日本国有鉄道法

法律第二百五十六号(昭二三・一二・二〇)

目次

 第一章 総則(第一条―第八条)

 第二章 監理委員会(第九条―第十七条)

 第三章 役員及び職員(第十八条―第三十五条)

 第四章 会計(第三十六条―第五十一条)

 第五章 監督(第五十二条―第五十四条)

 第六章 罰則(第五十五条)

 第七章 雑則(第五十六条―第六十三条)

 附則

第一章 総則

 (目的)

第一条 国が国有鉄道事業特別会計をもつて経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する。

 (法人格)

第二条 日本国有鉄道は、公法上の法人とする。日本国有鉄道は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十五条又は商事会社その他の社団に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)の規定に定める商事会社ではない。

 (業務)

第三条 日本国有鉄道は、第一条の目的を達成するため、左の業務を行う。

 一 鉄道事業及びその附帯事業の経営

 二 鉄道事業に関連する連絡船事業及びその附帯事業の経営

 三 鉄道事業に関連する自動車運送事業及びその附帯事業の経営

 四 前三号に掲げる業務を行うのに必要な採炭、発送電及び電気通信

 五 前各号に掲げる業務の外第一条の目的を達成するために必要な業務

2 日本国有鉄道は、その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、一般の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕若しくは調達、工事の施行、業務の管理又は技術上の試験研究を行うことができる。

 (事務所)

第四条 日本国有鉄道は、主たる事務所を東京都に置く。

2 日本国有鉄道は、必要な地に従たる事務所を置く。

 (資本金)

第五条 日本国有鉄道の資本金は、別に法律で定めるところにより、昭和二十四年三月三十一日における国有鉄道事業特別会計の資産の価額に相当する額とし、政府が、全額出資するものとする。

 (非課税)

第六条 日本国有鉄道には、所得税及び法人税を課さない。

2 都道府県、市町村その他これらに準ずるものは、日本国有鉄道に対しては、地方税を課することができない。但し、鉱産税、入場税、酒消費税、電気ガス税、木材引取税及び遊興飲食税、これらの附加税並びに遊興飲食税割については、この限りでない。

 (登記)

第七条 日本国有鉄道は、政令の定めるところにより、登記しなければならない。

2 前項の規定により、登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (民法の準用に関する規定)

第八条 民法第四十四条、第五十条及び第五十四条の規定は、日本国有鉄道に準用する。

第二章 監理委員会

 (監理委員会の設置)

第九条 日本国有鉄道に監理委員会を置く。

 (監理委員会の権限及び責任)

第十条 監理委員会は、第一条に掲げる目的を達成するため、日本国有鉄道の業務運営を指導統制する権限と責任を有する。

 (監理委員会の組織)

第十一条 監理委員会は、五人の委員及び一人の職務上当然就任する特別委員をもつて組織する。

2 監理委員会に委員長を置き、委員の互選により選任する。

3 監理委員会は、予め、委員のうちから、委員長が事故のある場合に委員長の職務を代理する者を定めて置かなければならない。

 (委員の任命)

第十二条 監理委員会の委員は、運輸業、工業、商業又は金融業について、広い経験と知識とを有する年齢三十五年以上の者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。

2 委員の任命において、衆議院が同意して参議院が同意しない場合には、日本国憲法第六十七条第二項の場合の例により、衆議院の同意をもつて両議院の同意とする。

3 左の各号の一に該当する者は、委員であることができない。

 一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ない者

 二 禁こ又は懲役に処せられた者

 三 国務大臣、国会議員、政府職員又は地方公共団体の議会の議員

 四 政党の役員(任命の日以前一年間においてこれに該当した者を含む。)

 五 日本国有鉄道に対し、物品の売買若しくは工事の請負を業とする者、又はこれらの者が法人であるときはその役員若しくは名称の如何にかかわらず役員と同等以上の職権若しくは支配力を有する者(任命の日以前一年間においてこれらの者であつた者を含む。)

 六 前号に掲げる事業者の団体の役員又は名称の如何にかかわらず役員と同等以上の職権又は支配力を有する者(任命の日以前一年間においてこれらの者であつた者を含む。)

 (委員の任期)

