日本国とアメリカ合衆国との間の二重課税の回避及び脱税の防止のための条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律
法律第百九十四号(昭二九・六・二三)
(趣旨)
第一条 この法律は、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約(以下「日米所得税条約」という。)及び遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約(以下「日米相続税条約」という。)を実施するため、所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)及び相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の特例その他必要な事項を定めるものとする。
(利子所得等に対する所得税率の特例)
第二条 所得税法第一条第二項又は第五項の規定に該当する個人又は法人でアメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)の居住者又は合衆国の法人であるもの(同法の施行地に恒久的施設を有する者を除く。)が支払を受ける日米所得税条約第六条又は第七条に規定する利子又は使用料その他の料金で同法の施行地にその源泉があるものに対する同法第十七条、第十八条又は第四十一条の規定の適用については、これらの規定中「百分の二十」とあるのは、「百分の十五」とする。但し、租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)第二条の二、第二条の三、第三条及び第三条の二の規定の適用を妨げない。
2 前項において「恒久的施設」とは、日米所得税条約第二条第一項(C)に規定する恒久的施設をいう。
(未成年者控除の特例)
第三条 相続(被相続人からの遺贈及び扶養義務者からの包括遺贈を含む。以下同じ。)に因り相続税法の施行地にある財産を取得した者がその取得の時において同法の施行地に住所を有せず、且つ、十八歳未満の者である場合において、当該相続に係る被相続人(包括遺贈者を含む。)が死亡の時に合衆国の国籍を有し、又は合衆国に住所を有していたときは、当該財産を取得した者を同法第十六条第一項の規定に該当する者とみなして、同条の規定を適用する。但し、同項の規定により控除すべき金額は、二万円に当該財産(当該相続に因り合衆国によつて日米相続税条約第一条に規定する租税を課されるものに限る。)の価額のその者が当該相続に因り取得した財産の価額の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額に同項に規定する年数を乗じて算出した金額を限度とする。
(合衆国の租税の徴収)
第四条 政府は、日米所得税条約第一条又は日米相続税条約第一条に規定する合衆国の租税につき、合衆国政府から日米所得税条約第十七条第二項又は日米相続税条約第六条第二項の規定による徴収の嘱託を受けたときは、国税徴収の例により、これを徴収する。この場合における当該租税及びその滞納処分費の徴収の順位は、それぞれ、国税及びその滞納処分費と同順位とする。
(実施規定)
第五条 前三条に定めるものを除く外、日米所得税条約又は日米相続税条約の実施に関し必要な事項(この法律の規定の適用につき必要な事項を含む。)は、大蔵省令で定める。
附 則
1 この法律中、所得税又は日米所得税条約に係る部分は、日米所得税条約の効力発生の日から、相続税又は日米相続税条約に係る部分は、日米相続税条約の効力発生の日から施行する。
2 第二条中、所得税法第十七条又は第十八条の規定に係る部分は、日米所得税条約の効力発生の日の属する年の一月一日以後に支払を受けるべき利子又は使用料その他の料金(日米所得税条約の効力発生の日までに支払を受けたものを含む。)について、同法第四十一条の規定に係る部分は、日米所得税条約の効力発生の日の属する年の一月一日以後に支払を受けるべき利子又は使用料その他の料金で日米所得税条約の効力発生の日以後に支払われるものについて適用する。
3 第三条の規定は、日米相続税条約の効力発生の日以後に相続に因り取得した財産に係る相続税について適用する。
4 租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)の一部を次のように改正する。
第二条の六中「利子で、」を「利子のうち、」に改め、「到来するもの」の下に「及び当該利子について所得税を課さない旨若しくは当該利子支払の際所得税の徴収がなされない旨の特約があり、又は特約により当該利子につき課される所得税が国の負担となるもので当該六箇月を経過した日後に支払期日の到来するもの」を加える。
(大蔵・内閣総理大臣署名)