河川法の一部を改正する法律
法律第六十九号(平九・六・四)
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五十二条・第五十三条」を「第五十二条―第五十三条の二」に改める。
第一条中「及び」を削り、「維持される」を「維持され、及び河川環境の整備と保全がされる」に改める。
第三条第二項中「床止め」の下に「、樹林帯(堤防又はダム貯水池に沿つて設置された建設省令で定める帯状の樹林で堤防又はダム貯水池の治水上又は利水上の機能を維持し、又は増進する効用を有するものをいう。)」を加える。
第六条第一項第三号中「含む。」の下に「第三項において同じ。」を加え、「行なう」を「行う」に改め、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「又は高規格堤防特別区域」を「、高規格堤防特別区域又は樹林帯区域」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 河川管理者は、第一項第二号の区域のうち、その管理する樹林帯(堤外の土地にあるものを除く。)の敷地である土地の区域(以下単に「樹林帯区域」という。)については、その区域を指定しなければならない。
第六条に次の一項を加える。
6 河川管理者は、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条の規定に基づき保安林として指定された森林、同法第三十条の規定に基づき保安林予定森林として告示された森林、同法第四十一条の規定に基づき保安施設地区としで指定された土地又は同法第四十四条において準用する同法第三十条の規定に基づき保安施設地区に予定された地区として告示された土地につき樹林帯区域の指定又はその変更をしようとするときは、農林水産大臣(同法第四十条第一項の規定により委任された都道府県知事が同法第二十五条の規定に基づき指定した保安林又は同法第二十九条の規定に基づき通知した保安林予定森林については、当該都道府県知事)に協議しなければならない。
第十六条の見出しを「(河川整備基本方針)」に改め、同条第一項中「の実施」を「及び河川の維持(次条において「河川の整備」という。)」に改め、「なるべき」の下に「方針に関する」を加え、「工事実施基本計画」を「河川整備基本方針」に改め、同条第二項中「工事実施基本計画」を「河川整備基本方針」に、「並びに水資源の利用の現況及び開発」を「、水資源の利用の現況及び開発並びに河川環境の状況」に、「準則に従い」を「ところにより」に改め、同条第三項を削り、同条第四項中「工事実施基本計画」を「河川整備基本方針」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改め、同項を同条第三項とし、同条に次の三項を加える。
4 都道府県知事は、河川整備基本方針を定めようとする場合において、当該都道府県知事が統括する都道府県に都道府県河川審議会が置かれているときは、あらかじめ、当該都道府県河川審議会の意見を聴かなければならない。
5 河川管理者は、河川整備基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
6 前三項の規定は、河川整備基本方針の変更について準用する。
第十六条の二を第十六条の三とし、第十六条の次に次の一条を加える。
(河川整備計画)
第十六条の二 河川管理者は、河川整備基本方針に沿つて計画的に河川の整備を実施すべき区間について、当該河川の整備に関する計画(以下「河川整備計画」という。)を定めておかなければならない。
2 河川整備計画は、河川整備基本方針に即し、政令で定めるところにより、当該河川の総合的な管理が確保できるように定められなければならない。この場合において、河川管理者は、降雨量、地形、地質その他の事情によりしばしば洪水による災害が発生している区域につき、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置を講ずるように特に配慮しなければならない。
3 河川管理者は、河川整備計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、河川に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。
4 河川管理者は、前項に規定する場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
5 河川管理者は、河川整備計画を定めようとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、関係都道府県知事又は関係市町村長の意見を聴かなければならない。
6 河川管理者は、河川整備計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
7 第三項から前項までの規定は、河川整備計画の変更について準用する。
第十八条の見出し中「施行」を「施行等」に改め、同条中「損傷した」を「損傷し、若しくは汚損した」に改め、「生じた河川工事」の下に「又は河川の維持」を加え、「施行させる」を「行わせる」に改める。
第二十条中「第十六条の二第一項」を「第十六条の三第一項」に改める。
第二十六条に次の二項を加える。
4 第一項前段の規定は、樹林帯区域内の土地における工作物の新築、改築及び除却については、適用しない。ただし、当該工作物の新築又は改築が、隣接する河川管理施設(樹林帯を除く。)を保全するため特に必要であるとして河川管理者が指定した樹林帯区域(次項及び次条第三項において「特定樹林帯区域」という。)内の土地においてされるものであるときは、この限りでない。
5 河川管理者は、特定樹林帯区域を指定するときは、建設省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
第二十七条中第五項を第六項とし、第四項を第五項とし、第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。
3 樹林帯区域内の土地においては、第一項の規定にかかわらず、次の各号(特定樹林帯区域内の土地にあつては、第二号及び第三号)に掲げる行為については、同項の許可を要しない。
一 工作物の新築若しくは改築のためにする土地の掘削又は工作物の除却のためにする土地の掘削で当該掘削した土地を直ちに埋め戻すもの
二 竹木の栽植
三 通常の管理行為で政令で定めるもの
第五十三条第一項中「となつた」を「となり、又は困難となるおそれがある」に改め、「者」の下に「(以下この款において「水利使用者」という。)」を加え、「行なう」を「行う」に改め、同項に後段として次のように加える。
