生糸製造設備臨時措置法

法律第百四十号(昭三二・五・二八)

目次 

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 設備処理組合及び設備処理組合連合会(第三条―第二十三条)

 第三章 設備処理命令(第二十四条―第三十条)

 第四章 雑則(第三十一条―第三十四条)

 第五章 罰則(第三十五条―第四十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、過剰な生糸製造設備の処理を円滑に行うことにより、生糸製造業の合理化を促進し、もつて生糸の輸出の増進に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律で「生糸製造業者」とは、製糸業法(昭和七年法律第二十九号)第二条第一項の免許を受けている者及び蚕糸業法(昭和二十年法律第五十七号)第十八条の規定に基く命令の規定により玉糸製造業の許可を受けている者(政令で定める者を除く。)をいう。

   第二章 設備処理組合及び設備処理組合連合会

 (設備処理組合)

第三条 生糸製造業者は、政令で定める生糸製造業の区分(以下「事業区分」という。)ごとに、当該事業区分に属する事業を行う生糸製造業者の当該事業区分に係る生糸製造設備(繰糸機及びこれに附帯する政令で定める設備をいう。以下同じ。)が全体として原料繭の供給事情からみて過剰であると認められる場合における過剰生糸製造設備の相当な部分(以下単に「過剰設備」という。)の処理を行うため、設備処理組合(以下「組合」という。)を組織することができる。

 (法人格)

第四条 組合は、法人とする。

 (原則)

第五条 組合は、次の各号に掲げる要件を備えなければならない。

 一 営利を目的としないこと。

 二 組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。

 三 組合員の議決権及び選挙権が平等であること。

 (名称)

第六条 組合は、その名称中に設備処理組合という文字を用いなければならない。

2 組合でない者は、その名称中に設備処理組合という文字を用いてはならない。

 (地区の重複禁止)

第七条 同一の事業区分に属する事業を行う生糸製造業者の組織する組合の地区は、相互に重複するものがあつてはならない。

 (組合員の資格)

第八条 組合の組合員たる資格を有する者は、定款で定める事業区分に属する事業を行う生糸製造業者で、組合の地区内に生糸を製造する事業場を有するものとする。

 (設立の認可)

第九条 組合を設立するには、その組合員になろうとする四人以上の者が発起人となることを要する。

2 発起人は、創立総会の終了後遅滞なく、定款並びに事業計画、役員の氏名及び住所その他必要な事項を記載した書類を農林大臣に提出して、設立の認可を受けなければならない。

3 農林大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、設立しようとする組合が次の各号に適合していると認めるときは、認可をしなければならない。

 一 第五条各号の要件を備えていること。

 二 設立手続及び定款の内容が法令に違反しないこと。

 三 その地区及び構成がその事業を行うのに適当なものであること。

 (定款)

第十条 組合の定款には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 事業

 二 名称

 三 地区

 四 事務所の所在地

 五 組合員たる資格に関する規定

 六 組合員の加入及び脱退に関する規定

 七 組合員の権利義務に関する規定

 八 事業の執行に関する規定

 九 役員に関する規定

 十 会議に関する規定

 十一 会計に関する規定

 十二 公告の方法

2 組合の定款には、前項各号に掲げる事項のほか、組合の存立時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由を記載しなければならない。

 (事業)

第十一条 組合は、次に掲げる事業を行うことができる。

 一 過剰設備を廃棄、格納その他の方法により処理する事業

 二 前号に掲げる事業に附帯する事業

 (設備処理規程の設定)

第十二条 組合は、前条第一号の事業を行おうとするときは、過剰設備の処理の内容及びその実施に関する規程(以下「設備処理規程」という。)を定め、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 農林大臣は、前項の認可(変更の認可を含む。)の申請があつた場合において、当該設備処理規程の内容が次の各号の一に該当すると認めるときは、認可をしてはならない。

