消防法の一部を改正する法律
法律第九十七号(昭四六・六・一)
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
第八条第二項中「政令で定める防火対象物の管理について」を削り、同条に次の一項を加える。
消防長又は消防署長は、第一項の防火管理者が定められていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、同項の規定により防火管理者を定めるべきことを命ずることができる。
第八条の二に次の一項を加える。
消防長又は消防署長は、第一項の自治省令で定める事項が定められていないと認める場合には、同項の権原を有する者に対し、同項の規定により当該事項を定めるべきことを命ずることができる。
第十一条第三項に次のただし書を加える。
ただし、製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更する場合において、当該製造所、貯蔵所又は取扱所のうち当該変更の工事に係る部分以外の部分の全部又は一部について市町村長等の承認を受けたときは、完成検査を受ける前においても、仮に、当該承認を受けた部分を使用することができる。
第十二条の二第二号中「第十一条第三項に規定する完成検査を受けないで」を「第十一条第三項の規定に違反して」に改める。
第十三条第一項中「製造所」を「政令で定める製造所」に、「危険物取扱主任者免状の交付を受けている者のうちから、危険物取扱主任者」を「甲種危険物取扱者(甲種危険物取扱者免状の交付を受けている者をいう。以下同じ。)又は乙種危険物取扱者(乙種危険物取扱者免状の交付を受けている者をいう。以下同じ。)のうちから免険物の保安の監督をする者」に、「危険物の取扱作業」を「その者が取り扱うことができる危険物の取扱作業」に改め、同条第二項中「危険物取扱主任者」を「危険物の保安の監督をする者」に改め、同条第三項中「危険物取扱主任者以外の者」を「危険物取扱者(危険物取扱者免状の交付を受けている者をいう。以下同じ。)以外の者」に、「危険物取扱主任者が」を「甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者が」に改める。
第十三条の二第一項及び第二項を次のように改める。
危険物取扱者免状の種類は、甲種危険物取扱者免状、乙種危険物取扱者免状及び丙種危険物取扱者免状とする。
危険物取扱者が取り扱うことができる危険物及び甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者がその取扱作業に関して立ち会うことができる危険物の種類は、前項に規定する危険物取扱者免状の種類に応じて自治省令で定める。
第十三条の二第三項及び第四項中「危険物取扱主任者免状」を「危険物取扱者免状」に、「危険物取扱主任者試験」を「危険物取扱者試験」に改め、同条第五項中「危険物取扱主任者免状の交付を受けている者」を「危険物取扱者」に、「その危険物取扱主任者免状」を「危険物取扱者免状」に改め、同条第六項中「危険物取扱主任者免状」を「危険物取扱者免状」に改める。
第十三条の三第一項中「危険物取扱主任者試験」を「危険物取扱者試験」に改め、同条第二項を次のように改める。
危険物取扱者試験の種類は、甲種危険物取扱者試験、乙種危険物取扱者試験及び丙種危険物取扱者試験とする。
第十三条の三第五項中「前四項」を「前各項」に、「危険物取扱主任者試験」を「危険物取扱者試験」に改め、同条第四項中「乙種危険物取扱主任者試験」を「乙種危険物取扱者試験」に改め、同条第三項中「甲種危険物取扱主任者試験」を「甲種危険物取扱者試験」に、「乙種危険物取扱主任者免状」を「乙種危険物取扱者免状」に改め、同項の前に次の一項を加える。
危険物取扱者試験は、前項に規定する危険物取扱者試験の種類ごとに、毎年一回以上、都道府県知事が行なう。
第十三条の三の次に次の二条を加える。
第十三条の四 前条第一項に規定する危険物取扱者試験の実施に関する事務を行なわせるため、都道府県に、危険物取扱者試験委員を置く。
前項の危険物取扱者試験委員の組織、任期その他危険物取扱者試験委員に関し必要な事項は、当該都道府県の条例で定める。
第十三条の五 製造所、貯蔵所又は取扱所において危険物の取扱作業に従事する危険物取扱者は、自治省令で定めるところにより、都道府県知事(自治大臣が指定する市町村長その他の機関を含む。)が行なう危険物の取扱作業の保安に関する講習を受けなければならない。
