地域雇用開発等促進法

法律第二十三号(昭六二・三・三一)

目次

 第一章 総則(第一条―第五条)

 第二章 地域雇用開発指針及び地域雇用開発計画(第六条・第七条)

 第三章 雇用開発促進地域に係る地域雇用開発のための措置(第八条―第十一条)

 第四章 特定雇用開発促進地域に係る地域雇用開発及び失業の予防、再就職の促進等のための措置(第十二条―第二十一条)

 第五章 緊急雇用安定地域に係る失業の予防、再就職の促進等のための措置(第二十二条―第二十四条)

 第六章 雑則(第二十五条―第二十八条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、雇用開発促進地域、特定雇用開発促進地域及び緊急雇用安定地域内に居住する労働者等に関し、地域雇用開発のための措置又は失業の予防、再就職の促進等のための特別の措置を講じ、もつてこれらの者の職業及び生活の安定に資することを目的とする。

 (定義等)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 地域雇用開発 求職者数に比し雇用機会が不足している地域についてこの法律に定める措置を講ずることにより、地域的な雇用構造の改善を図ることをいう。

 二 雇用開発促進地域 求職者が多数居住し、かつ、求職者数に比し相当程度に雇用機会が不足している地域であつて、当該地域内に居住する求職者等に関し第三章に定める地域雇用開発のための措置を講ずる必要があるものとして政令で指定する地域をいう。

 三 特定雇用開発促進地域 雇用開発促進地域のうち、その地域内に所在する相当数の事業所に関し産業構造又は国際経済環境の変化その他の経済上の理由(漁業をめぐる国際環境の変化を含む。)により事業規模若しくは事業活動の縮小又は事業の転換若しくは廃止(以下「事業規模の縮小等」という。)を余儀なくされ、これに伴い雇用に関する状況が著しく悪化しており、又は悪化するおそれがあると認められる地域であつて、当該地域内に居住する離職者、当該地域内に所在する事業所に雇用されている労働者等に関し、第三章に定めるもののほか、第四章に定める地域雇用開発のための特別の措置及び失業の予防、再就職の促進等のための措置を講ずる必要があるものとして政令で指定する地域をいう。

 四 緊急雇用安定地域 その地域内に所在する相当数の事業所に関し需要構造、国際経済環境その他の経済的事情の著しい変化(漁業をめぐる国際環境の急激な変化を含む。)により事業規模の縮小等を余儀なくされ、これに伴い雇用に関する状況が急速に悪化しており、又は悪化するおそれがあると認められる地域(特定雇用開発促進地域に該当する地域を除く。)であつて、緊急に、当該地域内に所在する事業所に雇用されている労働者等に関し、第五章に定める失業の予防、再就職の促進等のための措置を講ずる必要があるものとして政令で指定する地域をいう。

 五 雇用開発促進地域事業主 雇用開発促進地域内に所在する事業所の事業主をいう。

 六 特定雇用開発促進地域事業主 特定雇用開発促進地域内に所在する事業所の事業主をいう。

 七 緊急雇用安定地域事業主 緊急雇用安定地域内に所在する事業所の事業主をいう。

 八 雇用開発促進地域求職者 雇用開発促進地域内に居住する求職者をいう。

 九 特定雇用開発促進地域離職者 次に掲げる離職者(自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した者を除く。)であつて、現に失業しており、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるもの(労働省令で定める者を除く。)をいう。

  イ 特定雇用開発促進地域内に居住する離職者

  ロ イに掲げる離職者以外の離職者で、特定雇用開発促進地域内に所在する事業所に雇用されていたもの

 十 緊急雇用安定地域離職者 緊急雇用安定地域内に所在する事業所に雇用されていた離職者(自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した者を除く。)であつて、現に失業しており、又はその職業が著しく不安定であるため失業と同様の状態にあると認められるもの(労働省令で定める者を除く。)をいう。

2 前項第二号又は第四号の規定による指定は、第三章又は第五章に定める措置を講ずべき期間を付してするものとする。

3 第一項第二号又は第四号の規定による指定をした場合において、前項の規定により付した期間を延長する必要があると認められるときは、当該期間は、延長することができるものとする。

