沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律

法律第百二十九号(昭四六・一二・三一)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 沖縄県(第三条―第六条)

 第三章 沖縄県の市町村(第七条―第九条)

 第四章 裁判の効力の承継等

  第一節 民事関係(第十条―第二十四条)

  第二節 刑事関係(第二十五条―第三十条)

 第五章 琉球政府等の権利義務の承継等(第三十一条―第三十五条)

 第六章 法人の権利義務の承継等(第三十六条―第四十八条)

 第七章 通貨の交換等(第四十九条―第五十二条)

 第八章 法令の適用に関する特別措置

  第一節 通則(第五十三条・第五十四条)

  第二節 総理府関係(第五十五条―第六十二条)

  第三節 法務省関係(第六十三条―第六十七条)

  第四節 大蔵省関係(第六十八条―第九十三条)

  第五節 文部省関係(第九十四条―第九十九条)

  第六節 厚生省関係(第百条―第百四条)

  第七節 農林省関係(第百五条―第百十八条)

  第八節 通商産業省関係(第百十九条―第百二十二条)

  第九節 運輸省関係(第百二十三条―第百二十九条)

  第十節 郵政省関係(第百三十条―第百三十六条)

  第十一節 労働省関係(第百三十七条―第百四十六条)

  第十二節 建設省関係(第百四十七条―第百四十九条)

  第十三節 自治省関係(第百五十条―第百五十五条)

 第九章 雑則(第百五十六条・第百五十七条)

 附則

   第一章 総則


 (趣旨)

第一条 この法律は、沖縄の復帰に伴い、本邦の諸制度の沖縄県の区域における円滑な実施を図るために必要な特別措置を定めるものとする。


 (定義)

第二条 この法律において「沖縄」とは、硫黄鳥島及び伊平屋島並びに北緯二十七度以南の南西諸島(大東諸島を含む。)をいう。

2 この法律において「本土」とは、沖縄以外の本邦の地域をいう。

3 この法律において「沖縄法令」とは、この法律の施行の際沖縄に適用されていた法令をいう。

4 この法律において「本土法令」とは、この法律の施行の際本土に適用されていた法令をいう。

   第二章 沖縄県


 (沖縄県の地位)

第三条 従前の沖縄県は、当然に、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)に定める県として存続するものとする。


 (沖縄県の条例等に関する暫定措置)

第四条 沖縄法令のうち、法律又はこれに基づく政令により沖縄県又はその機関に属させられることとなる事務に相当する事務について規定している沖縄法令で本邦の法令に抵触しないものは、政令で定めるところにより、この法律の施行の日から起算して三月を経過する日までの間、地方自治法の規定による沖縄県の条例、規則その他の規程としての効力を有するものとする。


 (沖縄県の議会の議員及び知事の選挙)

第五条 沖縄県の議会の議員及び知事の選挙は、この法律の施行の日から起算して五十日をこえない範囲内において沖縄県の選挙管理委員会が定める日に行なうものとする。

2 この法律の施行の際琉球政府の立法院議員又は行政主席の職にある者は、前項の選挙において沖縄県の議会の議員又は知事が選挙されるまでの間、それぞれ沖縄県の議会の議員又は知事の職にある者とみなす。


 (沖縄県の主要公務員の選任又は選挙)

第六条 沖縄県の公安委員会、選挙管理委員会、人事委員会、地方労働委員会若しくは収用委員会の委員又は監査委員の選任(選挙管理委員にあつては、議会における選挙)は、前条第一項の選挙において沖縄県の議会の議員及び知事が選挙された後に、遅滞なく行なうものとする。沖縄県の副知事又は出納長の選任についても、同様とする。

2 沖縄県の海区漁業調整委員会の委員の選任又は選挙は、この法律の施行の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日に行なうものとする。

3 この法律の施行の際琉球政府の中央教育委員会、公安委員会、中央選挙管理委員会、人事委員会、中央労働委員会、収用審査会若しくは漁業調整委員会の委員(委員に欠員があるときに補充される地位にある者を含む。以下この項において同じ。)又は会計検査院の検査官の職にある者は、前二項の規定による沖縄県の委員会の委員の選任若しくは選挙又は監査委員の選任が行なわれるまでの間(中央教育委員会の委員にあつては、昭和四十七年十二月三十一日までの間)、それぞれ沖縄県の相当の委員会の委員又は監査委員の職にある者とみなす。この場合には、沖縄県に置かれるべき海区漁業調整委員会の数は、一とする。

4 この法律の施行の際琉球政府の行政副主席の職にある者は、前条第一項の選挙において沖縄県の知事が選挙されるまでの間、沖縄県の副知事の職にある者とみなす。ただし、地方自治法第百六十一条第一項ただし書の規定により、条例で、副知事が置かれないこととされた場合には、この限りでない。

5 第一項の規定により沖縄県の出納長が選任されるまでの間、出納長の職務は、沖縄県知事が指定する職員が行なうものとする。

   第三章 沖縄県の市町村


 (市町村の地位)

第七条 沖縄の市町村は、地方自治法の規定による市町村となるものとする。


 (市町村の条例等に関する経過措置)

第八条 沖縄の市町村の条例、規則その他の規程で、本邦の法令及び沖縄県の条例、規則その他の規程に抵触しないものは、地方自治法の規定による市町村の条例、規則その他の規程としての効力を有するものとする。


 (市町村の機関に関する経過措置)

第九条 この法律の施行の際沖縄の市町村の議会の議員、長、委員会の委員(委員に欠員があるときに補充される地位にある者を含む。以下この項において同じ。)又は委員その他の職員として在職する者は、その市町村の議会の議員、長、委員会の委員又は委員その他の相当の職員となるものとする。この場合において、これらの職員のうち、沖縄法令の規定により任期が定められているもので、地方自治法の規定によつても任期の定めのあるものの任期は、同法の規定によるものとし、沖縄法令の規定によりこれらの者が選挙され、又は選任された日から起算するものとする。

2 この法律の施行の際教育区の教育委員会の委員の職にある者は、昭和四十八年三月三十一日までの間、当該教育区と区域を一にする市町村の教育委員会の委員の職にある者とみなす。

   第四章 裁判の効力の承継等

    第一節 民事関係


 (民事事件等の手続の承継)

第十条 沖縄の人身保護法(千九百六十九年立法第七十七号)、沖縄の電波法(千九百五十五年立法第八十号)、立法院議員選挙法(千九百五十六年立法第一号)、市町村議会議員及び市町村長選挙法(千九百六十八年立法第七十四号)、行政主席選挙法(千九百六十八年立法第七十五号)又は沖縄住民の国政参加特別措置法に基づく衆議院議員及び参議院議員選挙法(千九百七十年立法第九十八号)の規定による事件(刑事事件及び沖縄の電波法第九十二条第一項の規定により異議の申立てを却下する決定に対する訴えに係る事件を除く。)について琉球政府の高等裁判所(以下この章において「旧高等裁判所」という。)において沖縄法令によりした事件の受理その他の手続は、最高裁判所において本邦の相当法令によりした事件の受理その他の手続とみなす。

第十一条 旧高等裁判所において沖縄法令によりした事件の受理その他の手続(分限事件、刑事事件及び少年の保護事件に関するものを除く。)は、この法律に別段の定めがある場合を除き、福岡高等裁判所において本邦の相当法令によりした事件の受理その他の手続とみなす。

2 立法院議員選挙法、市町村議会議員及び市町村長選挙法(第十六条第一項(第二十一条において準用する場合を含む。)を除く。)、行政主席選挙法又は沖縄住民の国政参加特別措置法に基づく衆議院議員及び参議院議員選挙法の規定による事件(刑事事件を除く。)について琉球政府の地方裁判所(以下この章において「旧地方裁判所」という。)において沖縄法令によりした事件の受理その他の手続は、福岡高等裁判所において本邦の相当法令によりした事件の受理その他の手続とみなす。

3 沖縄の電波法の規定による事件(刑事事件及び同立法第九十二条第一項の規定により異議の申立てを却下する決定に対する訴えに係る事件を除く。)について旧地方裁判所において沖縄法令によりした事件の受理その他の手続は、東京高等裁判所において本邦の相当法令によりした事件の受理その他の手続とみなす。

4 この法律の施行の際第二審として旧高等裁判所に係属している上告事件(刑事事件及び前条に規定する事件を除く。)についてされた上告の提起は、控訴の提起とみなす。

第十二条 旧地方裁判所において沖縄法令によりした事件の受理その他の手続(刑事事件に関するものを除く。)は、この法律に別段の定めがある場合を除き、那覇地方裁判所において本邦の相当法令によりした事件の受理その他の手続とみなす。

2 琉球政府の簡易裁判所(以下この章において「旧簡易裁判所」という。)の権限に属する事項で本邦の法令によれば地方裁判所の権限に属すべきもの(刑事事件に関するものを除く。)について旧簡易裁判所において沖縄法令によりした事件の受理その他の手続は、那覇地方裁判所において本邦の相当法令によりした事件の受理その他の手続とみなす。

3 地方裁判所は、第一項の規定に基づいて取り扱うべき事件で、旧地方裁判所の権限に属していたものについては、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)の規定によれば地方裁判所の権限に属しない事項についても、裁判権を有する。

第十三条 琉球政府の家庭裁判所(以下この章において「旧家庭裁判所」という。)において沖縄法令によりした事件の受理その他の手続(刑事事件及び少年の保護事件に関するものを除く。)は、那覇家庭裁判所において本邦の相当法令によりした事件の受理その他の手続とみなす。

第十四条 旧簡易裁判所において沖縄法令によりした事件の受理その他の手続(刑事事件に関するものを除く。)は、この法律に別段の定めがある場合を除き、当該旧簡易裁判所の所在地を管轄する簡易裁判所において本邦の相当法令によりした事件の受理その他の手続とみなす。

第十五条 第十一条第一項及び第四項の規定は琉球列島米国民政府の上訴審裁判所の事件について、第十二条第一項及び第三項並びに第十三条の規定は琉球列島米国民政府の民事裁判所の事件について準用する。

