住宅金融公庫法
法律第百五十六号(昭二五・五・六)
目次
第一章 総則(第一条―第八条)
第二章 役員及び職員(第九条―第十六条)
第三章 業務(第十七条―第二十五条)
第四章 会計(第二十六条―第三十条)
第五章 監督(第三十一条―第三十三条)
第六章 雑則(第三十四条―第四十五条)
第七章 罰則(第四十六条―第五十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分をいう。
(法人格)
第三条 住宅金融公庫(以下「公庫」という。)は、公法上の法人とする。
(事務所)
第四条 公庫は、主たる事務所を東京都に置く。
2 公庫は、主務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第五条 公庫の資本金は、五十億円とし、政府がその全額を出資する。
2 公庫は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、前項の規定により公庫がその資本金を増加する場合においては、予算に定める金額の範囲内で、公庫に出資することができる。
4 政府は、米国対日援助見返資金を第十七条第一項及び第二項に規定する業務の財源に使用させるため、米国対日援助見返資金特別会計から公庫に対し、予算に定める金額の範囲内で必要な金額を交付することができる。
5 公庫が前項の規定による米国対日援助見返資金の交付を受けたときは、その交付を受けた金額に相当する金額について、第三項の規定による政府の出資があつたものとする。
6 政府の出資に係る資金は、第二十八条の規定による場合、国会の議決を経た金額の範囲内で業務上必要な不動産を取得する場合及び国会の議決を経て経費に充てる場合を除く外、第十七条に規定する業務に充てなければならない。
(登記)
第六条 公庫は、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 前項の設立の登記には、左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 目的及び業務
二 名称
三 事務所
四 資本金
五 役員の氏名及び住所
六 理事に代表権を与えたときは、その者の氏名
3 公庫は、政令で定めるところにより、前項に規定する登記事項の変更、従たる事務所の新設並びに従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人の氏名及び住所、代理人を置いた事務所、その代理人に係る登記事項の変更並びに代理権の消滅を登記しなければならない。
4 前各項の規定により登記を必要とする事項は、登記後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第七条 公庫でない者は、住宅金融公庫という名称又はこれに類する名称を用いてはならない。
(法人に関する規定の準用)
第八条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条、第五十条及び第五十四条の規定は、公庫に準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第九条 公庫に、役員として、総裁一人、理事五人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第十条 総裁は、公庫を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、総裁の定めるところにより、公庫を代表し、総裁を補佐して公庫の事務を掌理し、総裁に事故があるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
3 監事は、公庫の業務を監査する。
(役員の任命)
第十一条 総裁及び監事は、内閣の承認を得て主務大臣が任命する。
2 理事は、総裁が主務大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十二条 総裁、理事及び監事の任期は、四年とする。但し、最初の任命に係る理事のうち二人及び監事のうち一人の任期は、それぞれ二年とする。
2 総裁、理事及び監事は、再任されることができる。
3 総裁、理事及び監事が欠員となつたときは、遅滞なく、補欠の役員を任命しなければならない。補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
(代表権の制限)
第十三条 公庫と総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が公庫を代表する。
(代理人の選任)
第十四条 総裁及び理事は、公庫の職員のうちから従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十五条 公庫の職員は、総裁が任命する。
(役員及び職員の地位)
第十六条 公庫の役員及び職員(常時公庫に勤務して一定の報酬を受ける職員であつて、二月以内の期間を定めて雇用される者以外のものをいう。以下同じ。)は、国家公務員とする。
第三章 業務
(業務の範囲)
第十七条 公庫は、第一条に掲げる目的を達成するため、左に掲げる者に対し、住宅の建設(新たに建設された住宅で、まだ人の住居の用に供したことのないものの購入を含む。以下同じ。)に必要な資金の貸付の業務を行う。
