旅券法

法律第二百六十七号(昭二六・一一・二八)

 (目的)

第一条 この法律は、旅券の発給、効力その他旅券に関し必要な事項を定めることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、左の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 公用旅券 国の用務のため外国に渡航する者及びその者が渡航の際同伴し、又は渡航後その所在地に呼び寄せる配偶者、子又は使用人に対して発給される旅券をいう。

二 一般旅券 公用旅券以外の旅券をいう。

三 各省各庁の長 本邦から公用旅券によつて外国に渡航する者(その者が同伴され、又は呼び寄せられる配偶者、子又は使用人である場合には、その者を同伴し、又は呼び寄せる者)が所属する各省各庁(衆議院、参議院、裁判所、会計検査院並びに内閣、総理府、法務府、各省及び経済安定本部をいう。以下同じ。)の長たる衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣、法務総裁、各省大臣及び経済安定本部総裁をいう。但し、その者が各省各庁のいずれにも所属しない場合には、外務大臣とする。

四 都道府県 本邦から一般旅券によつて外国に渡航する者の本籍地又は住所若しくは居所の所在地を管轄する都道府県をいう。

五 都道府県知事 前号に定める都道府県の知事をいう。

六 交付官庁 一般旅券の交付、書換交付又は再交付をした都道府県知事をいう。

 (一般旅券の発給の申請)

第三条 一般旅券の発給を受けようとする者(その者が同伴する十五才未満の子を含む。)は、左の各号に掲げる書類及び写真を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においてはもよりの領事館(領事館が設置されていない場合には、大使館又は公使館。以下同じ。)に出頭の上領事官(領事館の長をいう。以下同じ。)に提出して、一般旅券の発給を申請しなければならない。但し、国内において申請する場合において、急を要し、且つ、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、直接外務省に出頭の上外務大臣に提出することができる。

一 一般旅券発給申請書一通

二 身元申告書二通

三 戸籍謄本又は戸籍抄本(提出の日前六月以内に作成されたものとする。以下同じ。)一通

四 申請者の写真(提出の日前六月以内に撮影された五センチメートル平方形又は名刺形の無帽、且つ、正面上半身のもので裏面に氏名を記入したものとする。以下同じ。)二葉

五 健康診断書一通

六 渡航費用の支払能力を立証する書類一通

七 領事官が発給した呼寄、再渡航等に関する証明書又は渡航先の官憲が発給した入国に関する許可証、証明書、通知書等を申請書に添付することを必要とされる者にあつては、その書類

八 前各号に掲げるものを除く外、渡航先及び渡航目的によつて特に必要とされる書類

九 その他参考となる書類を有する者にあつては、その書類

2 前項第二号、第三号、第五号及び第六号に掲げる書類は、外務大臣が特に指定する場合に該当する場合において、国内においては都道府県知事(直接外務大臣に提出する場合には、外務大臣)が、国外においては領事官が、第二号及び第三号に掲げる書類についてはその者の身分上の事実、第五号に掲げる書類についてはその者の健康状態が良好であること、第六号に掲げる書類についてはその者が渡航費用の支払能力を有する事実がそれぞれ明らかであると認めるときは、提出することを要しない。

 (公用旅券の発給の請求)

第四条 公用旅券の発給の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては公用旅券の発給を受けようとする者がもよりの領事館に出頭の上領事官に、左の各号に掲げる書類及び写真を提出してするものとする。

一 公用旅券発給請求書一通

二 公用旅券の発給を受けようとする者(その者が同伴する十五才未満の子を含む。)の写真二葉

三 使用人にあつては、戸籍謄本又は戸籍抄本一通

四 国外において公用旅券の発給を受けようとする者にあつては、公用旅券の発給を必要とする理由を立証する書類一通

 (旅券の発行)

第五条 旅券(一般旅券及び公用旅券をいう。以下同じ。)は、国内においては外務大臣が、国外においては領事官が、前二条の規定による発給の申請又は請求に基いて発行する。

 (旅券の交付)

第六条 前条の規定により発行された一般旅券は、国内においては都道府県知事が、国外においては領事官が、当該一般旅券の発給を申請した者の出頭を求めて当該申請者に交付する。但し、国内において交付する場合において、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、外務大臣が都道府県知事の名義で交付することができる。

