所得税法の一部を改正する法律

法律第十一号(昭五六・三・三一)

 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

 第二条第一項第二十六号を次のように改める。

 二十六 雑損失の金額 第七十二条第一項(雑損控除)に規定する損失の金額の合計額が同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。

 第二条第一項第三十号中「第二十二条」の下に「(課税標準)」を加え、同項第三十一号の次に次の一号を加える。

 三十一の二 寡夫 妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていない者又は妻の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、その者と生計を一にする親族で政令で定めるものを有し、かつ、合計所得金額が三百万円以下であるものであつて、老年者に該当しないものをいう。

 第二条第一項第三十三号ロ中「二十万円」を「二十九万円」に改め、同号ハ中「控除した金額」の下に「と当該金額の十分の九に相当する金額との合計額」を加える。

 第四十二条第二項中「国庫補助金等の交付に代わるべきものとして固定資産の交付を受けた」を「次に掲げる固定資産を取得した」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 国庫補助金等の交付に代わるべきものとして交付を受ける固定資産

 二 前号に掲げる固定資産に準ずるものとして政令で定める固定資産

 第四十二条第五項中「国庫補助金等の交付に代わるべきものとして提供を受けた」を「その取得した同項各号に掲げる」に、「行なう」を「行う」に改める。

 第七十二条第一項中「除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額をこえるときは、そのこえる部分」を「除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が五万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。) その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額

 二 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が五万円を超える場合 その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち五万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額

 三 その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合 五万円と第一号に掲げる金額とのいずれか低い金額

 第八十一条の見出しを「(寡婦(寡夫)控除)」に改め、同条第一項中「寡婦」の下に「又は寡夫」を加え、同条第二項中「寡婦控除」を「寡婦(寡夫)控除」に改める。

 第八十五条第一項中「寡婦」の下に「、寡夫」を、「第二条第一項第三十一号イ」の下に「又は第三十一号の二」を加える。

 第八十七条第一項中「寡婦控除」を「寡婦(寡夫)控除」に、「行なう」を「行う」に改める。

 第百四条第一項、第百七条第一項及び第百十四条第四項中「五万円」を「十万円」に改める。

 第百二十条第三項中「添附し」を「添付し」に改め、同項第一号中「申告書に」の下に「雑損控除、」を加える。

 第百二十一条第一項第二号ロ中「寡婦控除」を「寡婦(寡夫)控除」に改める。

 第百三十二条第一項中「、担保を提供させ」を削り、同項第二号及び第三号中「こえる」を「超える」に改め、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に、「行なわれる」を「行われる」に改め、同項を同条第三項とし、同項の前に次の一項を加える。

2 税務署長は、前項の規定による延納の許可をする場合には、その延納に係る所得税の額に相当する担保を徴さなければならない。ただし、その延納に係る所得税につき、その額が五十万円以下で、かつ、その延納の期間が三年以下である場合は、この限りでない。

 第百三十五条第一項第二号中「第百三十二条第三項」を「第百三十二条第四項」に改める。

 第百八十七条中「寡婦」の下に「、寡夫」を加える。

 第百九十条第二号ハ中「寡婦又は」を「寡婦、寡夫又は」に、「寡婦控除」を「寡婦(寡夫)控除」に改める。

 第百九十四条第一項第二号中「寡婦」の下に「、寡夫」を加える。

 第百九十五条第一項中「寡婦控除」を「寡婦(寡夫)控除」に改める。

 第二百二十五条第一項各号列記以外の部分中「第七号」を「第八号」に改め、「証券投資信託の受益証券に係る収益の分配に関するもの」の下に「並びに第七号又は第八号に規定する支払に関する調書のうち無記名の公社債に係る第二百二十四条第四項(利子、配当、償還金等の受領者の告知)に規定する償還金に関するもの」を加え、同項第八号を同項第九号とし、同項第七号中「掲げる国内源泉所得」の下に「又は前号に規定する償還金」を加え、同号を同項第八号とし、同項第六号の次に次の一号を加える。