4 第一項第三号の規定による指定をしている場合における当該指定に係る特定雇用開発促進地域について第四章に定める措置を講ずべき期間は、当該特定雇用開発促進地域をその地域の全部又は一部とする雇用開発促進地域について第二項の規定により付される期間(前項の規定により当該指定以後にその期間が延長されたときは、当該延長された期間)の満了する日までの期間とする。

5 緊急雇用安定地域に該当する地域について第一項第三号の規定による指定をしたときは、当該地域に係る同項第四号の規定による指定は、その効力を失うものとする。

6 労働大臣は、第一項第二号から第四号までの政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、当該地域を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。

7 労働大臣は、第一項第三号又は第四号の政令の制定又は改正の立案に当たつては、第四章又は第五章に定める措置と別に講ぜられる産業構造の転換又は中小企業者の新たな経済的環境への適応を円滑にするための措置との総合的かつ効果的な実施に資するように配慮するものとする。

 (関係者の責務)

第三条 国は、雇用開発促進地域における求職者の発生の状況、特定雇用開発促進地域及び緊急雇用安定地域内に所在する事業所に関し行われる事業規模の縮小等の雇用に及ぼす影響その他これらの地域における雇用の動向に的確に対処するため、これらの地域内に居住する求職者、これらの地域内に所在する事業所に雇用されている労働者等について、地域雇用開発の促進に必要な施策及び失業の予防、再就職の促進等を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない。

第四条 地方公共団体は、前条の国の施策と相まつて、雇用開発促進地域における地域雇用開発の促進に必要な施策並びに特定雇用開発促進地域離職者及び緊急雇用安定地域離職者の再就職の促進に必要な施策を推進するように努めなければならない。

第五条 特定雇用開発促進地域事業主又は緊急雇用安定地域事業主は、特定雇用開発促進地域又は緊急雇用安定地域内に所在する事業所に関し事業規模の縮小等を行おうとするときは、その雇用する労働者について、失業の予防その他の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

2 特定雇用開発促進地域事業主及び当該特定雇用開発促進地域に係る事業主団体又は緊急雇用安定地域事業主及び当該緊急雇用安定地域に係る事業主団体は、当該特定雇用開発促進地域事業主又は当該緊急雇用安定地域事業主の雇用する労働者の雇用の安定に関し、相互に協力するように努めなければならない。

   第二章 地域雇用開発指針及び地域雇用開発計画

 (地域雇用開発指針)

第六条 労働大臣は、雇用開発促進地域における地域雇用開発の促進に関する指針(以下「地域雇用開発指針」という。)を策定するものとする。

2 地域雇用開発指針においては、国の雇用開発促進地域における地域雇用開発の促進に関する基本方針その他次条第一項の地域雇用開発計画の指針となるべき事項について定めるものとする。

3 労働大臣は、地域雇用開発指針を策定しようとするときは、関係行政機関の長と協議するものとする。

4 労働大臣は、地域雇用開発指針を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前二項の規定は、地域雇用開発指針の変更について準用する。

 (地域雇用開発計画)

第七条 都道府県は、その区域内の雇用開発促進地域ごとに、地域雇用開発の促進に関する計画(以下「地域雇用開発計画」という。)を策定することができる。

2 地域雇用開発計画においては、当該雇用開発促進地域について次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 労働力の需給状況その他雇用の動向に関する事項

 二 地域雇用開発の目標に関する事項

 三 地域雇用開発を促進するための方策に関する事項

3 地域雇用開発計画は、職種、技能の程度その他当該雇用開発促進地域における労働力の質的側面を十分考慮するほか、地域雇用開発指針に即するものでなければならない。

4 都道府県知事は、地域雇用開発計画の案を作成するに当たつては、あらかじめ、当該雇用開発促進地域内の地域を管轄する市町村長の意見を聴くものとする。

5 都道府県は、地域雇用開発計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

6 前二項の規定は、地域雇用開発計画の変更について準用する。

   第三章 雇用開発促進地域に係る地域雇用開発のための措置

 (地域雇用開発のための助成及び援助)

第八条 政府は、地域雇用開発計画で定める当該雇用開発促進地域における地域雇用開発を促進するため、当該雇用開発促進地域内において事業所を設置し、又は整備して雇用開発促進地域求職者を雇い入れる事業主に対して、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十二条の雇用改善事業として、必要な助成及び援助を行うものとする。