2 前条の規定により発行された公用旅券は、国内においては各省各庁の長を通じて外務大臣が、国外においては領事官が、当該公用旅券の発給を受ける者に交付する。

 (渡航目的又は渡航先の変更)

第七条 一般旅券の発行(書換発行又は再発行を含む。以下第十条までにおいて同じ。)後本邦を出国する前に当該一般旅券の渡航目的又は渡航先の変更を受けようとする者は、当該一般旅券を返納の上(一般旅券の発行後まだその交付(書換交付又は再交付を含む。以下第十条までにおいて同じ。)を受けていない者にあつては、当該一般旅券の交付を受けた後これを返納の上)、第三条の規定に従つて新たに一般旅券の発給を申請しなければならない。

2 公用旅券の渡航目的又は渡航先の変更の場合には、各省各庁の長が、第四条の規定に従つて新たに公用旅券の発給を請求するものとする。この場合において、公用旅券の交付の後にあつては、当該公用旅券を返納の上、請求するものとする。

 (渡航先の追加)

第八条 一般旅券の発給を申請した後に渡航先の追加を受けようとする者(一般旅券の交付を受けた者を含む。)は、左の各号に掲げる書類を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においてはもよりの領事館に出頭の上領事官に提出して、渡航先の追加を申請しなければならない。

一 一般旅券渡航先追加申請書一通

二 渡航先の追加に因つて生ずる必要な渡航費用の支払能力を立証する書類一通

三 一般旅券の交付を受けた者にあつては、当該一般旅券

2 第三条第一項但書の規定は、前項に規定する書類の提出の場合に準用する。この場合において、第三条第一項但書中「申請」とあるのは、「渡航先の追加を申請」と読み替えるものとする。

3 第一項第二号に掲げる書類は、外務大臣が特に指定する場合に該当する場合において、国内においては都道府県知事(直接外務大臣に提出する場合には、外務大臣)が、国外においては領事官が、その者の渡航費用の支払能力を有する事実が明らかであると認めるときは、提出することを要しない。

4 公用旅券の渡航先の追加の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては渡航先の追加を受けようとする者がもよりの領事館に出頭の上領事官に、公用旅券渡航先追加請求書一通及び、公用旅券の交付の後にあつては、当該公用旅券を提出してするものとする。

 (書換発給)

第九条 一般旅券の発行後当該一般旅券の渡航目的及び渡航先以外の記載事項に変更を生じ、当該一般旅券の書換発給を受けようとする者は、当該一般旅券を返納の上(一般旅券の発行後まだその交付を受けていない者にあつては、当該一般旅券の交付を受けた後これを返納の上)、左の各号に掲げる書類及び写真を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においてはもよりの領事館に出頭の上領事官に提出して、書換発給を申請しなければならない。但し、新たに旅券面に十五才未満の子を併記することを申請する場合には、書換発給を申請することができない。

一 一般旅券書換発給申請書一通

二 記載事項の変更の事実を証する書類一通

三 申請者の写真二葉

2 第三条第一項但書の規定は、前項本文に規定する書類の提出の場合に準用する。この場合において、第三条第一項但書中「申請」とあるのは、「書換発給を申請」と読み替えるものとする。

3 公用旅券の書換発給の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては書換発給を受けようとする者がもよりの領事館に出頭の上領事官に、左の各号に掲げる書類及び写真を提出してするものとする。但し、新たに旅券面に十五才未満の子を併記することを請求する場合には、書換発給を請求することができない。

一 公用旅券書換発給請求書一通

二 書換発給を受けようとする者の写真二葉

三 国外において公用旅券の書換発給を受けようとする者にあつては、公用旅券の書換を必要とする理由を立証する書類一通

4 前項本文の場合において、公用旅券の交付の後にあつては、当該公用旅券を返納の上、請求するものとする。

5 第五条及び第六条の規定は、第一項又は第三項の規定による旅券の書換発給について準用する。この場合において、第五条中「前二条」とあるのは「第九条第一項又は第三項」と、同条及び第六条中「発給」とあるのは「書換発給」と、「発行」とあるのは「書換発行」と、第六条中「交付」とあるのは「書換交付」と読み替えるものとする。

 (再発給)