2 前項の事件の手続の費用に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。


 (琉球政府の裁判所等にあてて発せられた書類に関する経過措置)

第十六条 この法律の施行前に琉球政府の裁判所(以下この章において「旧裁判所」という。)又は琉球列島米国民政府の裁判所(以下この章において「民政府の裁判所」という。)にあてて発せられた上告状、控訴状、訴状その他の書類(刑事事件及び少年の保護事件に関するものを除く。)で、この法律の施行の際まだ受理されていないものは、第十条から前条までの規定に基づいて事件を取り扱うべき裁判所にあてたものとみなす。

2 旧地方裁判所又は旧家庭裁判所が第一審としてした判決(第十条に規定する事件及び刑事事件に関するものを除く。)に対してこの法律の施行前に発せられた上告状で、この法律の施行の際まだ受理されていないものは、控訴状とみなす。


 (弁論の更新)

第十七条 第十条から第十五条までの規定に基づいて承継した事件については、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない。


 (公序良俗に反する裁判の効力)

第十八条 旧裁判所及び民政府の裁判所の確定の裁判(刑事事件及び少年の保護事件に関するものを除く。)で公の秩序又は善良の風俗に反するものは、その効力を有しない。


 (民事訴訟法及び非訟事件手続法に関する経過措置)

第十九条 第十条から第十五条までの規定に基づいて承継した事件につき民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)又は非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)を適用し、又は準用するについての経過措置に関しては、民事訴訟法等の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第百二十七号)附則第四項、第八項及び第十項、民事訴訟法の一部を改正する法律(昭和三十九年法律第百三十五号)附則第二項、民事訴訟手続に関する条約等の実施に伴う民事訴訟手続の特例等に関する法律(昭和四十五年法律第百十五号)附則第五項並びに民事訴訟法等の一部を改正する法律(昭和四十六年法律第百号)附則第二項の規定の例による。

2 この法律の施行の際本土の裁判所に係属している事件の沖縄にある当事者の行為に関し民事訴訟法第百五十九条第一項後段(同法以外の法令において準用する場合を含む。)又は非訟事件手続法第二十二条後段(同法以外の法令において準用する場合を含む。)に定める期間が現に進行しているものについては、なお従前の例による。


 (破産法及び和議法に関する経過措置)

第二十条 破産法(大正十一年法律第七十一号)又は和議法(大正十一年法律第七十二号)を適用するについての経過措置に関しては、破産法及び和議法の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第百七十三号)附則第二項から第七項まで及び会社更生法等の一部を改正する法律(昭和四十二年法律第八十八号)附則第六項から第八項までの規定の例による。


 (行政事件訴訟法に関する経過措置)

第二十一条 この法律の施行の際行政事件訴訟特例法(千九百五十三年立法第四十八号)第五条第一項の期間が現に進行している処分又は裁決の取消しの訴えの出訴期間で、処分又は裁決があつたことを知つた日を基準とするものについては、同条第一項、第二項、第四項及び第五項の規定の例による。ただし、その期間は、この法律の施行の日から起算して三月とする。

2 この法律の施行の際行政事件訴訟特例法第五条第三項の期間が現に進行している処分又は裁決の取消しの訴えの出訴期間で、処分又は裁決があつた日を基準とするものについては、同条第三項から第五項までの規定の例による。

3 前二項の規定は、この法律の施行後に審査請求がされた場合における行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第十四条第四項の規定の適用を妨げない。

4 前三項に定めるもののほか、行政事件訴訟法を適用するについての経過措置に関しては、同法附則第四条から第六条まで及び附則第八条から第十一条までの規定の例による。


 (民事事件等の不服申立期間に関する特例)

第二十二条 第十条から第十五条までの規定により本土の裁判所においてしたものとみなされる裁判に対する上訴その他の不服の申立ての期間は、この法律の施行の際その期間が満了していない場合に限り、この法律の施行の日から起算する。


 (民事事件の手続の費用に関する経過措置)

第二十三条 旧裁判所に提起された事件(人身保護事件、刑事事件及び少年の保護事件を除く。)の手続の費用については、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法(昭和四十六年法律第四十二号)第三条第一項から第三項まで、第四条及び第五条の規定の例による。


 (過料に関する経過措置)

第二十四条 この法律の施行の際沖縄に適用されていた過料又は監置(裁判所又は裁判官が科するものに限る。)に関する規定は、この法律に別に定めがある場合を除き、この法律の施行前の行為について、なおその効力を有する。この場合において、当該過料に関する規定に定める過料の額については、第四十九条第一項の規定による交換比率により日本円に換算した額をもつてその額とする。

2 前項の規定によりなおその効力を有することとされる法令の規定による過料の裁判は、次項に定めるものを除き、この法律の施行の際沖縄において旧簡易裁判所が裁判権を有していた場合にあつては簡易裁判所が、旧地方裁判所が裁判権を有していた場合にあつては地方裁判所がするものとする。

3 第一項の規定によりなおその効力を有することとされる沖縄の民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)、沖縄の家事審判法(千九百五十六年立法第八十八号)、沖縄の民事調停法(千九百五十七年立法第九十六号)、法廷等の秩序維持に関する立法(千九百六十八年立法第二十六号)又は沖縄の人身保護法の規定による過料の裁判は、第十条から第十四条までの規定により当該手続を承継した裁判所がするものとする。

    第二節 刑事関係


 (罰則に関する経過措置)

第二十五条 この法律の施行の際沖縄に適用されていた刑罰に関する規定(刑事に関する法令の規定のうち過料又は監置に関するものを含む。以下この項及び第二十七条第一項において同じ。)は、政令で定めるものを除き、この法律の施行前の行為について、なおその効力を有する。この場合において、当該刑罰に関する規定に定める罰金、科料又は過料の額については、第四十九条第一項の規定による交換比率により日本円に換算した額をもつてその額とする。

2 前項の規定によりなおその効力を有することとされる沖縄の刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十六条各号、第二十六条ノ二第一号及び第三号並びに第二十九条第一項第一号から第三号までの規定に定める刑には、この法律の施行後の行為について科せられた刑を含むものとする。

3 この法律の施行の際沖縄に適用されていた刑罰に関する規定のうち、別に定めるもののほか、次に掲げる罰則は、この法律の施行後の行為について、法律としての効力を有する。この場合において、刑法(明治四十年法律第四十五号)第七条の規定は適用せず、公務員及び公務所の意義については、この法律の施行の際沖縄に適用されていた刑罰に関する規定に定めるところによるものとし、かつ、第三号及び第五号の罪は同法第二条の例に、第四号の罪は同法第三条の例に、沖縄の刑法第百九十七条ノ三第三項の罪は刑法第四条の例に従う。

 一 沖縄の刑法第百三条

 二 沖縄の刑法第百三十四条第一項及び同法以外の法令の規定で秘密漏泄の罪を定めるもの

 三 沖縄の刑法第百五十五条及び同条から同法第百五十七条までに記載した文書又は図画に関する同法第百五十八条

 四 沖縄の刑法第百六十条に記載した文書に関する同法第百六十一条

 五 沖縄の刑法第百六十五条及び第百六十六条並びにこれらの規定に関する同法第百六十八条

 六 沖縄の刑法第百九十七条ノ三第三項並びに同項に規定する賄賂に関する同法第百九十七条ノ五及び第百九十八条第一項並びに同法以外の法令の規定で事後収賄及びこれに関する贈賄の罪並びにこれらの罪の賄賂に関する没収及び追徴を定めるもの

4 この法律又はこの法律に基づく政令により、この法律の施行後の行為について、本邦の法令としての効力を有することとされる沖縄法令の罰則に定める懲役、禁錮、罰金、拘留、科料又は没収は、刑法第九条に定める懲役、禁錮、罰金、拘留、科料又は没収とし、当該罰則に定める罰金又は科料の額の換算については、第一項後段の規定を準用する。

5 輸出及び輸入、出入国その他の行為で、この法律の施行前に行なわれたものに対する罰則の適用については、沖縄と本土との関係は変更がなかつたものとみなす。


 (裁判権等の分配)

第二十六条 最高裁判所は、旧高等裁判所が裁判権を有していた事項のうち、次に掲げるものについて裁判権を有する。

 一 旧地方裁判所が刑事に関し上訴審としてした判決に対する上告

 二 沖縄の刑事訴訟法(千九百五十五年立法第八十五号)に定める非常上告及び特に定める抗告

2 高等裁判所は、次の事項について裁判権を有する。

 一 旧高等裁判所が刑事(少年の保護事件を含む。第四項、次条第一項、第二十八条第一項及び第六項並びに第三十条において同じ。)に関し裁判権を有していた事項(前項各号に掲げるものを除く。)

 二 旧地方裁判所が刑事に関し上訴審として裁判権を有していた事項(沖縄の刑事訴訟法第四百三十八条第一項に定める裁判の取消し又は変更の請求を除く。)

 三 沖縄の刑法第七十七条から第七十九条までの罪に係る訴訟の第一審

3 地方裁判所は、旧地方裁判所が刑事に関し裁判権を有していた事項(前項第二号及び第三号に掲げるものを除く。)及び民政府の裁判所が刑事に関し裁判権を有していた事項について裁判権を有する。

4 家庭裁判所は、旧家庭裁判所が刑事に関し権限を有していた事項について権限を有する。

5 簡易裁判所は、旧簡易裁判所が刑事に関し裁判権を有していた事項(沖縄の刑法第九十五条の罪、同法第二百四十六条の罪及びその未遂罪並びに同法第二百四十九条の罪及びその未遂罪並びに長期一年以下の懲役若しくは禁錮にあたる罪(選択刑として罰金が定められているものを除く。)に係る訴訟を除く。)について裁判権を有する。


 (手続、執行等の承継)

