引き取ろうとする者が、政令で定める手続により、その製造場の所在地の所轄税務署長又はその保税地域の所在地の所轄税関長の承認を受けたときは、当該移出又は引取に係る揮発油税を免除する。ただし、第四項又は第二十八条第二項本文の規定の適用がある場合には、この限りでない。

2 税務署長又は税関長は、前項の承認を与える場合には、政令で定めるところにより、その承認の申請者に対し、相当の期限を指定して、当該揮発油が輸出されたことを証する書類の提出を命じなければならない。

3 第一項の承認を申請した者が第十八条第一項第二号の規定により命ぜられた担保の提供をしない場合には、税務署長又は税関長は、その承認を与えてはならない。

4 第一項の承認を受けて移出し、又は引き取つた揮発油について、第二項の規定により税務署長又は税関長の指定した期限内に同項に規定する証明書の提出がないとき、又は次項ただし書の規定による承認があつたときは、直ちにその揮発油税を徴収する。ただし、災害その他やむを得ない事情により亡失した揮発油につき、政令で定める手続により、当該税務署長又は税関長の承認を受けた場合には、その揮発油税を免除する。

5 第一項の承認を受けて揮発油を揮発油の製造場から移出し、又は保税地域から引き取つた者は、当該揮発油をこの法律の施行地において消費し、又は輸出以外の目的で譲り渡してはならない。ただし、その者が政令で定める手続によりその製造場の所在地の所轄税務署長又はその保税地域の所在地の所轄税関長の承認を受けた場合には、この限りでない。

 (灯油の免税)

第十六条 灯油に該当する揮発油を揮発油の製造場から移出し、又は保税地域から引き取ろうとする場合において、当該製造者又は当該揮発油を保税地域から引き取ろうとする者が、政令で定める手続により、その製造場の所在地の所轄税務署長又はその保税地域の所在地の所轄税関長の承認を受けたときは、当該移出又は引取に係る揮発油税を免除する。

2 前項に規定する灯油に該当する揮発油の規格については、政令で定める。

 (戻入れの場合の揮発油税の控除等)

第十七条 揮発油の製造者がその製造場から移出した揮発油を当該製造場に戻し入れた場合においては、政令で定めるところにより、当該製造者が当該戻入れの月の翌月以降に徴収されるべき揮発油税額から当該揮発油につき当該移出により徴収された、又は徴収されるべき揮発油税額(利子税額及び延滞加算税額を除くものとし、当該揮発油税額につきこの項から第三項までの規定による控除が行われている場合には、その控除前の金額とする。)に相当する金額を控除する。

2 他の揮発油の製造場から移出され、又は保税地域から引き取られた揮発油を揮発油の製造場に移入した場合(前項の規定による控除を受けるべき場合を除く。)において、当該揮発油をその移入した製造場からさらに移出するときは、政令で定めるところにより、当該移出に係る揮発油税額から、当該揮発油につき当該他の製造場からの移出又は保税地域からの引取により徴収された、又は徴収されるべき揮発油税額(利子税額及び延滞加算税額を除くものとし、当該揮発油税額につき前項から次項までの規定による控除が行われている場合には、その控除前の金額とする。)に相当する金額を控除する。

3 次の各号に掲げる場合において、当該揮発油をその戻し入れ、又は移入した保税地域に該当する揮発油の製造場からさらに引き取るときは、政令で定めるところにより、当該引取に係る揮発油税額から、当該揮発油につき当該各号に規定する揮発油の製造場又は保税地域からの移出又は引取により徴収された、又は徴収されるべき揮発油税額(利子税額及び延滞加算税額を除くものとし、第一項からこの項までの規定による控除が行われている場合には、その控除前の金額とする。)に相当する金額を控除する。

 一 保税地域に該当する揮発油の製造場から引き取られた揮発油を当該保税地域に該当する揮発油の製造場に戻し入れた場合

 二 揮発油の製造場から移出され、又は他の保税地域から引き取られた揮発油を保税地域に該当する揮発油の製造場に移入した場合

4 第一項の場合において、揮発油の製造の廃止その他の理由により、揮発油を戻し入れた月の翌月以降に徴収されるべき揮発油税額がないとき、又は徴収されるべき揮発油税額から控除してなお不足額があるときは、同項の規定により控除すべき金額又は当該不足額を還付する。