第十条 一般旅券の交付を受けた後当該一般旅券を紛失し、焼失し、若しくは著しくき損し、又は国外において当該一般旅券の査証欄に余白がなくなつたことに因り当該一般旅券の再発給を受けようとする者は、一般旅券再発給申請書一通及び申請者の写真二葉を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においてはもよりの領事館に出頭の上領事官に提出して、再発給を申請しなければならない。この場合において、著しくき損し、又は査証欄に余白がなくなつたことに因り再発給を受けようとする者は、当該著しくき損し、又は査証欄に余白がなくなつた一般旅券を返納の上、申請しなければならない。

2 第三条第一項但書の規定は、前項に規定する書類の提出の場合に準用する。この場合において、第三条第一項但書中「申請」とあるのは、「再発給を申請」と読み替えるものとする。

3 公用旅券の再発給の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては再発給を受けようとする者がもよりの領事館に出頭の上領事官に、公用旅券再発給請求書一通及び再発給を受けようとする者の写真二葉を提出してするものとする。この場合において、著しくき損し、又は査証欄に余白がなくなつたことに因り再発給を受けようとするときは、当該著しくき損し、又は査証欄に余白がなくなつた公用旅券を返納の上、請求するものとする。

4 第五条及び第六条の規定は、第一項又は前項の規定による旅券の再発給について準用する。この場合において、第五条中「前二条」とあるのは「第十条第一項又は第三項」と、同条及び第六条中「発給」とあるのは「再発給」と、「発行」とあるのは「再発行」と、第六条中「交付」とあるのは「再交付」と読み替えるものとする。

 (同伴される子の併記)

第十一条 旅券の発給を受けようとする者が十五才未満の子を同伴するときは、一般旅券発給申請書又は公用旅券発給請求書にその旨を記載して、旅券面にその子を併記することを申請し、又は請求することができる。但し、併記される子の数は、旅券一部について三人までとする。

 (数次往復用の旅券)

第十二条 国内において旅券の発給を受けようとする者で、外務大臣が指定する特定の用務により本邦と特定の一又は二以上の外国との間を数次往復する必要があるものは、外務大臣がその必要を認めたときに限り、数次往復用として当該旅券の発給を受けることができる。

2 数次往復用として旅券の発給を受けようとするときは、その旨及び理由を一般旅券発給申請書又は公用旅券発給請求書に記載しなければならない。

 (一般旅券の発給等の制限)

第十三条 外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が左の各号の一に該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。

一 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者

二 死刑、無期又は長期十年以上の刑にあたる罪につき訴追されている者

三 禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又は執行を受けることがなくなるまでの者

四 第二十三条各号の一に該当して刑に処せられた者

五 前各号に掲げる者を除く外、外務大臣において、著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者

2 外務大臣は、前項第五号の認定をしようとするときは、あらかじめ法務総裁と協議しなければならない。

 (一般旅券の発給等をしない場合の通知)

第十四条 外務大臣又は領事官は、前条の規定に基き一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないと決定したときは、すみやかに、理由を付した書面をもつて一般旅券の発給又は渡航先の追加を申請した者にその旨を通知しなければならない。

 (異議の申立)

第十五条 一般旅券の発給又は渡航先の追加を申請した者は、前条の通知を受けた場合において、同条の決定に異議があるときは、外務大臣からその通知を受けた者にあつては直接外務大臣に、領事官からその通知を受けた者にあつてはその領事官を経由して外務大臣に、異議の申立をすることができる。

2 前項の異議の申立は、不服の事由を記載した書面を提出してするものとする。

3 外務大臣は、異議の申立を受理したときは、異議の申立が理由があるかどうかを裁決しなければならない。

4 外務大臣は、前項の裁決の結果、異議の申立が理由があると裁決した場合には、異議の申立をした者(以下「申立人」という。)が国内にあるときはすみやかに申立人に対し一般旅券の発給又は渡航先の追加をし、申立人が国外にあるときはすみやかに申立人の所在地を管轄する領事館の領事官にその旨を通知しなければならない。

5 領事官は、前項の通知を受けたときは、すみやかに申立人に対し一般旅券の発給又は渡航先の追加をしなければならない。

6 外務大臣は、異議の申立が理由がないと裁決したときは、すみやかに申立人にその旨を通知しなければならない。

 (署名)