 一 過剰設備を処理するため必要な最少限度をこえていること。

 二 不当に差別的であること。

 三 一般消費者及び養蚕業者その他の関連事業者の利益を不当に害すること。

3 農林大臣は、第一項の認可(変更の認可を含む。)の申請があつた場合において、認可又は不認可の処分をしようとするときは、蚕糸業振興審議会の意見を聞かなければならない。

 (設備処理規程の変更等)

第十三条 農林大臣は、設備処理規程の内容が前条第二項各号の一に該当するに至つたと認めるときは、当該組合に対し、その事項を示してこれを変更すべきことを命じなければならない。

2 農林大臣は、組合が前項の規定による命令に従わないときは、当該設備処理規程を廃止すべきことを命ずることができる。

3 農林大臣は、第二十四条第一項の規定による命令をしようとするとき、又はした後において、特に必要があると認めるときは、当該命令に係る組合に対し、その事項を示して設備処理規程を変更すべきことを命ずることができる。

4 農林大臣は、前三項の規定による命令をしようとするときは、蚕糸業振興審議会の意見を聞かなければならない。

 (設備処理規程の廃止)

第十四条 第二十四条第一項の規定による命令があつた場合には、当該命令に係る設備処理規程の廃止は、農林大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

2 組合は、設備処理規程を廃止したとき(前項に規定する場合を除く。)は、遅滞なく、その旨を農林大臣に届け出なければならない。

 (設備処理規程の設定等に関する決議)

第十五条 設備処理規程の設定、変更又は廃止は、総会の決議によらなければならない。

2 前項の決議は、総組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数をもつてしなければならない。

3 設備処理規程の設定は、第一項の規定にかかわらず、創立総会の決議によつてもすることができる。

 (過怠金)

第十六条 組合は、定款の定めるところにより、設備処理規程に違反した組合員に対して過怠金を課することができる。

 (解散)

第十七条 農林大臣は、組合が次の各号の一に該当すると認めるときは、その組合の解散を命ずることができる。

 一 第五条の要件を欠くに至つたとき。

 二 定款で定める事業以外の事業を行つたとき。

 三 第十三条第二項の規定による命令に従わないとき。

 四 第二十六条の規定による命令又は第二十三条において準用する中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第百六条第一項の規定による命令に従わないとき。

2 第二十四条第一項の規定による命令があつた場合における当該命令に係る組合の解散(前項の規定に基く命令によるもの及び第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第六十二条第一項第二号又は第三号の規定によるものを除く。)は、第二十三条において準用する同法第六十二条第一項の規定にかかわらず、農林大臣が解散の届出を受理した日から二週間を経過しなければ、その効力を生じない。

 (設備処理組合連合会)

第十八条 同一の事業区分に属する事業を行う生糸製造業者の組織する組合は、全国を地区とする一個の設備処理組合連合会(以下「連合会」という。)を組織することができる。

 (法人格)

第十九条 連合会は、法人とする。

 (連合会の事業)

第二十条 連合会は、次に掲げる事業を行うことができる。

 一 過剰設備の処理に関する基準の設定及びこれに基いてする会員の設備処理規程についての調整に関する事業

 二 会員の行う過剰設備の処理の事業に直接必要な資金の調整に関する事業

 三 前二号に掲げる事業に附帯する事業

 (議決権及び選挙権)

第二十一条 会員は、各々一個の議決権及び役員の選挙権を有する。ただし、会員たる組合の組合員の数に応じて、農林省令で定める基準に従い、定款で定めるところにより、二個以上の議決権又は選挙権を与えることができる。

 (連合会に関する準用規定)

第二十二条 第五条第一号及び第二号、第六条、第九条、第十条並びに第十二条から第十七条までの規定は、連合会に準用する。この場合において、第六条中「設備処理組合」とあるのは「設備処理組合連合会」と、第九条第一項中「その組合員になろうとする四人以上の者」とあるのは「その会員になろうとする二以上の組合」と、第十二条第一項中「前条第一号」とあるのは「第二十条第一号又は第二号」と、「過剰設備の処理の内容及びその実施に関する規程(以下「設備処理規程」という。)」とあるのは「同条第一号の基準又は同条第二号の調整の実施に関する規程(以下「調整規程」という。)」と、同条第二項及び第十三条第二項中「当該設備処理規程」とあるのは「当該調整規程」と、第十三条第一項及び第三項並びに第十四条から第十六条までの規定中「設備処理規程」とあるのは「調整規程」と、第十五条第二項中「総組合員の半数以上」とあるのは「議決権の総数の半数以上に相当する議決権を有する会員」と読み替えるものとする。