2 前項の助成及び援助を行うに当たつては、雇用開発促進地域内に事業所を有する法人で、労働省令で定める基準に照らして当該事業所の行う事業が当該雇用開発促進地域の地域雇用開発に特に資すると認められるものについて、特別の措置を講ずるものとする。

 (雇用促進事業団の行う施設の設置に関する特別の配慮)

第九条 雇用促進事業団は、雇用開発促進地域内に所在する事業所に雇用されている労働者に関し、効果的な職業訓練の実施の促進及び職業生活上の環境の整備改善を図ることによつて、地域雇用開発計画で定める当該雇用開発促進地域における地域雇用開発に資するため、雇用促進事業団法(昭和三十六年法律第百十六号)第十九条第一項第一号の事業主その他のものの行う職業訓練の援助を実施するための施設で労働大臣が定めるもの及び同項第五号の福祉施設を設置するに当たつては、当該雇用開発促進地域について、特別の配慮をするものとする。

 (職業訓練の実施)

第十条 国及び雇用促進事業団は、雇用開発促進地域求職者に対して迅速かつ効果的な職業訓練を実施するため、訓練時期、訓練期間、職業訓練に係る職種、委託訓練等について特別の措置を講ずるものとする。

2 国は、都道府県が前項の措置に相当する措置を講ずることを奨励するため、当該措置を講ずる都道府県に対して、必要な助成及び援助を行うように努めるものとする。

 (職業紹介等の実施)

第十一条 公共職業安定所は、雇用開発促進地域求職者その他これに準ずる求職者の速やかな就職を容易にするため、雇用情報の提供、求人の開拓、職業指導及び就職のあつせんを行う等必要な措置を講ずるものとする。

   第四章 特定雇用開発促進地域に係る地域雇用開発及び失業の予防、再就職の促進等のための措置

 (地域雇用開発のための助成及び援助に関する特例)

第十二条 政府は、特定雇用開発促進地域に係る地域雇用開発計画で定める地域雇用開発を促進するため、当該特定雇用開発促進地域に係る第八条第一項の助成及び援助に関しては、当該特定雇用開発促進地域内において事業所を設置し、又は整備して特定雇用開発促進地域離職者を雇い入れる事業主について、特別の措置を講ずるものとする。

 (雇用促進事業団の行う職業訓練施設に係る資金の貸付け)

第十三条 雇用促進事業団は、特定雇用開発促進地域内に所在する事業所に雇い入れられた労働者その他当該事業所に雇用されている労働者に対する職業訓練を実施するための職業訓練施設を設置し、又は整備する事業主に対して、雇用促進事業団法第十九条第三項に規定する業務として、必要な資金の貸付けを行うものとする。この場合において、その貸付けの条件については、特別の配慮をするものとする。

 (失業の予防等のための助成及び援助)

第十四条 政府は、特定雇用開発促進地域内に所在する事業所で事業規模の縮小等を余儀なくされたものに雇用されている労働者又は特定雇用開発促進地域離職者に関し、失業の予防、雇用機会の増大その他の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、雇用保険法第六十一条の二の雇用安定事業として、必要な助成及び援助を行うものとする。

 (雇用の安定のための要請)

第十五条 労働大臣は、特定雇用開発促進地域における雇用に関する状況の一層の悪化を防止するために特に必要があると認めるときは、当該特定雇用開発促進地域内に所在する事業所に関する事業規模の縮小等(当該事業規模の縮小等に伴い、当該事業所において相当数の離職者が発生することが見込まれるものに限る。)を行おうとする特定雇用開発促進地域事業主に対して、当該事業所に雇用されている労働者に関し、再就職の援助その他の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずることを要請することができる。

 (特定雇用開発促進地域離職者に対する職業訓練に係る特別の措置)

第十六条 国及び雇用促進事業団は、特定雇用開発促進地域離職者の円滑な再就職を容易にするため、第十条に定める措置のほか、特定雇用開発促進地域において公共職業安定所その他の関係行政機関及び関係事業主団体等との連携の下に行う必要な職業訓練の迅速かつ効果的な実施について、特別の措置を講ずるものとする。