第十六条 旅券の発給、書換発給又は再発給を受けようとする者は、当該旅券の交付、書換交付又は再交付を受ける際、旅券面の所定の場所に署名しなければならない。

 (紛失又は焼失の届出)

第十七条 旅券の発給、渡航先の追加、書換発給又は再発給を受けた者(以下「旅券の名義人」という。)は、当該旅券を紛失し、又は焼失した場合には、遅滞なく、国内においては当該旅券の交付官庁又は外務大臣に、国外においては領事官に、その旨を届け出なければならない。届出の後においてその旅券を発見した場合にも、また同様とする。

 (旅券の効力)

第十八条 旅券は、左の各号の一に該当する場合には、その効力を失う。

一 旅券の名義人がその発行の日から六月以内に本邦を出国しない場合には、その六月を経過したとき。

二 旅券の名義人(数次往復用の旅券の名義人を除く。)が本邦に帰国したとき。

三 数次往復用の旅券の名義人が、その発行の日から二年を経過した日において、国内にある場合にはその二年を経過したとき、国外にある場合にはその後初めて帰国したとき。

四 旅券の発給、書換発給又は再発給の申請又は請求に当つて返納された旅券にあつては、当該申請又は請求に係る旅券が発行され、書換発行され、又は再発行されたとき。

 五 紛失し、又は焼失した旅券にあつては、当該紛失し、又は焼失した旅券の再発給の申請又は請求に係る旅券が再発行されたとき。

 六 第十九条第一項の規定により返納を命ぜられた旅券にあつては、外務大臣又は領事官が、当該旅券が効力を失うべきことを適当と認めたとき。

2 外務大臣は、旅券が前項第五号又は第六号に該当して効力を失つたときは、遅滞なくその旨を官報に告示しなければならない。

 (返納)

第十九条 外務大臣又は領事官は、左に掲げる場合において、旅券を返納させる必要があると認めるときは、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。

一 一般旅券の名義人が第十三条第一項各号の一に該当する者であることが、当該一般旅券の交付、渡航先の追加、書換交付又は再交付の後に判明した場合

二 一般旅券の名義人が、当該一般旅券の交付、渡航先の追加、書換交付又は再交付の後に、第十三条第一項各号の一に該当するに至つた場合

三 錯誤に基き、又は過失に因り旅券の発給、渡航先の追加、書換発給又は再発給をした場合

四 旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合

2 第十三条第二項の規定は、一般旅券の名義人が前項第一号又は第二号の場合において、第十三条第一項第五号に該当するかどうかを認定しようとするときに準用する。

3 第十四条及び第十五条の規定は、一般旅券の名義人に対して第一項第一号又は第二号の規定により一般旅券の返納を命ずる場合に準用する。この場合において、第十四条中「前条」とあるのは「第十九条第一項」と、「発給又は渡航先の追加をしないと」とあるのは「返納を命ずることを」と、同条及び第十五条第一項中「発給又は渡航先の追加を申請した者」とあるのは「名義人」と、第十五条第四項及び第五項中「発給又は渡航先の追加」とあるのは「返納の命令の取消」と読み替えるものとする。

4 一般旅券の発給、書換発給又は再発給の申請に当つて返納すべき一般旅券は、国内においては交付官庁又は外務大臣に、国外においては領事官に返納しなければならない。

5 旅券の名義人が現に所持する旅券が前条第一項第一号から第五号までの一に該当して効力を失つた場合には、一般旅券にあつてはその名義人が交付官庁又は外務大臣に、公用旅券にあつては各省各庁の長が外務大臣に、遅滞なくその旅券を返納しなければならない。

6 公用旅券の発給、書換発給又は再発給の請求に当つて公用旅券を返納すべき場合及び前二項の場合において、返納すべき旅券の名義人がこれを保存することを希望するときは、返納を受けた交付官庁、外務大臣又は領事官は、その旅券に消印をしてこれを当該旅券の名義人に還付することができる。

 (手数料)

第二十条 国内において一般旅券の発給、渡航先の追加、書換発給又は再発給を受けようとする者は、当該一般旅券の交付、渡航先の追加、書換交付又は再交付を受ける際、左の区分に従い国に手数料を納付しなければならない。