 (中小企業等協同組合法の準用)

第二十三条 中小企業等協同組合法第二条(登記)、第四条第二項(住所)、第十一条第二項から第五項まで、第十二条、第十四条、第十九条(第一項第四号を除く。)(組合員)、第二十七条、第二十八条、第三十条から第三十二条まで(設立)、第三十五条(第五項を除く。)、第三十五条の二から第三十八条の二まで、第三十九条(第二項第三号を除く。)、第四十条から第四十二条まで(役員)、第四十六条から第五十条まで、第五十一条(第一項第二号を除く。)、第五十二条から第五十四条まで(総会)、第六十二条、第六十三条第一項、第三項及び第四項、第六十四条から第六十六条まで、第六十八条、第六十九条(解散及び清算)、第八十三条第一項、第二項(ただし書及び第五号を除く。)及び第五項、第八十四条、第八十五条、第八十六条第一項、第八十八条から第九十二条まで、第九十三条第一項及び第二項、第九十四条、第九十五条第一項及び第二項、第九十七条から第百三条まで(登記)、第百四条、第百五条、第百五条の四並びに第百六条第一項(監督)の規定は、組合及び連合会に、同法第十一条第一項(議決権及び選挙権)の規定は、組合に準用する。この場合において、同法第二十八条中「前条第一項」とあるのは「生糸製造設備臨時措置法(昭和三十二年法律第百四十号)第九条第二項(同法第二十二条において準用する場合を含む。)」と、同法第三十一条、第三十五条の二、第四十八条、第五十一条第二項、第六十二条第二項、第六十三条第三項、第九十七条第三項、第百四条、第百五条、第百五条の四及び第百六条第一項中「行政庁」とあるのは「農林大臣」と、同法第四十条の二中「総組合員の十分の一以上」とあるのは、連合会については「議決権の総数の十分の一以上に相当する議決権を有する会員」と、同法第四十一条第一項、第四十七条第二項及び第四十八条中「総組合員の五分の一以上」とあるのは、連合会については「議決権の総数の五分の一以上に相当する議決権を有する会員」と、同法第四十一条第一項中「出席者の過半数」とあるのは、連合会については「出席した会員の議決権の過半数に相当する議決権を有する会員」と、同法第四十一条第二項、第百四条第一項、第百五条第一項及び第百六条第一項中「規約」とあるのは、組合については「設備処理規程」、連合会については「調整規程」と、同法第五十一条第三項及び第六十三条第四項中「第二十七条の二第三項及び第四項」とあるのは「生糸製造設備臨時措置法第九条第三項(同法第二十二条において準用する場合を含む。)」と、同法第五十三条中「総組合員の半数以上」とあるのは、連合会については「議决権の総数の半数以上に相当する議决権を有する会員」と、同法第六十二条第一項第五号中「第百六条第二項」とあるのは「生糸製造設備臨時措置法第十七条(同法第二十二条において準用する場合を含む。)」と、同法第六十四条第四項中「第三十五条第四項本文及び第五項本文」とあるのは「第三十五条第四項本文」と、同法第八十三条第一項中「第二十九条の規定による出資の払込」とあるのは「生糸製造設備臨時措置法第九条第二項(同法第二十二条において準用する場合を含む。)の認可」と、同法第八十四条第一項中「前条第二項」とあるのは「前条第二項(ただし書及び第五号を除く。)」と、同法第八十五条第一項、第八十六条第一項、第八十九条並びに第九十五条第一項及び第二項中「第八十三条第二項」とあるのは「第八十三条第二項(ただし書及び第五号を除く。)」と、同法第八十五条第一項中「同条第二項」とあるのは「同条第二項(ただし書及び第五号を除く。)」と、同法第九十二条第二項中「事業協同組合登記簿、信用協同組合登記簿、中小企業等協同組合連合会登記簿、企業組合登記簿及び中小企業等協同組合中央会登記簿」とあるのは「設備処理組合登記簿及び設備処理組合連合会登記簿」と、同法第九十三条第二項中「書面並びに出資の総口数及び第二十九条の規定による出資の払込のあつたことを証する書面」とあるのは「書面」と、同法第九十八条第二項中「第九十三条第三項及び前条第二項」とあるのは「前条第二項」と、同法第百五条第一項中「その総数の十分の一以上」とあるのは、連合会については「議决権の総数の十分の一以上に相当する議决権を有する会員」と読み替えるものとする。