第二十七条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)、少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)、監獄法(明治四十一年法律第二十八号)、犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)その他の政令で定める刑事に関する法律及びこれらに基づく命令並びに刑事に関する最高裁判所規則のうち最高裁判所規則で定めるもの(以下この節において「本土の刑事関係法令」という。)の規定(刑罰に関する規定を除く。)は、この法律の施行前に沖縄において生じた事項についても適用する。この場合において、この法律の施行の際沖縄に適用されていた刑事に関する法令(以下この節において「沖縄の刑事関係法令」という。)の規定に関する事項で本土の刑事関係法令にその規定に相当する規定のあるものは、当該本土の刑事関係法令の規定に関する事項と、沖縄の刑事関係法令の規定によつて生じた効力は、本土の刑事関係法令上の相当の効力とみなす。

2 前項後段の規定の適用については、沖縄の刑事訴訟法第四百十五条に定める上告に関する規定は、刑事訴訟法第三編第二章に定める控訴に関する規定に、沖縄の刑事訴訟法第四百十六条に定める上告に関する規定は、刑事訴訟法第三編第三章に定める上告に関する規定に、沖縄の刑事訴訟法第三百七十九条第三項、第三百九十五条第二項、第三百九十六条第二項又は第四百十三条第二項に定める即時抗告に関する規定は、これらに対応する刑事訴訟法第三百七十条第三項、第三百八十五条第二項、第三百八十六条第二項又は第四百三条第二項に定める異議の申立てに関する規定に相当するものとし、民政府の裁判所がした刑事に関する最終の裁判(この法律の施行の際当事者が上訴をすることができた事件で次条第八項後段の規定によりこの法律の施行の際民政府の裁判所に係属しているものとみなされるもの以外のものについての裁判を含むものとし、以下この節において「民政府の裁判所の最終裁判」という。)は、那覇地方裁判所がした刑事に関する確定裁判と、この法律の施行の際琉球政府の更生保護委員会に係属している異議の申立ては、この法律の施行の日に中央更生保護審査会に対してされた審査請求とみなす。

3 沖縄の刑事訴訟法の施行前に旧裁判所に公訴の提起があつた事件については、刑事訴訟法施行法(昭和二十三年法律第二百四十九号)第二条に定める事件の処理に関する法令の規定の例による。この場合においては、第一項の規定を準用する。

第二十八条 旧裁判所においてした刑事に関する事件の受理その他の手続は、当該裁判所の所在地を管轄する裁判所で前二条の規定により当該事件について裁判権その他の権限を有する裁判所(その裁判所が二以上あるときは、この法律の施行の際当該事件が係属している旧裁判所と管轄区域を同じくする裁判所とし、以下この項において「相当裁判所」という。)においてした事件の受理その他の手続と、この法律の施行前に旧裁判所にあてて発せられた刑事に関する訴訟に関する書類でこの法律の施行の際まだ受理されていないものは、相当裁判所にあてたものとみなす。

2 この法律の施行の際旧裁判所に係属している事件についてこの法律の施行前にした公判手続は、これを更新しなければならない。

3 旧裁判所がした裁判その他の処分で前条第一項の規定により本土の刑事関係法令の規定に定める裁判その他の処分とみなされるものの上訴、正式裁判の請求その他の不服の申立ての期間は、この法律の施行の際まだその期間が満了していない場合に限り、この法律の施行の日から起算する。

4 この法律の施行の際公訴の時効が完成していない布告及び布令に定める罪についての時効の期間は、刑法並びに訴訟手続法典(千九百五十五年琉球列島米国民政府布令第百四十四号)第一部第三章第四条又は刑事訴訟法第二百五十条に定める期間のうち、犯人に有利なものによる。

5 旧簡易裁判所がした略式命令又は即決裁判がこの法律の施行後に確定判決と同一の効力を生ずることとなる場合における罰金又は科料の上限の額については、なお従前の例による。この場合において、その額の換算については、第二十五条第一項後段の規定を準用する。

6 この法律の施行前に沖縄において生じた事項に係る刑事訴訟費用、刑事補償その他刑事に関する国の債権債務の額の算定については、なお従前の例による。

7 民政府の裁判所が裁判権を有していた刑事に関する事件(民政府の裁判所の最終裁判があつた事件を除く。)についてこの法律の施行前にされた手続は、この法律の施行後は、事件の受理を除き、その効力を有しない。

8 この法律の施行の際民政府の裁判所に係属している刑事に関する事件について、最高裁判所規則で定める期間内に検察官から刑事訴訟法第二百五十六条に定める起訴状が那覇地方裁判所に差し出されたときは、当該事件は、この法律の施行の日に同裁判所に係属するものとする。この場合において、民政府の裁判所の裁判があつた事件で、この法律の施行の際当事者が上訴をすることができたものについて、最高裁判所規則で定める期間内に当事者から那覇地方裁判所に審理を求める旨の書面の提出があつたときは、当該事件は、この法律の施行の際民政府の裁判所に係属しているものとみなす。

9 沖縄の刑事関係法令の規定による服役良好時間又は特殊良好時間の取得並びに喪失及び取消しについては、なお従前の例による。


 (恩赦)

第二十九条 恩赦に関する法令の規定は、沖縄に適用されていた刑罰に関する規定に定める罪を犯した者についても適用があるものとする。

2 この法律の施行前に沖縄においてされた減刑又は赦免は、それぞれ恩赦法(昭和二十二年法律第二十号)に定める減刑又は大赦若しくは特赦に相当する効力を有するものとみなす。


 (適用除外)

第三十条 この節の規定は、沖縄に設立されていた裁判所が刑事に関してした裁判で昭和二十七年四月二十八日前に確定したもの(沖縄に設立されていた裁判所が同日前に刑事に関してした裁判で、上訴、正式裁判の請求その他の不服の申立てがなく、又はその申立てが取り下げられたため、同日以後に確定したものを含む。)及び民政府の裁判所が昭和三十年四月十日前にした刑事に関する最終の裁判に係る事項については、適用しない。

   第五章 琉球政府等の権利義務の承継等


 (琉球政府の権利義務の承継)

第三十一条 この法律の施行の際琉球政府が有している権利及び義務は、別に法律に定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、その時において、琉球政府の事務又は事業を承継する国又は沖縄県その他の法人が、その承継する事務又は事業の目的又は性格その他の事情に応じて承継する。


 (琉球政府の職員の承継)

第三十二条 この法律の施行の際琉球政府の一般職に属する常勤の職員又は特別職のうち政令で定めるものに属する職員として在職する者は、政令で定めるところにより、国、沖縄県、沖縄県の区域内の市町村又は政令で定める公共的団体の職員となる。


 (琉球政府の決算の処理)

第三十三条 沖縄県知事は、政令で定めるところにより、琉球政府のこの法律の施行の日の前日の属する年度の決算を作成し、沖縄県の監査委員の審査を経て、これを沖縄県の議会に報告するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。

2 沖縄県知事は、前項の規定による決算を作成したときは、すみやかに当該歳入歳出決算並びにこの法律の施行の日の前日における琉球政府の財産、公債及び借入金の現在高その他財政に関する一般の事項について、印刷物の配付その他適当な方法で住民に報告しなければならない。


 (地方教育区の権利義務の承継)

第三十四条 この法律の施行の際教育区又は連合教育区が有している権利及び義務は、別に法律に定めがある場合を除き、その時においてそれぞれ当該教育区と区域を一にする市町村又は沖縄県が承継する。


 (地方教育区の職員の承継)

第三十五条 この法律の施行の際教育区の常勤の職員として在職する者は、当該教育区と区域を一にする市町村の職員となる。

2 この法律の施行の際連合教育区の教育委員会に置かれている教育長及び教育次長並びにその事務局の常勤の職員として在職する者は、政令で定めるところにより、沖縄県又は沖縄県の区域内の市町村の職員となる。

   第六章 法人の権利義務の承継等


 (琉球水道公社)

第三十六条 琉球諸島及び大島諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第六条第一項の規定により政府に移転し、又は政府が引き継いだ琉球水道公社の財産その他の権利及び義務は、政令で定めるものを除き、この法律の施行の時において沖縄県が承継する。


 (琉球電信電話公社)

第三十七条 この法律の施行の際琉球電信電話公社法(千九百五十八年立法第八十七号)に基づく琉球電信電話公社(以下この条において「琉球公社」という。)が有している権利及び義務は、その時において日本電信電話公社(以下この条において「公社」という。)が承継する。

2 この法律の施行の際琉球公社の職員である者は、その時において公社の職員となる。ただし、その時において国際電信電話株式会社に勤務することとなる者については、この限りでない。

3 この法律の施行前に琉球政府から琉球公社に出資された額に相当する額は、日本電信電話公社法(昭和二十七年法律第二百五十号)第五条第二項の規定にかかわらず、この法律の施行の日に政府から公社に追加して出資されたものとする。

4 公社は、この法律の施行の日から起算して九十日を経過する日までは、第一項の規定により琉球公社から引き継いだ国際電気通信業務に必要な設備で日本電信電話公社法第六十八条に規定するものを、同条の規定にかかわらず、国会の議決を経ないで、国際電信電話株式会社に譲渡することができる。ただし、あらかじめ郵政大臣の認可を受けることを要する。


 (沖縄放送協会)

第三十八条 この法律の施行の際沖縄の放送法(千九百六十七年立法第百二十二号)に基づく沖縄放送協会が有している権利及び義務は、その時において日本放送協会が承継する。

2 日本放送協会は、この法律の施行の際における沖縄放送協会の資産の価額(沖縄放送協会の会計における当該資産の帳簿価額をいう。)から負債の金額を控除して残額を生ずるときは、当該残額(当該残額がこの法律の施行の際琉球政府が沖縄放送協会に対し出資している額をこえる場合には、当該出資している額)に相当する額を、この法律の施行の日から起算して一年以内に、国に納付しなければならない。


 (沖縄下水道公社)

第三十九条 この法律の施行の際沖縄下水道公社法(千九百六十七年立法第百六号)に基づく沖縄下水道公社が有している権利及び義務は、その時において沖縄県が承継する。


 (住宅の供給を目的とする沖縄の特別の法人)