2 国は、都道府県が前項の措置に相当する措置を講ずることを奨励するため、当該措置を講ずる都道府県に対して、必要な助成及び援助を行うように努めるものとする。

 (特定雇用開発促進地域離職者に係る延長給付)

第十七条 特定雇用開発促進地域離職者であつて、雇用保険法第十五条第一項に規定する受給資格者(同法第二十二条第一項第一号に規定する基準日において四十歳以上である者に限る。第二十三条において同じ。)であるものに対する同法第二十三条の規定の適用については、同条第一項中「政令で定める基準」とあるのは「地域雇用開発等促進法第十七条に規定する受給資格者の再就職の状況等を考慮して政令で定める基準」と、同項及び同条第二項中「政令で定める日数」とあるのは「政令で定める日数に三十日を加えた日数」とする。

第十八条 特定雇用開発促進地域離職者であつて、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第三十三条ノ三第一項の規定に該当する者(同法第三十三条ノ十二第一項第一号に規定する基準日において四十歳以上である者に限る。第二十三条において同じ。)であるものに対する同法第三十三条ノ十二ノ二の規定の適用については、同条第一項中「政令ヲ以テ定ムル基準」とあるのは「地域雇用開発等促進法第十八条ニ規定スル者ノ再就職ノ状況等ヲ考慮シ政令ヲ以テ定ムル基準」と、同項及び同条第二項中「政令ヲ以テ定ムル日数」とあるのは「政令ヲ以テ定ムル日数ニ三十日ヲ加ヘタル日数」とする。

 (公共事業への就労促進)

第十九条 労働大臣は、特定雇用開発促進地域において計画実施される公共事業(国及び特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によつて得ている法人であつて、政令で定めるものに限る。)(次項において「国等」という。)自ら又は国の負担金の交付を受け、若しくは国庫の補助により地方公共団体等が計画実施する公共的な建設又は復旧の事業をいう。以下この条において同じ。)について、その事業種別に従い、職種別又は地域別に、当該事業に使用される労働者の数とそのうちの特定雇用開発促進地域離職者の数との比率(以下この条において「吸収率」という。)を定めることができる。

2 吸収率の定められている公共事業を計画実施する国等の機関又は地方公共団体等(これらのものとの請負契約その他の契約に基づいて、その事業を施行する者を含む。次項において「公共事業の事業主体等」という。)は、公共職業安定所の紹介により、常に吸収率に該当する数の特定雇用開発促進地域離職者を雇い入れていなければならない。

3 公共事業の事業主体等は、前項の規定により雇入れを必要とする数の特定雇用開発促進地域離職者を公共職業安定所の紹介により雇い入れることが困難な場合には、その困難な数の労働者を、公共職業安定所の書面による承諾を得て、直接雇い入れることができる。

4 前三項に定めるもののほか、吸収率の定められている公共事業への特定雇用開発促進地域離職者の吸収に関し必要な事項は、労働省令で定める。

第二十条 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)第二十二条の規定は、特定雇用関発促進地域である地域については、適用しない。

2 特定雇用開発促進地域が高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第二条第四項に規定する特定地域である場合における前条の規定の適用については、同条第一項中「特定雇用開発促進地域離職者」とあるのは、「特定雇用開発促進地域離職者(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)第二条第二項に規定する中高年齢失業者等を含む。以下この条において同じ。)」とする。

 (広域職業紹介活動の命令)

第二十一条 労働大臣は、特定雇用開発促進地域のうち、その地域における雇用に関する状況等から判断して、その地域内に居住する求職者がその地域において職業に就くことが困難であると認める地域については、求職者が他の地域において職業に就くことを促進するための職業紹介に関する計面を作成し、関係都道府県知事及び公共職業安定所長に対し、当該計画に基づいて広範囲の地域にわたる職業紹介活動をすることを命ずることができる。

   第五章 緊急雇用安定地域に係る失業の予防、再就職の促進等のための措置

 (失業の予防等のための助成及び援助)

第二十二条 政府は、緊急雇用安定地域内に所在する事業所で事業規模の縮小等を余儀なくされているものに雇用されている労働者又は緊急雇用安定地域離職者に関し、失業の予防、雇用機会の増大その他の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、雇用保険法第六十一条の二の雇用安定事業として、必要な助成及び援助を行うものとする。