一 自ら居住するため住宅を必要とする者
二 住宅組合法(大正十年法律第六十六号)による住宅組合(以下「住宅組合」という。)
三 自ら居住するため住宅を必要とする者に対し住宅を建設して賃貸する事業を行う会社その他の法人
2 公庫は、前項各号に掲げる者が、住宅の建設に附随して新たに土地又は借地権の取得を必要とする場合においては、土地又は借地権の取得に必要な資金を当該住宅の建設に必要な資金にあわせて貸し付けることができる。
3 公庫は、前二項に規定する業務の外、主務大臣の承認を得て、左の業務を行うことができる。
一 住宅の設計及び工事に関する指導
二 住宅の建設に必要な土地又は借地権の取得に関するあつ旋
三 貸付金の回収に関連して取得した住宅又は土地若しくは借地権の管理及び処分
(貸付を受けるべき者の選定)
第十八条 公庫は、前条第一項及び第二項の規定による貸付の業務を行う場合においては、貸付の申込をした者(以下「申込者」という。)の貸付希望金額、申込者の元利金の償還の見込及び前条第一項第一号に該当する者についてはその住宅を必要とする事由、同項第二号に該当する住宅組合についてはその組合員の住宅を必要とする事由、同項第三号に該当する者についてはその事業の内容をそれぞれ充分に審査し、且つ、申込者の総数及び申込に係る貸付希望金額の総額を参しやくして、公庫から資金の貸付を受けるべき者を公正に選ばなければならない。
(貸付をすることができる住宅)
第十九条 公庫が第十七条第一項の規定により貸付をすることができる住宅は、一戸当りの床面積が百平方メートルをこえないものであつて、且つ、建設費(購入の場合にあつては、購入価額。以下同じ。)が第二十条第一項に規定する標準建設費の一・二倍をこえないものでなければならない。
(貸付金額の限度)
第二十条 第十七条第一項の規定による貸付金の一戸当りの金額は、住宅の建設費の七割五分に相当する金額を限度とする。但し、当該建設費が標準建設費をこえる場合においては、標準建設費の七割五分に相当する金額をこえることができない。
2 前項の場合において、住宅の床面積が六十平方メートルをこえる場合においては、当該床面積は、六十平方メートルとして計算する。
3 第十七条第二項の規定による貸付金の一戸当りの金額は、土地又は借地権の価額の七割五分に相当する金額を限度とする。但し、当該価額が土地又は借地権の標準価額をこえる場合においては、標準価額の七割五分に相当する金額をこえることができない。
4 第一項に規定する標準建設費は、地域別及び住宅の構造別に、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設のため通常必要な費用を参しやくして、前項に規定する標準価額は、地域別の単位面積当りの取引価格の平均及び当該土地に建設されるベき、又は建設された住宅の床面積を参しやくして、公庫が主務大臣の承認を得て定める。これを変更しようとするときも、また同様とする。
5 公庫は、前項の規定により標準建設費及び標準価額を定めたとき又は変更したときは、主務省令で定める方法により、これを公表しなければならない。
(貸付金の利率並びに償還の期間及び方法)
第二十一条 第十七条第一項及び第二項の規定による貸付金の利率は、年五分五厘とし、その償還期間は、左の通りとする。
住宅の構造による区別 |
償還期間 |
木造若しくは木骨防火造又はこれらに類する構造の住宅の建設及びこれらに附随する土地又は借地権の取得を目的とする貸付金 |
十五年以内 |
外壁をコンクリート造、コンクリート・ブロツク造、れんが造その他の耐火構造とした住宅又は主要構造部を金属板その他の不燃材料で造つた住宅の建設及びこれらに附随する土地又は借地権の取得を目的とする貸付金 |
二十年以内 |
主要構造部を鉄筋コンクリート造その他の耐火構造とした住宅の建設及びこれらに附随する土地又は借地権の取得を目的とする貸付金 |
三十年以内 |
2 前項の住宅の構造の区別について必要な技術的事項は、主務省令で定める。
3 公庫の貸付金の償還は、割賦償還の方法によるものとする。但し、公庫から資金の貸付を受けた者(包括承継人を含む。以下「貸付を受けた者」という。)は、貸付金についていつでも一時償還をすることができる。
4 公庫は、前項の規定にかかわらず、左の各号の一に該当する場合においては、貸付を受けた者に対し、いつでも貸付金につき一時償還を請求することができる。但し、一時償還を請求することができる額は、第五号又は第六号に該当する場合においては、当該住宅又は土地若しくは借地権に係る貸付金の額を、第七号に該当する場合においては、当該住宅に係る貸付金の額をそれぞれこえることができない。
一 貸付を受けた者が六月以上割賦金の償還をしなかつたとき、又は正当な理由がなくて割賦金の償還を怠つたと認められるとき。
二 貸付を受けた者が当該貸付金を担保するため設定された抵当権の目的たる住宅又は土地に係る租税その他の公課を滞納したとき。
三 貸付を受けた者が貸付金を貸付の目的以外の目的に使用したとき。
四 貸付を受けた者で第十七条第一項第一号又は第三号の規定に該当するものが貸付金に係る住宅又は住宅及びこれに附随する土地若しくは借地権を他人に譲渡したとき。
五 貸付を受けた者たる住宅組合から貸付金に係る住宅又は住宅及びこれに附随する土地若しくは借地権の譲渡を受けた組合員が、当該住宅又は住宅及びこれに附随する土地若しくは借地権を他人に譲渡したとき。