第四十条 沖縄の立法により特別の設立行為をもつて設立され、琉球政府が基本財産たる財産の額の二分の一以上に相当する財産を拠出しており、かつ、地方住宅供給公社法(昭和四十年法律第百二十四号)第一条に規定する事業と同様の事業を行なうことを目的とする法人で政令で定めるものは、沖縄県が設立団体である地方住宅供給公社となる。


 (沖縄学校安全会)

第四十一条 この法律の施行の際沖縄学校安全会法(千九百六十五年立法第十号)に基づく沖縄学校安全会が有している権利及び義務は、その時において日本学校安全会が承継する。


 (輸出パインアップルかん詰組合)

第四十二条 パインアップル産業振興法(千九百五十九年立法第百八十五号)に基づく輸出パインアップルかん詰組合は、中小企業団体の組織に関する法律(昭和三十二年法律第百八十五号)に基づく商工組合となる。

2 前項の規定により中小企業団体の組織に関する法律に基づく商工組合となつた輸出パインアップルかん詰組合(以下この条において「かん詰組合」という。)は、この法律の施行の日から起算して三月を経過する日までに、必要な定款の変更につき中小企業団体の組織に関する法律第四十七条第二項において準用する中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第五十一条第二項の認可の申請をしなければならない。

3 かん詰組合は、前項に規定する期間内に同項の規定による認可の申請をしなかつた場合又は当該期間内に当該認可の申請をしたがその認可を受けることができなかつた場合においては、当該期間の満了の時又は当該認可を受けることができないことが確定した時(その時が当該期間の満了前である場合には、当該期間の満了の時)において、すでに解散した場合を除いて、解散する。この場合における解散及び清算については、中小企業団体の組織に関する法律第四十七条第三項において準用する中小企業等協同組合法第六十二条第一項第五号に掲げる事由により解散した商工組合の解散及び清算の例による。

4 かん詰組合については、中小企業団体の組織に関する法律第八条第一項の規定は、第二項の定款の変更につき同項に規定する認可があるまでは、適用しない。


 (各種共済組合)

第四十三条 この法律の施行の際公務員等共済組合法(千九百六十九年立法第百五十四号)に基づく公務員等共済組合、市町村議会議員共済会若しくは市町村関係団体職員共済組合又は公立学校職員共済組合法(千九百六十八年立法第百四十七号)に基づく公立学校職員共済組合が有している権利及び義務は、政令で定めるところにより、その時において公共企業体職員等共済組合法(昭和三十一年法律第百三十四号)に基づく共済組合、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)に基づく共済組合若しくは国家公務員共済組合連合会又は地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)に基づく共済組合、地方議会議員共済会若しくは団体共済組合が承継する。

2 この法律の施行の際沖縄の私立学校教職員共済組合法(千九百七十一年立法第八十三号。第九十六条において「沖縄私学共済組合法」という。)に基づく私立学校教職員共済組合(同条において「沖縄私学共済組合」という。)が有している権利及び義務は、その時において私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号。同条において「私学共済組合法」という。)に基づく私立学校教職員共済組合(同条において「私学共済組合」という。)が承継する。

3 この法律の施行の際沖縄の農林漁業団体職員共済組合法(千九百六十九年立法第八十七号。第百六条において「沖縄農林共済組合法」という。)に基づく農林漁業団体職員共済組合(同条において「沖縄農林共済組合」という。)が有している権利及び義務は、その時において農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号。同条において「農林共済組合法」という。)に基づく農林漁業団体職員共済組合(同条において「農林共済組合」という。)が承継する。


 (法人である沖縄の職員団体等)

第四十四条 琉球政府公務員法(千九百五十三年立法第四号)に基づく法人である職員団体のうち、第三十二条の規定により一般職の国家公務員となる者(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の二第五項に規定する職員(当該職員とみなされる者を含む。)となる者及び公共企業体等労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二項第二号の職員となる者を除く。)が主体となつて組織するものは、国家公務員法に基づく法人である職員団体となる。

2 前項の規定により国家公務員法に基づく法人である職員団体となつたものは、人事院規則で定める日までに、解散したもの及び同法第百八条の三の規定により登録されたものを除き、その日の経過により解散する。この場合における解散及び清算については、同法に基づく法人である職員団体の同法の規定による解散及び清算の例による。

第四十五条 前条の規定は、琉球政府公務員法に基づく法人である職員団体又は沖縄の労働組合法(千九百五十三年立法第四十二号)に基づく法人である労働組合のうち、この法律の規定により沖縄県又は沖縄県の区域内の当該市町村の職員となる者(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十二条第五項に規定する職員となる者及び地方公営企業労働関係法(昭和二十七年法律第二百八十九号)第三条第二項に規定する職員となる者を除く。)がそれぞれ主体となつて組織するもの(沖縄県の区域内の公立学校の職員となる者が主体となつて組織するものを含む。)の地位について準用する。この場合において、前条中「国家公務員法に基づく法人」とあるのは「地方公務員法に基づく法人」と、「人事院規則」とあるのは「政令」と、「第百八条の三」とあるのは「第五十三条」と読み替えるものとする。

第四十六条 沖縄の労働組合法に基づく法人である労働組合又は琉球政府公務員法の規定に基づく法人である職員団体のうち、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第三条の労働者が主体となつて組織するものは、同法に基づく法人である労働組合となる。

2 前項の規定により労働組合法に基づく法人である労働組合となつたものは、政令で定める日までに、解散したもの及び同法第十一条第一項又は公共企業体等労働関係法第三条第二項の規定の例により労働組合法の規定に適合する旨の労働委員会又は公共企業体等労働委員会の証明を受けたものを除き、その日の経過により解散する。この場合における解散及び清算については、同法に基づく法人である労働組合の同法の規定による解散及び清算の例による。


 (宗教団体等)

第四十七条 沖縄の宗教団体法(昭和十四年法律第七十七号)に基づく法人である宗教団体及びこの法律の施行の際琉球政府が保管している神社明細帳に記載されている神社は、それぞれ、宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)に基づく宗教法人となる。

2 前項の規定により宗教法人法に基づく宗教法人となつた者(以下この条において「沖縄宗教法人」という。)は、同法による宗教法人の設立手続の例により、規則を作成し、これについて所轄庁の認証を受けなければならない。この場合における規則の認証の申請は、この法律の施行の日から起算して一年六月以内にしなければならない。

3 沖縄宗教法人は、前項に規定する期間内に同項の規定による規則の認証の申請をしなかつた場合又は当該期間内に当該認証の申請をしたがその認証を受けることができなかつた場合においては、当該期間の満了の時又は当該認証を受けることができないことが確定した時(その時が当該期間の満了前である場合には、当該期間の満了の時)において、すでに解散したものを除いて、解散する。この場合における解散及び清算については、宗教法人法第四十三条第二項第四号に掲げる事由により解散した宗教法人の解散及び清算の例による。

4 宗教法人法第十四条、第八十条、第八十条の二及び第八十二条の規定は第二項の規定による認証に関する決定及びその取消しについて、同法第八十一条(第一項第五号に掲げる事由に係る部分に限る。)の規定は当該認証を受けた沖縄宗教法人が宗教団体でないことが判明したことを事由とする解散命令について、同法第八十七条の規定は当該認証の取消しに関する訴えについて、同法第八十九条の規定は当該認証の申請について、それぞれ準用する。この場合において、同法第十四条第四項中「三月」とあるのは、「一年」と読み替えるものとする。


 (その他の沖縄の法人の地位)

第四十八条 第三十六条から前条までに定めるもののほか、沖縄の民法(明治二十九年法律第八十九号)、沖縄の商法(明治三十二年法律第四十八号)、沖縄の有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)その他本土法令に相当する沖縄法令に基づく法人は、それぞれ、民法(明治二十九年法律第八十九号)、商法(明治三十二年法律第四十八号)、有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)その他当該沖縄法令に相当する本土法令に基づく相当の法人となる。

   第七章 通貨の交換等


 (通貨の交換)

第四十九条 沖縄県の区域内にある居住者は、政令で定めるところにより、当該区域において保有するアメリカ合衆国通貨を、この法律の施行の日前における外国為替の売買相場の動向を勘案し、内閣の承認を得て大蔵大臣が定める交換比率により、同日から政令で定める日までの間に、本邦通貨と交換しなければならない。

2 政府は、前項の規定によるアメリカ合衆国通貨と本邦通貨との交換に関する事務を、政令で定めるところにより、日本銀行に取り扱わせるものとする。

3 前二項における用語については、次に定めるところによる。

 一 「本邦通貨」とは、臨時通貨法(昭和十三年法律第八十六号)又は日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)により発行され、この法律の施行の際通用する臨時補助貨幣及び銀行券をいう。

 二 「アメリカ合衆国通貨」とは、アメリカ合衆国政府又は連邦準備銀行その他のアメリカ合衆国の銀行が発行し、この法律の施行の際沖縄において通用する貨幣、紙幣及び銀行券をいう。

 三 「居住者」とは、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第五号に規定する居住者をいう。


 (印紙の交換等)

第五十条 沖縄の収入印紙(印紙をもつてする才入金納付に関する立法(千九百五十二年立法第八号。次項において「沖縄印紙納付法」という。)に規定する収入印紙をいう。以下この項において同じ。)については、この法律の施行の日から政令で定める日までの間に限り、政令で定めるところにより、これを所持する者の請求に応じ、当該請求に係る沖縄の収入印紙の金額(当該請求に係る沖縄の収入印紙が二枚以上である場合には、その合計金額)を前条第一項の規定による交換比率により日本円に換算した金額に相当する額により、沖縄県の区域内に所在する郵便局(次項において「沖縄の郵便局」という。)において、収入印紙と交換するものとする。

