市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律
法律第五十号(平七・三・二九)
市町村の合併の特例に関する法律(昭和四十年法律第六号)の一部を次のように改正する。
第一条中「市町村の合併の円滑化を図り」を「自主的な市町村の合併を推進し」に改める。
第十四条第二項中「すみやかな」を「速やかな」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項を同条第三項とし、同項の前に次の二項を加え、同条を第十六条とする。
国及び都道府県は、市町村に対し、自主的な市町村の合併を推進するため、必要な助言、情報の提供その他の措置を講ずるものとする。
2 都道府県は、市町村の合併をしようとする市町村の求めに応じ、市町村相互間における必要な調整を行うものとする。
第十三条中「合併市町村が前条第一項の」を「合併市町村又は合併市町村を包括する都道府県が」に改め、「当該合併市町村」の下に「又は当該合併市町村を包括する都道府県」を加え、「適切な」を「特別の」に改め、同条を第十五条とする。
第十一条及び第十二条を削り、第十条を第十四条とする。
第九条中「行なわれた」を「行われた」に、「行なわれなかつた」を「行われなかつた」に改め、同条を第十三条とし、同条の前に次の二条を加える。
(地方交付税の額の算定の特例)
第十一条 国が地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところにより毎年度交付する地方交付税の額を算定する場合においては、合併市町村については、同法第十三条に定めるもののほか、市町村の合併に伴い臨時に増加する行政に要する経費の需要を基礎として、自治省令で定めるところにより、同法に定める基準財政需要額の測定単位の数値を補正するものとする。
2 合併市町村に交付すべき地方交付税の額は、当該市町村の合併が行われた日の属する年度及びこれに続く五年度については、地方交付税法及びこれに基づく自治省令並びに前項に定めるところにより、合併関係市町村が当該年度の四月一日においてなお当該市町村の合併の前の区域をもつて存続した場合に算定される額の合算額を下らないように算定した額とし、その後五年度については、当該合算額に自治省令で定める率を乗じた額を下らないように算定した額とする。
(過疎地域活性化のための地方債の特例)
第十二条 合併市町村(過疎地域活性化特別措置法(平成二年法律第十五号)第二条第一項に規定する過疎地域をその区域とする市町村(以下この条において「過疎地域の市町村)という。)を除く。)のうち合併関係市町村に過疎地域の市町村が含まれるもので政令で定めるものについては、当該市町村の合併が行われた日から平成十二年三月三十一日までの間に限り、同法第十二条の規定を準用する。この場合において必要な事項は、政令で定める。
第八条を削る。
第七条中「行なわれた」を「行われた」に改め、同条を第十条とし、第六条を第九条とする。
第五条第一項中「あらたに」を「新たに」に、「こえず」を「超えず」に、「こえない」を「超えない」に、「こえる」を「超える」に改め、同条第四項中「第三条第五項」を「第六条第八項」に改め、同条を第八条とする。
第四条第一項中「こえる」を「超える」に改め、同項に次のただし書を加える。
ただし、第三項において準用する前条第五項の規定により編入合併特例定数をもつてその議会の議員の定数とする場合において議員がすべてなくなつたときは、この限りでない。
第四条第一項第一号中「あらたに」を「新たに」に、「一年をこえない」を「二年を超えない」に改め、同条第三項中「前条第五項」を「前条第八項」に改め、「第一項」の下に「又は前項において準用する同条第五項」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加え、同条を第七条とする。
3 前条第五項から第七項までの規定は、市町村の合併に際し、その区域の全部又は一部が編入されることとなる合併関係市町村の議会の議員で当該合併市町村の議会の議員の被選挙権を有することとなるものが、第一項の規定により引き続き合併市町村の議会の議員として存在することとした場合について準用する。
第三条第一項中「(昭和二十二年法律第六十七号)」を削り、同条第二項中「地方自治法第二百五十四条」を「同法第二百五十四条」に改め、「加えた数」の下に「(以下「編入合併特例定数」という。)」を、「議員がすべてなくなつたときは」の下に「、第五項の規定により編入合併特例定数をもつてその議会の議員の定数とする場合を除き」を加え、「同条」を「同法第九十一条」に改め、同条第五項中「又は第二項」を「、第二項又は第五項」に改め、同項を同条第八項とし、同条第四項中「行なう」を「行う」に改め、「適用については」の下に「、同法第十八条第一項中「第十五条第六項((市町村の議会の議員の選挙区))」とあるのは「第十五条第六項((市町村の議会の議員の選挙区))若しくは市町村の合併の特例に関する法律第六条第三項((編入合併の際の議会の議員の選挙区))」と」を加え、「第三条第二項」を「第六条第二項」に改め、同項の次に次の三項を加え、同条を第六条とする。