   第三章 設備処理命令

 (過剰設備の処理に関する命令)

第二十四条 同一の事業区分に属する事業を行う生糸製造業者の大部分が、単一の組合の組合員としてその設備処理規程の適用を受け、又は連合会の会員たる組合でその設備処理規程の内容が当該連合会の定める第二十条第一号の基準に適合しているもの(以下「適合組合」という。)の組合員としてその設備処理規程の適用を受け、これらの設備処理規程に基いて過剰設備の処理を行つている場合において、当該事業区分に属する事業を行う生糸製造業者でこれらの設備処理規程の適用を受けないものの事業活動が第一条に規定する目的を達成する上に著しい障害となつており、かつ、次に掲げる要件のすべてが備わつているときは、農林大臣は、蚕糸業振興審議会の意見を聞いて、当該事業区分に属する事業を行う生糸製造業者のすべてに対し、当該単一組合又は当該適合組合の設備処理規程の全部又は一部を指定して、その定に従うべきことを農林省令をもつて命ずることができる。

 一 当該単一組合又は当該連合会及びその会員たる適合組合の自主的活動のみをもつてしては第一条に規定する目的を達成することが著しく困難であると認められること。

 二 当該単一組合又は当該連合会及びその会員たる適合組合がこの項の規定による命令に係る設備処理規程又はこれに係る調整規程の定を公正かつ能率的に運用するに足る十分な能力を有すること。

 三 この項の規定による命令に係る設備処理規程の定には、過剰設備の処理に伴う各生糸製造業者の負担の公平を確保し、かつ、相当の対価をもつてその処理が行われるような内容の定が含まれていること。

2 前項の規定による命令は、当該単一組合又は当該連合会の申請により行うものとする。

3 農林大臣は、第一項の規定による命令をしようとするときは、同項の規定により蚕糸業振興審議会の意見を聞く前に、農林省令で定める手続により、その概要を示して当該連合会の会員たる適合組合及び当該事業区分に属する事業を行う生糸製造業者に意見を述べる機会を与え、その意見を述べた者があつたときは、その概要を書面にして当該審議会に意見を聞く際提出しなければならない。

4 第一項の規定による命令があつたときは、当該命令に係る単一組合又は適合組合は、当該命令に係る設備処理規程の定に従い、当該命令に係る事業を実施するものとし、当該連合会は、その調整規程の定に従い、当該命令に係る事業の実施を確保するため必要な連合会の事業を実施するものとする。

 (書類の備付及び閲覧)

第二十五条 前条第一項の規定による命令があつたときは、当該命令に係る組合の理事は、当該命令に係る設備処理規程の定の運用に関する書類であつて農林省令で定めるものを作成し、これをその主たる事務所に備えて置かなければならない。

2 前条第一項の規定により一の組合の設備処理規程の定に従うべき旨の命令を受けた生糸製造業者は、何時でも、当該組合の理事に対し、前項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合には、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。

 (監督上必要な命令)