 (延長給付に関する特別の配慮)

第二十三条 政府は、緊急雇用安定地域離職者の職業及び生活の安定に資するため、雇用保険法第二十三条及び船員保険法第三十三条ノ十二ノ二の規定の運用に当たつては、緊急雇用安定地域離職者であつて、雇用保険法第十五条第一項に規定する受給資格者又は船員保険法第三十三条ノ三第一項の規定に該当する者であるものについて、特別の配慮をするものとする。

 (準用)

第二十四条 第十条及び第十一条の規定は、緊急雇用安定地域離職者について準用する。

   第六章 雑則

 (中央職業安定審議会への諮問等)

第二十五条 労働大臣は、この法律の施行に関する重要事項について決定しようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見を聴かなければならない。

2 中央職業安定審議会は、労働大臣の諮問に応ずるほか、必要に応じ、雇用開発促進地域、特定雇用開発促進地域及び緊急雇用安定地域内に居住する労働者等に係る地域雇用開発のための措置及び失業の予防、再就職の促進等のための措置に関し、関係行政庁に建議することができる。

 (船員となろうとする者に関する特例)

第二十六条 その地域内に居住する求職者のうち、船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員(以下「船員」という。)となろうとする者の占める割合が相当程度のものである地域に対する第二条第六項及び第七項の規定の適用については、これらの規定中「労働大臣」とあるのは、「運輸大臣及び労働大臣」とする。

2 船員となろうとする者に関しては、第二条第一項第九号及び第十号中「労働省令」とあるのは「運輸省令」と、第六条第一項並びに第三項及び第四項(同条第五項において準用する場合を含む。)中「労働大臣」とあるのは「運輸大臣」と、第十一条(第二十四条において準用する場合を含む。)中「公共職業安定所」とあるのは「地方運輸局(海運監理部を含む。)」とする。

3 船員に関しては、第十五条中「労働大臣」とあるのは、「運輸大臣」とする。

 (指定期間の満了等に伴う経過措置)

第二十七条 前三章に定める措置に関しては、労働省令(第十条及び第十一条(第二十四条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)に定める措置で船員となろうとする者に係るものにあつては運輸省令、第十八条及び第二十三条(船員保険法第三十三条ノ十二ノ二の規定に係る部分に限る。)に定める措置にあつては厚生省令)で、第二条第二項の規定により付された期間(同条第三項の規定によりその期間が延長されたときは、当該延長された期間)若しくは同条第四項の規定による期間の満了又は同条第五項の規定による指定の失効に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

 (権限の委任)

第二十八条 この法律に定める労働大臣の権限は、労働省令で定めるところにより、その一部を公共職業安定所長に委任することができる。

2 この法律に定める運輸大臣の権限は、運輸省令で定めるところにより、その一部を地方運輸局長(海運監理部長を含む。)に委任することができる。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、昭和六十二年四月一日から施行する。

 (地域的な雇用構造の改善を図るための雇用改善事業の実施の対象とされている地域に係る暫定措置)

第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日に雇用保険法第六十二条第一項第二号の規定に基づき市町村その他の関係者の協力を得て雇用機会を増大させる必要がある地域として労働大臣が指定する地域に該当していた地域で、施行日に雇用開発促進地域に該当しないこととなつたもののうち、当該地域における雇用の動向その他の事情を考慮して当該地域内に居住する求職者等に関し第三章に定める地域雇用開発のための措置を講ずる必要があるものとして政令で指定する地域については、昭和六十七年三月三十一日までの間、雇用開発促進地域とみなして、この法律の規定を適用する。ただし、当該地域について第二条第一項第二号の規定による指定をした後においては、この限りでない。

2 前項の場合においては、同項に規定する期間を第二条第二項の規定により付された期間とみなして、第二十七条の規定を準用する。

 (広域職業紹介活動の命令に関する暫定措置)