六 貸付を受けた者たる住宅組合が、当該組合から貸付金に係る住宅又は住宅及びこれに附随する土地若しくは借地権の譲渡を受けるべき組合員の持分の譲渡を承諾したとき。
七 貸付金に係る住宅が貸付の際定められた用途以外の用途に供せられたとき。
八 貸付を受けた者で第十七条第一項第三号の規定に該当するものが第三十五条第一項又は第二項の規定に違反したとき。
九 前各号に掲げるものの外、貸付を受けた者が正当な理由がなくて契約の条項に違反したとき。
5 前項の規定により貸付金の一時償還を請求した場合において、償還をなすべき者が償還を怠つた場合においては、公庫は、当該貸付金を担保するため設定された抵当権を実行するものとする。
(貸付の条件の変更等)
第二十二条 貸付を受けた者が、災害その他特殊の事由に因り、元利金の支払が著しく困難となつた場合においては、公庫は、主務大臣の認可を受けて、貸付の条件の変更又は延滞元利金の支払方法の変更をすることができる。
(業務の委託)
第二十三条 公庫は、主務大臣の認可を受けて、公庫の業務を委託するに必要で、且つ、適切な組織と能力とを有する銀行(日本銀行を除く。)その他の金融機関(以下「金融機関」と総称する。)に対し、公庫の貸付に関する申込の受理及び審査、資金の貸付、元利金の回収その他貸付及び回収に関する業務を、地方公共団体に対し、貸付金に係る住宅の建設工事の審査を委託することができる。但し、貸付の決定については、この限りでない。
2 公庫は、前項の規定により業務の一部を委託しようとする場合においては、当該業務の委託を受ける者(以下「受託者」という。)に対し、委託業務に関する準則を示さなければならない。
3 公庫は、第一項の規定により業務を委託した場合においては、受託者に対し、手数料を支払わなければならない。
4 前項の手数料は、公庫が、主務大臣の認可を受けて、元利金の回収に関する業務以外の委託業務については、その業務に必要な経費を基準として、元利金の回収に関する業務については、その業務に必要な経費に元利金の回収割合(元利金を回収した額の回収すべき額に対する割合をいう。)に応じて公庫が定める率により算出した金額を加えた額を基準として定める。
5 公庫は、必要があると認める場合においては、受託者に対し、当該委託業務の処理について報告をさせ、又は役員若しくは職員をして当該委託業務について必要な調査をさせることができる。
6 受託者たる金融機関の役員又は職員であつて第一項の規定による委託業務に従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の規定の適用については、これを法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務方法書)
第二十四条 公庫は、業務開始の際、業務方法書を定め、主務大臣に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。
2 前項の業務方法書には、資金の貸付の方法、元利金の回収の方法、貸付をすることができる住宅の規模及び規格に関する基準、前条第二項に規定する委託業務に関する準則並びに抵当権の設定、火災保険契約の締結、貸付金に係る住宅の維持補修の義務、貸付金に係る住宅の大修繕又は改築に対する公庫の承認その他の貸付の条件を記載しなければならない。
(事業計画及び資金計画)
第二十五条 公庫は、毎事業年度において当該事業年度の予算の添付書類に定める計画に適合するように、四半期ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを主務大臣に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。
2 公庫は、前項の事業計画及び資金計画を作成する場合においては、一事業年度を通じて、第十七条第一項第三号の規定に該当する者に対して貸し付ける金額の総額の当該年度における貸付金の総額に対する割合が百分の三十をこえないようにこれを定めなければならない。
第四章 会計
(予算及び決算)
第二十六条 公庫の予算及び決算に関しては、公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律(昭和二十四年法律第二十七号)の定めるところによる。
(利益金の処分)
第二十七条 公庫は、毎事業年度の決算上利益金を生じたときは、これを国庫に納付しなければならない。
(余裕金の運用等)
第二十八条 公庫は、業務上の余裕金をもつて、国債を保有し、又はこれを大蔵省預金部に預け入れて運用することができる。
2 公庫は、業務に係る現金を国庫に預託することができる。
3 公庫は、業務を行うため必要と認める場合においては、その業務に係る資金のうち受託者たる金融機関が委託業務を行うため必要な金額を限り、当該金融機関に預託することができる。
(会計帳簿)
第二十九条 公庫は、主務省令で定めるところにより、業務の性質及び内容並びに事業の運営及び経理の状況を適切に示すため必要な帳簿を備えなければならない。
(会計検査院の検査)
第三十条 会計検査院は、必要があると認めるときは、受託者たる金融機関につき、当該委託業務に係る会計を検査することができる。
第五章 監督
(監督)
第三十一条 公庫は、主務大臣が監督する。但し、公庫を当事者又は参加人とする訴訟については、法務総裁が監督する。
2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公庫に対して業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(役員の解任)