 七 居住者又は内国法人に対し国内において第二百二十四条第四項に規定する償還金の支払をする者

 別表第四の備考(一)(4)、別表第五の備考(一)(4)、別表第六の備考(二)及び別表第七の備考(二)中「寡婦」の次に「、寡夫」を加える。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、昭和五十六年四月一日から施行する。ただし、第二百二十五条第一項の改正規定は、昭和五十八年一月一日から施行する。

 (経過措置の原則)

第二条 この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後の所得税法(以下「新法」という。)の規定は、昭和五十六年分以後の所得税について適用し、昭和五十五年分以前の所得税については、なお従前の例による。

 (雑損失の繰越控除に関する経過措置)

第三条 新法第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)(新法第百六十五条(総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算)において適用する場合を含む。)の規定は、昭和五十六年以後の各年において生じた新法第二条第一項第二十六号(定義)に規定する雑損失の金額について適用し、昭和五十五年以前の各年において生じた改正前の所得税法(以下「旧法」という。)第二条第一項第二十六号に規定する雑損失の金額については、なお従前の例による。

 (給与所得に係る源泉徴収に関する経過措置)

第四条 新法第四編第二章第一節(給与所得に係る源泉徴収義務及び徴収税額)の規定及び新法別表第四から別表第六までは、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に支払うべき新法第百八十三条第一項(給与所得に係る源泉徴収義務)に規定する給与等(以下この条において「給与等」という。)について適用し、施行日前に支払うべき給与等については、なお従前の例による。

2 新法第百九十条(年末調整)の規定及び新法別表第七は、昭和五十六年中に支払うべき給与等でその最後に支払をする日が施行日以後であるものについて適用し、同年中に支払うべき給与等でその最後に支払をする日が施行日前であるものについては、なお従前の例による。

3 新法第百九十四条第一項及び第百九十五条第一項(給与所得者の扶養控除等申告書等)の規定は、施行日以後に提出する新法第百九十四条第四項に規定する給与所得者の扶養控除等申告書及び新法第百九十五条第四項に規定する従たる給与についての扶養控除等申告書について適用する。

 (施行日前に出国をした者に係る更正の請求)

第五条 施行日前に昭和五十六年分の所得税につき旧法第百二十七条(年の中途で出国をする場合の確定申告)(旧法第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出した者及び施行日前に同年分の所得税につき国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二十五条(決定)の規定による決定を受けた者は、当該申告書に記載された事項又は当該決定に係る事項(これらの事項につき施行日前に同法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正があつた場合には、当該更正後の事項)につき新法の規定の適用により異動を生ずることとなつたときは、その異動を生ずることとなつた事項について、施行日から起算して一年を経過する日までに、税務署長に対し、国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の更正の請求をすることができる。

2 前項の更正の請求に基づく国税通則法第二十四条又は第二十六条の規定による更正があつた場合において、新法第百五十九条第二項(更正又は決定による源泉徴収税額等の還付)(新法第百六十八条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定による還付金について国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金を計算するときは、その計算の基礎となる同項の期間は、施行日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき同法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をする日(同日前にその充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。

 (償還金等の支払調書に関する経過措置)

第六条 新法第二百二十五条第一項第七号及び第八号(支払調書)の規定は、昭和五十九年一月一日以後に発行される新法第二百二十四条第四項(利子、配当、償還金等の受領者の告知)に規定する割引債の償還金(買入消却が行われる場合にあつては、その買入れの対価)について適用する。

 (所得税法の一部を改正する法律の一部改正)

第七条 所得税法の一部を改正する法律(昭和五十五年法律第八号)の一部を次のように改正する。

  附則第五条に次の一項を加える。

3 昭和五十八年一月一日前にあつては、新法第十一条の二及び第十一条の三の規定中「第九条の二第一項」とあるのは「所得税法の一部を改正する法律(昭和五十五年法律第八号)による改正後の第九条の二第一項」と、「第十条第一項」とあるのは「同法による改正後の第十条第一項」とする。

(大蔵・内閣総理大臣署名)

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