第十三条 委員の任期は、五年とする。但し、補欠の委員は、前任者の残存期間在任する。

2 委員は、再任されることができる。

3 日本国有鉄道創立後最初に任命される委員の任期は、任命の際において内閣総理大臣の定めるところにより、任命の日からそれぞれ一年、二年、三年、四年、五年とする。

 (委員の罷免)

第十四条 内閣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。

2 第十二条第二項の規定は、前項の場合に準用する。

 (委員の報酬)

第十五条 委員は、名誉職とする。但し、旅費その他業務の遂行に伴う実費は、これを受けるものとする。

 (議決方法)

第十六条 監理委員会は、委員長又は第十一条第三項に規定する委員長の職務を代理する者及び二人以上の委員の出席がなければ議事を開き、議決をすることができない。

2 監理委員会の議事は、出席者の過半数をもつて決する。但し、第十一条に規定する職務上当然就任する特別委員は、議決に加わることができない。

3 可否同数のときは、委員長が決する。

4 監理委員会は、日本国有鉄道の役員又は職員をその会議に出席せしめて、必要な説明を求めることができる。

5 総裁の指名する役員は、監理委員会に出席して意見を述べ、又は説明をすることができる。

 (公務員たる性質)

第十七条 委員は、法令により公務に従事する者とみなす。

2 委員には、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)は適用されない。

第三章 役員及び職員

 (役員の範囲)

第十八条 日本国有鉄道の役員は、総裁、副総裁及び理事とする。

 (役員の職務及び権限)

第十九条 総裁は、日本国有鉄道を代表し、その業務を総理する。総裁は、監理委員会に対し責任を負う。総裁は、第十一条に規定する職務上当然就任する監理委員会の特別委員とする。

2 副総裁は、総裁の定めるところにより、日本国有鉄道を代表し、総裁を補佐して日本国有鉄道の業務を掌理し、総裁に事故があるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。

3 理事は、総裁の定めるところにより、日本国有鉄道を代表し、総裁及び副総裁を補佐して日本国有鉄道の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。

 (役員の任命及び任期)

第二十条 総裁は、監理委員会が推薦した者につき、内閣が任命する。

2 前項の推薦は、第十六条の規定にかかわらず、委員四人以上の多数による議決によることを要する。

3 副総裁は、監理委員会の同意を得て、総裁が任命する。

4 理事は、総裁が任命する。

5 総裁及び副総裁の任期は、各々四年とする。

6 総裁及び副総裁は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第二十一条 第十二条第三項各号の一に該当する者は、役員であることができない。

 (総裁及び副総裁の罷免)

第二十二条 内閣は、総裁が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合、又は総裁に職務上の義務違反その他総裁たるに適しない非行があると認める場合においては、監理委員会の同意を得て、これを罷免することができる。

2 第二十条第二項の規定は、前項の同意に準用する。

3 総裁は、副総裁が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合、又は副総裁に職務上の義務違反その他副総裁たるに適しない非行があると認める場合においては、監理委員会の同意を得て、これを罷免することができる。

 (役員の兼職禁止)

第二十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。

 (代表権の制限)

第二十四条 日本国有鉄道と総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監理委員会は、これらの代表権を有しない役員以外の他の役員のうちから日本国有鉄道を代表する者を選任しなければならない。

 (代理人の選任)

第二十五条 総裁、副総裁又は理事は、日本国有鉄道の職員のうちから、その業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限をもつ代理人を選任することができる。

 (職員の地位及び資格)

第二十六条 この法律において日本国有鉄道の職員とは、公共企業体労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二項に規定する者をいう。

2 第十二条第三項第三号に該当する者は、職員であることができない。

 (任免の基準)

第二十七条 職員の任免は、その者の受験成績、勤務成績又はその他の能力の実証に基いて行う。

 (給与)

第二十八条 職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものでなければならない。

2 職員の給与は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業員における給与その他の条件を考慮して定めなければならない。

 (降職及び免職)

第二十九条 職員は、左の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、降職され、又は免職されることがない。

 一 勤務成績がよくない場合

 二 心身の故障のため職務の遂行に支障があり又はこれに堪えない場合

 三 その他その職務に必要な適格性を欠く場合

 四 業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合

 (休職)