2 沖縄の失業保険印紙(沖縄印紙納付法に規定する失業保険印紙をいう。以下この項において同じ。)については、この法律の施行の日から政令で定める日までの間に限り、政令で定めるところにより、これを所持する者の請求に応じ、当該請求に係る沖縄の失業保険印紙の金額(当該請求に係る沖縄の失業保険印紙が二枚以上である場合には、その合計金額)を前条第一項の規定による交換比率により日本円に換算した金額に相当する額により、失業保険印紙の売りさばきをする沖縄の郵便局において買い戻すものとする。


 (切手類の交換等)

第五十一条 沖縄の郵便法(千九百五十三年立法第七十四号)第三十一条の規定により琉球政府行政主席が発行した郵便切手その他郵便に関する料金をあらわす証票(同立法第三十三条に規定する郵便切手及び郵便葉書を除く。以下この条において「沖縄の切手類」という。)については、この法律の施行の日から政令で定める日までの間に限り、政令で定めるところにより、沖縄の切手類を所持する者の請求に応じ、当該沖縄の切手類のあらわす料金の額(二枚以上の沖縄の切手類に係る場合には、そのあらわす料金の合計額。次項において同じ。)を第四十九条第一項の規定による交換比率により日本円に換算した金額に相当する額により、郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)第三十三条の規定により郵政大臣が発行した郵便切手その他郵便に関する料金をあらわす証票と交換するものとする。

2 沖縄の切手類については、この法律の施行の日から政令で定める日までの間に限り、政令で定めるところにより、当該沖縄の切手類のあらわす料金の額を第四十九条第一項の規定による交換比率により日本円に換算した金額に相当する額の限度において、郵便に関する料金の納付に充てることができる。ただし、沖縄県の区域以外の本邦の地域に所在する郵便局に差し出される郵便物に係る沖縄の切手類については、沖縄県の区域にあてて差し出される料額印面のついた往復葉書の返信部に限る。


 (合衆国ドル表示の債権又は債務の切替え)

第五十二条 国又は地方公共団体がこの法律の規定に基づき承継する合衆国ドル表示の債権又は債務(以下この条において「ドル表示債権債務」という。)、沖縄の市町村が有しているドル表示債権債務その他国又は地方公共団体と沖縄にある者との間に存するドル表示債権債務及び沖縄にある者の間又は沖縄にある者と本土にある者との間に存するドル表示債権債務で、本邦で支払われるべきものは、政令で定めるもの及び特約のあるものを除き、この法律の施行の際第四十九条第一項の規定による交換比率により日本円表示の債権又は債務に切り替えられるものとする。

   第八章 法令の適用に関する特別措置

    第一節 通則


 (沖縄法令による免許等の効力の承継等)

第五十三条 この法律の施行前に、本土法令の規定に相当する沖縄法令の規定によりされた免許、許可、認可、承認、登録、これらの処分の取消し、申請、届出等の処分又は手続は、別に法律に定めがある場合及び沖縄と本土との間において処分の基準が著しく異なる等特別の理由がある場合を除き、政令(当該本土法令が総理府令又は省令であるときは、それぞれ総理府令又は省令。以下次条までにおいて同じ。)で定めるところにより、それぞれ本土法令の相当規定によりされた処分又は手続とみなす。

2 前項の規定により本土法令の規定による免許、許可等の処分を受けたものとみなされた場合において、この法律の施行前に、沖縄法令において免許の取消し、営業の停止その他の不利益な処分の理由とされている事実で、これに相当する事実が本土法令においてもこれらの不利益な処分の理由とされているものがあつたとき(第二十五条第一項に規定する沖縄法令の規定の適用を受けたことが沖縄法令において不利益な処分の理由とされている事実に該当する場合において、この法律の施行後に、同項の規定によりなおその効力を有することとされる沖縄法令の規定の適用を受けたときを含む。)は、政令で定めるところにより、それぞれ、本土法令において不利益な処分の理由とされている事実があつたものとみなして、本土法令の当該規定を適用することができる。

3 別に法律に定めがある場合及び第一項の規定が適用される場合を除き、人の資格に関する本土法令の規定の適用については、当該本土法令において欠格事由とされている事実に相当する事実がこの法律の施行前に沖縄においてあつたとき(第二十五条第一項に規定する沖縄法令の規定の適用を受けたことが当該事実に該当する場合において、この法律の施行後に、同項の規定によりなおその効力を有することとされる沖縄法令の規定の適用を受けたときを含む。)は、政令で定めるところにより、本土法令において当該欠格事由とされている事実があつたものとみなすことができる。

4 第一項及び前項の規定は、この法律の施行の際すでに本土法令の規定により与えられている身分又は地位に影響を及ぼすものではない。


 (沖縄において従事していた業務等の継続)

第五十四条 一定の業務又は職業についての制限又は禁止を定めている本土法令の規定に相当する沖縄法令の規定がない場合においては、この法律の施行の際沖縄において適法にこれらの業務又は職業に従事している者は、別に法律に定めがある場合及び当該業務又は職業が高度の専門的知識を要するものである等特別の理由がある場合を除き、政令で定めるところにより、当該本土法令の規定にかかわらず、引き続きこれらの業務又は職業に従事することができる。

    第二節 総理府関係


 (特別の手当)

第五十五条 琉球政府の職員のうち、第三十二条の規定により国家公務員となり、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)の規定の適用を受けることとなる職員で、琉球政府において受けていた給料月額等を考慮して人事院が必要と認めるものについては、当分の間、人事院規則で定めるところにより、特別の手当を支給するものとする。

2 沖縄県の区域内に所在する官署に勤務する医師及び歯科医師で、一般職の職員の給与に関する法律の規定の適用を受けるものについては、当分の間、人事院規則で定めるところにより、特別の手当を支給することができる。


 (国家公務員災害補償法の適用に関する経過措置)

第五十六条 琉球政府の職員のうち、第三十二条の規定により一般職の国家公務員となつた者及びこの法律の施行前に離職し、又は死亡した者で、その離職又は死亡の時に一般職の国家公務員が従事する事務に相当する事務に従事していたものについては、当該職員としての公務を国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)上の公務とみなして、同法の規定並びに国家公務員災害補償法の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第六十七号)附則第六条及び第八条の規定を適用する。この場合において、この法律の施行前に支給事由の生じた障害補償年金又は遺族補償年金の額その他必要な事項については、人事院規則で特別の定めをすることができる。

2 前項に規定する者の昭和四十四年九月三十日以前に支給事由の生じた公務上の災害に対する補償に関しては、同項の規定にかかわらず、その者の職員としての公務を国の公務とみなして労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の規定による補償(同法第八十二条に規定する補償を除く。)の例により補償を行なう。


 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に関する経過措置)

第五十七条 この法律の施行の際沖縄にある会社の株式(社員の持分を含む。)を所有している会社(外国会社を含む。次項において同じ。)であつて、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。次項において「私的独占禁止法」という。)第九条第三項に規定する持株会社に該当するものは、同条第二項の規定の適用については、この法律の施行の日に持株会社となつたものとみなす。

2 私的独占禁止法第九十一条第一号の規定は、前項の規定により同法第九条第二項の規定の適用について持株会社となつたものとみなされた会社には、適用しない。

 

 (交通方法等に関する暫定措置)

 

第五十八条 沖縄県の区域においては、政令で定める日までの間は、歩行者の左側通行及び車両の右側通行の原則に従い政令で定めるところにより必要な読替えをして、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の規定を適用する。

2 前項の政令で定める日を指定するにあたつては、この法律の施行の日から起算して三年を経過した日以後の日で、交通方法を歩行者の右側通行及び車両の左側通行の原則に変更するための諸般の準備措置及び当日に予想される交通の状況を考慮して、その変更を円滑に行なうことができると認められる日を選定するものとし、当該政令は、当該日から起算して六月前までに公布するものとする。


 (反則行為に関する経過措置)

第五十九条 この法律の施行前にされた沖縄の道路交通法(千九百六十三年立法第百九号)第百十五条第一項に規定する反則行為並びにこれに係る同条第二項に規定する反則者及び同条第三項に規定する反則金は、道路交通法第百二十五条第一項に規定する反則行為並びにこれに係る同条第二項に規定する反則者及び同条第三項に規定する反則金と、この法律の施行前に沖縄の道路交通法の規定によりされた告知、通告、反則金の納付、指示その他の反則行為に関する処理手続の特例に係る行為は、道路交通法の相当規定によりされた告知、通告、反則金の納付、指示その他の行為とみなす。

2 前項の場合において、反則行為の範囲及び種別は、沖縄の道路交通法及び沖縄の道路交通法施行規則(千九百六十四年規則第十三号)に定めるとおりとし、この法律の施行前にされた告知若しくは通告又は指示に係る反則金の額は、その額を第四十九条第一項の規定による交換比率により日本円に換算した額とし、この法律の施行後にされる告知若しくは通告に係る反則金の額又は指示に係る反則金の限度額は、同規則に定める額又は同立法に定める限度額を第四十九条第一項の規定による交換比率により日本円に換算した額とする。


 (沖縄の行政庁の処分等に係る不服申立てに関する経過措置)

第六十条 この法律の施行前にされた沖縄の行政庁の処分(行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第二条第一項に規定する処分をいう。以下この条において同じ。)で第五十三条第一項の規定により本土法令の相当規定によりされた処分とみなされるものその他政令で定める沖縄の行政庁の処分及びこの法律の施行前に沖縄の行政庁に対してされた申請で同項の規定により本土法令の相当規定によりされた申請とみなされるものに係る不作為(行政不服審査法第二条第二項に規定する不作為をいう。)については、この法律又はこの法律に基づく政令で別に定める場合を除き、行政不服審査法を適用する。

