日本輸出入銀行法の一部を改正する法律
法律第百二十二号(昭三二・五・二〇)
日本輸出入銀行法(昭和二十五年法律第二百六十八号)の一部を次のように改正する。
第一条中「外国貿易」を「外国との貿易を主とする経済の交流」に、「輸出入金融」を「輸出入及び海外投資に関する金融」に改める。
第十条中「三人」を「五人」に改める。
第十八条から第十八条の三までを次のように改める。
(業務の範囲)
第十八条 日本輸出入銀行は、第一条に掲げる目的を達成するため、次の業務を行う。
一 設備(船舶及び車両を含む。)並びにその部分品及び附属品で本邦で生産されたもの並びに本邦で生産されたその他の製品でその輸出が本邦の輸出入市場の開拓又は確保に著しく寄与すると認められるもの(以下「設備等」という。)の本邦からの輸出を促進するため、本邦法人若しくは本邦人に対して当該輸出に必要な資金を貸し付け、又は銀行(銀行法第二条の規定による免許を受けた銀行、長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)に規定する長期信用銀行及び外国為替銀行法(昭和二十九年法律第六十七号)に規定する外国為替銀行をいう。第三十九条第一項を除き、以下同じ。)に対してこれらの者のためにする当該資金に係る手形の割引をすること。
二 本邦の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流の促進に寄与すると認められる技術(以下この条、第十八条の二第三項及び第二十条第二項において「技術」という。)の本邦法人又は本邦人からの提供を促進するため、当該本邦法人若しくは本邦人に対して当該技術の提供に必要な資金を貸し付け、又は銀行に対してこれらの者のためにする当該資金に係る手形の割引をすること。
三 本邦からの設備等の輸入又は技術の受入を促進するため、外国の政府、政府機関若しくは地方公共団体(以下「外国政府等」という。)又は外国法人に対して当該輸入又は受入に必要な資金を貸し付けること。
四 国民経済の健全な発展のために必要な原料、材料その他の物資(以下「重要物資」という。)の外国からの輸入が確実かつ適時に行われることを促進するため、本邦法人若しくは本邦人に対して当該輸入に係る前払に必要な資金を貸し付け、又は銀行に対してこれらの者のためにする当該資金に係る手形の割引をすること。
五 本邦の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流を促進するため、本邦法人又は本邦人に対して海外投資に充てられるべき資金で次に掲げるものを貸し付けること。
イ 外国法人に出資し、若しくはその株式を取得し、又は外国法人に設備等を貸し付けるために必要な資金
ロ 当該本邦法人又は本邦人の出資(株式の所有を含む。)に係る外国法人に出資しようとする外国政府等又は他の外国法人若しくは外国人に対してこれに要する資金を貸し付けるために必要な資金
ハ 当該本邦法人又は本邦人が出資その他の方法により経営を実質的に支配している外国法人に対して貸し付けるために必要な資金で、当該外国法人によりその本邦外において行う事業につき設備の新設若しくは拡充のための資金又は当該設備の新設若しくは拡充に伴い必要とされる長期の資金(以下「設備資金等」という。)に充てられるもの
ニ もつぱら海外投資を目的とする本邦法人に出資するために必要な資金で、その本邦法人によりイからハまでに掲げる資金に充てられるもの
六 本邦の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流を促進するため、外国政府等に対して本邦法人又は本邦人の出資(株式の所有を含む。)に係る外国法人に出資するために必要な資金を貸し付けること。
七 本邦の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流を促進するため、本邦法人(本邦法人又は本邦人が株式又は持分の全部を所有している外国法人を含む。)又は本邦人に対してその本邦外において行う事業に必要な設備資金等を貸し付けること。
八 本邦の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流を促進するため、外国政府等に対してその本邦外において行う事業に必要な設備資金等を貸し付け、若しくは当該外国政府等に当該設備資金等を貸し付ける本邦法人若しくは本邦人に対してこれに必要な資金を貸し付け、又は当該設備資金等を調達するために当該外国政府等が発行する公債を応募その他の方法により取得すること。
九 第一号、第二号、第四号、第五号、第七号又は前号の規定により資金の貸付を受けることができる本邦法人(第七号の場合にあつては、同号に規定する外国法人を含む。)又は本邦人に対して当該資金に係る債務を保証すること。
十 第五号の規定により資金の貸付を受けることができる本邦法人又は本邦人が同号の規定により当該本邦法人又は本邦人から資金の貸付を受けることができる外国法人又は外国人の当該資金に係る債務を保証した場合において、当該本邦法人又は本邦人に対してその保証債務を保証すること。
十一 前各号の業務に附帯する業務
第十八条の二 日本輸出入銀行は、次の各号に該当するときに限り、資金の貸付、手形の割引、公債の取得又は債務の保証を行うことができる。
一 銀行が通常の条件により資金の供給を行うことが困難な場合
二 当該貸付に係る資金の償還、当該割引に係る手形の支払、当該取得に係る公債の償還又は当該保証に係る債務の履行が確実であると認められる場合