第三条 施行日の前日に附則第九条の規定による改正前の職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第十九条の二の規定により発せられていた広範囲の地域にわたる職業紹介活動に関する労働大臣の命令に係る地域に該当していた地域で、施行日に特定雇用開発促進地域に該当しないこととなつたもののうち、施行日以降引き続き求職者数に比し著しく雇用機会が不足している地域については、当分の間、特定雇用開発促進地域とみなして、第二十一条の規定を適用する。

 (政令への委任)

第四条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

 (特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の一部改正)

第五条 特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(昭和五十八年法律第三十九号)の一部を次のように改正する。

  題名中「特定不況業種・特定不況地域関係労働者」を「特定不況業種関係労働者」に改める。

  目次中「雇用の安定に関する計画等」を「雇用の安定に関する計画及び再就職援助等計画」に、「第二十七条」を「第二十六条」に改める。第一条中「事業分野及び特定不況地域」を「事業分野」に改め、「及び特定不況地域内に所在する事業所」を削る。

  第二条第一項中第二号を削り、第三号を第二号とし、第四号を削り、同項第五号中「第三号」を「前号」に改め、同号を同項第三号とし、同項第六号を削り、同条第二項及び第三項中「又は第二号」を削り、同条第五項及び第六項を削る。

  第三条第一項中「又は特定不況地域事業主」及び「又は特定不況地域内に所在する事業所」を削り、同条第二項中「又は特定不況地域事業主及び当該特定不況地域に係る事業主団体」を削り、「又は特定不況地域事業主の雇用する」を「の雇用する」に改める。

  第四条第一項中「及び特定不況地域内に所在する事業所」及び「又は特定不況地域」を削り、「これらの」を「当該」に、「、特定不況業種離職者及び特定不況地域離職者」を「及び特定不況業種離職者」に改め、同条第二項中「及び特定不況地域離職者」を削る。

  「第二章 雇用の安定に関する計画等」を「第二章 雇用の安定に関する計画及び再就職援助等計画」に改める。

  第五条第一項中「及び特定不況地域内に所在する事業所」及び「又は地域」を削り、同条第二項中「業種に係る計画にあつては」及び「、地域に係る計画にあつては当該地域を管轄する都道府県知事の」を削り、同条第三項中「又は特定不況地域」及び「又は当該特定不況地域」を削る。

  第八条を次のように改める。

 第八条 削除

  第九条の見出しを削り、同条第一項中「若しくは特定不況地域内に所在する事業所」を削り、「、特定不況業種離職者又は特定不況地域離職者」を「又は特定不況業種離職者」に改める。

  第十条を次のように改める。

 第十条 削除

  第十一条第一項及び第十二条中「及び特定不況地域離職者」を削る。

  第十九条の前の見出し中「及び特定不況地域離職者」を削り、同条及び第二十条中「又は特定不況地域離職者」を削り、「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」を「特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」に改める。

  第二十一条中「次条において同じ。」及び「次条において「公共事業の事業主体等」という。」を削り、同条に次の一項を加える。

2 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)第二十二条の規定の適用については、同条第一項中「中高年齢失業者等の就職」とあるのは、「中高年齢失業者等(特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法第十七条第一項の手帳所持者を含む。以下同じ。)の就職」とする。

  第二十二条及び第二十三条を次のように改める。

 第二十二条及び第二十三条 削除

  第二十四条第二項中「及び特定不況地域内に所在する事業所」を削る。

  第二十五条を削り、第二十六条中「第十一条及び第十二条に定める措置で船員となろうとする者に係るものにあつては運輸省令、」を削り、「厚生省令」を「、厚生省令」に改め、同条を第二十五条とする。

  第二十七条第二項を削り、同条を第二十六条とする。

 (雇用保険法の一部を改正)

第六条 雇用保険法の一部を次のように改正する。

  第二十二条の二第一項第一号イ中「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」を「特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」に、「第二条第一項第五号」を「第二条第一項第三号」に改め、「又は同項第六号に規定する特定不況地域離職者を削り、同号ニ中「ハまで」を「ニまで」に改め、同号中ニをホとし、ハをニとし、ロをハとし、イの次に次のように加える。

   ロ 地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)第二条第一項第九号に規定する特定雇用開発促進地域離職者

  第二十五条第一項中「職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第十九条の二」を「地域雇用開発等促進法第二十一条」に改める。