5 第一項から第三項までの規定による控除を受けようとする者は、当該戻入れ又は移入に係る揮発油の数量を記載した書類及び当該揮発油につき徴収された、又は徴収されるべき揮発油税額につき事実を証する書類を提出して、当該戻入れ又は移入に係る製造場の所在地の所轄税務署長又は保税地域に該当する製造場の所在地の所轄税関長の確認を受けなければならない。

6 第四項の規定による還付を受けようとする者は、前項の確認を受けた後、同項の書類に準ずる書類を添えて、当該戻入れに係る製造場の所在地の所轄税務署長に還付の申請をしなければならない。

   第五章 納税の担保

 (担保の提供)

第十八条 税務署長又は税関長は、次の各号に掲げる場合において、必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該各号に規定する者に対し、当該揮発油に係る揮発油税額に相当する担保の提供を命ずることができる。

 一 揮発油の製造者又は揮発油を保税地域から引き取る者が第十四条第一項の承認を受けて揮発油をその製造場から移出し、又は保税地域から引き取る場合

 二 揮発油の製造者又は揮発油を保税地域から引き取る者が第十五条第一項の承認を受けて輸出する目的で揮発油をその製造場から移出し、又は保税地域から引き取る場合

2 前項に規定する場合のほか、国税庁長官、国税局長又は税務署長は、揮発油税の保全のために必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、揮発油の製造者に対し、金額及び期間を指定して、揮発油税につき担保の提供を命ずることができる。

3 第一項の規定による担保の提供の期間は、第十四条第二項若しくは第十五条第二項に規定する証明書が所轄税務署長若しくは所轄税関長に到達するまでの間又は第十四条第六項、第十五条第四項若しくは第二十八条第二項の規定により揮発油税を徴収され、若しくは免除されるまでの間とする。

4 国税庁長官、国税局長又は税務署長は、必要があると認めるときは、第二項の金額又は期間を変更することができる。

5 第一項又は第二項の規定による担保の提供の手続について必要な事項は、政令で定める。

 (担保の種類)

第十九条 第十三条又は前条第一項若しくは第二項の規定により提供する担保の種類は、次に掲げるものとする。

 一 金銭

 二 国債及び地方債

 三 国税庁長官、国税局長、税務署長又は税関長(以下「国税庁長官等」という。)が確実と認める社債(特別の法律により設立された法人の発行する債券を含む。)

 四 土地

 五 火災保険に附した建物

 六 工場財団

 七 国税庁長官等が確実と認める保証人の保証

 八 その他政令で定めるもの

 (担保の変換等)

第二十条 第十三条、第十八条第一項若しくは第二項又は次項の規定により担保を提供した者は、当該担保の提供先である国税庁長官等の承認を受けた場合に限り、担保を換えることができる。

2 国税庁長官等は、第十三条、第十八条第一項若しくは第二項又は前項の規定により提供された担保物が滅失した場合又はこれらの規定により提供された担保物の価額が減少し、若しくは前条第七号に掲げる担保に係る保証人の資力が納税を担保するのに不充分となつたと認める場合には、政令で定めるところにより、当該担保を提供した者に対し、これらに代るべき担保又は増担保の提供を命ずることができる。

3 前条の規定は、前二項の場合について準用する。

 (担保の処分等)

第二十一条 第十三条、第十八条第一項若しくは第二項又は前条第一項若しくは第二項の規定により金銭を担保として提供した納税義務者は、政令で定めるところにより、担保として提供した金銭をもつて揮発油税の納付に充てることができる。

2 第十三条、第十八条第一項若しくは第二項又は前条第一項若しくは第二項の規定により担保を提供した場合において、納税義務者が納期限までに揮発油税を納付しないときは、直ちに、その担保として提供された金銭をもつて揮発油税に充て、若しくは金銭以外の担保物を国税滞納処分の場合の財産の処分の例により処分してその代金をもつて揮発油税及びその処分費に充て、又は保証人にその旨を通知して揮発油税を納付させる。