第三十条 職員は左の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、休職にされることがない。

 一 心身の故障のため長期の休養を必要とする場合

 二 刑事事件に関し起訴された場合

2 前項第一号の規定による休職の期間は、満一年とし、休職期間中その故障が消滅したときは、速やかに復職させるものとし、休職のまま満期に至つたときは、当然退職者とする。

3 第一項第二号の規定による休職の期間は、その事件が裁判所に係属する間とする。

4 休職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しない。休職者は、休職の期間中俸給の三分の一を受ける。

 (懲戒)

第三十一条 職員が左の各号の一に該当する場合においては、総裁は、これに対し懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。

 一 この法律又は日本国有鉄道の定める業務上の規程に違反した場合

 二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

2 停職の期間は、一月以上一年以下とする。

3 停職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しない。停職者は、その停職の期間中俸給の三分の一を受ける。

4 減給は、一月以上一年以下俸給の十分の一以下を減ずる。

 (服務の基準)

第三十二条 職員は、その職務を遂行するについて、誠実に法令及び日本国有鉄道の定める業務上の規程に従わなければならない。

2 職員は、全力をあげて職務の逐行に専念しなければならない。但し、公共企業体労働関係法第七条の規定により、専ら職員の組合の事務に従事する者については、この限りでない。

 (勤務時間の延長、時間外及び休日勤務)

第三十三条 日本国有鉄道は、左の各号の一に該当する場合においては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十二条、第三十五条又は第四十条の規定にかかわらず、その職員をして、勤務時間をこえ、又は勤務時間外若しくは休日に勤務させることができる。

 一 災害その他により事故が発生したとき。

 二 災害の発生が予想される場合において、警戒を必要とするとき。

 三 列車(自動車、船舶を含む。)が遅延したとき。

 (公務員たる性質)

第三十四条 役員及び職員は、法令により公務に従事する者とみなす。

2 役員及び職員には、国家公務員法は適用されない。

 (公共企業体労働関係法の適用)

第三十五条 日本国有鉄道の職員の労働関係に関しては、公共企業体労働関係法の定めるところによる。

第四章 会計

 (経理原則及び運賃)

第三十六条 日本国有鉄道の会計及び財務(運賃の設定及び変更に関するものを含む。)に関しては、鉄道事業の高能率に役立つような公共企業体の会計を規律する法律が制定施行されるまでは、日本国有鉄道を国の行政機関とみなして、この法律又はこの法律に基く政令若しくは省令に定める場合を除く外、国有鉄道事業特別会計法(昭和二十二年法律第四十号)、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)その他従前の国有鉄道事業の会計に関し適用される法令の規定の例による。

2 前項の規定により日本国有鉄道を国の行政機関とみなす場合においては、日本国有鉄道の総裁を各省各庁の長と、日本国有鉄道を各省各庁とみなす。但し、政令をもつて日本国有鉄道を運輸省の一部局とみなす場合は、この限りでない。

 (事業年度)

第三十七条 日本国有鉄道の事業年度は、毎年四月に始まり、翌年三月に終る。

2 日本国有鉄道は、毎事業年度の決算を、翌年度七月三十一日までに完結しなければならない。

 (予算)

第三十八条 日本国有鉄道は、毎事業年度の予算を作成し、運輸大臣を経て大蔵大臣に提出しなければならない。

2 大蔵大臣は、前項の規定により予算の提出を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。

3 内閣は、前項の規定により予算を決定したときは、国の予算とともに、これを国会に提出しなければならない。

4 予算の形式、内容及び添附書類については政令で、予算の作成及び提出の手続については大蔵大臣が運輸大臣と協議して定める。

 (追加予算)

第三十九条 日本国有鉄道は、予算作成後に生じた事由に基き、必要避けることのできない場合に限り、予算作成の手続に準じ追加予算を作成し、これを運輸大臣を経て大蔵大臣に提出することができる。

2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による追加予算について準用する。

 (決算)

第四十条 日本国有鉄道は、事業年度ごとに財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、決算完結後一月以内に運輸大臣に提出してその承認を受けなければならない。

