昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法
法律第三十四号(昭五二・五・四)
目次
第一章 総則(第一条―第三条)
第二章 特別減税の額(第四条)
第三章 特別減税額に係る還付及び申告等(第五条―第十二条)
第四章 雑則(第十三条―第十六条)
第五章 罰則(第十七条―第十九条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、一年限りの特例措置として、昭和五十一年分の所得税について、特別減税を行うため必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 居住者 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第三号に規定する居住者をいう。
二 非居住者 所得税法第二条第一項第五号に規定する非居住者をいう。
三 控除対象配偶者 所得税法第二条第一項第三十三号に規定する控除対象配偶者をいう。
四 扶養親族 所得税法第二条第一項第三十四号に規定する扶養親族をいう。
五 確定申告書 所得税法第二条第一項第三十七号に規定する確定申告書(当該確定申告書に係る国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十九条第三項に規定する修正申告書を含む。)をいう。
六 納税地 所得税法第一編第五章に規定する納税地をいう。
七 源泉徴収 所得税法第二条第一項第四十五号に規定する源泉徴収をいう。
八 更正 国税通則法第二十四条又は第二十六条の規定による更正をいう。
九 決定 国税通則法第二十五条の規定による決定をいう。
十 充当 国税通則法第五十七条第一項の規定による充当をいう。
十一 附帯税 国税通則法第二条第四号に規定する附帯税をいう。
十二 昭和五十一年分所得税 居住者に係る昭和五十一年分の所得税(所得税法の一部を改正する法律(昭和五十二年法律第十四号。第四条第一項において「所得税法改正法」という。)附則第二条の規定及び租税特別措置法及び国税収納金整理資金に関する法律の一部を改正する法律(昭和五十二年法律第九号。イにおいて「租税特別措置法改正法」という。)附則第二条の規定が適用されたものをいう。以下同じ。)又は非居住者に係る昭和五十一年分の所得税(所得税法第百六十五条に規定する総合課税に係る所得税に限る。)で、次に掲げる所得税及び附帯税を含まないものをいう。
イ 租税特別措置法改正法第一条の規定による改正前の租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号。以下「旧租税特別措置法」という。)第三条第一項、第八条の二第一項及び第八条の四第一項の規定により課される所得税並びに旧租税特別措置法第四十一条の六第一項の規定により徴収された所得税で同条第二項の規定により源泉徴収に係る所得税とみなされたもの及び旧租税特別措置法第四十一条の十二第三項の規定により徴収された所得税で同条第四項の規定により同項に規定する償還を受ける時に徴収される所得税とみなされたもの
ロ 旧租税特別措置法第三条の三第四項の規定により徴収された所得税で同条第五項の規定により源泉徴収に係る所得税とみなされたもの及び旧租税特別措置法第八条の三第四項の規定により徴収された所得税で同条第五項の規定により源泉徴収に係る所得税とみなされたもの
(特別減税を受けることができる者)
第三条 居住者又は非居住者は、この法律により、その者の昭和五十一年分所得税につき、特別減税を受けることができる。
第二章 特別減税の額
(特別減税額)
第四条 前条に規定する特別減税の額は、居住者又は非居住者について六千円(昭和五十一年分所得税につき適用される所得税法改正法による改正前の所得税法(以下「旧所得税法」という。)第八十三条第三項に規定する配偶者控除に係る控除対象配偶者又は旧所得税法第八十四条第四項に規定する扶養控除に係る扶養親族を有する居住者については、当該金額に当該控除対象配偶者又は扶養親族一人につき三千円を加算した金額)とする。ただし、当該金額が当該居住者又は非居住者の昭和五十一年分所得税額を超える場合には、特別減税の額は、当該昭和五十一年分所得税額に相当する金額とする。
2 前項に規定する昭和五十一年分所得税額とは、昭和五十一年分所得税につき旧所得税法第二編第二章第四節、第三章、第四章及び第百六十五条並びに旧租税特別措置法第八条の六、第十条、第二十四条、第二十五条、第二十五条の二、第二十八条の四、第二章第四節第二款から第八款まで、第三十八条、第三十九条、第二章第五節第一款、第四十一条の四及び第四十一条の五の規定を適用して計算した所得税の額とする。
3 前二項に定めるもののほか、第一項に規定する特別減税の額及び昭和五十一年分所得税額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
4 第一項に規定する特別減税の額は、特別減税額という。
第三章 特別減税額に係る還付及び申告等
(居住者の申告税額に係る特別減税額の還付)
第五条 昭和五十二年六月一日以前に、昭和五十一年分所得税について、確定申告書(旧所得税法第百二十条第一項第四号に掲げる金額が記載されている申告書並びに旧所得税法第百二十三条第一項並びに第百二十六条第二項及び第百二十七条第三項の規定による申告書を除く。)を提出し、又は更正若しくは決定を受けた居住者(その者が、第十条第一項に規定する基準日在職者に該当する者である場合には、申告税額対応減税額を有する者に限る。)は、納税地の所轄税務署長に対し、特別減税額(当該申告税額対応減税額を有する者については、特別減税額のうち当該申告税額対応減税額に相当する部分の金額)に相当する所得税の還付を請求することができる。
