厚生年金保険法の一部を改正する法律

法律第百十七号(昭二八・八・一)

 厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)の一部を次のように改正する。

 第四条を次のように改める。

第四条 標準報酬ハ被保険者ノ報酬月額ニ基キ左ノ区別ニ依リ之ヲ定ム

標準報酬等級

標準報酬月額

報酬月額

第一級

三、〇〇〇円

三、五〇〇円未満

第二級

四、〇〇〇円

三、五〇〇円以上四、五〇〇円未満

第三級

五、〇〇〇円

四、五〇〇円以上五、五〇〇円未満

第四級

六、〇〇〇円

五、五〇〇円以上六、五〇〇円未満

第五級

七、〇〇〇円

六、五〇〇円以上七、五〇〇円未満

第六級

八、〇〇〇円

七、五〇〇円以上

 標準報酬ハ毎年八月一日現ニ使用セラルル事業所又ハ事務所(以下単ニ事業所ト称ス)ニ於テ同日前三月間(其ノ事業所ニ於テ継続シテ使用セラレタル期間ニ限ルモノトシ且報酬支払ノ基礎ト為リタル日数二十日未満ノ月アリタルトキハ其ノ月ヲ除ク)ニ受ケタル報酬ノ総額ヲ其ノ期間ノ月数ヲ以テ除シテ得タル額ヲ報酬月額トシテ行政庁之ヲ決定シ其ノ標準報酬ハ其ノ年ノ十月一日ヨリ翌年九月三十日迄ノ標準報酬トス

 被保険者ノ資格ヲ取得シタル際ニ於ケル標準報酬ハ前項ノ規定ニ拘ラズ左ノ各号ニ規定スル額ヲ報酬月額トシテ行政庁之ヲ決定シ其ノ標準報酬ハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日ヨリ其ノ年ノ九月三十日(七月一日ヨリ十二月三十一日迄ノ間ニ被保険者ノ資格ヲ取得シタル者ニ付テハ翌年九月三十日)迄ノ標準報酬トス

 一 月、週其ノ他一定期間ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日ノ現在ニ於ケル報酬ノ額ヲ其ノ期間ノ総日数ヲ以テ除シテ得タル額ノ三十倍ニ相当スル額

 二 日、時間、稼高又ハ請負ニ依リ報酬ヲ定ムル場合ニ於テハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日ノ属スル月前一月間ニ現ニ使用セラルル事業ニ於テ同様ノ業務ニ従事シ同様ノ報酬ヲ受クル者ノ報酬ノ額ヲ平均シタル額

 三 前二号ノ規定ニ依リ算定シ難キモノニ付テハ被保険者ノ資格ヲ取得シタル日前一月間ニ其ノ地方ニ於テ同様ノ業務ニ従事シ同様ノ報酬ヲ受クル者ガ受ケタル報酬ノ額

 四 前各号ノ二以上ニ該当スル報酬ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ各ニ付前各号ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額

 前二項ノ規定ニ依リ標準報酬ノ定マリタル被保険者ニ付現ニ使用セラルル事業所ニ於テ継続シタル三月間(各月ニ於テ報酬支払ノ基礎ト為リタル日数二十日以上ナルコトヲ要ス)ニ受ケタル報酬ノ総額ヲ其ノ月数ヲ以テ除シテ得タル額ガ其ノ標準報酬ノ基礎ト為リタル報酬月額ニ比シ著シク高低ヲ生ジタル場合ニ於テ行政庁必要アリト認ムルトキハ其ノ額ヲ報酬月額トシテ其ノ著シキ高低ヲ生ジタル月ノ翌月ヨリ標準報酬ヲ改定スルコトヲ得

 前項ノ規定ニ依リ改定セラレタル標準報酬ハ其ノ年ノ九月三十日(八月ヨリ十二月迄ノ何レカノ月ヨリ改定セラレタルモノニ付テハ翌年九月三十日)迄ノ標準報酬トス

 七月一日ヨリ八月一日迄ノ間ニ被保険者ノ資格ヲ取得シタル者ニ付テハ其ノ年ニ限リ第二項ノ規定ハ之ヲ適用セズ八月ヨリ十月迄ノ何レカノ月ヨリ標準報酬ヲ改定セラレ又ハ改定セラルベキ被保険者ニ付亦同ジ