3 前項の場合において、担保として提供された金銭又は担保物を処分した代金を、徴収すべき揮発油税及びその処分費に充ててもなお不足があるときは、納税義務者の他の財産について滞納処分を行い、また、保証人がその納付すべき揮発油税を完納しないときは、まず納税義務者に対して滞納処分を行い、なお不足があるとき、又は不足があると認めるときは、保証人に対して滞納処分を行う。

4 前項の保証人は、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)第三十二条(財産をかくす等の罪)の規定の適用については、納税者とみなす。

5 国税徴収法第七条ノ四第四項(担保物についての国税の先取権)の規定は、第十三条、第十八条第一項若しくは第二項又は前条第一項若しくは第二項の規定により提供された担保物について準用する。

   第六章 雑則

 (利子税額)

第二十二条 揮発油税を徴収する場合において、納税義務者が国税徴収法第六条(納税の告知)の規定による指定納期日(第十三条の規定により徴収を猶予された場合には、その猶予された納期日)までに揮発油税額を完納しないときは、その未納に係る揮発油税額に対し、当該納期日(揮発油を保税地域から引き取つた者が第二十七条第一項第一号の規定に該当する場合において、その揮発油税を徴収するときは、その引き取つた日とし、同条第三項の規定により揮発油税を徴収する場合において、当該納期日が第十二条第一項に規定する納期限よりおそいときは、当該納期限とする。)の翌日から当該揮発油税額を納付する日までの日数に応じ、百円につき一日三銭の割合で計算した金額に相当する利子税額を、揮発油税額にあわせて徴収する。

2 前項の場合において、納税義務者がその未納に係る揮発油税額の一部を納付したときは、その納付の日の翌日以後の期間に係る利子税額の計算の基礎となる揮発油税額は、同項の未納に係る揮発油税額からその一部納付に係る揮発油税額を控除した額による。

3 利子税額の計算の基礎となる揮発油税額が千円未満である場合には、第一項の規定を適用せず、当該揮発油税額に千円未満の端数がある場合には、これを切り捨てて計算する。

4 利子税額が三百円未満である場合には、これを徴収しない。

5 第一項の規定により利子税額をあわせて徴収すべき場合において、当該納税義務者が納付した揮発油税額が同項の未納に係る揮発油税額に達するまでは、その納付した税額は、当該揮発油税額に充てられたものとする。ただし、国税徴収法第二十八条(公売代金等の充当又は配分)の規定の適用を妨げない。

 (製造の開廃等の申告)

第二十三条 揮発油を製造しようとする者は、その製造場ごとに、政令で定めるところにより、その旨を当該製造場の所在地の所轄税務署長(当該製造場が保税地域に該当する場合には、所轄税関長。以下次項において同じ。)に申告しなければならない。揮発油の製造者がその製造を廃止し、又は休止した場合も、また同様とする。

2 揮発油の製造者は、前項の規定により申告した事項に異動を生じた場合には、政令で定めるところにより、その旨を所轄税務署長に申告しなければならない。

 (記帳義務)

第二十四条 揮発油の製造者又は販売業者は、政令で定めるところにより、揮発油の製造、貯蔵又は販売に関する事実を帳簿に記載しなければならない。

 (申告義務等の承継)

第二十五条 法人が合併した場合においては、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、合併により消滅した法人の次に掲げる義務を、相続の開始があつた場合においては、相続人(包括受遺者を含む。)は、被相続人(包括遺贈者を含む。)の次に

 掲げる義務を、それぞれ承継する。

 一 第十条第一項又は第二十三条の規定による申告の義務

 二 前条の規定による記帳の義務

 (当該職員の権限)

第二十六条 国税庁、国税局、税務署又は税関の当該職員(以下「当該職員」という。)は、揮発油税に関する調査について必要な範囲内で、次に掲げる行為をすることができる。

 一 揮発油の製造者又は販売業者に対して質問し、又はこれらの者の業務に関する揮発油、帳簿書類その他の物件を検査すること。

 二 揮発油を保税地域から引き取る者に対して質問し、その引き取る揮発油を検査すること。

 三 第一号に規定する者の業務に関する揮発油又は前号に規定する揮発油について必要最小限度の分量の見本を採取すること。

 四 運搬中の揮発油を検査し、又はこれを運搬する者に対してその出所若しくは到達先を質問すること。

2 当該職員は、揮発油税に関する調査について必要がある場合には、揮発油の製造者又は販売業者の組織する団体(当該団体をもつて組織する団体を含む。)に対して、その団体員の揮発油の製造又は取引に関し参考となるべき事項を諮問することができる。