第二十六条 農林大臣は、第二十四条第一項の規定による命令をした場合において、当該命令の公正かつ円滑な実施を確保し、又は当該命令に係る生糸製造業者が簡易かつ能率的に過剰設備の処理を行うことができるようにするため特に必要があるときは、その必要の限度において、当該命令に係る組合又はその組合が属する連合会に対し、期間を定めて、当該命令に係る業務につき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

 (役員の解任)

第二十七条 農林大臣は、第二十四条第一項の規定による命令をした場合において、当該命令に係る組合又はその組合が属する連合会の役員が同条第四項の事業に係る業務に関し法令、法令に基いてする行政庁の処分、定款又は設備処理規程若しくは調整規程に違反し、役員たるに適しないと認めるときは、これを解任することができる。

 (組合の役員等の地位)

第二十八条 第二十四条第一項の規定による命令があつた場合には、当該命令に係る組合又はその組合が属する連合会の役員又は職員で同条第四項の事業に係る業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 (不服の申立)

第二十九条 第二十四条第一項の規定による命令があつた場合において、当該命令に係る設備処理規程の定に基いてした組合の処分に不服のある者は、その処分のあつたことを知つた日から三十日以内に、その旨を記載した書面をもつて、農林大臣に不服を申し立てることができる。ただし、処分のあつた日から六十日を経過したときは、不服の申立をすることができない。

2 農林大臣は、前項の申立があつたときは、文書をもつて決定をし、これをその申立をした者及びその申立に係る処分をした組合に送付しなければならない。

 (立入検査)

第三十条 農林大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、その職員に、生糸製造業者の事業場又は事務所に立ち入り、生糸製造設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

   第四章 雑則

 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)

第三十一条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、設備処理規程又は調整規程及びこれらに基いてする行為には適用しない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

 一 不公正な取引方法を用いるとき、又は組合の組合員若しくは連合会の会員に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにするとき。

 二 次条第四項の規定による公示があつた後一月を経過したとき。(同条第三項の規定による請求に応じ、農林大臣が第十三条第一項又は第二項(これらの規定を第二十二条において準用する場合を含む。)の規定による処分をした場合を除く。)

2 次条第三項の規定による請求が設備処理規程又は調整規程の定の一部について行われたときは、前項第二号の規定にかかわらず、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、その設備処理規程又は調整規程の定のうちその請求に係る部分以外の部分及びこれに基いてする行為には、適用しない。

 (公正取引委員会との関係)

第三十二条 農林大臣は、第十三条第一項、第二項又は第三項(これらの規定を第二十二条において準用する場合を含む。)の規定による命令をしたときは、公正取引委員会に通知しなければならない。

2 農林大臣は、第十二条第一項(第二十二条において準用する場合を含む。)の認可(変更の認可を含む。)をしようとするとき、又は第二十四条第一項の規定による命令をしようとするときは、公正取引委員会の同意を得なければならない。

3 公正取引委員会は、第十二条第一項(第二十二条において準用する場合を含む。)の認可を受けた設備処理規程又は調整規程の内容が同条第二項各号の一に該当するに至つたと認めるときは、農林大臣に対し、第十三条第一項又は第二項(これらの規定を第二十二条において準用する場合を含む。)の規定による処分をすべき旨を請求することができる。

4 公正取引委員会は、前項の規定による請求をしたときは、遅滞なく、その旨を官報に公示しなければならない。

 (報告)

第三十三条 農林大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、生糸製造業者又は組合若しくは連合会から報告を徴することができる。

 (権限の委任)

第三十四条 第三十条第一項及び前条並びに第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第百五条の四の規定による農林大臣の権限の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事に行わせることができる。

   第五章 罰則

第三十五条 第二十四条第一項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第三十六条 設備処理規程若しくは調整規程を定めないで、又は設備処理規程若しくは調整規程について第十二条第一項(第二十二条において準用する場合を含む。)の認可を受けないで第十一条第一号又は第二十条第一号若しくは第二号の事業を行つた組合又は連合会の理事は、十万円以下の罰金に処する。

第三十七条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第六条第二項(第二十二条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