2 前項の規定による還付の請求をすることができる者が当該還付の請求をしないで死亡した場合には、その相続人(包括受遺者を含む。)は、当該死亡した者に係る同項に規定する税務署長に対し、当該還付の請求をすることができる。
3 第一項又は前項の規定による還付の請求をしようとする者は、その還付を受けようとする所得税の額、その計算の基礎その他大蔵省令で定める事項を記載した還付請求書を第一項又は前項に規定する税務署長に提出しなければならない。
4 税務署長は、前項の還付請求書の提出があつた場合には、その請求の基礎となつた特別減税額その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求に係る金額を限度として所得税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する。
5 前項の規定による還付金について国税通則法第五十八条第一項に規定する還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる同項の期間は、第一項又は第二項の規定による還付の請求がされた日の翌日以後三月を経過した日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。
6 第一項に規定する申告税額対応減税額とは、昭和五十二年六月一日以前に、第十条第一項に規定する基準日在職者が昭和五十一年分所得税について確定申告書を提出し、又は更正若しくは決定を受けた場合において、その者の同項に規定する給与特別減税額が特別減税額に満たないときにおける特別減税額から当該給与特別減税額を控除した金額をいう。
7 第三項から前項までに定めるもののほか、第一項又は第二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(死亡した者の準確定申告に係る特別減税額の還付)
第六条 前条第一項の規定は、昭和五十二年六月一日以前に、昭和五十一年分所得税についての確定申告書を旧所得税法第百二十四条第一項(旧所得税法第百二十五条第五項において準用する場合を含む。)又は第百二十五条第一項若しくは第二項の規定により提出したこれらの規定に規定する相続人について準用する。
2 前条第二項の規定は、前項において準用する同条第一項の規定による還付の請求をすることができる者が当該還付の請求をしないで死亡した場合について準用する。
3 前条第三項から第七項までの規定は、第一項において準用する同条第一項の規定による還付の請求及び前項において準用する同条第二項の規定による還付の請求についてそれぞれ準用する。
(居住者の確定申告の場合の特別減税)
第七条 居住者は、昭和五十二年六月二日以後において昭和五十一年分所得税の確定申告書(旧所得税法第百二十条第一項第四号に掲げる金額が記載されている申告書及び旧所得税法第百二十三条第一項の規定による申告書を除く。)を提出する場合には、当該申告書に旧所得税法第百二十条第一項各号に掲げる事項のほか特別減税額その他大蔵省令で定める事項を記載することにより、昭和五十一年分所得税につき特別減税額に相当する税額の軽減又は還付を受けることができる。この場合において、同条並びに旧所得税法第百二十二条、第百二十八条、第百三十八条及び第百三十九条の規定の適用については、次の表の上欄に掲げるこれらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
旧所得税法第百二十条第一項 |
配当控除の額 |
配当控除の額と昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法(昭和五十二年法律第三十四号)第四条第四項(特別減税額)に規定する特別減税額との合計額 |
旧所得税法第百二十条第一項第三号 |
所得税の額 |
所得税の額及び昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第四条第四項に規定する特別減税額並びに当該所得税の額から当該特別減税額を控除した金額に相当する所得税の額 |
旧所得税法第百二十条第一項第五号 |
政令で定める金額がある場合には、当該金額 |
政令で定める金額若しくは昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第十条第一項(基準日在職者に係る給与特別減税額の還付)に規定する給与特別減税額がある場合には、これらの金額 |
旧所得税法第百二十条第三項第三号 |
交付される源泉徴収票 |
交付される源泉徴収票(当該給与所得に係る第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等のうち第百八十五条第一項第三号(労働した日ごとに支払われる給与等)に掲げる給与等については、当該給与等の金額等を証する書類として大蔵省令で定めるものを含む。) |
旧所得税法第百二十二条第一項 |
その年分の所得税 |
昭和五十一年分の所得税 |
第百二十条第一項 |
昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第七条後段(居住者の確定申告の場合の特別減税)の規定により読み替えられた第百二十条第一項 |
|
旧所得税法第百二十二条第三項 |
第百二十条第三項 |
昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第七条後段の規定により読み替えられた第百二十条第三項 |