一 一般旅券の発給を受けようとする者       千五百円

二 数次往復用の一般旅券の発給を受けようとする者  三千円

三 一般旅券の渡航先の追加を受けようとする者    五百円

四 一般旅券の書換発給を受けようとする者      五百円

五 一般旅券の再発給を受けようとする者        千円

六 数次往復用の一般旅券の再発給を受けようとする者 二千円

2 前項の手数料は、旅券受領証に収入印紙をはつて納付するものとする。

3 国外における一般旅券の手数料に関しては、政令で定める。

4 書換発給を必要とする原因が関係官庁の過失に因つて生じた場合には、前三項の規定にかかわらず、手数料を納付することを要しない。

5 永住を目的とする外国への渡航その他特別の事由がある場合には、政令で定めるところにより、第一項の手数料を減額することができる。

 (査証)

第二十一条 旅券の査証を必要とする国へ渡航しようとする者は、当該国の官憲から必要な査証を受けなければならない。

 (申請書等の様式等)

第二十二条 一般旅券発給申請書、身元申告書、公用旅券発給請求書、一般旅券渡航先追加申請書、公用旅券渡航先追加請求書、一般旅券書換発給申請書、公用旅券書換発給請求書、一般旅券再発給申請書、公用旅券再発給請求書及び旅券受領証の様式は、外務省令で定める。

2 渡航費用の支払能力を立証する書類並びに渡航先及び渡航目的によつて特に必要とされる書類の種類は、外務大臣が官報に告示する。

 (罰則)

第二十三条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

一 前条に規定する書類に虚偽の記載をすることその他不正の行為によつて旅券の交付、渡航先の追加、書換交付又は再交付を受けた者

二 他人名義の旅券を行使した者

三 行使の目的をもつて、旅券を他人に譲り渡し、若しくは貸与し、又は他人名義の旅券の譲渡若しくは貸与を受けた者

四 第十九条第一項の規定により旅券の返納を命ぜられた場合において、同項に規定する期限内にこれを返納しなかつた者

五 効力を失つた旅券を行使した者

 (国外犯罪)

第二十四条 前条の規定は、国外において同条各号の一に掲げる罪を犯した者にも適用する。

 (没取)

第二十五条 第二十三条各号の一に該当する者の旅券は、外務大臣が没取することができる。

附 則

1 この法律の施行期日は、公布の日から起算して六十日をこえない期間内において、政令で定める。

2 左の政令は、廃止する。

  連合国最高司令官の許可を得て海外に渡航する者に対して発給する旅券に関する政令(昭和二十五年政令第十一号)

日本政府在外事務所の発給する旅券及びその取り扱う旅券事務に関する政令(昭和二十六年政令第二百八十五号)

3 この法律施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお、従前の例による。

4 この法律施行前に日本政府が発行し、書換発行し、若しくは再発行し、又は交付し、書換交付し、若しくは再交付した旅券でこの法律施行の際現に有効なものは、この法律中の相当する規定に基いて発行し、書換発行し、若しくは再発行し、又は交付し、書換交付し、若しくは再交付した旅券とみなす。但し、旅券面に有効期間が記載された旅券は、その有効期間が経過したときは、その効力を失う。

5 前項但書の旅券を所持する者で正当な事由に因りその有効期間内に本邦に帰国することができないものは、その有効期間内においては一般旅券の再発給を、やむを得ない事由に因りその有効期間内に一般旅券の再発給を受けることができなかつたときにおいてはその事由がなくなつた後遅滞なく一般旅券の発給を受けなければならない。

6 この法律施行前に連合国最高司令官の許可を得て海外に渡航する者に対して発給する旅券に関する政令及び日本政府在外事務所の発給する旅券及びその取り扱う旅券事務に関する政令に基いてされた旅券の発給若しくは交付、渡航先の追加、書換発給又は再発給の申請で、この法律施行の際当該申請に対する処分がされていないものは、それぞれこの法律中の相当する規定に基いてされた申請とみなす。但し、当該申請に当つて提出された書類の外にこの法律の規定によつて提出すべき書類があるときは、当該申請をした者は、その書類を遅滞なく提出しなければならない。

7 北緯三十度以南の南西諸島その他特に外務大臣が定める地域に渡航する者に対しては、当分の間、政令で定めるところにより、身分証明書を発給するものとする。

8 前項の身分証明書の発給に当つては、五百円以下の範囲内で政令で定める額の手数料を徴収することができる。

(法務総裁・外務・内閣総理大臣署名) 

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