2 日本国有鉄道は、前項の規定による運輸大臣の承認を受けたときは、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告しなければならない。

第四十一条 日本国有鉄道は、予算の形式に準じ、毎事業年度の決算報告書を作成し、運輸大臣を経て大蔵大臣に提出しなければならない。

2 大蔵大臣は、前項の規定による決算報告書の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。

第四十二条 内閣は、前条第二項の規定により日本国有鉄道の決算報告書の送付を受けたときは、これを会計検査院に送付しなければならない。

2 内閣は、会計検査院の検査を経た日本国有鉄道の決算報告書を、国の歳入歳出の決算とともに国会に提出しなければならない。

 (損益の処理)

第四十三条 政府は、日本国有鉄道に損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付することができる。

2 日本国有鉄道は、経営上利益金を生じたときは、別に予算に定める場合を除き、これを政府の一般会計に納付しなければならない。

 (借入金)

第四十四条 日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けて、政府から長期借入金及び一時借入金をすることができる。日本国有鉄道は、市中銀行その他民間から借入金をすることができない。

2 前項の規定による長期借入金及び一時借入金の限度額については、予算をもつて定めなければならない。

3 第一項の規定による一時借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。但し、資金不足のため償還することができないときは、その償還することのできない金額に限り、運輸大臣の認可をうけて、これを借り換えることができる。

4 前項但書の規定により借り換えた一時借入金は、一年以内に償還しなければならない。

 (政府からの貸付)

第四十五条 政府は、日本国有鉄道に対し、資金の貸付をすることができる。

 (償還計画)

第四十六条 日本国有鉄道は、毎事業年度、第四十四条第一項に掲げる長期借入金の償還計画をたて、大蔵大臣の承認を受けなければならない。

 (業務に係る現金の取扱)

第四十七条 日本国有鉄道の業務に係る現金については、法律又は政令の定めるところにより、国庫金の取扱に関する規程による。

2 日本国有鉄道の出納職員は、法律又は政令の定めるところにより、日本国有鉄道の債務をその保管に係る現金をもつて支払うことができる。

 (会計帳簿)

第四十八条 日本国有鉄道は、業務の性質及び内容並びに事業運営及び経理の状況を適切に示すため必要な帳簿を備えなければならない。

 (財産処分の制限)

第四十九条 日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けなければ、営業線及びこれに準ずる重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供することができない。

2 前項の重要な財産の範囲及び種類は、運輸大臣が、大蔵大臣にはかつて定める。

 (大蔵大臣の監督)

第五十条 運輸大臣が、第四十条第一項の財産目録、貸借対照表及び損益計算書の承認を行うとき、及び第四十四条第一項又は第三項の規定による借入金に関する認可を行うときは、大蔵大臣にはからなければならない。

 (会計検査)

第五十一条 日本国有鉄道の会計については、会計検査院が検査する。

第五章 監督

 (監督者)

第五十二条 日本国有鉄道は、運輸大臣が監督する。

 (監督事項)

第五十三条 左に掲げる事項は、運輸大臣の許可又は認可を受けなければならない。

 一 鉄道新線の建設及び他の運輸事業の譲受

 二 日本国有鉄道に関連する連絡船航路又は自動車運送事業の開始

 三 営業線の休止及び廃止

 (監督上の命令及び報告)

第五十四条 運輸大臣は、公共の福祉を増進するため特に必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し監督上必要な命令をすることができる。

2 運輸大臣は、監督上必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し報告をさせることができる。

第六章 罰則

 (罰則)

第五十五条 総裁、副総裁又は総裁の職務を行い若しくは総裁を代理する理事が左の各号の一に該当するときは、その業務に対する責任に応じて、十万円以下の罰金に処する。

 一 この法律により、主務大臣の認可又は許可を受けるべき場合に受けなかつたとき。

 二 第三条に規定する業務以外の業務を行つたとき。

 三 第七条第一項の規定に基いて発する政令に違反して登記を怠り、又は虚偽の登記をしたとき。

 四 前条第一項の規定に基く命令に違反したとき。

 五 前条第二項の規定に基く報告を怠り、又は虚偽の報告をしたとき。

第七章 雑則

 (恩給)