3 第一項第三号の規定により採取した見本に関しては、第三条、第十条及び第十二条の規定は、適用しない。

4 当該職員は、第一項又は第二項の規定により職務を執行する場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

5 第一項に規定する当該職員の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

   第七章 罰則

第二十七条 次の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 偽りその他不正の行為により揮発油税を免かれ、又は免かれようとした者

 二 偽りその他不正の行為により第十七条第四項の規定による還付を受け、又は受けようとした者

2 前項の犯罪に係る揮発油に対する揮発油税に相当する金額又は還付金に相当する金額の十倍が五十万円をこえる場合には、情状により、同項の罰金は、五十万円をこえ当該揮発油税に相当する金額又は還付金に相当する金額の十倍以下とすることができる。

3 揮発油の製造者が第一項第一号の規定に該当する場合において、当該揮発油税に係る揮発油が既に製造場から移出されているときは、第十二条第一項の規定にかかわらず、直ちにその揮発油税を徴収する。

第二十八条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金又は科料に処する。

 一 第十条の規定による申告書の提出を怠り、又は偽りの申告書を提出した者

 二 第十四条第一項の承認を受けて揮発油を製造場から移出し、又は保税地域から引き取つた者で、当該揮発油をその承認に係る移出先又は引取先に移入しなかつたもの

 三 第十五条第一項の承認を受けて揮発油を製造場から移出し、又は保税地域から引き取つた者で、同条第五項の規定に違反して当該揮発油を消費し、又は譲り渡したもの

2 前項第二号又は第三号の場合においては、第十四条第六項本文又は第十五条第四項本文の規定にかかわらず、直ちにその揮発油税を徴収する。ただし、既にこれらの規定が適用された場合には、この限りでない。

第二十九条 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金又は科料に処する。

 一 第二十三条の規定による申告を怠り、又は偽つた者

 二 第二十四条の規定による帳簿の記載を怠り、若しくは偽り、又はその帳簿を隠匿した者

 三 第二十六条第一項第一号若しくは第二号の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項第一号から第三号までの規定による当該職員の職務の執行を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第三十条 第二十七条第一項の罪を犯した者には、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四十八条第二項(併合罪)、第六十三条(従犯の刑の減軽)及び第六十六条(情状による刑の減軽)の規定は、適用しない。ただし、懲役の刑に処する場合又は懲役及び罰金を併科する場合における懲役刑については、この限りでない。

第三十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第二十七条から第二十九条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を科する。


   附 則

1 この法律は、公布の日の翌日から施行する。

2 この法律の施行前に課した、又は課すべきであつた揮発油税については、なお従前の例による。

3 改正後の揮発油税法(以下「新法」という。)第十条第一項の規定の適用については、昭和三十二年四月分の申告書に限り、同項中「毎月」とあるのは、「この法律の施行の日から昭和三十二年四月三十日までに」と読み替えるものとする。

4 新法第二十三条第一項の規定は、この法律の施行の日から十日間を限り、この法律の施行前から引き続いて揮発油の製造者であるものについては、適用しない。

5 改正前の揮発油税法(以下「旧法」という。)第七条第一項の承認を受けて製造場又は保税地域から引き取られた揮発油の当該引取に係る揮発油税の徴収又は免除については、第七項に定めるものを除くほか、なお従前の例による。

6 旧法第八条第一項の承認を受けて製造場から引き取られた揮発油の当該引取に係る揮発油税の徴収又は免除並びに当該揮発油の消費及び譲渡についての承認並びに当該承認に係る揮発油税の徴収については、次項に定めるものを除くほか、なお従前の例による。

7 次に掲げる場合における揮発油税の徴収については、新法第九条の規定を適用する。

 一 旧法第七条第一項又は第八条第一項の規定による承認を受けてこの法律の施行前に揮発油の製造場又は保税地域から引き取られた揮発油について、その承認の際税務署長又は税関長が指定した期間内にその承認を受けた引取先に移入され、又は輸出されたことの証明がない場合(当該期間がこの法律の施行の日の前日までに終る場合を除く。)