旧所得税法第百二十八条 |
第百二十条第一項(確定所得申告) |
昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第七条後段(居住者の確定申告の場合の特別減税)の規定により読み替えられた第百二十条第一項(確定所得申告) |
第百二十条第一項第三号 |
当該第百二十条第一項第三号 |
|
旧所得税法第百三十八条第一項及び第二項 |
第百二十条第一項 |
昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第七条後段(居住者の確定申告の場合の特別減税)の規定により読み替えられた第百二十条第一項 |
旧所得税法第百三十八条第三項 |
翌日 |
翌日(第一項の規定による還付金の額のうち同項の申告書に記載された昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第四条第四項(特別減税額)に規定する特別減税額に相当する金額については、当該申告書の提出があつた日の翌日以後三月を経過する日の翌日とし、同日以後に納付された当該源泉徴収税額に係る還付金については、その納付の日の翌日とする。) |
旧所得税法第百三十八条第四項 |
第一項の規定による還付金を同項 |
第一項の規定による還付金(前項に規定する特別減税額に係る還付金を除く。)を第一項 |
旧所得税法第百三十九条第一項 |
第百二十条第一項第八号 |
昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第七条後段(居住者の確定申告の場合の特別減税)の規定により読み替えられた第百二十条第一項第八号 |
旧所得税法第百三十九条第二項 |
還付金の還付をする場合において、同項 |
還付金(同項の確定申告書に記載された昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第四条第四項(特別減税額)に規定する特別減税額に相当する金額に係る還付金を除く。)の還付をする場合において、第一項 |
旧所得税法第百三十九条第三項 |
翌日 |
翌日(前項に規定する特別減税額に係る還付金の額については、第一項の確定申告書の提出があつた日の翌日以後三月を経過する日の翌日とし、同日以後に納付された当該予納税額の還付金については、その納付の日の翌日とする。) |
旧所得税法第百三十九条第四項 |
第一項の規定による還付金 |
第一項の規定による還付金(第二項に規定する特別減税額に係る還付金を除く。) |
(死亡に係る準確定申告の場合の特別減税)
第八条 前条の規定は、昭和五十二年六月二日以後に、昭和五十一年分所得税についての確定申告書を旧所得税法第百二十四条第一項(旧所得税法第百二十五条第五項において準用する場合を含む。)又は第百二十五条第一項若しくは第二項の規定によりこれらの規定に規定する相続人が提出する場合について準用する。この場合において、これらの規定中「第百二十条第一項」とあるのは「昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第七条後段(居住者の確定申告の場合の特別減税)の規定により読み替えられた第百二十条第一項」と、「第百二十二条第一項」とあるのは「昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第七条後段の規定により読み替えられた第百二十二条第一項」と読み替えるものとする。
2 前項の規定の適用がある場合には、旧所得税法第百二十五条第四項中「第百二十条第三項」とあるのは「昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第七条後段の規定により読み替えられた第百二十条第三項」と、旧所得税法第百二十九条中「第百二十条第一項第三号」とあるのは「昭和五十一年分所得税の特別減税のための臨時措置法第七条後段(居住者の確定申告の場合の特別減税)の規定により読み替えられた第百二十条第一項第三号」として、これらの規定を適用する。
(非居住者の特別減税)
第九条 第五条から前条までの規定は、非居住者の昭和五十一年分所得税についての特別減税額に相当する所得税の還付及び確定申告書を提出する場合の特別減税額に相当する税額の軽減又は還付について準用する。
(基準日在職者に係る給与特別減税額の還付)
第十条 所得税法第百八十三条第一項に規定する給与等(以下この条において「給与等」という。)の支払者(以下この条において「主たる給与支払者」という。)は、当該主たる給与支払者から昭和五十一年中の主たる給与等(居住者が同法第百九十四条第四項に規定する給与所得者の扶養控除等申告書の提出の際に経由した給与等の支払者から支払を受ける給与等をいう。以下この条において同じ。)のうちその年最後に受けるものの支払を受ける居住者で、かつ、昭和五十二年六月一日において当該主たる給与支払者から主たる給与等の支払を受ける者であるもの(以下この条において「基準日在職者」という。)に対し、同年六月又は七月のいずれかの月で大蔵省令で定めるところにより源泉徴収に係る所得税の納税地の所轄税務署長に届け出た月(当該主たる給与支払者がこの項の規定による還付を同年六月又は七月以外の月において行うことにつき相当の理由があると認められる場合には、政令で定めるところにより、当該税務署長が当該還付を行うことが適当であると認めた月)において、第四条第一項本文に規定する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(当該金額が、昭和五十一年給与源泉税額を超える場合には、昭和五十一年給与源泉税額とする。以下この条において「給与特別減税額」という。)に相当する所得税を還付しなければならない。
