私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律
法律第八十七号(平九・六・一八)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第七項中「五百億円」を「千億円」に、「次の各号に」を「次に」に改める。
第六条第二項を削る。
第七条第一項中「前条第一項若しくは第二項」を「前条」に改め、「届出を命じ、又は」を削り、「差止」を「差止め」に改める。
第八条第一項中「左の」を「次の」に改め、同項第二号中「第六条第一項」を「第六条」に改める。
第九条第一項及び第二項中「持株会社」を「事業支配力が過度に集中することとなる持株会社」に改める。
第九条第三項を次のように改める。
この条及び次条において持株会社とは、子会社(会社がその発行済の株式(社員の持分を含む。以下同じ。)の総数の百分の五十を超える株式を所有する国内の会社をいう。以下この条において同じ。)の株式の取得価額(最終の貸借対照表において別に付した価額があるときは、その価額。以下同じ。)の合計額の会社の総資産の額(公正取引委員会規則で定める方法による資産の合計金額をいう。第六項において同じ。)に対する割合が百分の五十を超える会社をいう。
第九条に次の四項を加える。
会社及びその一若しくは二以上の子会社又は当該会社の一若しくは二以上の子会社が発行済の株式の総数の百分の五十を超える株式を所有する国内の会社は、当該会社の子会社とみなして、この条の規定を適用する。
第一項及び第二項において事業支配力が過度に集中することとは、持株会社及び子会社その他持株会社が株式の所有により事業活動を支配している国内の会社の総合的事業規模が相当数の事業分野にわたつて著しく大きいこと、これらの会社の資金に係る取引に起因する他の事業者に対する影響力が著しく大きいこと又はこれらの会社が相互に関連性のある相当数の事業分野においてそれぞれ有力な地位を占めていることにより、国民経済に大きな影響を及ぼし、公正かつ自由な競争の促進の妨げとなることをいう。
持株会社は、当該持株会社及びその子会社の総資産の額(国内の会社の総資産の額に限る。)を公正取引委員会規則で定める方法により合計した額が三千億円を下回らない範囲内において政令で定める金額を超える場合には、毎事業年度終了の日から三箇月以内に、公正取引委員会規則で定めるところにより、当該持株会社及びその子会社の事業に関する報告書を公正取引委員会に提出しなければならない。
新たに設立された持株会社は、当該持株会社がその設立時において前項に規定する場合に該当するときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、その設立の日から三十日以内に、その旨を公正取引委員会に届け出なければならない。
第九条の二第一項中「株式会社」の下に「(持株会社たる株式会社を除く。)」を加え、「百億円」を「三百五十億円」に、「三百億円」を「千四百億円」に改め、「(最終の貸借対照表において別に付した価額があるときは、その価額。以下同じ。)」を削り、同項ただし書中「次の各号に」を「次に」に改め、同項第五号中「自己が」を「自己及び他の会社がそれぞれ」に、「全部」を「一部」に、「設立後直ちに」を「設立と同時に」に改め、同号ただし書中「当該会社の設立の日から二年以内において所有する場合」を「当該会社が設立時の業務を引き続き主たる事業として営んでいる場合」に改め、同項中第九号を第十一号とし、第八号を第九号とし、同号の次に次の一号を加える。
十 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十一項に規定する証券取引所に上場されておらず、かつ、同法第七十五条第一項の店頭売買有価証券登録原簿に登録されていない株式を発行する株式会社のうち、資本の額が政令で定める金額以下のものであつて、前事業年度において試験研究費その他政令で定める費用の合計額の政令で定める収入金額に対する割合が政令で定める割合を超えるもの又は設立の日以後一年を経過していないものであつて、常勤の研究者の数が政令で定める数以上であり、かつ、当該研究者の数の常勤の役員及び従業員の数の合計に対する割合が政令で定める割合以上であるものの株式を取得し、又は所有する場合
第九条の二第一項中第七号を第八号とし、第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。
六 国内の会社の発行済の株式の全部を取得し、又は所有する場合
第九条の二第五項中「第一項第六号」を「第一項第七号」に改め、同条第六項中「第一項第六号」を「第一項第七号」に、「同項第九号」を「同項第十一号」に改め、同条第八項中「第一項第九号」を「第一項第十一号」に改める。
第十七条の二第一項中「第九条の二第一項」を「第九条第六項若しくは第七項、第九条の二第一項」に改め、「報告書の提出」の下に「若しくは届出」を加える。