 二 この法律の施行後に前項においてその例によるものとされる旧法第九条第一項ただし書の規定による承認を受けて揮発油が消費され、又は譲渡された場合

 三 この法律の施行前に旧租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)第二十六条第一項、第二十二項の規定による改正前の租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第八十九条、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十一号)第十条第一項(日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律(昭和二十九年法律第百四十九号)第三条第一項において準用する場合を含む。)、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和二十七年法律第百十二号)第七条、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律(昭和二十九年法律第百十二号)第一条に規定する協定第六条又は輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三十年法律第三十七号)第五条第一項若しくは第七条第一項の規定により揮発油税の免除を受けた揮発油について、この法律の施行後にこれらの法律の規定(第二十三項においてその例によるものとされる第二十二項の規定による改正前の租税特別措置法第九十条の規定を含む。)により揮発油税の追徴が行われる場合

8 旧法第七条第二項の規定により製造場とみなされた引取先及び製造者とみなされた営業者については、同項の規定は、なおその効力を有する。

9 この法律の施行前に製造場に戻し入れた揮発油で既に揮発油税を課されているものが、この法律の施行の際その製造場に現存する場合においては、新法第十七条第一項中「当該戻入れの月」とあるのは、「この法律の施行の日の属する月」と読み替えて、同項の規定を適用する。

10 この法律の施行の際、揮発油の製造場及び保税地域以外の場所で、合計五キロリットル以上の揮発油(新法第十六条に規定する灯油に該当する揮発油を除く。以下この項及び第十二項において同じ。)を所持する揮発油の製造者又は販売業者がある場合においては、当該揮発油については、その者がこの法律の施行の日にこれを揮発油の製造場から移出したものとみなして、一キロリットルにつき三千八百円の揮発油税を課する。

11 前項の場合において、その揮発油税額が三万八千円以下のときは、昭和三十二年四月三十日限り、三万八千円をこえるときは、次の区分によりその税額を各月に等分して、その月の末日限り、これを徴収する。

税額三万八千円をこえるとき   昭和三十二年四月及び五月

税額七万六千円をこえるとき   同年四月から六月まで

税額二十二万八千円をこえるとき 同年四月から七月まで

税額三十八万円をこえるとき   同年四月から八月まで

12 第十項に規定する者は、その所持する揮発油の貯蔵場所及び貯蔵場所ごとの数量を記載した申告書を、この法律の施行後二十日以内に、その貯蔵場所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。

13 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

14 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号)の一部を次のように改正する。

  第七条第二項中「物品税法第九条」の下に「、揮発油税法第十七条第一項」を加える。

  第八条及び第九条中「物品税」の下に「、揮発油税」を加える。

15 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律の一部を次のように改正する。

  第一条中「揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)」を「揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)」に改める。

  第十条第一項中「所轄税務署長」を「所轄税務署長又は所轄税関長」に、「引き取る」を「移出し、又は保税地域から「引き取る」に改め、同条第二項中「所轄税務署長」を「所轄税務署長又は所轄税関長」に、「読み替える」を「、「所轄税務署長」とあるのは、「所轄税務署長又は所轄税関長」と読み替える」に改める。

  第十一条第一項中「所轄税務署長」を「所轄税務署長又は所轄税関長」に改める。

16 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律の一部を次のように改正する。

  第一条中「揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)」を「揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)」に改める。

  第十二条第三項中「揮発油税法第五条」を「揮発油税法第十二条」に改める。

17 道路整備費の財源等に関する臨時措置法(昭和二十八年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第二項第一号中「揮発油税法による揮発油税(以下「揮発油税」という。」を「揮発油税」に改める。

18 日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律の一部を次のように改正する。

  第一条中「揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)」を「揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)」に改める。

  第四条第二項中「揮発油税法第五条」を「揮発油税法第十二条」に改める。

  第五条第一項中「又は引取」及び「又は引取人」を削り、同条第二項中「物品税法」の下に「又は揮発油税法」を加え、同項中「同法第十条第一項」を「物品税法第十条第一項又は揮発油税法第十二条第一項」に改め、同項中「物品税」の下に「又は揮発油税」を加える。

19 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律の一部を次のように改正する。

  第一条中「揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)」を「揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)」に改める。

