予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律
法律第六十九号(昭五一・六・一九)
(予防接種法の一部改正)
第一条 予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項中「左に」を「次に」に改め、同項第一号を次のように改める。
一 痘そう
第二条第二項中第三号及び第四号を削り、第五号を第三号とし、第六号を第四号とし、同号の次に次の二号を加える。
五 麻しん
六 風しん
第二条第二項中第七号を削り、第八号を第七号とし、第九号を削り、第十号を第八号とし、同号の次に次の一号を加える。
九 日本脳炎
第二条第二項第十一号を同項第十号とし、同項に次の一号を加える。
十一 前各号に掲げる疾病のほか、その発生及びまん延を予防するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病として政令で定める疾病
第二条の次に次の章名を付する。
第二章 予防接種の実施
第三条及び第四条を削る。
第五条中「この法律の定めるところにより」を「当該市町村の区域内に居住する者に対し、前条第二項第一号から第六号までに掲げる疾病のうち政令で定める疾病について、政令で定める定期において」に、「基く」を「基づく」に改め、「以下第八条において同じ。」を削り、「指示を受け」の下に「期日を指定して」を加え、同条に次のただし書を加える。
ただし、当該予防接種を受けることが適当でない者として厚生省令で定める者に対しては、この限りでない。
第五条を第三条とし、同条の次に次の二条を加える。
第四条 前条の規定による予防接種の対象者は、その指定された期日に、市町村長の行う予防接種を受けなければならない。
第五条 前条の規定により予防接種を受けるべき者が、第三条に規定する定期内に、市町村長以外の者についてこれに相当する予防接種を受けたときは、前条の規定により予防接種を受けたものとみなす。
第六条第二項を削る。
第六条の二を削る。
「第二章 実施方法」を削る。
第七条から第十五条までを次のように改める。
第七条 前条の規定により予防接種を受けるべき者として指定された者は、その指定された期日に、都道府県知事又は市町村長の行う予防接種を受けなければならない。
第八条 前条の規定により予防接種を受けるべき者が、その予防接種を受けるべき期日前三月以内に、都道府県知事及び市町村長以外の者についてこれに相当する予防接種を受けたときは、同条の規定により予防接種を受けたものとみなす。
第九条 都道府県知事は、痘そう、コレラその他厚生大臣が定める疾病のまん延予防上緊急の必要があると認めるときは、予防接種を受けるべき者の範囲及び期日を指定して、臨時に予防接種を行い、又は市町村長に行わせることができる。
2 厚生大臣は、前項に規定する疾病のまん延予防上緊急の必要があると認めるときは、政令の定めるところにより、同項の予防接種を都道府県知事に行わせることができる。
第十条 前条第一項の規定により予防接種を受けるべき者として指定された者は、その指定された期日に、都道府県知事又は市町村長の行う予防接種を受けなければならない。
第十一条 前条の規定により予防接種を受けるべき者が、その予防接種を受けるべき期日前三月以内に、都道府県知事及び市町村長以外の者についてこれに相当する予防接種を受けたときは、同条の規定により予防接種を受けたものとみなす。
第十二条 この章の規定により予防接種を受けるべき者が十六歳未満の者又は禁治産者であるときは、その保護者において、その者に予防接種を受けさせるため必要な措置を講じなければならない。
第十三条 次に掲げる者は、十六歳未満の児童、生徒その他これらに準ずる者、禁治産者又は十六歳未満の寄ぐう者の保護者が、前条の義務を履行していない場合には、その保護者に対し、同条の義務を履行すべき旨を指示しなければならない。
一 乳児院、保育所その他の児童福祉施設の長
二 学校、病院その他これらに準ずる施設の長
三 雇用の目的をもつて人を寄ぐうさせる者
2 前項各号に掲げる者は、同項に規定する児童、生徒その他の者に予防接種を受けさせることができる。
第十四条 この章に規定するもののほか、予防接種の実施に関して必要な事項は、厚生省令で定める。
第十五条 削除
第三章を次のように改める。
第三章 削除
第十六条から第十九条まで 削除
第二十条中「、予防接種を行うため必要な経費」を「予防接種を行うために要する費用」に改め、「第六条」の下に「及び第九条第一項」を加える。
第二十三条中「市町村長は、第五条」を「第三条又は第六条」に、「行つたとき」を「行つた者」に、「但し」を「ただし」に改める。
第二十六条及び第二十七条を次のように改める。
第二十六条 第十条の規定に違反した者(十六歳末満の者及び禁治産者を除く。)又は第九条第一項の規定による予防接種について第十二条の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。
第二十七条 削除
第三十二条の二中「急性灰白髄炎以外の疾病の定期の予防接種」を「第三条及び第六条の規定による予防接種(政令で定めるものを除く。)」に、「、第二十二条及び第二十四条第一項(国庫の負担に関する部分に限る。)」を「及び第二十二条」に改める。
第二条 予防接種法の一部を次のように改正する。
第三章を次のように改める。
第三章 雑則
第十六条 市町村長は、当該市町村の区域内に居住する間に第四条、第七条又は第十条の規定により予防接種を受けた者(第五条、第八条又は第十一条の規定により当該予防接種を受けたものとみなされる者を含む。)が、疾病にかかり、廃疾となり、又は死亡した場合において、当該疾病、廃疾又は死亡が当該予防接種を受けたことによるものであると厚生大臣が認定したときは、次条及び第十八条第一項に定めるところにより、給付を行う。
2 厚生大臣は、前項の認定を行うに当たつては、伝染病予防調査会の意見を聴かなければならない。
第十七条 前条第一項の規定による給付(以下単に「給付」という。)は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者に対して行う。
一 医療費及び医療手当 予防接種を受けたことによる疾病について医療を受ける者
二 障害児養育年金 予防接種を受けたことにより政令で定める程度の廃疾の状態にある十八歳未満の者を養育する者