第三十二条 主務大臣は、公庫の役員が左の各号の一に該当するに至つたときは、これを解任することができる。
一 この法律若しくはこの法律に基く命令又は政府の命令に違反したとき。
二 刑事事件により有罪の宣告を受けたとき。
三 破産の宣告を受けたとき。
四 心身の故障により職務を執ることができないとき、その他前各号に掲げるものの外、 公庫の役員として不適当と認められるとき。
2 主務大臣は、総裁及び監事を前項第一号又は第四号の規定により解任しようとするときは、内閣の承認を得なければならない。
(報告及び検査)
第三十三条 主務大臣は、必要があると認めるときは、公庫若しくはその受託者たる金融機関に対して報告をさせ、又はその職員をして公庫若しくは受託者たる金融機関の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。但し、受託者たる金融機関に対しては、当該委託業務の範囲内に限る。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(貸付金の使途の規正)
第三十四条 貸付を受けた者は、貸付金を貸付の目的以外の目的に使用してはならない。
2 公庫は、貸付金が貸付の目的以外の目的に使用されることを防止するために、必要に応じて、貸付金をもつて建設する住宅の工事施行者に対し、直接に資金を交付する等資金の交付に関し適切な措置をとることができる。
(賃借人の選定及び家賃)
第三十五条 貸付を受けた者で第十七条第一項第三号の規定に該当するものは、貸付金に係る住宅を自ら居住するため住宅を必要とする者に対し、賃借人の資格、賃借人の選定方法その他賃貸の条件に関し主務省令で定める基準に従い、賃貸しなければならない。
2 貸付を受けた者で第十七条第一項第三号の規定に該当するものは、地代家賃統制令(昭和二十一年勅令第四百四十三号)に定める統制額の範囲内において主務省令で定める額をこえて、貸付金に係る住宅の家賃の額を契約し、又は受領することができない。
(利益金の配当の制限等)
第三十六条 貸付を受けた者で第十七条第一項第三号に該当するものは、公庫からの貸付金の償還を完了するまでは、各事業年度の配当又は分配し得べき利益金又は剰余金の額の当該事業年度開始の時における資本金額(株式総額、出資総額、株式総額及び出資総額の合計額又は基金総額をいう。)及び積立金額(法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)第十六条に規定する積立金額をいう。)の合計額に当該事業年度の月数を乗じたものを十二分した額に対する割合が百分の十をこえる場合においては、その超過額に相当する金額については、株主、社員その他の出資者に対してこれを配当又は分配することができない。但し、当該超過額に相当する金額のうち、当該事業年度前の事業年度において配当又は分配し得べき利益金又は剰余金の額が当該割合に達しなかつたことがあるときにおけるその不足額(配当又は分配し得べき利益金又は剰余金の額がなかつたときは、当該割合に相当する額)の合計額(当該事業年度前において本項但書の規定の適用を受けて配当又は分配した金額があるときは、当該金額に相当する金額を除く。)に相当する金額に達するまでの金額については、この限りでない。
(貸付を受けた者に対する会計検査)
第三十七条 会計検査院は、必要があると認めるときは、貸付を受けた者の会計を検査することができる。
(訴願法の準用)
第三十八条 訴願法(明治二十三年法律第百五号)及び行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)については、公庫を国の行政機関とみなして、政令で定めるところにより、これを公庫に準用する。
(共済組合)
第三十九条 公庫の役員及び職員は、国に使用される者で国庫から報酬を受けるものとみなし、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)の規定を適用する。この場合において、同法中「各省各庁」とあるのは「住宅金融公庫」と、「各省各庁の長」とあるのは「住宅金融公庫総裁」と、同法第六十九条(同条第一項第三号を適用する場合を除く。)及び第九十二条中「国庫」とあるのは「住宅金融公庫」と、同法第七十三条第二項、第七十五条第二項及び第九十八条中「政府を代表する者」とあるのは「住宅金融公庫を代表する者」と読み替えるものとする。
第四十条 国庫は、公庫に設けられた共済組合に対し国家公務負共済組合法第六十九条第一項第三号に掲げる費用を負担する。
(健康保険等との関係)
第四十一条 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第十二条第一項及び厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第十六条ノ二の規定の適用については、公庫の役員及び職員は、国に使用される者とみなす。
(災害補償)
第四十二条 公庫の役員及び職員は、その災害補償については、国に使用される者で国庫から報酬を受けるものとみなし、労働基準法等の施行に伴う政府職員に係る給与の応急措置に関する法律(昭和二十二年法律第百六十七号)の規定を適用する。
2 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第三条第三項の規定の適用については、公庫の事業は、国の直営事業とみなす。