5 他の市町村の区域の全部又は一部を編入した合併市町村が、第二項の規定により編入合併特例定数をもつてその議会の議員の定数とする場合においては、地方自治法第九十一条の規定にかかわらず、合併関係市町村の協議により、市町村の合併後最初に行われる一般選挙により選出される議会の議員の任期に相当する期間についても、編入合併特例定数をもつてその議会の議員の定数とすることができる。ただし、その任期の満了すべき日前に議員がすべてなくなつたときは、その定数は、同条の規定による定数に復帰するものとする。
6 第三項の規定は、前項の場合について準用する。
7 第五項の規定により定数が増加する場合において行う選挙に対する公職選挙法の規定の適用については、同法第十八条第一項中「第十五条第六項((市町村の議会の議員の選挙区))」とあるのは、「第十五条第六項((市町村の議会の議員の選挙区))若しくは市町村の合併の特例に関する法律第六条第六項において準用する同条第三項((編入合併の際の議会の議員の選挙区))」とする。
第二条の次に次の三条を加える。
(合併協議会の設置)
第三条 市町村の合併をしようとする市町村は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の二第一項の規定により、合併市町村の建設に関する基本的な計画(以下「市町村建設計画」という。)の作成その他市町村の合併に関する協議を行う協議会(以下「合併協議会」という。)を置くものとする。
2 合併協議会の会長及び委員は、地方自治法第二百五十二条の三第二項の規定にかかわらず、規約の定めるところにより、関係市町村の議会の議員並びに長及びその他の職員をもつて充てる。
3 合併協議会には、前項に定めるもののほか、地方自治法第二百五十二条の三第二項の規定にかかわらず、規約の定めるところにより、学識経験を有する者を委員として加えることができる。
(合併協議会設置の請求)
第四条 市町村の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、市町村の長に対し、当該市町村が行うべき市町村の合併の相手方となる市町村(以下この条において「合併対象市町村」という。)の名称を示し、合併協議会を置くよう請求することができる。
2 前項の規定による請求があつたときは、当該請求があつた市町村(以下この条において「合併請求市町村」という。)の長は、直ちに、請求の要旨を公表するとともに、合併対象市町村の長に対し、これを通知し、当該請求に基づく合併協議会に係る地方自治法第二百五十二条の二第一項の協議(以下この条において「合併協議会設置協議」という。)について議会に付議するか否かの意見を求めなければならない。この場合において、合併請求市町村の長は、当該意見を求めた旨を合併請求市町村を包括する都道府県の知事に報告しなければならない。
3 合併対象市町村の長は、前項の意見を求められた日から九十日以内に、合併請求市町村の長に対し、合併協議会設置協議について議会に付議するか否かを回答しなければならない。
4 合併請求市町村の長は、すべての合併対象市町村の長から前項の規定による回答を受理したときは、直ちに、その結果を合併対象市町村の長及び第一項の代表者に通知するとともに、これを公表し、かつ、合併請求市町村を包括する都道府県の知事に報告しなければならない。
5 前項のすべての回答が合併協議会設置協議について議会に付議する旨のものであつた場合には、合併請求市町村の長にあつては同項の規定による合併対象市町村の長への通知を発した日から六十日以内に、合併対象市町村の長にあつては同項の規定による通知を受けた日から六十日以内に、それぞれ議会を招集し、合併協議会設置協議について議会に付議しなければならない。この場合において、合併請求市町村の長は、その意見を付けなければならない。
6 合併対象市町村の長は、前項の規定による議会の審議の結果を合併請求市町村の長に速やかに通知しなければならない。
7 合併請求市町村の長は、合併請求市町村における第五項の規定による議会の審議の結果及び前項の規定により通知を受けた合併対象市町村における議会の審議の結果を、合併対象市町村の長及び第一項の代表者に通知するとともに、これを公表し、かつ、合併請求市町村を包括する都道府県の知事に報告しなければならない。
