著作権法の一部を改正する法律
法律第八十六号(平九・六・一八)
著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第七号の次に次の一号を加える。
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
第二条第一項第八号を次のように改める。
八 放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。
第二条第一項第九号の二中「有線送信」を「公衆送信」に、「もの」を「有線電気通信の送信」に改め、同項第九号の三の次に次の二号を加える。
九の四 自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。
九の五 送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。
イ 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。
ロ その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。
第二条第一項中第十七号を削り、第十八号を第十七号とし、第十九号から第二十一号までを一号ずつ繰り上げ、同条第七項中「放送、有線送信」を「公衆送信」に、「放送又は有線送信」を「公衆送信」に改め、同条第九項中「第一項第八号」を「第一項第七号の二、第八号」に改め、「第九号の二」の下に「、第九号の四、第九号の五」を加え、「第二十号」を「第十九号」に改める。
第四条第一項中「放送、有線送信」を「公衆送信」に改め、同条第四項を削り、同条第三項中「行なわれた」を「行われた」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「第二十八条」を「、第二十八条」に、「又は」を「若しくは」に、「放送、有線送信」を「公衆送信」に、「提示」を「提示され、又は第二十八条の規定により第二十三条第一項に規定する権利と同一の権利を有する者若しくはその許諾を得た者によつて送信可能化」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 著作物は、第二十三条第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者によつて送信可能化された場合には、公表されたものとみなす。
第四条第五項中「、第二項若しくは前項」を「から第三項まで」に改める。
第二十三条の見出しを「(公衆送信権等)」に改め、同条第一項中「を放送し、又は有線送信する」を「について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う」に改め、同条第二項中「放送され、又は有線送信」を「公衆送信」に改める。
第六十三条に次の一項を加える。
5 著作物の送信可能化について第一項の許諾を得た者が、その許諾に係る利用方法及び条件(送信可能化の回数又は送信可能化に用いる自動公衆送信装置に係るものを除く。)の範囲内において反復して又は他の自動公衆送信装置を用いて行う当該著作物の送信可能化については、第二十三条第一項の規定は、適用しない。
第八十九条第一項中「第九十二条第一項」の下に「、第九十二条の二第一項」を加え、同条第二項中「第九十六条」の下に「、第九十六条の二」を加える。
第九十二条の見出し中「有線送信権」を「有線放送権」に改め、同条中「有線送信」を「有線放送」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(送信可能化権)
第九十二条の二 実演家は、その実演を送信可能化する権利を専有する。
2 前項の規定は、次に掲げる実演については、適用しない。
一 第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録画されている実演
二 第九十一条第二項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの
第九十三条第一項中「前条第一項」を「第九十二条第一項」に改める。
第九十六条の次に次の一条を加える。
(送信可能化権)
第九十六条の二 レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有する。
第百三条に後段として次のように加える。
この場合において、第六十三条第五項中「第二十三条第一項」とあるのは、「第九十二条の二第一項又は第九十六条の二」と読み替えるものとする。
附則第十四条中「放送又は有線送信」を「公衆送信」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、平成十年一月一日から施行する。
(自動公衆送信される状態に置かれている著作物等についての経過措置)
2 改正後の著作権法(以下「新法」という。)第二十三条第一項、第九十二条の二第一項又は第九十六条の二の規定は、この法律の施行の際現に自動公衆送信される状態に置かれている著作物、実演(改正前の著作権法(以下「旧法」という。)第九十二条第二項第二号に掲げるものに限る。以下この項において同じ。)又はレコードを、当該自動公衆送信に係る送信可能化を行った者(当該送信可能化を行った者とこの法律の施行の際現に当該著作物、実演又はレコードを当該送信可能化に係る新法第二条第一項第九号の五の自動公衆送信装置を用いて自動公衆送信される状態に置いている者が異なる場合には、当該自動公衆送信される状態に置いている者)が当該自動公衆送信装置を用いて送信可能化する場合には、適用しない。
3 この法律の施行の際現に自動公衆送信される状態に置かれている実演(旧法第九十二条第二項第二号に掲げるものを除く。)については、同条第一項の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。
(罰則についての経過措置)
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(文部・内閣総理大臣署名)