20 輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律の一部を次のように改正する。

  第一条中「揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)」を「揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)」に改める。

  第二条第二号中「同法第十五条(揮発油とみなす場合)」を「同法第六条(揮発油等とみなす場合)」に改める。

  第六条第一項中「揮発油税法第十三条、」を削る。

21 日本道路公団法(昭和三十一年法律第六号)の一部を次のように改正する。

  附則第十二条中「揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)による」を削る。

22 租税特別措置法の一部を次のように改正する。

  第一条中「揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)」を「揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)」に改める。

  第二条第三項第三号中「規定する揮発油」の下に「(同法第六条の規定により揮発油とみなされる物を含む。)」を加える。

  第八十九条及び第九十条を次のように改める。

 (石油化学原料として消費される揮発油の免税)

第八十九条 エチレンその他の政令で定める化学製品の原料として揮発油を消費することについて揮発油税法第五条の規定の適用がある場合において、当該製品の製造者が、大蔵省令で定める手続により、その製造場の所在地の所轄税務署長(当該製造場が保税地域に該当する場合には、所轄税関長)の承認を受けて揮発油を当該消費に充てるときは、その消費に係る揮発油税を免除する。

2 前項に規定する製品(揮発油を原料とするものに限る。以下この項において同じ。)の製造者が揮発油の製造者でないときは、これを揮発油の製造者とみなし、同項に規定する製品の製造場が揮発油の製造場でないときは、これを揮発油の製造場とみなして、揮発油税法を適用する。

3 税務署長又は税関長は、第一項の承認を与える場合において、取締上必要があると認めるときは、その承認に係る揮発油及びこれを原料とした製品をそれぞれその他の揮発油及び製品と区別して貯蔵すべきこと並びに大蔵省令で定めるところにより同項に規定する製品の製造、貯蔵若しくは販売に関する事項を帳簿に記載し、又は当該事項を記載した書類を提出すべきことを命ずることができる。

 (航空機の燃料用揮発油等の免税)

第九十条 揮発油税法の施行の日から昭和三十四年三月三十一日までの間に、次に掲げる用途に供する揮発油のうち、その用途に応じ、政令で定める規格を有するもので、大蔵省令で定めるところによりその製造場(保税地域に該当するものを除く。以下この条において同じ。)の所在地の所轄税務署長又はその保税地域の所在地の所轄税関長の承認を受けて製造場から移出され、又は保税地域から引き取られるものについては、当該移出又は引取に係る揮発油税及び地方道路税を免除する。

 一 航空機の燃料用

 二 ゴムの溶剤用その他製造に直接供する用途で政令で定めるもの

2 揮発油税法第十四条第六項の規定は、前項の承認を受けて移出し、又は引き取つた揮発油で、大蔵省令で定めるところにより、税務署長又は税関長が指定した期限内に同項各号の用途に供しようとする場所に移入されたことの証明書の提出がないものについて準用する。この場合において、揮発油税を徴収することとなるときは、当該揮発油を移出し、又は引き取つた者から地方道路税をあわせて徴収する。

3 第一項の規定の適用を受けた揮発油を同項各号の用途に供しようとした者が、当該揮発油を当該用途以外の用途に消費し、又は譲り渡したときは、当該揮発油を揮発油の製造場から移出したものとみなし、その者を揮発油の製造者とみなして、揮発油税法及び地方道路税法を適用する。この場合における課税標準は、揮発油税法第八条第一項の規定にかかわらず、当該揮発油の数量とし、同法第十条第一項に規定する申告書は、同項の規定にかかわらず、その消費し、又は譲り渡した日から五日以内に提出するものとし、当該揮発油税及び地方道路税は、同法第十二条第一項の規定にかかわらず、当該申告書が提出された後、直ちに徴収する。

4 揮発油税法第十四条第四項の規定は、第一項の承認について、同法第二十四条及び第二十六条の規定は、第一項の規定の適用を受けた揮発油を同項各号の用途に供する者について、それぞれ準用する。

23 前項の規定による改正前の租税特別措置法第八十九条の承認を受けて製造場又は保税地域から引き取られた揮発油の当該引取に係る揮発油税及び地方道路税の徴収又は免除については、第七項に定めるものを除くほか、なお従前の例による。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

法令一覧(年度別)に戻る