  第三十二条第一項第四号中「職業安定法」の下に「(昭和二十二年法律第百四十一号)」を加える。

  附則第八条第二項中「職業安定法第十九条の二」を「地域雇用開発等促進法第二十一条」に改める。

 (船員保険法の一部改正)

第七条 船員保険法の一部を次のように改正する。

  第三十三条ノ十二ノ三第一項第一号イ中「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」を「特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」に、「第二条第一項第五号」を「第二条第一項第三号」に改め、「又ハ同項第六号ニ規定スル特定不況地域離職者」を削り、同号二中「イ乃至ハ」を「イ乃至ニ」に改め、同号中ニをホとし、ハをニとし、ロをハとし、イの次に次のように加える。

   ロ 地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)第二条第一項第九号ニ規定スル特定雇用開発促進地域離職者

 (特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法、雇用保険法及び船員保険法の一部改正に伴う経過措置)

第八条 附則第五条の規定による改正前の特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(以下この条において「旧特定不況業種・特定不況地域法」という。)の規定(特定不況地域に係る部分に限る。)は、施行日の前日に旧特定不況業種・特定不況地域法第二条第一項第二号に規定する特定不況地域に該当していた地域であつて、施行日に特定雇用開発促進地域に該当しないこととなつたものについては、昭和六十三年六月三十日(政令で定める地域にあつては、同日前の日であつて政令で定める日)までの間、なおその効力を有する。

2 この法律の施行の際現に附則第六条の規定による改正前の雇用保険法(以下この条において「旧雇用保険法」という。)第二十二条の二の規定による基本手当の支給又は前条の規定による改正前の船員保険法(以下この条において「旧船員保険法」という。)第三十三条ノ十二ノ三の規定による失業保険金の支給(以下この条において「旧個別延長給付」という。)を受けることができる者であつて、旧特定不況業種・特定不況地域法第二条第一項第六号に規定する特定不況地域離職者であるものは、附則第六条の規定による改正後の雇用保険法(以下この条において「新雇用保険法」という。)第二十二条の二の規定による基本手当の支給又は前条の規定による改正後の船員保険法(以下この条において「新船員保険法」という。)第三十三条ノ十二ノ三の規定による失業保険金の支給(以下この項において「新個別延長給付」という。)を受けることができる者とみなす。この場合において、新個別延長給付を受けることができる日数は、新雇用保険法第二十二条の二第二項又は新船員保険法第三十三条ノ十二ノ三第二項の規定にかかわらず、第一号に掲げる日数から第二号に掲げる日数を差し引いて得た日数に相当する日数を限度とする。

 一 旧雇用保険法第二十二条の二第二項各号に掲げる受給資格者の区分に応じ当該各号に定める日数又は旧船員保険法第三十三条ノ十二ノ三第二項各号に掲げる失業保険金の支給を受けるべき者の区分に応じ当該各号に定める日数

 二 施行日前において旧個別延長給付を受けた日数に、施行日以後において第六項の規定によりなお従前の例によることとされる施行日前の期間に係る旧個別延長給付を受けた日数を加えた日数

3 前項に定める者のほか、施行日以後に第一項の規定によりなおその効力を有することとされた旧特定不況業種・特定不況地域法第二条第一項第六号に規定する特定不況地域離職者に該当することとなる者は、特定雇用開発促進地域離職者とみなして、新雇用保険法第二十二条の二及び新船員保険法第三十三条ノ十二ノ三の規定を適用する。

4 この法律の施行の際現に旧特定不況業種・特定不況地域法第十九条又は第二十条において読み替えて適用する旧雇用保険法第二十三条第二項又は旧船員保険法第三十三条ノ十二ノ二第二項に規定する個別延長給付(以下この条において「旧特例個別延長給付」という。)を受けることができる者は、第十七条又は第十八条において読み替えて適用する新雇用保険法第二十三条第二項又は新船員保険法第三十三条ノ十二ノ二第二項に規定する個別延長給付(以下この項において「新特例個別延長給付」という。)を受けることができる者とみなす。この場合において、新特例個別延長給付を受けることができる日数は、第十七条又は第十八条の規定にかかわらず、第一号に掲げる日数から第二号に掲げる日数を差し引いて得た日数に相当する日数を限度とする。