2 前項に規定する昭和五十一年給与源泉税額とは、主たる給与支払者が基準日在職者の昭和五十一年中の旧所得税法第百九十条第一号に規定する給与等につき同条の規定(旧租税特別措置法第四十一条の二又は第四十一条の五の規定の適用がある場合には、これらの規定を含む。)を適用して求めた旧所得税法第百九十条第二号に掲げる税額(当該基準日在職者がその者の当該給与等の金額が千万円を超えることにより同条の規定が適用されなかつた者である場合には、当該基準日在職者に対し当該主たる給与支払者が昭和五十一年中に支払うべきことが確定した給与等につき旧所得税法第百八十三条第一項の規定により徴収された又は徴収されるべき所得税の額の合計額)をいう。
3 税務署長は、基準日在職者が昭和五十二年六月一日以前に昭和五十一年分所得税につき確定申告書を提出し、若しくは更正を受けたことによりその者の特別減税額が給与特別減税額に満たないと認められる場合、又は基準日在職者の給与特別減税額の計算がこの法律の規定に従つていなかつた場合その他その調査したところと異なる場合には、大蔵省令で定めるところによりその旨及び当該特別減税額又は給与特別減税額を当該基準日在職者に係る主たる給与支払者に通知しなければならない。
4 特別減税額に係る前項の通知を受けた主たる給与支払者は、当該通知に係る基準日在職者に対する第一項の規定による還付については、当該通知に係る特別減税額を基礎として計算した給与特別減税額により行わなければならない。ただし、主たる給与支払者が同項の規定による還付をした後において特別減税額又は給与特別減税額に係る前項の通知を受けた場合には、当該主たる給与支払者は、当該通知を受けた日以後に当該通知に係る基準日在職者に対し最初に支払う給与等又は所得税法第百九十九条に規定する退職手当等の支払の際、その者に当該還付をした金額のうち当該通知に係る特別減税額又は給与特別減税額を超える部分の金額に相当する所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
5 前項ただし書の規定により徴収して納付すべき所得税は、主たる給与支払者については、源泉徴収に係る所得税とみなして、所得税法、国税通則法及び国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)の規定を適用するものとし、基準日在職者については、当該所得税に相当する金額は第一項の規定による還付を受けなかつたものとみなす。
6 第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定による所得税の還付をする場合におけるその還付の方法、源泉徴収に関する所得税法の規定の適用その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(更正又は決定の場合の特別減税)
第十一条 昭和五十二年六月二日以後に、居住者又は非居住者の昭和五十一年分所得税に関し更正又は決定をする場合には、第四条第一項に規定する昭和五十一年分所得税額から特別減税額を控除するものとする。
(特別減税額に係る国税通則法の適用の特例)
第十二条 第五条第四項(第六条及び第九条において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による還付を受けた場合には、その者に係る昭和五十一年分所得税については、当該還付に係る還付請求書に記載された特別減税額(第五条第四項の規定により、税務署長が還付した還付金の額を限度とする。)は、昭和五十二年六月一日以前に提出された確定申告書又は同日以前にされた更正若しくは決定に係る通知書に記載された国税通則法第二条第六号ホ又はへに掲げる事項とみなして、同法中申告、更正若しくは決定又は更正をすべき旨の請求に関する規定を適用する。この場合においては、当該確定申告書又は当該通知書に記載されていた納付すべき税額又は還付金の額に相当する税額については、当該納付すべき税額から当該特別減税額を控除した後の税額又は当該還付金の額に相当する税額に当該特別減税額を加算した後の税額が記載されていたものとみなす。
2 居住者又は非居住者が昭和五十一年分所得税につき特別減税を受けた場合におけるこれらの者が納付すべき昭和五十一年分所得税に係る附帯税に関する国税通則法の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 第七条(第八条第一項及び第九条において準用する場合を含む。第三号において同じ。)の規定による軽減又は前条の規定による控除を受けた場合には、その確定申告書の提出又は更正若しくは決定により納付すべき昭和五十一年分所得税に係る附帯税の額の計算の基礎となる税額は、当該納付すべき所得税の額に当該軽減又は控除に係る特別減税額(政令で定める場合には、政令で定める税額。以下この号において同じ。)を加算した後の税額とし、当該計算の基礎となる税額のうち当該軽減又は控除を受けた特別減税額に相当する税額について国税通則法第六十条第二項の規定により延滞税を計算する場合におけるその計算の基礎となる期間の末日は、当該確定申告書の提出の日又は当該更正若しくは決定に係る通知書を発した日とする。
二 昭和五十一年分所得税について納付すべき税額を減少させる更正で前条の規定による特別減税額の控除を伴うものがあつた場合においても、当該特別減税額に相当する税額に係る更正の効力は、既に納付すべき税額が確定した附帯税に及ばないものとする。
