外航船舶建造融資利子補給法
法律第一号(昭二八・一・五)
(目的)
第一条 この法律は、外航船舶の建造に要する資金の融通について政府が利子補給金を支給することにより、外航船舶の建造を促進することを目的とする。
(利子補給金の支給)
第二条 政府は、日本船舶を所有することができる者が、外航船舶(船舶安全法(昭和八年法律第十一号)にいう遠洋区域を航行区域とする船舶で運輸省令で定める規格に適合するものをいう。)の建造を日本の国籍を有する者又は日本の法令により設立された法人たる造船事業者に請け負わせる場合において、政令で定める範囲の金融機関がその資金を融通するときは、政令で定めるところにより、当該融資につき利子補給金を支給する旨の契約を当該金融機関と結ぶことができる。
(利子補給金の支給の年限)
第三条 前条の規定による契約により政府が利子補給金を支給することができる年限は、当該契約をした会計年度以降八箇年度以内とする。
(利子補給金の総額)
第四条 政府は、第二条の規定による契約を結ぶ場合には、利子補給金の総額が国会の議決を経た金額をこえることとならないようにしなければならない。
(利子補給金の限度)
第五条 第二条の規定による契約により政府が支給する利子補給金の額は、当該契約に係る融資が最初になされた日から、当該船舶が造船事業者から注文者に引き渡された日後二箇月までになされた融資の融資残高について、当該金融機関が通常それと同種類の融資を行う場合における利率と年七分五厘との差の範囲内で運輸大臣が告示で定める利率で計算する額を限度とする。
2 前項の規定により利子補給金の限度額を計算する場合において、当該契約で定める当該船舶の予定しゆん工日以後の融資残高が、融資総額を当該船舶の予定しゆん工日以後五年間半年賦均等償還の条件で償還するものとした場合における計算上の融資残高をこえるときは、その計算上の融資残高を前項の融資残高とする。
(融資利率)
第六条 政府と金融機関との間に第二条に規定する契約が成立したときは、当該金融機関は、当該契約に係る融資の融資残高(前条第一項の規定により利子補給金の限度額を計算する場合において、同条第二項の規定により同項の計算上の融資残高を融資残高とするときは、その額)についての利率を、当該金融機関が通常それと同種類の融資を行う場合における利率から政府が支給する利子補給金の額を基礎として算出した利率だけ引き下げたものとしなければならない。
(配当の制限の勧告)
第七条 運輸大臣は、必要があると認めるときは、第二条の規定による契約に係る融資を受けている者に対し、利益の配当の制限について勧告することができる。
(貸借対照表等の提出)
第八条 第二条の規定による契約に係る融資を受けている者は、運輸省令で定めるところにより、当該事業に関する貸借対照表その他の書類を運輸大臣に提出しなければならない。
(金融機関の法令等の違反に対する措置)
第九条 政府は、金融機関が、この法律又は第二条の規定による契約に違反したときは、当該金融機関に対し、支給すべき利子補給金の全部若しくは一部を支給せず、又は支給した利子補給金の全部若しくは一部の返還を求めることができる。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 船舶建造融資補給及損失補償法(昭和十四年法律第七十一号)は、廃止する。
3 この法律の施行の際現に存する船舶建造融資補給及損失補償法第一条第一項の契約については、前項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名)