この場合において、河川管理者は、当該協議が円滑に行われるようにするため、水利使用の調整に関して必要な情報の提供に努めなければならない。
第五十三条第二項中「行なう」を「行う」に、「当事者」を「水利使用者」に改め、同条第三項中「当事者」を「水利使用者」に、「行なわなければ」を「行わなければ」に、「行なう」を「行う」に改める。
第五十三条の次に次の一条を加える。
(渇水時における水利使用の特例)
第五十三条の二 水利使用者は、河川管理者の承認を受けて、異常な渇水により許可に係る水利使用が困難となつた他の水利使用者に対して、当該異常な渇水が解消するまでの間に限り、自己が受けた第二十三条及び第二十四条の許可に基づく水利使用の全部又は一部を行わせることができる。
2 前項の承認に係る水利使用を行わないこととなつた場合においては、当該承認を受けた者は、遅滞なく、河川管理者にその旨を届け出なければならない。
3 河川管理者は、前項の規定による届出があつた場合又は第一項に規定する他の水利使用者の許可に係る水利使用が困難でなくなつた場合においては、同項の承認を取り消さなければならない。
第五十四条第一項中「河川管理施設」の下に「(樹林帯を除く。第三項において同じ。)」を加え、同条第三項中「河川区域」の下に「(樹林帯区域を除く。)」を加える。
第六十二条及び第六十五条の二第一項中「第十六条の二第一項」を「第十六条の三第一項」に改める。
第六十七条中「河川工事」の下に「又は河川の維持」を加える。
第七十一条中「及び前条第一項」を「、前条第一項及び第七十五条第九項」に改める。
第七十二条中「又は第七十条の二第一項」を「、第七十条の二第一項又は第七十五条第九項」に、「統轄する」を「統括する」に改める。
第七十五条第一項中「附し」を「付し」に改め、「除却」の下に「(第二十四条の規定に違反する係留施設に係留されている船舶の除却を含む。)」を加え、同項第一号中「工作物等を譲り受けた」を「工作物(除却を命じた船舶を含む。以下この条において同じ。)若しくは土地を譲り受けた」に、「工作物等を使用する」を「工作物若しくは土地を使用する」に改め、同項第二号中「附した」を「付した」に改め、同条第三項中「、その者の負担において」を削り、同条に次の七項を加える。
4 河川管理者は、前項の規定により工作物を除却し、又は除却させたときは、当該工作物を保管しなければならない。
5 河川管理者は、前項の規定により工作物を保管したときは、当該工作物の所有者、占有者その他当該工作物について権原を有する者(以下この条において「所有者等」という。)に対し当該工作物を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。
6 河川管理者は、第四項の規定により保管した工作物が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又は前項の規定による公示の日から起算して三月を経過してもなお当該工作物を返還することができない場合において、政令で定めるところにより評価した当該工作物の価額に比し、その保管に不相当な費用若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該工作物を売却し、その売却した代金を保管することができる。
7 河川管理者は、前項の規定による工作物の売却につき買受人がない場合において、同項に規定する価額が著しく低いときは、当該工作物を廃棄することができる。
8 第六項の規定により売却した代金は、売却に要した費用に充てることができる。
9 第三項から第六項までに規定する工作物の除却、保管、売却、公示その他の措置に要した費用は、当該工作物の返還を受けるべき所有者等その他第三項に規定する当該措置を命ずべき者の負担とする。
10 第五項の規定による公示の日から起算して六月を経過してもなお第四項の規定により保管した工作物(第六項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該工作物の所有権は、建設大臣が保管する工作物にあつては国、都道府県知事が保管する工作物にあつては当該都道府県知事が統括する都道府県に帰属する。
第七十九条第二項第一号中「工事実施基本計画」を「河川整備基本方針又は河川整備計画」に改め、「定め」の下に「、又は変更し」を加え、同項第三号中「第十六条の二第一項」を「第十六条の三第一項」に改める。
第九十五条中「第四十七条第一項」の下に「、第五十三条の二第一項」を加える。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(河川整備基本方針及び河川整備計画に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の日以後この法律による改正後の河川法(以下「新法」という。)第十六条第一項の規定に基づき当該河川について河川整備基本方針が定められるまでの間においては、この法律の施行の際現にこの法律による改正前の河川法(以下「旧法」という。)第十六条第一項の規定に基づき当該河川について定められている工事実施基本計画の一部を、政令で定めるところにより、新法第十六条第一項の規定に基づき当該河川について定められた河川整備基本方針とみなす。
2 この法律の施行の日以後新法第十六条の二第一項の規定に基づき当該河川の区間について河川整備計画が定められるまでの間においては、この法律の施行の際現に旧法第十六条第一項の規定に基づき当該河川について定められている工事実施基本計画の一部を、政令で定めるところにより、新法第十六条の二第一項の規定に基づき当該河川の区間について定められた河川整備計画とみなす。
(不動産登記法の一部改正)
第三条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)の一部を次のように改正する。
第九十条第一項後段中「高規格堤防特別区域内」の下に「、同条第三項ノ樹林帯区域内、同法第二十六条第四項ノ特定樹林帯区域内」を加え、同条第二項及び第三項中「高規格堤防特別区域内」の下に「、樹林帯区域内、特定樹林帯区域内」を加える。
(地方税法の一部改正)
第四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
附則第十一条第十五項中「同条第三項」を「同条第四項」に改める。
(水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律の一部改正)
第五条 水道原水水質保全事業の実施の促進に関する法律(平成六年法律第八号)の一部を次のように改正する。
第七条第七項中「第十六条第一項」を「第十六条の二第一項」に、「工事実施基本計画」を「河川整備計画」に改める。
(法務・建設・自治・内閣総理大臣署名)