第五十六条 この法律施行の際、現に恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員たる者が、引き続いて日本国有鉄道の役員又は職員となつた場合には、同法第二十条に規定する文官であつて国庫から俸給を受ける者として勤続するものとみなし、当分の間これに恩給法の規定を準用する。

2 前項の規定により恩給法を準用する場合においては、恩給の給与等については、日本国有鉄道を行政庁とみなす。

3 第一項に規定する者又はその遺族の恩給及びこの法律施行前給与事由の生じた恩給であつて従前の国有鉄道事業特別会計(旧帝国鉄道会計を含む。)において俸給又は給料を支弁した者にかかるものの支払に充てるべき金額については、日本国有鉄道が国有鉄道事業特別会計として存続するものとみなし、特別会計の恩給負担金を一般会計に繰り入れることに関する法律(昭和六年法律第八号)の規定を準用する。

4 第一項の規定により恩給法を準用する場合において、同項において準用する恩給法第五十九条第一項の規定により日本国有鉄道の役員又は職員が納付すべき金額は、同項の規定にかかわらず日本国有鉄道に納付すべきものとする。

 (共済組合)

第五十七条 日本国有鉄道の役員及び職員は、国に使用されるもので国庫から報酬を受けるものとみなし、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)の規定を準用する。この場合において、同法中「各省各庁」とあるのは「日本国有鉄道」と、「各省各庁の長」とあるのは「日本国有鉄道総裁」と、第六十九条(第一項第三号を準用する場合を除く。)及び第九十二条中「国庫」とあるのは「日本国有鉄道」と、第七十三条第二項及び第七十五条第二項中「政府を代表する者」とあるのは「日本国有鉄道を代表する者」と読み替えるものとする。

2 国家公務員共済組合法第二条第二項第八号の規定による共済組合は、前項の規定により準用する同法第二条第一項の規定により日本国有鉄道に設けられる共済組合となり同一性をもつて存続するものとする。

第五十八条 国庫は、日本国有鉄道に設けられた共済組合に対し、国家公務員共済組合法第六十九条第一項第三号に掲げる費用を負担する。

第五十九条 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第十二条第一項、厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第十六条の二及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第十五条の規定の適用については、日本国有鉄道の役員及び職員は、国に使用される者とみなす。

 (災害補償)

第六十条 日本国有鉄道の役員及び職員は、国に使用される者で、国庫から報酬をうけるものとみなし、国家公務員災害補償法(昭和  年法律第  号)の規定を準用する。この場合において、「国」(第四十二条中「国、市町村長」の国を除く。)とあるのは「日本国有鉄道」と、「会計」とあるのは「日本国有鉄道」と読み替えるものとする。

2 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第三条第三項の規定の適用については、日本国有鉄道の事業は、国の直営事業とみなす。

3 第一項の規定により補償に要する費用は、日本国有鉄道が負担する。

 (失業保険)

第六十一条 失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第七条の規定の適用については、日本国有鉄道の役員及び職員は、国に使用される者とみなす。

第六十二条 国庫は、日本国有鉄道がその役員及び職員に対し失業保険法に規定する保険給付の内容をこえる給付を行う場合には、同法に規定する給付に相当する部分につき同法第二十八条第一項に規定する国庫の負担と同一割合によつて算定した金額を負担する。

 (他の法令の適用)

第六十三条 道路運送法(昭和二十二年法律第百九十一号)、電気事業法(昭和六年法律第六十一号)、土地収用法(明治三十三年法律第二十九号)その他の法令(国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)を除く。)の適用については、この法律又は別に定める法律をもつて別段の定をした場合を除くの外、日本国有鉄道を国と、日本国有鉄道総裁を主務大臣とみなす。

附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和二十四年四月一日から施行する。

 (財産の承継)

2 国有鉄道事業特別会計の資産は、この法律施行の日に日本国有鉄道に引き継ぐものとする。

 (日本国有鉄道設立の手続その他)

3 日本国有鉄道設立の手続、財産及び従業員の政府から日本国有鉄道への引継の手続その他この法律施行のために必要な事項は別に法律又は政令をもつて定める。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名)

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