合成ゴム製造事業特別措置法
法律第百五十号(昭三二・六・一)
(趣旨)
第一条 この法律は、ゴムの供給の確保を図るため、合成ゴムの製造事業の育成に必要な特別措置を定めるものとする。
(日本開発銀行の出資)
第二条 日本開発銀行は、日本開発銀行法(昭和二十六年法律第百八号)第十八条第一項の規定にかかわらず、合成ゴムの製造事業を営むことを目的とする株式会社でその事業計画について大蔵大臣及び通商産業大臣の承認を受けたものがその設立の際又はその成立の後に発行する株式を引き受けることができる。
2 前項の規定により日本開発銀行が引き受ける株式は、同項に規定する株式会社の発行済株式の総数の二分の一をこえることができないものとし、その引き受ける株式の発行価額の総額は、十億円をこえることができないものとする。
3 大蔵大臣及び通商産業大臣は、第一項の承認の申請があつた場合において、その申請に係る事業計画がゴムの供給の確保及び合成ゴムの製造事業の健全な発達を図るため必要な製造方法、生産規模、生産費その他の事項についての基準で政令で定めるものに適合すると認めるときでなければ、同項の承認をしてはならない。
4 第一項の規定による株式の引受は、日本開発銀行法の適用については、同法第十八条第一項の業務とみなし、当該株式に係る配当及び譲渡益又は譲渡損は、同法第二十四条第一項及び第二項の規定の適用については、それぞれこれらの規定に規定する収入又は支出とする。
(資金の確保)
第三条 政府は、前条第一項の規定により日本開発銀行がその株式を引き受けた会社(以下「合成ゴム会社」という。)の合成ゴムの製造事業の用に供する設備の設置に必要な資金の確保に努めるものとする。
(代表取締役等の選定等の決議)
第四条 合成ゴム会社の代表取締役の選定及び解職並びに監査役の選任及び解任の決議は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(事業計画等に関する監督)
第五条 合成ゴム会社は、毎営業年度の開始前に、その営業年度の事業計画及び資金計画を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これらを変更しようとするときも、同様とする。
2 通商産業大臣は、合成ゴム会社に対し、その業務の適正な運営を確保するため特に必要があるときは、事業計画及び資金計画の実施について、監督上必要な命令をすることができる。
(定款の変更等)
第六条 合成ゴム会社の定款の変更、利益金の処分、合併及び解散の決議は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(財産目録等の提出)
第七条 合成ゴム会社は、毎営業年度経過後三月以内に、その営業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに営業報告書を通商産業大臣に提出しなければならない。
(報告の徴収)
第八条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、合成ゴム会社に対し、その業務又は経理の状況に関し、報告をさせることができる。
(協議)
第九条 通商産業大臣は、第五条第一項又は第六条(合成ゴム会社の定款の変更の決議に係るものについては、当該会社が発行する株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。
(罰則)
第十条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした合成ゴム会社の取締役は、三十万円以下の過料に処する。
一 第五条第一項の規定に違反して、事業計画又は資金計画の認可を受けなかつたとき。
二 第五条第二項の規定による命令に違反したとき。
三 第七条の規定に違反して、財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに営業報告書を提出せず、又は不実の記載をしたこれらの書類を提出したとき。
四 第八条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 合成ゴム会社の成立の日の属する営業年度の事業計画及び資金計画については、第五条第一項中「毎営業年度の開始前に」とあるのは、「その成立後遅滞なく」と読み替えるものとする。
3 この法律の規定による日本開発銀行の出資による方式は、この法律の施行の日から一年を経過したときは、別に法律で定めるところにより、遅滞なく、政府の出資による方式に切り換えられなければならない。
4 前項に定める措置により政府の出資を受けることとなる会社に関し、当該出資を受けることに伴い必要な事項については、別に法律で定める。
(大蔵・通商産業・内閣総理大臣署名)