第十八条中「第九条第一項の規定に違反して会社が設立された場合又は」及び「設立又は」を削り、「訴」を「訴え」に改める。
第十八条の二第一項中「三百億円」を「六百億円」に改める。
第四十八条第一項及び第五十四条第一項中「第六条第一項若しくは第二項」を「第六条」に、「第九条第一項若しくは第二項」を「第九条第一項、第二項、第六項若しくは第七項」に改める。
第六十五条第一項中「第九条の二第一項第六号」を「第九条の二第一項第七号」に、「第九条の二第一項第九号」を「第九条の二第一項第十一号」に改める。
第六十七条第一項中「申立」を「申立て」に、「第六条第一項」を「第六条」に改める。
第九十条第一号中「第六条第一項」を「第六条」に改める。
第九十一条中第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号から第七号までを一号ずつ繰り上げる。
第九十一条の二第一号を次のように改める。
一 削除
第九十一条の二中第十号を第十二号とし、第三号から第九号までを二号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の二号を加える。
三 第九条第六項の規定に違反して報告書を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書を提出した者
四 第九条第七項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の記載をした届出書を提出した者
第九十五条第一項第二号中「第五号」を「第四号」に改め、「第九十一条の二」の下に「(第一号を除く。)」を加え、同条第二項第二号中「第九十一条第一号、第六号」を「第九十一条第五号」に、「第七号(第一号又は第六号に係る部分に限る。)」を「第六号(第五号に係る部分に限る。)」に、「第九十一条の二第一号、第二号」を「第九十一条の二第二号」に、「第五号若しくは第九号」を「第七号若しくは第十一号」に改める。
第九十五条の二中「第五号」を「第四号」に改める。
第百十五条の次に次の一条を加える。
第百十六条 別に法律で定める日までの間は、第九条第一項中「事業支配力が過度に集中することとなる持株会社」とあるのは「金融持株会社(次条第一項に規定する金融業を営む会社を第三項に規定する子会社(第四項の規定により子会社とみなされる場合を含む。)とする持株会社をいう。次項において同じ。)又は事業支配力が過度に集中することとなる持株会社」と、同条第二項中「事業支配力が過度に集中することとなる持株会社」とあるのは「金融持株会社又は事業支配力が過度に集中することとなる持株会社」とする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第六条第二項を削る改正規定、第七条第一項及び第八条第一項の改正規定、第四十八条第一項及び第五十四条第一項の改正規定(「第六条第一項若しくは第二項」を「第六条」に改める部分に限る。)、第六十七条第一項、第九十条第一号及び第九十一条の二第一号の改正規定、第九十五条第一項第二号の改正規定(「第九十一条の二」の下に「(第一号を除く。)」を加える部分に限る。)、第九十五条第二項第二号の改正規定(「第九十一条の二第一号、第二号」を「第九十一条の二第二号」に改める部分に限る。)並びに次条及び附則第四条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第六条第二項を削る改正規定の施行前にした同項に規定する国際的協定又は国際的契約に係る届出については、なお従前の例による。
第三条 この法律の施行前にあった改正前の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「旧法」という。)第九条第一項若しくは第二項、第九条の二第一項又は第十七条(旧法第九条第一項若しくは第二項又は第九条の二第一項に係る部分に限る。)の規定に違反する行為を排除するために必要な措置については、なお従前の例による。
第四条 この法律(附則第一条ただし書に規定する規定については、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及び附則第二条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(検討)
第五条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、事業支配力の過度の集中を防止する観点から、設立等が禁止される持株会社の範囲及び持株会社の事業活動の実態を把握する方法並びに大規模会社の株式保有総額の制限の対象となる株式の範囲について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(内閣総理大臣署名)