2 前条第一号、第二号又は第四号の規定による資金の貸付は、銀行が日本輸出入銀行とともにその資金の貸付を受けようとする者に対して資金を融通する場合であつて、その者が銀行を通じて当該貸付の申込をするときに限り、行うことができる。ただし、銀行が日本輸出入銀行とともに資金の貸付をすることが著しく困難であり、かつ、日本輸出入銀行による資金の貸付が当該各号に規定する貸付の目的を達成するため特に緊要であると認められる場合には、この限りでない。
3 前条第四号の規定による前払に係る資金の貸付若しくは手形の割引又は当該資金の貸付を受けることができる者に対する同条第九号の規定による債務の保証は、当該前払に係る資金(前払が設備等又は技術をもつて行われる場合には、当該設備等又は技術)が、その前払を受ける者によつて、当該前払に係る輸入契約に基く重要物資の本邦への輸出を行うために必要な資源の開発その他事業の拡充に充てられる場合又は当該前払をしなければ当該輸入契約に基く重要物資の本邦への輸出が著しく困難であると認められる場合に限り、行うことができる。
4 前条第八号の規定による資金の貸付若しくは公債の取得又は当該資金の貸付を受けることができる者に対する同条第九号の規定による債務の保証は、次に掲げる場合に限り、行うことができる。
一 外国政府等の行う事業が重要物資の資源を開発する事業であつて、その開発に係る重要物資の全部又は大部分が本邦に輸入されることが確実である場合
二 外国政府等がその行う事業に要する設備(船舶及び車両を含む。)、その部分品及び附属品並びに技術の全部又は大部分を本邦から輸入し、又は受け入れる場合
(借入金の限度額等)
第十八条の三 第三十九条第一項の規定による借入金の額は、第四条に規定する資本金及び第三十八条第一項に規定する準備金の額の合計額の二倍に相当する額をこえることとなつてはならない。
2 第十八条第一号から第八号までの規定による資金の貸付、手形の割引及び公債の取得に係る債権の現在額並びに同条第九号の規定による保証に係る債務及び第十号の規定により保証した保証債務に係る債務の現在額の合計額は、第四条に規定する資本金及び第三十八条第一項に規定する準備金の額並びに前項の規定による借入金の限度額の合計額をこえることとなつてはならない。
第十九条第一項中「第七号」を「第十号」に、「当該利率、歩合及び料率により収入する貸付金利息、手形割引料」を「日本輸出入銀行の収入する貸付金利息、手形割引料、公債の利子」に改める。
第二十条の見出しを「(貸付金の償還期限等)」に改め、同条第一項中「第一号、第三号若しくは第四号」を「第一号から第四号まで」に、「第七号」を「第九号」に、「第二号」を「第一号、第二号」に改める。
第二十条第二項中「(これに伴つてなされる技術の提供又は受入を含む。)又は物資等」を「、技術の提供若しくは受入又は外国からの重要物資」に、「本邦からの輸出及びこれに伴つてなされる本邦法人若しくは本邦人からの技術の提供を促進し、又は本邦の輸入市場の国際収支上より有利な地域への転換を促進するため」を「第十八条第一号から第四号までに規定する資金の貸付又は手形の割引の目的を達成するため」に、「六月以内若しくは五年をこえ十年以内である場合」を「六月以内である場合若しくは当該償還期限若しくは履行期限が五年をこえる場合」に改める。
第二十条第三項中「第二号」を「第一号、第二号」に改める。
第二十条第四項中「第五号若しくは第六号の規定による資金の貸付」を「第五号から第八号までの規定による資金の貸付、公債の取得」に、「第七号」を「第九号若しくは第十号」に改め、同項中「貸付金」の下に「若しくは公債」を、「保証に係る債務」の下に「(同条第十号の規定による保証にあつては、その保証した保証債務に係る債務。以下次項において同じ。)」を加える。
第二十条第五項中「資金の貸付」の下に「、公債の取得」を、「当該貸付」の下に「、取得」を加え、同項中「外国における」を「本邦外における」に改め、同項中「貸付金」の下に「若しくは公債」を加え、同項中「十年をこえ十五年以内である場合」を「十年をこえる場合」に改める。
第二十二条中「物資等」を「公債の取得の方法、重要物資」に改める。
第二十四条中「輸出入金融」を「輸出入及び海外投資に関する金融」に改める。
第二十六条第二項中「手形割引料」の下に「、公債の利子」を加える。
第四十六条第五号を次のように改める。
五 第十八条の三第一項の規定に違反して資金の借入をし、又は同条第二項の規定に違反して資金の貸付、手形の割引、公債の取得若しくは債務の保証をしたとき。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 設備等輸出為替損失補償法「昭和二十七年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。
第二条第四号中「輸出市場の開拓若しくは確保又は本邦の輸入市場の国際収支上より有利な地域への転換」を「輸出入市場の開拓又は確保」に、「これに伴つてなされる本邦法人又は本邦人からの技術の提供」を「本邦の輸出入市場の開拓若しくは確保又は外国との経済交流の促進に寄与すると認められる技術の本邦法人又は本邦人からの提供」に改める。
第三条第三項及び第九条中「十年」を「十年以上において政令で定める期間」に改める。
3 日本海外移住振興株式会社法(昭和三十年法律第百三十九号)の一部を次のように改正する。
第八条第一項第二号ただし書及び第三号ただし書を削る。
(外務・大蔵・内閣総理大臣署名)