2 この法律の施行前に沖縄の行政庁に対して不服申立てをすることができるものとされていた処分でこの法律の施行の際その提起期間が現に進行しているものに係る不服申立て及びこの法律の施行前に沖縄の行政庁に対して不服申立てをすることができないものとされていた処分に係る不服申立てでこの法律の施行の日前六十日以内に当該処分があつたことを知つた者が行なうものについては、行政不服審査法第十四条第一項及び第四十五条中「処分があつたことを知つた日の翌日」とあるのは「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の施行の日」と、同法第十四条第三項(同法第四十八条において準用する場合を含む。)中「経過したとき」とあるのは「経過したとき(沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の施行の日から起算して六十日以内に当該期間が経過することとなる場合においては、同法の施行の日から起算して六十日を経過したとき)」とする。

 (国の行政機関の職員の定員に関する暫定措置)

第六十一条 沖縄県の区域内に置かれる国の行政機関の所掌事務を遂行するために当該行政機関に恒常的に置く必要がある職に充てるべき総理府及び各省の常勤の職員(自衛官及び国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法(昭和二十九年法律第百四十一号)第五条に規定する常勤の職員を除く。)の定員は、当分の間、行政機関の職員の定員に関する法律(昭和四十四年法律第三十三号)の規定にかかわらず、政令で定めるところによる。


 (所有者不明土地の管理)

第六十二条 沖縄法令の規定による所有者不明土地で、この法律の施行の際琉球政府又は沖縄の市町村が管理しているものは、当分の間、従前の例に準じ、沖縄県又は当該所有者不明土地の所在する市町村が管理するものとする。

    第三節 法務省関係


 (裁判所職員の定員に関する暫定措置)

第六十三条 沖縄県の区域内に置かれる裁判所及び裁判所の支部の職員並びにこれらの職員のうち沖縄県の区域内に置かれる検察審査会に勤務する職員の定員は、当分の間、裁判所法第五条第三項及び裁判所職員定員法(昭和二十六年法律第五十三号)の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところによる。


 (裁判所職員に対する特別の手当等)

第六十四条 第三十二条の規定により裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の規定の適用を受ける裁判所職員となつた者の給与に関する事項については、第五十五条第一項の規定を準用する。この場合において、同項中「人事院」とあるのは「最高裁判所」と、「人事院規則」とあるのは「最高裁判所規則」と読み替えるものとする。

2 沖縄県の区域内に置かれる裁判所に勤務する医師については、第五十五条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「人事院規則」とあるのは、「最高裁判所規則」と読み替えるものとする。

3 琉球政府の職員のうち、この法律又はこの法律に基づく政令の規定により裁判所職員臨時措置法の規定の適用を受ける裁判所職員となつた者及びこの法律の施行前に離職し、又は死亡した者でその離職又は死亡の時に琉球政府の裁判所職員であつたものの災害補償に関する事項については、第五十六条の規定を準用する。この場合において、同条第一項並びに同項において適用するものとされる国家公務員災害補償法並びに国家公務員災害補償法の一部を改正する法律附則第六条及び第八条中「人事院」とあるのは「最高裁判所」と、「人事院規則」とあるのは「最高裁判所規則」と読み替えるものとする。


 (外国人弁護士に関する特例)

第六十五条 沖縄の弁護士法(千九百六十七年立法第百三十九号)附則第五条の規定による外国人弁護士で昭和四十六年一月一日以降引き続き沖縄においてその業務に従事している者は、最高裁判所の承認を受けて、外国法に関し、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三条に規定する事務を行なうことができる。

2 最高裁判所は、前項の承認をする場合には、選考をすることができる。

3 第一項の規定により弁護士法第三条に規定する事務を行なう者は、沖縄県の区域内に事務所を設けなければならない。

4 弁護士法第一条、第二条、第二十条第三項、第二十三条から第二十九条まで、第七十六条及び第七十七条(第二十七条及び第二十八条に係る部分に限る。)の規定は、第一項の規定により同項に規定する事務を行なう者(第八項の規定により第一項に規定する事務を行なう者を含む。)について準用する。この場合において、同法第二十五条第五号中「仲裁手続により」とあるのは、「仲裁手続により、又は沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の施行前の沖縄における仲裁手続により」と読み替えるものとする。

5 沖縄法令の規定による外国人弁護士であつた者は、この法律の施行前にその職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。ただし、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 

6 最高裁判所は、必要と認める場合には、第一項の承認を取り消すことができる。

7 最高裁判所が第一項の承認をし、又はこれを取り消す場合には、日本弁護士連合会の意見をきかなければならない。

8 この法律の施行の際沖縄法令の規定による外国人弁護士である者は、この法律の施行の日から起算して二月に限り、第一項の承認を受けないでも、同項に規定する事務を行なうことができる。


 (取得時効に関する経過措置)

第六十六条 沖縄群島(北緯二十八度、東経百二十四度四十分を起点とし、北緯二十八度、東経百二十八度十九分の点、北緯二十六度五十五分、東経百二十八度十九分の点、北緯二十六度五十五分、東経百三十一度五十分の点、北緯二十四度、東経百三十三度の点、北緯二十四度、東経百二十八度の点及び北緯二十七度、東経百二十四度二分の点を経て起点に至る境界線内の島をいう。)内の土地については、この法律の施行の日から起算して六月以内は、民法第百六十二条第二項に規定する取得時効は、完成しない。


 (政府賠償に関する経過措置)

第六十七条 この法律の施行前における琉球政府若しくは沖縄の公共団体の公権力の行使に当たる公務員の行為又はこの法律の施行前の沖縄における公の営造物の設置若しくは管理の瑕疵を原因としてこの法律の施行後生じた損害については、政府賠償法(千九百五十六年立法第十七号)の規定の例による。この場合においては、琉球政府又は沖縄の公共団体に相当する国又は公共団体が、賠償の責めに任ずる。

    第四節 大蔵省関係


 (たばこ製造廃止業者等に対する交付金の交付)

第六十八条 沖縄県の区域におけるたばこ専売事業及び塩専売事業の円滑な実施に資するため、日本専売公社(以下次条までにおいて「公社」という。)は、政令で定める日に沖縄において製造たばこ(たばこ専売法(昭和二十四年法律第百十一号)第一条第三項に規定する製造たばこをいう。次条において同じ。)の製造又は塩の製造若しくは再製(塩専売法(昭和二十四年法律第百十二号)第一条第三項に規定する再製をいう。)の事業を営んでいた者のうち、その事業を廃止した者で政令で定める要件を満たすもの(次項において「廃止業者」という。)に対し、公社の予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その受ける損失等を勘案して算定した金額を特別の交付金として交付することができる。

2 廃止業者が前項の交付金の交付を受けた場合には、政令で定めるところにより、これらの者の所得税又は法人税を軽減する。


 (たばこ専売法に関する特例)

第六十九条 沖縄県の区域においては、当分の間、たばこ専売法第三十条第一項の指定を受けた製造たばこの小売人(以下この条において「たばこ小売人」という。)は、同法第三十七条第一項の規定にかかわらず、他のたばこ小売人から製造たばこを買い受け、又は他のたばこ小売人に製造たばこを販売することができる。この場合においては、同法第三十四条第三項の規定は、適用しない。

2 沖縄県の区域においては、当分の間、公社は、災害その他特別の事情があると認められる場合を除き、たばこ小売人のうち政令で定める者以外の者に製造たばこを売り渡さないものとする。


 (塩専売法に関する特例)

第七十条 沖縄県の区域においては、当分の間、塩専売法第二十四条第一項の指定を受けた塩の小売人(以下この条において「塩小売人」という。)は、同法第二十三条第四項及び第三十四条第一項の規定にかかわらず、他の塩小売人から塩を買い受け、又は他の塩小売人に塩を販売することができる。

2 沖縄県の区域においては、当分の間、塩小売人が販売する塩については、塩専売法第三十二条及び附則第二十三項の規定は、適用しない。


 (特別会計の経理の特例)

第七十一条 この法律の規定に基づき国が承継することとなる権利及び義務に関する経理を特別会計において行なう場合に必要となる当該特別会計と一般会計又は他の特別会計との間の繰入れ、当該特別会計の積立金の経理その他の措置(次項において「繰入れ等の措置」という。)については、政令で定めるところによる。

2 沖縄の復帰に伴い新たに国が行なうこととなる事務又は事業に関する経理で、各特別会計の設置の目的に照らし当該特別会計において行なうことが合理的と認められるものについては、政令で定めるところにより、当該特別会計においてこれを行なうものとする。この場合において必要となる繰入れ等の措置については、政令で定めるところによる。


 (琉球政府税の承継等)

第七十二条 この法律の施行の際琉球政府が有している権利及び義務のうち、沖縄法令の規定により琉球政府が課した、若しくは課すべき、又は還付すべき次に掲げる琉球政府税(沖縄法令の規定により琉球政府が課する税(その滞納処分費を含む。)をいう。以下この条及び第百五十四条において同じ。)に係るものは、その時において国が承継する。

 一 本邦の国税(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第一号に規定する国税をいう。)に相当するものとして政令で定める琉球政府税(以下この条において「国税相当琉球政府税」という。)

 二 本邦の関税、とん税又は特別とん税に相当するものとして政令で定める琉球政府税(以下この条において「関税相当琉球政府税」という。)

2 国税通則法、国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)及び国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)又は関税法(昭和二十九年法律第六十一号)、とん税法(昭和三十二年法律第三十七号)及び特別とん税法(昭和三十二年法律第三十八号)の規定(政令で定める規定を除くものとし、これらの法律の規定に基づき又はこれを実施するための命令の規定及びこれらの法律の特例に関する法令の規定で政令で定めるものを含むものとする。)は、国税相当琉球政府税又は関税相当琉球政府税に係る申告、更正、納付、徴収、滞納処分、還付、不服申立て、犯則事件の調査、通告処分その他の行為又は手続に関する事項についても、適用する。

3 国税相当琉球政府税及び関税相当琉球政府税については、これらの琉球政府税に関する沖縄法令の規定のうち、前項の規定によりこれらの琉球政府税に適用される本邦の法令の規定に相当する規定以外の規定(罰則を含む。)は、この法律に基づく政令に別段の定めがある場合を除き、本邦の法令としての効力を有する。


 (所得税に関する経過措置)