3 第一項の規定により補償を要する費用は、公庫が負担する。
(失業保険)
第四十三条 失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第七条の規定の適用については、公庫の役負及び職員は、国に使用される者とみなす。
第四十四条 国庫は、公庫がその役員及び職員に対し失業保険法に規定する保険給付の内容をこえる給付を行う場合には、同法に規定する給付に相当する部分につき同法第二十八条第一項に規定する国庫の負担と同一割合によつて算定した金額を負担する。
(主務大臣、主務省令)
第四十五条 この法律における主務大臣は、建設大臣及び大蔵大臣とし、主務省令は、建設省令・大蔵省令とする。
第七章 罰則
第四十六条 第三十五条の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者がその法人の業務に関して前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人に対し同項の罰金刑を科する。但し、法人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人については、この限りでない。
第四十七条 受託者たる金融機関の役員又は職員が第二十三条第五項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は調査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、三万円以下の罰金に処する。
第四十八条 公庫の役員若しくは職員又は受託者たる金融機関の役員若しくは職員が第三十三条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、三万円以下の罰金に処する。
第四十九条 左の場合においては、その違反行為をした公庫の役員若しくは職員を三万円以下の過料に処する。
一 この法律により主務大臣の認可を受け、又は承認を得なければならない場合において、その認可を受けず、又は承認を得なかつたとき。
二 第六条第一項から第三項までの規定に違反して登記をすることを怠り、又は不実の登記をしたとき。
三 第十七条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第十九条の規定に違反して貸付をしたとき。
五 第二十条第一項から第三項までの規定に違反して貸付をしたとき。
六 第二十条第五項の規定に違反して公表を怠り、又は不実の公表をしたとき。
七 第二十八条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
八 第三十一条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
第五十条 第七条の規定に違反して住宅金融公庫という名称又はこれに類する名称を用いた者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 主務大臣は、設立委員を命じて、公庫の設立に関する事務を処理させる。
3 設立委員は、設立の準備を完了した上、遅滞なく、政府に対し資本金の払込の請求をしなければならない。
4 資本金の払込があつた日(資本金が分割して払い込まれる場合においては、第一回の払込のあつた日)において、設立委員は、その事務を公庫の総裁に引き継がなければならない。
5 総裁が前項の事務の引継を受けた日において、総裁、理事及び監事の全員は、設立の登記をしなければならない。
6 公庫は、設立の登記をすることに因り成立する。
7 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第二十三号の次に次の一号を加える。
二十三の二 住宅金融公庫の業務の監督その他住宅金融公庫法(昭和二十五年法律第百五十六号)の施行に関する事務を管理すること。
8 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第十二条第四号中「復興金融金庫及び国民金融公庫」を「復興金融金庫、国民金融公庫及び住宅金融公庫」に改める。
9 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第五号中「国民金融公庫」の下に「及び住宅金融公庫」を加える。
10 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第二号中「国民金融公庫」の下に「、住宅金融公庫」を加える。
11 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第二号ノ三を同条第二号ノ四とし、同条第二号ノ四を同条第二号ノ五とし、同条第二号ノ二の次に次の一号を加える。
二ノ三 住宅金融公庫自己ノ為ニスル登記又ハ登録
12 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第五号ノ五の次に次の一号を加える。
五ノ六 住宅金融公庫ノ発スル証書、帳簿
13 貸金業等の取締に関する法律(昭和二十四年法律第百七十号)の一部を次のように改正する。
第二条第二号中「国民金融公庫、」の下に「住宅金融公庫、」を加える。
(大蔵・建設・内閣総理大臣署名)