第十六条の二を次のように改める。
第十六条の二 移動タンク貯蔵所(車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所をいう。以下同じ。)による危険物の移送は、当該危険物を取り扱うことができる危険物取扱者を乗車させてこれをしなければならない。
前項の危険物取扱者は、移動タンク貯蔵所による危険物の移送に関し政令で定める基準を遵守し、かつ、当該危険物の保安の確保について細心の注意を払わなければならない。
危険物取扱者は、第一項の規定により危険物の移送をする移動タンク貯蔵所に乗車しているときは、危険物取扱者免状を携帯していなければならない。
第十六条の三中「完成検査」の下に「(第十一条第三項ただし書の承認を含む。)」を加え、「危険物取扱主任者の試験又は危険物取扱主任者免状」を「危険物取扱者試験、危険物取扱者免状」に改め、「再交付」の下に「又は危険物の取扱作業の保安に関する講習」を加える
第十六条の四第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項の前に次の一項を加える。
消防吏員又は警察官は、危険物の移送に伴う火災の防止のため特に必要があると認める場合には、走行中の移動タンク貯蔵所を停止させ、当該移動タンク貯蔵所に乗車している危険物取扱者に対し、危険物取扱者免状の提示を求めることができる。この場合において、消防吏員及び警察官がその職務を行なうに際しては、互いに密接な連絡をとるものとする。
第二十一条の五十一第一号中「第二十一条の十九第二項、」を削る。
第三十五条の五第一項中「消防本部を置かなければならない市町村で政令で定める基準に該当するもの」を「政令で定める市町村」に改め、同条第二項を削る。
第四十二条第一項第四号中「危険物取扱主任者」を「危険物の保安の監督をする者」に改める。
第四十三条第一項第一号中「第八条第一項の規定」を「第八条第三項の規定による命令」に改め、同項に次の一号を加える。
四 第十六条の二第一項の規定に違反した者
第四十四条中第十四号を第十六号とし、第三号から第十三号までを二号ずつ繰り下げ、同条第二号中「第十六条の四」を「第十六条の四第一項」に改め、同号の次に次の二号を加える。
三 第十六条の二第三項の規定に違反した者
四 第十六条の四第二項の規定による消防吏員又は警察官の停止に従わず、又は提示の要求を拒んだ者
第四十五条を次のように改める。
第四十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第四十一条第一項第二号若しくは第三号、第四十二条第一項(同項第五号及び第八号を除く。)、第四十三条第一項、第四十三条の二又は第四十四条第七号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
別表第一類の項中
「 |
過酸化物 A |
五〇 |
」 |
過酸化物 B |
五〇 |
を
「 |
過酸化物 |
五〇 |
」 |
に改め、同表第四類の項を次のように改める。
第四類 |
|
リットル |
特殊引火物 |
五〇 |
|
第一石油類 |
一〇〇 |
|
さく酸エステル類 |
二〇〇 |
|
ぎ酸エステル類 |
二〇〇 |
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メチルエチルケトン |
二〇〇 |
|
アルコール類 |
二〇〇 |
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ピリジン |
二〇〇 |
|
クロールベンゾール |
三〇〇 |
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第二石油類 |
五〇〇 |
|
第三石油類 |
二、〇〇〇 |
|
第四石油類 |
三、〇〇〇 |
|
動植物油類 |
三、〇〇〇 |
別表備考を次のように改める。
備 考
一 金属粉Aとは、マグネシウム及びアルミニウムの粉、箔及びリボン(写真撮影用その他に用いるせん光粉を含む。)をいい、金属粉Bとは、マグネシウム及びアルミニウム以外の金属粉をいう。