第七十三条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)が沖縄に施行されることとなつたため新たに同法第二条第一項第三号に規定する居住者に該当することとなつた者(以下第七十五条までにおいて「沖縄居住者」という。)の当該居住者としての所得税については、同法の規定は、この法律又はこの法律に基づく政令に別段の定めがある場合を除き、昭和四十七年四月一日以後に生ずる所得について適用する。

2 布令適用者(琉球所得税(千九百五十三年琉球列島米国民政府布令第百十四号)第二条イに規定する外国人に該当する者をいう。以下この節において同じ。)である沖縄居住者に係る前項の規定の適用については、同項中「昭和四十七年四月一日」とあるのは、「昭和四十七年七月一日」とする。

3 所得税法第十条の規定は、沖縄居住者については、昭和四十八年一月一日以後に預入し、信託し、又は購入する同条第一項に規定する預貯金、合同運用信託又は有価証券について適用する。

4 所得税法第九十二条の規定は、沖縄居住者については、昭和四十八年分以後の所得税について適用し、昭和四十七年分の所得税については、沖縄の所得税法(千九百五十二年立法第四十四号)第二十八条の規定は、法律としての効力を有する。

5 第一項、第二項及び前項の規定は、所得税法が沖縄に施行されることとなつたため新たに同法第百六十五条に規定する非居住者に該当することとなつた者(次条及び第七十五条において「沖縄非居住者」という。)の同法第百六十五条に規定する総合課税に係る所得税について準用する。

6 所得税法第四編第一章から第六章までの規定は、沖縄県の区域におけるこれらの規定に規定する支払については、この法律の施行の日(布令適用者に対する当該支払については、昭和四十七年七月一日)以後に当該支払をすべき場合について適用する。

第七十四条 前条第一項及び第二項の規定は、沖縄居住者又は沖縄非居住者に係る租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第二章の規定の適用について準用する。

2 租税特別措置法第二章第一節の規定は、沖縄県の区域において支払を受けるべき同節に規定する利子所得については、昭和四十八年一月一日以後に支払を受けるべき当該利子所得について適用し、同日前に支払を受けるべき当該利子所得については、沖縄の租税特別措置法(千九百五十四年立法第三十七号)第二条から第二条の四までの規定は、法律としての効力を有する。

3 租税特別措置法第二章第一節の二の規定は、沖縄県の区域において支払を受けるべき同節に規定する配当所得については、昭和四十八年一月一日以後に支払を受けるべき当該配当所得について適用する。

第七十五条 第七十三条第一項及び第二項の規定は、沖縄居住者又は沖縄非居住者に係る災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号)第二条及び第三条の規定の適用について準用する。


 (法人税に関する経過措置)

第七十六条 法人(法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第八号に規定する人格のない社団等を含む。以下次条までにおいて同じ。)のうち、同法が沖縄に施行されることとなつたため新たに同法第二条第三号に規定する内国法人に該当することとなつたもの(以下次条までにおいて「沖縄法人」という。)の当該内国法人としての法人税については、同法の規定は、この法律又はこの法律に基づく政令に別段の定めがある場合を除き、沖縄法人のこの法律の施行の日以後に終了する事業年度の所得及び退職年金積立金に対する法人税並びに同日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税(清算所得に対する法人税を課される法人の清算中の事業年度の所得に係る法人税及び残余財産の一部分配により納付すべき法人税を含む。以下この条において同じ。)について適用する。

2 この法律の施行の日前に解散をした沖縄法人である普通法人(沖縄の法人税法(千九百五十三年立法第二十一号)第二十六条第一項に規定する普通法人をいう。)又は協同組合等(同立法第十一条第七項に規定する法人をいう。)で、同日の前日の属する事業年度終了の日までにその残余財産の確定していないものの清算所得に対する法人税については、これらの法人が同日の翌日において解散をしたものとみなして、法人税法の規定を適用する。

3 この法律の施行の際本土及び沖縄以外の地域に本店又は主たる事務所を有する法人(以下次条までにおいて「外国法人」という。)の沖縄源泉所得(法人税法第百三十八条に規定する国内源泉所得のうちその源泉が沖縄県の区域内にあるもの及びこの法律の施行の日前において法人税法が沖縄に施行されていたものとした場合に同条に規定する国内源泉所得に該当することとなるもののうちその源泉が沖縄にあつたものをいう。)に係る所得に対する法人税については、同法の規定は、この法律に基づく政令に別段の定めがある場合を除き、外国法人の同日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用する。

第七十七条 前条の規定は、沖縄法人又は外国法人に係る租税特別措置法第三章の規定の適用について準用する。

2 租税特別措置法第四十二条の三の規定は、法人が沖縄法人から受ける法人税法第二十三条第一項に規定する配当等の額については、この法律の施行の日から起算して二月を経過した日以後に受ける当該配当等の額について適用する。

3 租税特別措置法第三章第六節の規定は、沖縄法人又は外国法人に係る同節の規定に該当する資産の譲渡(同節の規定により譲渡に含まれるものとされる行為を含む。)については、この法律に基づく政令に別段の定めがある場合を除き、これらの法人がこの法律の施行の日以後に行なう当該資産の譲渡に係る法人税について適用し、これらの法人が同日前に行なつた沖縄の租税特別措置法第二十八条から第三十一条までの規定に該当する資産の譲渡に係る法人税については、なお従前の例による。


 (相続税等に関する経過措置)

第七十八条 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)が沖縄に施行されることとなつたため新たに同法の施行地に住所を有する者に該当することとなつた者(以下次条までにおいて「沖縄居住者」という。)の同法第一条第一号又は第一条の二第一号の規定に該当する者としての相続税又は贈与税については、同法の規定は、昭和四十七年四月一日以後に相続若しくは遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下この条において同じ。)又は贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下この条において同じ。)により取得した財産について適用する。

2 布令適用者である沖縄居住者に係る前項の規定の適用については、同項中「昭和四十七年四月一日」とあるのは、「昭和四十七年七月一日」とする。

3 前二項の規定は、相続若しくは遺贈又は贈与により沖縄にある財産を取得した者で当該財産を取得した時において相続税法の施行地に住所を有しないもの(前二項の規定の適用を受ける者を除く。)の当該財産に係る相続税又は贈与税について準用する。

第七十九条 前条の規定は、沖縄居住者又は同条第三項の規定に該当する者に係る租税特別措置法第四章並びに災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律第四条及び第六条の規定の適用について準用する。


 (内国消費税等に関する特例)

第八十条 沖縄県の区域における一般消費者の生活及び産業経済に及ぼす影響を考慮してその税負担を調整するため、次の各号に掲げる国税については、政令で当該各号に掲げる措置を定めることができる。

 一 酒税 沖縄県の区域内にある酒類(酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二条第一項に規定する酒類をいう。以下次条までにおいて同じ。)の製造場のうち、当該製造場が沖縄の酒税法(千九百五十二年立法第十一号)の規定による免許を受けてこの法律の施行の日前から引き続いて酒類を製造していたものとして政令で定めるところによりその製造場の所在地の所轄税務署長の指定を受けた製造場において製造された酒類で、同日から起算して五年以内に、当該区域内にある酒類の製造場から移出されるもの(政令で定めるものを除く。)に係る酒税の軽減に関する措置

 二 砂糖消費税 この法律の施行の日から起算して五年以内に、沖縄県の区域内にある砂糖類(砂糖消費税法(昭和三十年法律第三十八号)第一条に規定する砂糖、糖みつ及び糖水をいう。以下次条までにおいて同じ。)の製造場又は保税地域(関税法第二十九条に規定する保税地域をいう。以下第八十二条までにおいて同じ。)から移出され又は引き取られる砂糖類(政令で定めるものを除く。)に係る砂糖消費税の免除に関する措置

 三 揮発油税及び地方道路税 この法律の施行の日から起算して五年以内に、沖縄県の区域内にある揮発油(揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)第二条第一項に規定する揮発油(同法第六条の規定により揮発油とみなされるものを含む。)をいう。)の製造場又は保税地域から移出され又は引き取られる揮発油(政令で定めるものを除く。)に係る揮発油税及び地方道路税の軽減に関する措置

 四 石油ガス税 この法律の施行の日から起算して四年以内に、沖縄県の区域内にある石油ガス税法(昭和四十年法律第百五十六号)第二条第四号に規定する石油ガスの充てん場又は保税地域から移出され又は引き取られる課税石油ガス(同法第三条に規定する課税石油ガスをいい、同法第六条第二項の規定により課税石油ガスとみなされるものを含み、政令で定めるものを除く。)に係る石油ガス税の軽減に関する措置

 五 物品税 沖縄県の区域内にある製造場のうち、当該製造場がこの法律の施行の日前から引き続いて物品税法(昭和三十七年法律第四十八号)別表に掲げる第二種の物品で政令で定めるものを製造していたものとして政令で定めるところによりその製造場の所在地の所轄税務署長の指定を受けた製造場において製造された当該物品で、同日から起算して五年以内に、当該製造場から移出されるもの(政令で定めるものを除く。)に係る物品税の免除に関する措置

 六 入場税 沖縄県の区域内にある入場税法(昭和二十九年法律第九十六号)第二条第一項に規定する興行場等への入場に係る同条第三項に規定する入場料金のうち、この法律の施行の日から起算して五年以内に領収される入場料金で政令で定める金額以下のものに係る入場税の軽減に関する措置

2 沖縄県の区域において自動車重量税法(昭和四十六年法律第八十九号)第二条第一項に規定する自動車検査証の交付等又は車両番号の指定を受ける自動車でその使用の本拠が当該区域内にあるものについては、同法の規定は、昭和四十七年十一月三十日までは適用しない。