 二 第十三条第三項(第二十二条において準用する場合を含む。)又は第二十六条の規定による命令に違反した組合又は連合会の理事

 三 第三十条又は第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第百五条第二項若しくは第百五条の四の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

 四 第三十三条又は第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第百五条の四の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第三十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。

第三十九条 第二十五条の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのにその書類の閲覧若しくは謄写を拒んだ組合の理事は、三万円以下の過料に処する。

第四十条 次の場合には、その行為をした組合又は連合会の発起人、役員又は清算人は、一万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定に基いて組合又は連合会が行うことができる事業以外の事業を行つたとき。

 二 第十四条第二項の規定による届出を怠つたとき。

 三 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第十四条の規定に違反したとき。

 四 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第十九条第二項又は第四十一条第四項の規定に違反したとき。

 五 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第二十七条第六項若しくは第五十四条において準用する商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百四十四条、第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第四十二条若しくは第六十九条において準用する商法第二百六十条ノ三、又は第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第六十九条において準用する商法第四百十九条の規定に違反して議事録若しくは財産目録若しくは貸借対照表を作成せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。

 六 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第三十一条、第三十五条の二又は第六十二条第二項の規定に違反したとき。

 七 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第三十五条第六項の規定に違反したとき。

 八 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第三十七条(同法第六十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。

 九 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第三十九条(第二項第三号を除く。)又は第四十条(これらの規定を同法第六十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのにその書類の閲覧若しくは謄写を拒んだとき。

 十 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第四十条の二(同法第六十九条において準用する場合を含む。)又は第二十三条において準用する同法第四十二条において準用する商法第二百七十四条第一項の規定に違反して正当な理由がないのに帳簿又は書類の閲覧又は謄写を拒んだとき。

 十一 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第四十二条において準用する商法第二百七十四条第二項又は第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第六十九条において準用する商法第四百十九条第一項の規定による調査を妨げたとき。

 十二 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第四十六条の規定に違反したとき。

 十三 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第六十九条において準用する商法第百三十一条の規定に違反して組合の財産を分配したとき。

 十四 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第六十九条において準用する商法第四百二十一条第一項に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。

 十五 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第六十九条において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。

 十六 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第六十九条において準用する商法第四百二十三条の規定に違反して債務の弁済をしたとき。

 十七 第二十三条において準用する中小企業等協同組合法第八十三条第一項、第二項(ただし書及び第五号を除く。)若しくは第五項、第八十四条第一項、第八十五条、第八十六条第一項(同法第九十条第二項において準用する場合を含む。)、第八十八条、第八十九条、第九十条第一項又は第九十一条の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。

   附 則

1 この法律は、昭和三十二年十一月一日から施行する。

2 この法律は、施行の日から起算して二年を経過した日にその効力を失う。

3 この法律が効力を失う際現に存する組合及び連合会(次項において「旧組合」という。)については、この法律の規定は、前項の規定にかかわらず、なおその効力を有する。

4 旧組合でこの法律が効力を失う時から起算して二年を経過した時に現に存するもの(清算中のものを除く。)は、その時に解散する

5 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第七号中「中小企業等協同組合中央会」の下に「、設備処理組合、設備処理組合連合会」を、「中小企業等協同組合法」の下に「、生糸製造設備臨時措置法」を加える。

6 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

  第五条第六号ノ十二の次に次の一号を加える。

  六ノ十三 設備処理組合又ハ設備処理組合連合会ノ生糸製造設備臨時措置法第十一条第一号又ハ第二十条第二号ノ事業トシテ行フ過剰設備ノ買収若ハ処分又ハ資金ノ受入若ハ交付ニ関シ発スル証書、帳簿

7 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第十二号中「調整組合及び同連合会」の下に「、設備処理組合及び同連合会」を加える。

8 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項第四号中「調整組合及び同連合会」の下に「、設備処理組合及び同連合会」を加える。

9 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の五第一項第四号中「調整組合連合会」の下に「、設備処理組合及び設備処理組合連合会」を加える。

(内閣総理・大蔵・農林大臣署名) 

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