8 合併請求市町村及びすべての合併対象市町村において、合併協議会設置協議について議会の議決を経た場合には、合併請求市町村及びすべての合併対象市町村は、合併協議会設置協議により規約を定め、合併協議会を置くものとする。
9 前項の規定により合併協議会が置かれた場合には、合併請求市町村の長は、その旨及び当該合併協議会の規約を第一項の代表者に通知しなければならない。
10 合併請求市町村を包括する都道府県と合併対象市町村を包括する都道府県が異なる場合には、合併請求市町村を包括する都道府県の知事は、第二項、第四項及び第七項の規定による報告を受けたときは、その内容を合併対象市町村を包括する都道府県の知事に通知しなければならない。
11 地方自治法第七十四条第四項の規定は第一項の選挙権を有する者及びその総数の五十分の一の数について、同条第五項から第七項まで、第七十四条の二第一項から第六項まで、第八項及び第十項から第十三項まで、第七十四条の三並びに第七十四条の四の規定は第一項の規定による請求者の署名について準用する。この場合において、同法第七十四条の二第十項中「審査の申立てに対する裁決又は判決」とあるのは「判決」と、「当該都道府県の選挙管理委員会又は当該裁判所」とあるのは「当該裁判所」と、「裁決書又は判決書」とあるのは「判決書」と、同条第十一項中「争訟については、審査の申立てに対する裁決は審査の申立てを受理した日から二十日以内にこれをするものとし、訴訟の判決は」とあるのは「訴訟の判決は、」と、同条第十二項中「第八項及び第九項」とあるのは「第八項」と、「当該決定又は裁決」とあるのは「当該決定」と、「地方裁判所又は高等裁判所」とあるのは「地方裁判所」と、同条第十三項中「第八項及び第九項」とあるのは「第八項」と読み替えるものとする。
(市町村建設計画の作成)
第五条 市町村建設計画は、おおむね次に掲げる事項について、政令で定めるところにより、作成するものとする。
一 合併市町村の建設の基本方針
二 合併市町村又は合併市町村を包括する都道府県が実施する合併市町村の建設の根幹となるべき事業に関する事項
三 公共的施設の統合整備に関する事項
四 合併市町村の財政計画
2 市町村建設計画は、合併市町村の建設を総合的かつ効果的に推進することを目的とし、合併市町村の一体性の速やかな確立及び住民の福祉の向上等を図るとともに、合併市町村の均衡ある発展に資するよう適切に配慮されたものでなければならない。
3 合併協議会は、市町村建設計画を作成し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、合併関係市町村を包括する都道府県の知事に協議しなければならない。
附則第二条中「昭和七十年三月三十一日」を「平成十七年三月三十一日」に改め、同条に次の一項を加える。
2 この法律の失効前にした行為に対する罰則の適用については、この法律は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、平成七年四月一日から施行する。ただし、附則第二条の改正規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この法律による改正後の第一条、第三条から第七条まで、第十二条、第十五条及び第十六条の規定は、平成七年四月一日以後に行われる市町村の合併について適用し、同日前に行われた市町村の合併については、なお従前の例による。
3 この法律による改正後の第十一条第一項の規定は、平成七年四月一日以後に行われた市町村の合併について平成七年度分の地方交付税から適用する。
4 この法律による改正後の第十一条第二項の規定は、平成二年四月一日以後に行われた市町村の合併について平成七年度分の地方交付税から適用する。この場合において、同日から平成七年三月三十一日までの間に行われた市町村の合併に係る同項の規定の適用については、「地方交付税法及びこれに基づく自治省令並びに前項に」とあるのは、「地方交付税法及びこれに基づく自治省令で」とする。
5 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の市町村の合併の特例に関する法律第十二条の規定により置かれている合併協議会は、この法律による改正後の市町村の合併の特例に関する法律第三条の規定により置かれた合併協議会とみなす。
(地方交付税法の一部改正)
6 地方交付税法の一部を次のように改正する。
附則第五条第二項の表の第二号中「附則第十二項」の下に「又は市町村の合併の特例に関する法律(昭和四十年法律第六号)第十二条」を加える。
7 前項の規定による改正後の地方交付税法附則第五条第二項の規定は、平成七年度分の地方交付税から適用する。
(自治・内閣総理大臣署名)