議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の一部を改正する法律

法律第八十九号(昭六三・一一・二六)

 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)の一部を次のように改正する。

 第一条中「出頭」の下に「及び証言」を加え、同条の次に次の四条を加える。

第一条の二 各議院は、疾病その他の理由により証人として議院に出頭することが困難な場合であつて、議案その他の審査又は国政に関する調査のため証言を求めることが特に必要なときに限り、証人として議院外の指定する場所に出頭すべき旨の要求をし、又は証人としてその現在場所において証言すべき旨の要求をすることができる。

  前項の場合には、各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会の決定に基づき、その指名する二人以上の議員又は委員(以下「派遣議員等」という。)を派遣し、証人に証言を求めるものとする。

第一条の三 各議院は、証人として出頭すべき旨の要求をするときは、出頭すべき日(証人としてその現在場所において証言すべき旨の要求をするときは、証言すべき日)の五日(外国にある者については、十日)前までに、証人に対してその旨を通知するものとする。ただし、特別の事情がある場合において証人の同意があるときは、この限りでない。

  各議院は、前項の通知をする場合には、具体的に記載された証言を求める事項及び正当の理由がなくて出頭しないときは刑罰に処せられる旨(証人としてその現在場所において証言すべき旨の要求をする場合には、正当の理由がなくてその要求を拒んだときは刑罰に処せられる旨)を併せて通知するものとする。

  各議院は、証人として書類の提出を求めるときは、次に掲げる事項を通知するものとする。

 一 第四条第一項に規定する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、書類の提出を拒むことができること。

 二 第四条第二項本文に規定する者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、書類の提出を拒むことができること。

 三 正当の理由がなくて書類を提出しないときは刑罰に処せられること。

第一条の四 証人は、各議院の議長若しくは委員長又は両議院の合同審査会の会長の許可を得て、補佐人を選任することができる。

  補佐人は、弁護士のうちから選任するようにするものとする。

  補佐人は、証人の求めに応じ、宣誓及び証言の拒絶に関する事項に関し、助言することができる。

第一条の五 証人には、宣誓前に、次に掲げる事項を告げなければならない。

 一 第四条第一項に規定する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓又は証言を拒むことができること。

 二 第四条第二項本文に規定する者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、宣誓又は証言を拒むことができること。

 三 正当の理由がなくて宣誓又は証言を拒んだときは刑罰に処せられること。

 四 虚偽の陳述をしたときは刑罰に処せられること。

 第二条中「各議院の議長若しくは委員長又は両議院の合同審査会の会長が出頭した証人に証言を求めるとき」を「各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会が証人に証言を求めるとき(派遣議員等を派遣して証言を求めるときを含む。)」に改める。

 第四条を次のように改める。

第四条 証人は、自己又は次に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。

 一 自己の配偶者、三親等内の血族若しくは二親等内の姻族又は自己とこれらの親族関係があつた者

 二 自己の後見人、後見監督人又は保佐人

 三 自己を後見人、後見監督人又は保佐人とする者

  医師、歯科医師、助産婦、看護婦、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職にある者又はこれらの職にあつた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。ただし、本人が承諾した場合は、この限りでない。

  証人は、宣誓、証言又は書類の提出を拒むときは、その事由を示さなければならない。

 第五条第一項中「出頭した証人が公務員」を「証人が公務員(国務大臣、内閣官房副長官及び政務次官以外の国会議員を除く。以下同じ。)」に改め、「(国務大臣以外の国会議員を除く。)」を削り、同条の次に次の三条を加える。

第五条の二 各議院の議長若しくは委員長又は両議院の合同審査会の会長は、議員又は委員の証人に対する尋問が、証言を求める事項と無関係な尋問、威嚇的又は侮辱的な尋問その他適切でない尋問と認めるときは、これを制限することができる。

第五条の三 委員会又は両議院の合同審査会における証人に対する尋間中の撮影については、これを許可しない。

第五条の四 国は、証人として出頭し、証言し、若しくは書類を提出し、又は証人として出頭しようとし、証言しようとし、若しくは書類を提出しようとしたことにより、当該証人又はその配偶者(婚姻の届出をしないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、直系血族若しくは同居の親族が、他人からその身体又は生命に害を加えられた場合における被害者その他の者に対し、証人等の被害についての給付に関する法律(昭和三十三年法律第百九号)の規定の例により、給付を行う。この場合において、同法第六条中「政令で定める」とあるのは「両議院の議長が協議して定めるところによる」と、同法第九条第一項中「法務大臣」とあるのは「各議院の議長」とする。

 第七条第一項中「出頭せず」の下に「、現在場所において証言すべきことの要求を拒み」を加え、「又は出頭した証人」を「、又は証人」に、「拒むだ」を「拒んだ」に、「一万円」を「十万円」に改める。

 第八条に次の一項を加える。

  委員会又は両議院の合同審査会が前項の規定により告発するには、出席委員の三分の二以上の多数による議決を要する。

 第八条の次に次の一条を加える。

第九条 証人又はその親族に対し、当該証人の出頭、証言又は書類の提出に関し、正当の理由がなくて、面会を強要し、又は威迫する言動をした者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律による改正後の議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に出頭及び証言又は書類の提出を求められた証人に係る議案その他の審査又は国政に関する調査について適用し、施行日前に出頭又は書類の提出を求められた証人に係る議案その他の審査又は国政に関する調査については、なお従前の例による。

3 施行日前にした行為及び前項の規定により従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (国会法の一部改正)

4 国会法(昭和二十二年法律第七十九号)の一部を次のように改正する。

  第百六条中「参考人の出頭を求めた」を「参考人が出頭し、又は陳述した」に改める。

 (議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部改正)

5 議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律(昭和二十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「その院の要求により証人として出頭した」を「証人として出頭し、又は陳述した」に改める。

  第四条第二項中「各議院に出頭し」を「出頭し、若しくは陳述し」に改める。

  第六条を次のように改める。

 第六条 公聴会に出頭した利害関係者又は学識経験者等、委員会、参議院の調査会又は政治倫理審査会に出頭した参考人及び証人の補佐人には、前五条の規定の例により旅費及び日当を支給する。

(内閣総理大臣署名) 

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