 一 旧特定不況業種・特定不況地域法第十九条において読み替えて適用する旧雇用保険法第二十三条第一項の政令で定める日数に三十日を加えた日数又は旧特定不況業種・特定不況地域法第二十条において読み替えて適用する旧船員保険法第三十三条ノ十二ノ二第一項の政令で定める日数に三十日を加えた日数

 二 施行日前において旧特例個別延長給付を受けた日数に、施行日以後において第六項の規定によりなお従前の例によることとされる施行日前の期間に係る旧特例個別延長給付を受けた日数を加えた日数

5 施行日の前日において旧雇用保険法第二十五条第一項の規定による指定がされていた地域について、施行日に新雇用保険法第二十五条第一項の規定による指定がされた場合においては、この法律の施行の際現に当該地域に係る旧雇用保険法第二十五条第一項の措置に基づく基本手当の支給(以下「旧広域延長給付」という。)を受けることができる者は、新雇用保険法第二十五条第一項の措置に基づく基本手当の支給(以下「新広域延長給付」という。)を受けることができる者とみなす。この場合において、新広域延長給付を受けることができる日数は、同項の規定にかかわらず、第一号に掲げる日数から第二号に掲げる日数を差し引いて得た日数に相当する日数を限度とする。

 一 旧雇用保険法第二十五条第一項の政令で定める日数

 二 施行日前において旧広域延長給付を受けた日数に、施行日以後において次項の規定によりなお従前の例によることとされる施行日前の期間に係る旧広域延長給付を受けた日数を加えた日数

6 施行日前の期間に係る旧個別延長給付、旧特例個別延長給付及び旧広域延長給付については、なお従前の例による。

7 第一項の規定によりなおその効力を有することとされた旧特定不況業種・特定不況地域法(以下この項において「旧法」という。)第三章及び第四章に定める措置に関しては、労働省令(旧法第十一条及び第十二条に定める措置で船員となろうとする者に係るものにあつては運輸省令、旧法第二十条に定める措置にあつては厚生省令)で、第一項に規定する期間の満了に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

 (職業安定法の一部改正)

第九条 職業安定法の一部を次のように改正する。

  第十九条第三項及び第四項を削る。

  第十九条の二を次のように改める。

  (広域職業紹介)

 第十九条の二 公共職業安定所は、その管轄区域内において、求職者にその希望及び能力に適合する職業を紹介することができないとき、又は求人者の希望する求職者若しくは求人数を充足することができないときは、広範囲の地域にわたる職業紹介活動をするものとする。

   前項の広範囲の地域にわたる職業紹介活動は、できる限り近隣の公共職業安定所が相互に協力して行うように努めなければならない。

   第一項の広範囲の地域にわたる職業紹介活動に関し必要な事項は、命令で定める

 (社会保険労務士法の一部改正)

第十条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第二十号の十一中「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」を「特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」に改め、同表第二十号の十三の次に次の一号を加える。

  二十の十四 地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)

 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正)

第十一条 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。

  附則第八条を削り、附則第七条の二を附則第八条とする。

 (沖縄振興開発特別措置法の一部改正)

第十二条 沖縄振興開発特別措置法(昭和四十六年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第四十七条第三項中「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法(昭和五十八年法律第三十九号)第二十二条」を「地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)第十九条」に改める。

 (船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部改正)

第十三条 船員の雇用の促進に関する特別措置法(昭和五十二年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。

  附則第二項中「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」を「特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」に改める。

 (労働省設置法の一部改正)

第十四条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

  第四条第四十三号を同条第四十二号の二とし、同号の次に次の一号を加える。

  四十三 地域雇用開発指針の策定に関すること。

  第四条第五十一号中「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」を「特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」に、「及び日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法(昭和六十一年法律第九十一号)」を「、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法(昭和六十一年法律第九十一号)及び地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)」に改める。

  第五条第五十一号の次に次の一号を加える。

  五十一の二 地域雇用開発等促進法に基づいて、地域雇用開発指針を策定すること。

  第十条第一項中「特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」を「特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法」に、「及び日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法」を「、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法及び地域雇用開発等促進法」に改める。

(内閣総理・大蔵・厚生・運輸・労働大臣署名) 

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