 被保険者ノ報酬月額ガ第二項若ハ第三項ノ規定ニ依リ算定シ難キトキ又ハ第二項乃至第四項ノ規定ニ依リテ算定シタル額ガ著シク不当ナルトキハ之等ノ規定ニ拘ラズ行政庁ニ於テ之ヲ算定ス

 同時ニ二以上ノ事業所ニ於テ報酬ヲ受クル者ニ付報酬月額ヲ定ムル場合ニ於テハ各事業所ニ付第二項乃至第四項又ハ前項ノ規定ニ依リ算定シタル額ノ合算額ヲ以テ其ノ者ノ報酬月額トス

 第二十二条ノ規定ニ依ル被保険者ノ標準報酬ハ前各項ノ規定ニ拘ラズ引続キ従前ノモノニ依ル但シ行政庁ハ其ノ者ノ申請アリタルトキハ其ノ申請ニ依リ其ノ者ノ標準報酬月額ヲ其ノ額ヨリ低額ノ標準報酬月額ニ改定ス

 前項但書ノ標準報酬ハ之ヲ改定シタル日ノ属スル月ノ翌月(改定シタル日ガ月ノ初日ナルトキハ其ノ月)ヨリノ標準報酬トス

 第四条ノ二を削る。

 第十六条中「事業所(事務所ヲ含ム)」を「事業所」に改め、同条第一号に次のように加える。

  (ヲ) 土木、建築其ノ他工作物ノ建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又ハ其ノ準備ノ事業

  (ワ) 教育、研究又ハ調査ノ事業

  (カ) 疾病ノ治療、助産其ノ他医療ノ事業

  (ヨ) 通信又ハ報道ノ事業

  (タ) 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)ニ定ムル社会福祉事業及更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)ニ定ムル更生保護事業

 第十六条ノ二第一号(ホ)中「(ト)乃至(ル)」を「(ト)乃至(ル)又ハ(ワ)乃至(タ)」に改める。

 第三十六条第一項中「二年以内」を「三年以内」に改める。

   附 則

1 この法律は、昭和二十八年九月一日から施行する。但し、第三十六条第一項の改正規定並びに附則第五項及び附則第六項の規定は、同年十一月一日から施行する。

2 昭和二十八年九月一日前に被保険者の資格を取得して同年九月一日まで引き続いて被保険者の資格のある者については、その者が同年九月一日に被保険者の資格を取得したものとみなして、改正後の第四条第三項の規定を適用する。

3 前項の規定に該当する者及び昭和二十八年九月一日から同年十月三十一日までの間に第十六条第一号(イ)から(ル)まで若しくは第二号、第十六条ノ三又は第十七条の規定によつて被保険者の資格を取得した者の同年十月三十一日までの標準報酬については、第四条の改正規定及び前項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

4 昭和二十八年九月一日から同年十月三十一日までの間に改正後の第十六条第一号(ヲ)から(タ)までの規定によつて被保険者の資格を取得した者は、保険給付及び費用の負担に関する規定の適用については、同年十月三十一日までの間は、被保険者とならなかつたものとみなす。

5 昭和二十八年十一月一日前に第二十二条の規定によつて被保険者の資格を取得し、同年十一月一日まで引き続いて同条の規定による被保険者の資格のある者の標準報酬については、改正後の第四条第九項の規定にかかわらず、同年十一月一日において、従前のその者の標準報酬月額を同条第一項の規定による報酬月額とみなして改定する。

6 被保険者又は被保険者であつた者の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病であつて、その疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき医師又は歯科医師の診療を受けた日(健康保険の被保険者たる被保険者にあつては、健康保険法による療養の給付を受けた日)から起算して、昭和二十八年十一月一日前に二年を経過したものに関する保険給付の支給については、第三十六条第一項の改正規定にかかわらず、なお従前の例による。

(厚生・内閣総理大臣署名) 

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