民法等の一部を改正する法律
法律第六十六号(昭五一・六・一五)
(民法の一部改正)
第一条 民法(明治三十一年法律第九号)の一部を次のように改正する。
第七百六十七条に次の一項を加える。
前項の規定によつて婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、離婚の際に称していた氏を称することができる。
(人事訴訟手続法の一部改正)
第二条 人事訴訟手続法(明治三十一年法律第十三号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「夫婦ガ夫ノ氏ヲ称スルトキハ夫、妻ノ氏ヲ称スルトキハ妻ガ普通裁判籍ヲ有スル地」を「夫婦ガ共通ノ住所ヲ有スルトキハ其住所地、夫婦ガ最後ノ共通ノ住所ヲ有シタル地ノ地方裁判所ノ管轄区域内ニ夫又ハ妻ガ住所ヲ有スルトキハ其住所地、其管轄区域内ニ夫婦ガ住所ヲ有セザルトキ及ビ夫婦ガ共通ノ住所ヲ有シタルコトナキトキハ夫又ハ妻ガ普通裁判籍ヲ有スル地」に改め、同条第三項を次のように改める。
前二項ノ規定ニ依リ管轄裁判所ガ定マラザルトキハ第一項ノ訴ハ最高裁判所ノ指定シタル地ノ地方裁判所ノ管轄ニ専属ス
第一条の次に次の一条を加える。
第一条ノ二 裁判所ハ其管轄ニ属スル婚姻事件ニ付キ著シキ損害又ハ遅滞ヲ避クル為メ必要アリト認ムルトキハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ其事件ヲ他ノ管轄裁判所ニ移送スルコトヲ得
第二十六条中「第三項」の下に「、第一条ノ二」を加える。
(戸籍法の一部改正)
第三条 戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の一部を次のように改正する。
第十条を次のように改める。
第十条 何人でも手数料を納めて、戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書の交付の請求をすることができる。
前項の請求は、法務省令で定める場合を除き、その事由を明らかにしてしなければならない。
市町村長は、第一項の請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。
第一項の請求をする場合においては、手数料のほかに郵送料を納めて、同項の謄本、抄本又は証明書の送付を求めることができる。
第十二条第二項中「乃至」を「及び」に改める。
第二章中第十二条の次に次の一条を加える。
第十二条の二 除かれた戸籍に記載されている者又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、手数料を納めて、その除かれた戸籍の謄本若しくは抄本又は除かれた戸籍に記載した事項に関する証明書の交付の請求をすることができる。国又は地方公共団体の職員、弁護士その他法務省令で定める者も、同様である。
前項に規定する者以外の者は、相続関係を証明する必要がある場合その他法務省令で定める場合に限り、同項の請求をすることができる。
第十条第四項の規定は、第一項の請求をする場合に準用する。
第十九条に次の一項を加える。
民法第七百六十七条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定によつて離婚又は婚姻の取消しの際に称していた氏を称する旨の届出があつた場合において、その届出をした者を筆頭に記載した戸籍が編製されていないときは、その者について新戸籍を編製する。
第四十五条中「届出義務者」を「届出人」に改める。
第四十八条第三項中「第十条第二項」を「第十条第四項」に改める。
第五十二条第一項中「父がこれをし、父が届出をすることができない場合又は」を「父又は母がこれをし、」に改める。
第六十三条に次の一項を加える。
訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。
第四章第六節中第七十五条の次に次の一条を加える。
第七十五条の二 第七十七条の二の規定は、民法第七百四十九条において準用する同法第七百六十七条第二項の規定によつて婚姻の取消しの際に称していた氏を称しようとする場合に準用する。
第四章第七節中第七十七条の次に次の一条を加える。
第七十七条の二 民法第七百六十七条第二項(同法第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定によつて離婚の際に称していた氏を称しようとする者は、離婚の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
第七十九条中「第六十三条」を「第六十三条第一項」に改める。
第八十六条第一項中「、診断書又は検案書を添附して」を削り、同条第二項中「左の事項を記載し」を「次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付し」に改める。
第八十七条に次の一項を加える。
死亡の届出は、同居の親族以外の親族も、これをすることができる。
第九十二条第三項中「第八十七条第一号又は第二号」を「第八十七条第一項第一号又は第二号」に改める。
第九十四条及び第九十七条中「第六十三条」を「第六十三条第一項」に改める。
第百十七条を次のように改める。
第百十七条 第二十五条第一項、第二十七条から第三十二条まで、第三十四条から第三十九条まで、第四十三条から第四十八条まで、及び第六十三条第二項前段の規定は、戸籍訂正の申請に準用する。
第百二十条中「五百円」を「三万円」に改める。
第百二十一条中「千円」を「五万円」に改める。
第百二十一条の次に次の一条を加える。
第百二十一条の二 偽りその他不正の手段により、第十条第一項若しくは第十二条の二第一項の謄本、抄本若しくは証明書の交付を受け、又は第四十八条第二項(第百十七条において準用する場合を含む。)の規定による閲覧をし、若しくは証明書の交付を受けた者は、五万円以下の過料に処する。
第百二十二条中「左の場合」を「次の場合」に、「千円」を「五万円」に改め、同条第三号中「戸籍簿、除籍簿又は」を削り、同条第四号中「第十条第一項(第十二条第二項において準用する場合を含む。)に規定する」を「第十条第一項若しくは第十二条の二第一項の」に改める。 第百二十四条中「千円」を「十万円」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条中戸籍法第十条、第十二条第二項、第四十八条第三項、第五十二条第一項、第百二十条、第百二十一条、第百二十二条及び第百二十四条の各改正規定並びに同法第十二条及び第百二十一条の次にそれぞれ一条を加える各改正規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(民法の一部改正に伴う経過措置)
2 この法律の施行前三月以内に離婚し、又は婚姻が取り消された場合における第一条の規定による改正後の民法第七百六十七条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同項中「離婚の日から三箇月以内」とあるのは、「民法等の一部を改正する法律(昭和五十一年法律第六十六号)の施行の日から三箇月以内」とする。
(人事訴訟手続法の一部改正に伴う経過措置)
3 この法律の施行前に訴えの提起があつた事件については、第二条の規定による改正後の人事訴訟手続法の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(戸籍法の一部改正に伴う経過措置)
4 第三条中戸籍法第五十二条第一項の改正規定の施行の日前十三日以内に出生した子について、同項の規定の改正により新たに届出義務者となつた母の届出に関する戸籍法第四十三条第一項の規定の適用については、同項中「届出事件発生の日」とあるのは、「民法等の一部を改正する法律(昭和五十一年法律第六十六号)第三条中戸籍法第五十二条第一項の改正規定の施行の日」とする。
5 附則第一項ただし書に掲げる各改正規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(法務・内閣総理大臣署名)