三 第五条第四項の規定による還付を受けた所得税に係る特別減税額又は第七条の規定による軽減若しくは還付若しくは前条の規定による控除を受けた特別減税額が過大であつたことに伴い、昭和五十一年分所得税についてこれらの還付に係る還付金の額に相当する税額を減少させ、又は納付すべき税額を増加させる修正申告書の提出又は更正があつたときは、当該修正申告書の提出又は更正により納付すべき税額のうちこれらの特別減税額に相当する税額について国税通則法第六十条第二項の規定により延滞税を計算する場合におけるその計算の基礎となる期間の始期は、これらの還付のための支払決定をした日若しくはこれらの還付に係る還付金につき充当をした日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)又は当該軽減若しくは控除を受けた特別減税額に係る確定申告書の提出の日若しくは更正若しくは決定に係る通知書を発した日の翌日とする。
第四章 雑則
(基準日在職者の還付金の支払明細書)
第十三条 第十条第一項に規定する基準日在職者に対し同項の規定により所得税の還付をする同項に規定する主たる給与支払者は、大蔵省令で定めるところにより、その還付金の額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その還付の際、その還付を受ける者に交付しなければならない。
(当該職員の質問検査権)
第十四条 国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、この法律に基づく特別減税に関する調査について必要があるときは、次に掲げる者に質問し、又はその者の帳簿書類その他の物件を検査することができる。
一 この法律に基づく特別減税を受けることができる者又は当該特別減税を受けることができると認められる者
二 第十条第一項の規定による所得税の還付をする義務がある者又は当該還付をする義務があると認められる者
2 前項の規定による質問又は検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
3 所得税法第二百三十六条の規定は、国税庁、国税局又は税務署の当該職員が第一項の規定による質問又は検査をする場合について準用する。
(特別減税額に係る国に対する請求権の期間制限)
第十五条 この法律に基づく特別減税額に係る国に対する請求権で、第七条後段の規定により読み替えられた旧所得税法第百二十条第一項又は第八条第一項後段の規定により読み替えられた旧所得税法第百二十四条第一項(旧所得税法第百二十五条第五項において準用する場合を含む。)若しくは第百二十五条第一項(これらの規定を第九条において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出する義務がある者に係るものは、当該申告書に係る昭和五十一年分所得税につき国税通則法第七十条及び第七十一条の規定により更正又は決定をすることができる期間を経過した日以後においては、これを行使することができない。
2 この法律に基づく特別減税額に係る国に対する請求権(前項に規定する請求権を除く。)については、当該請求権をその権利を有する者に係る昭和五十一年分の所得税の還付金に係る国に対する請求権とみなして、国税通則法第七十四条の規定を適用する。前項の期間内に行使された請求権に基づき生じた還付金に係る国に対する請求権についても、また同様とする。
(政令への委任)
第十六条 第五条から前条までに定めるもののほか、この法律の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第五章 罰則
第十七条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず若しくは偽りの答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避した者
二 前号の検査に関し偽りの記載をした帳簿書類を提示した者
第十八条 次の条号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 偽りその他不正の行為により、第五条第四項(第六条及び第九条において準用する場合を含む。)の規定による還付を受け、又は第七条後段(第八条第一項及び第九条において準用する場合を含む。)の規定により読み替えられた旧所得税法第百二十条第一項第三号に規定する特別減税額に係る同号に規定する所得税の額につき所得税を免れた者
二 第十条第一項の規定により還付すべき所得税を還付しなかつた者
三 第十条第四項の規定により徴収して納付すべき所得税を徴収せず、又は当該所得税を納付しなかつた者
四 第十三条に規定する支払明細書を同条に規定する還付の際当該還付を受ける者に交付せず、又はこれに偽りの記載をして当該還付を受ける者に交付した者
第十九条 法人(所得税法第二条第一項第八号に規定する人格のない社団等を含む。以下この項において同じ。)の代表者(当該人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前二条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
2 前項に規定する人格のない社団等について同項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
附 則
この法律は、昭和五十二年六月一日から施行する。
(大蔵・内閣総理大臣署名)