二 特殊引火物とは、エーテル、二硫化炭素及びコロジオンのほか、七六〇ミリメートルの気圧において、液体(温度二〇度で液状であるもの又は温度二〇度をこえ四〇度以下の間において液状となるものをいう。以下同じ。)であつて、着火温度が一〇〇度以下のもの又は引火点が零下二〇度以下で沸点が四〇度以下のものをいう。
三 第一石油類、第二石油類、第三石油類又は第四石油類とは、それぞれ、次に掲げる物品及び性状(七六〇ミリメートルの気圧のもとにおける性状をいう。)を有するものをいう。
イ 第一石油類とは、アセトン及びガソリンのほか、液体であつて、引火点が二一度未満のものをいう。
ロ 第二石油類とは、灯油及び軽油のほか、液体であつて、引火点が二一度以上七〇度未満のものをいう。
ハ 第三石油類とは、重油及びクレオソート油のほか、温度二〇度で液状であるものであつて、引火点が七〇度以上二〇〇度未満のものをいう。
ニ 第四石油類とは、ギヤー油及びシリンダー油のほか、温度二〇度で液状であるものであつて、引火点が二〇〇度以上のものをいう。
四 アルコール類には、フーゼル抽及び変性アルコールを含む。
五 動植物油類とは、七六〇ミリメートルの気圧において、温度二〇度で液状である動植物油類であつて、不燃性容器に収納密栓され、かつ、貯蔵保管されているもの以外のものをいう。
六 セルロイド類とは、ニトロセルローズを主材とした製品、半製品及び屑をいう。
七 ニトロ化合物とは、二硝基以上を有するものをいう。
八 濃硝酸とは、比重一・四九以上のものをいい、濃硫酸とは、比重一・八二以上のものをいう。
九 塗料類その他品名の異なる危険物を混合したものの属する品名は、自治省令で定める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、別表の改正規定は昭和四十七年一月一日から、第十六条の二及び第十六条の四の改正規定、第四十三条第一項の改正規定(同項第一号に係る部分を除く。)並びに第四十四条の改正規定は同年十月一日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行の日(別表の改正規定にあつては、当該改正規定の施行の日。以下「施行日」という。)前に改正前の消防法(以下「旧法」という。)の規定に基づいてされている許可の申請、届出その他の手続又は旧法の規定に基づいてされた許可その他の処分は、別段の定めがあるものを除き、改正後の消防法(以下「新法」という。)の相当規定に基づいてされた手続又は処分とみなす。
3 昭和四十七年一月一日において現に設置されている製造所、貯蔵所又は取扱所で、新たに新法第十一条第一項の規定による許可を受けなければならないこととなるものについては、同項の規定は、同年十二月三十一日までの間、適用しない。
4 昭和四十七年一月一日において現に旧法第十一条の規定により許可を受けて設置されている製造所、貯蔵所又は取扱所で、その位置、構造及び設備が新法第十条第四項の技術上の基準に適合しないものについては、同年十二月三十一日までの間、同項の規定にかかわらず、なお従前の例による。
5 この法律の施行の際現に旧法第十三条の二第三項の規定により甲種危険物取扱主任者免状又は乙種危険物取扱主任者免状の交付を受けている者は、それぞれ新法第十三条の二第三項の規定により甲種危険物取扱者免状又は乙種危険物取扱者免状の交付を受けている者とみなす。
6 この法律の施行の際現に旧法第十三条の三第二項に規定する甲種危険物取扱主任者試験又は乙種危険物取扱主任者試験に合格している者は、それぞれ新法第十三条の三第二項に規定する甲種危険物取扱者試験又は乙種危険物取扱者試験に合格した者とみなす。
7 都道府県知事は、新法第十三条の三第二項に規定する丙種危険物取扱者試験を、施行日から昭和四十七年九月三十日までの間において、少なくとも二回以上行なうように努めなければならない。
8 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(沖縄における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法の一部改正)
9 沖縄における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法(昭和四十四年法律第四十七号)の一部を次のように改正する。
第二十九条中「危険物取扱主任者免状」を「危険物取扱者免状」に改める。
(自治・内閣総理大臣署名)