三 障害年金 予防接種を受けたことにより政令で定める程度の廃疾の状態にある十八歳以上の者
四 死亡一時金 予防接種を受けたことにより死亡した者の政令で定める遺族
五 葬祭料、予防接種を受けたことにより死亡した者の葬祭を行う者
第十八条 前条に定めるもののほか、給付の額、支給方法その他給付に関して必要な事項は、政令で定める。
2 厚生大臣は、前条第二号から第四号まで及び前項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、伝染病予防調査会の意見を聴かなければならない。
第十九条 市町村長は、給付を受けるべき者が同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、給付を行わないことができる。
2 市町村長は、給付を受けた者が同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、その受けた給付の額に相当する金額を返還させることができる。
第十九条の二 市町村長は、偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、国税徴収の例により、その者から、その受けた給付の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
第十九条の三 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
第十九条の四 租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
「第四章 費用」を削る。
第二十条に次の一項を加える。
2 給付に要する費用は、市町村の支弁とする。
第二十一条中「前条」を「前条第一項」に、「負担しなければならない」を「負担する」に改め、同条に次の一項を加える。
2 都道府県は、政令の定めるところにより、前条第二項の規定により市町村の支弁する額の四分の三を負担する。
第二十二条中「第二十条」を「第二十条第一項」に、「前条」を「前条第一項」に改め、同条に次の一項を加える。
2 国庫は、前条第二項の規定により都道府県の負担する額の三分の二を負担する。
「第五章 罰則」を「第四章 罰則」に改める。
第三十二条の二中「第二十一条及び第二十二条」を「第二十一条第一項及び第二十二条第一項」に改める。
(結核予防法の一部改正)
第三条 結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二十一条」を「第二十一条の二」に改める。
第二十一条の次に次の一条を加える。
(予防接種による健康被害の救済に関する措置)
第二十一条の二 市町村長は、その管轄する区域内に居住する間に第十六条の規定により予防接種を受けた者(第十七条第一項の規定により当該予防接種を受けたものとみなされる者を含む。)又は第十八条第一項の規定により予防接種を受けた者が、疾病にかかり、廃疾となり、又は死亡した場合において、当該疾病、廃疾又は死亡が当該予防接種を受けたことによるものであると厚生大臣が認定したときは、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第十六条第一項の規定による給付の例により、給付を行う。
2 予防接種法第十六条第二項及び第十九条から第十九条の四までの規定は、前項の給付について準用する。
第五十二条中「左に」を「次に」に改め、同条に次の一号を加える。
五 第二十一条の二第一項の規定による給付に要する費用
第五十五条の次に次の一条を加える。
(都道府県の負担)
第五十五条の二 都道府県は、第五十二条第五号の費用に対して、政令で定めるところにより、その四分の三を負担する。
第五十六条中「左に」を「次に」に改め、同条第一号中「第五十二条各号」を「第五十二条第一号から第四号まで」に改め、同条第三号中「前条各号」を「第五十五条各号」に改める。
第五十六条の二に次の一項を加える。
2 国庫は、第五十五条の二の規定により都道府県が負担する費用に対して、その三分の二を負担する。
第五十七条中「左に」を「次に」に改め、同条第二号中「前条第二号」を「前条第一項第二号」に改める。
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第二条、第三条及び附則第三条から附則第五条までの規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 第二条の規定による改正後の予防接種法第十六条第一項の規定及び第三条の規定による改正後の結核予防法第二十一条の二第一項の規定は、前項の政令で定める日以後に行われた予防接種を受けたことによる疾病、廃疾及び死亡について適用する。
(罰則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(従前の予防接種による健康被害の救済に関する措置)
第三条 附則第一条第一項ただし書の政令で定める日前に予防接種法若しくは結核予防法の規定により行われた予防接種又はこれらに準ずるものとして厚生大臣が定める予防接種を受けた者が、同日以後に疾病にかかり、若しくは廃疾となつている場合又は死亡した場合において、当該疾病、廃疾又は死亡が当該予防接種を受けたことによるものと厚生大臣が認定したときは、当該予防接種を受けた者の当該予防接種を受けた当時の居住地の市町村長は、政令で定めるところにより、予防接種法第十六条第一項の規定による給付に準ずる給付を行う。
2 予防接種法第十六条第二項、第十九条から第十九条の四まで、第二十条第二項、第二十一条第二項及び第二十二条第二項の規定は、前項の規定による給付について準用する。
(地方財政法の一部改正)
第四条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
第十条第五号中「予防接種」の下に「並びに予防接種を受けたことによる疾病、廃疾及び死亡について行う給付」を加える。
(厚生省設置法の一部改正)
第五条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第二十九条の表伝染病予防調査会の項中「伝染病の予防」の下に「並びに予防接種を受けたことによる疾病、廃疾及び死亡について行う給付」を加える。
(厚生・自治・内閣総理大臣署名)