3 沖縄県の区域内にある酒場、料理店その他これらに類する施設のうち、主として外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第六号に規定する非居住者又は当該区域に入域するその他の旅客に酒類を提供する施設として政令で定めるところにより沖縄県知事の指定を受けた施設の経営者が、当該施設において客の飲用に供する目的でウイスキー類(酒税法第三条第九号に規定する酒類をいい、政令で定めるところにより、大蔵大臣の定める数量の範囲内において沖縄県知事が行なう割当てを受けた数量の範囲内のものに限る。)をこの法律の施行の日から起算して五年以内に保税地域から引き取る場合には、政令で定めるところにより、当該引取りに係る酒税を軽減する。

4 税務署長又は税関長は、第一項の規定の適用を受ける課税物品(酒類、砂糖類、揮発油又は物品税法第一条に規定する物品をいう。以下第八十二条までにおいて同じ。)の製造者又は当該課税物品を保税地域から引き取ろうとする者に対し、政令で定めるところにより、当該課税物品が同項の規定の適用を受ける物品である旨を表示すべきことを命ずることができる。

5 前項の命令を受けた者は、同項の課税物品をその製造場から移出し又は保税地域から引き取る時までに、当該課税物品又は当該課税物品の容器若しくは包装の見やすい箇所に同項の表示をしなければならない。

6 第一項第一号又は第五号の指定を受けようとする者は、当該製造場に係る製造設備の能力その他の政令で定める事項につき、政令で定めるところにより、当該製造場の所在地の所轄税務署長の確認を受けなければならない。

7 第一項第一号又は第五号の指定を受けた者は、前項の確認を受けた事項で政令で定めるものを変更しようとする場合には、政令で定めるところにより、同項の税務署長の承認を受けなければならない。

8 税務署長は、第一項第一号又は第五号の指定を受けた者が前項の承認を受けないで同項の確認に係る事項を変更した場合には、その指定を取り消すことができる。

9 第五項の規定に違反した者は、十万円以下の罰金又は科料に処する。

10 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。

第八十一条 前条第一項の規定により内国消費税(酒税、砂糖消費税、揮発油税、地方道路税又は物品税をいう。以下この節において同じ。)の軽減又は免除を受けた課税物品(当該免除を受けた砂糖類を原料として製造した菓子その他の砂糖類以外の飲食物で政令で定めるもの(以下この項において「菓子等」という。)を含む。)を沖縄県の区域から当該区域以外の本邦の地域へ移出する目的で船舶又は航空機に積み込む場合には、その積込みをした者を当該課税物品(当該菓子等を積み込む場合には、これに含まれているしよ糖の重量に相当する重量の政令で定める砂糖。以下この項において同じ。)の製造者と、当該積込みの場所を当該課税物品の製造場とみなし、その積込みの時に当該課税物品をその製造場から移出したものとみなして、内国消費税に関する法令の規定を適用する。この場合において、当該課税物品に課されるべき内国消費税の額は、同条第一項の規定により軽減され又は免除された内国消費税に相当する金額(当該課税物品が次条の規定の適用を受けたものである場合には、当該金額から同条の規定により課された、又は課されるべき内国消費税に相当する金額を控除した金額)とする。

2 前条第三項の規定の適用を受けて酒類を保税地域から引き取つた者が、当該酒類を同項の用途以外の用途に供し、又は譲り渡した場合には、その者を酒類製造者と、同項の施設を当該酒類の製造場とみなし、その用途以外の用途に供し又は譲り渡した時に当該酒類をその製造場から移出したものとみなして、酒税法の規定を適用する。この場合において、当該酒類に課されるべき酒税の額は、同項の規定により軽減された酒税に相当する金額とする。

3 前二項の規定により課税物品の製造者とみなされる者が提出すべき酒税法第三十条の二第一項、砂糖消費税法第十条第一項、揮発油税法第十条第一項、地方道路税法(昭和三十年法律第百四号)第七条第一項又は物品税法第二十九条第二項の規定による申告書は、これらの規定にかかわらず、第一項の規定に該当する場合には同項の積込みをした課税物品を沖縄県の区域から当該区域以外の本邦の地域に向けて移出する時までに、前項の規定に該当する場合には同項の規定によりその製造場から移出したものとみなされた日から起算して五日以内に、それぞれ、提出しなければならない。ただし、政令で定めるところにより税務署長の承認を受けたときは、当該申告書の提出期限は、当該税務署長の指定した日とする。

第八十二条 沖縄県の区域内にある課税物品の製造場及び保税地域以外の当該区域内の場所において、この法律の施行の際指定物品(第八十五条に規定する指定物品をいう。)で政令で定めるものを所持する者がある場合又はこの法律の施行の日から起算して五年を経過した日までの間において第八十条第一項の内国消費税の軽減若しくは免除に関する措置の変更若しくは廃止があつた際同項の規定の適用を受けていた課税物品を所持する者がある場合には、当該指定物品又は当該課税物品については、政令で定めるところにより、この法律の施行の日又は当該変更若しくは廃止があつた日に、これらの者がこれらの物品をその製造場から移出したものとみなして、内国消費税を課する。この場合において、当該指定物品又は当該課税物品に課されるべき内国消費税の額は、次に掲げる金額として政令で定めるところにより計算した金額とする。

 一 当該指定物品にあつては、この法律の施行の日における関税及び内国消費税に関する法令(この法律を除く。)の規定により計算した関税及び内国消費税の額の合計額からこれらの法令に相当する沖縄法令の規定により計算したこれらの税に相当する税の額を控除した金額に相当する金額

 二 当該課税物品にあつては、当該変更又は廃止があつた日に、当該区域に適用されるべき内国消費税に関する法令の規定により計算した内国消費税の額からこれらの日の前日に当該区域に適用されていた内国消費税に関する法令の規定により計算した内国消費税の額を控除した金額に相当する金額


 (関税等に関する特例)

第八十三条 その輸入につき課される関税の税率が、沖縄のこれに相当する税の税率でこの法律の施行の際適用されていたもの(次条において「沖縄の関税率」という。)に比し著しく高くなる原料品のうち、次に掲げる物品については、この法律の施行の日から起算して五年以内に沖縄県の区域において輸入されるものに限り、政令で定めるところにより、その関税を軽減し、又は免除する。

 一 その輸入の許可の日の翌日から起算して一年以内に、税関長の承認を受けた沖縄県の区域内にある製造工場において政令で定める物品の製造に使用され、かつ、その製造が終了する原料品で政令で定めるもの

 二 沖縄県の区域において主として小規模企業者により営まれている製造業の製品のうち政令で定めるものの製造に使用される原料品で政令で定めるもの(政令で定める数量の範囲内において主務大臣の行なう割当てを受けた当該製品の製造者が、その受けた数量の範囲内で輸入し、かつ、当該区域において当該製造のため使用するものに限る。)

2 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第六項に規定する電気事業者が税関長の承認を受けた沖縄県の区域内にある事業場において発電の用に供する石油で政令で定めるものについては、この法律の施行の日から起算して五年以内に当該区域において輸入されるものに限り、政令で定めるところにより、その関税を免除する。

3 第一項第二号の主務大臣の行なう割当ては、政令で定めるところにより、沖縄県知事に行なわせることができる。

4 関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第十三条第三項から第七項までの規定は第一項第一号の規定により関税を軽減し又は免除する場合について、同法第二十条の二第二項及び第三項の規定は第一項第二号又は第二項の規定により関税を軽減し又は免除する場合について、それぞれ準用する。この場合において、同条第二項及び第三項中「軽減税率の適用」とあるのは「関税の軽減又は免除」と、「用途以外」とあるのは「用途(政令で定めるところにより税関長の承認を受けた用途を含む。)以外」と、「特定の用途に供することを要件としない税率により計算した関税の額と当該軽減税率により計算した関税の額との差額に相当する額の関税」とあるのは「軽減又は免除を受けた関税」と読み替えるものとする。

第八十四条 その輸入につき課される関税の税率が沖縄の関税率に比し著しく高くなる物品のうち、ランチョンミートその他の政令で定める物品で沖縄県の区域内にある一般消費者の生活の用に直接供されるものについては、税関長の承認を受けた卸売業者(次項において「承認卸売業者」という。)によりこの法律の施行の日から起算して五年以内に当該区域において輸入されるものに限り、政令で定めるところにより、その関税を軽減し、又は免除する。

2 税関長は、承認卸売業者が関税法その他関税に関する法令の規定に違反した場合には、その承認を取り消すことができる。

3 関税定率法第二十条の二第二項及び第三項の規定は、第一項の規定により関税を軽減し、又は免除する場合について準用する。この場合において、同条第二項及び第三項中「軽減税率の適用」とあるのは「関税の軽減又は免除」と、「特定の用途に供することを要件としない税率により計算した関税の額と当該軽減税率により計算した関税の額との差額に相当する額の関税」とあるのは「軽減又は免除を受けた関税」と読み替えるものとする。

第八十五条 沖縄県の区域から出域する旅客が個人的用途に供するため購入する物品で、当該物品につき関税及び内国消費税に関する法令(次条において「本邦の関税法等」という。)の規定により課される税の額がこれらの法令に相当する沖縄法令(次条において「沖縄の関税関係法令等」という。)の規定により課されるものとした場合の税の額に比し著しく高くなるもののうち輸入に係るウイスキーその他の政令で定めるもの(以下この項において「指定物品」という。)を販売する小売業者で税関長の承認を受けたもの(以下この条において「承認小売業者」という。)が、政令で定める方法により指定物品を当該区域において販売した場合において、この法律の施行の日から起算して五年以内に当該指定物品がこれを購入した者(政令で定める者に限る。)により携帯して当該区域以外の本邦の地域へ移出され又は携帯して輸出されたときは、当該承認小売業者に対し、政令で定めるところにより、当該指定物品(政令で定める数量又は金額の範囲内のものに限る。)について納付された、又は納付されるべき関税又は内国消費税の全部又は一部に相当する金額を払い戻す。

2 前条第二項の規定は、承認小売業者について準用する。この場合において、同項中「関税」とあるのは、「関税又は内国消費税」と読み替えるものとする。

第八十六条 この法律の施行の際沖縄県の区域内にある物品のうち、沖縄の関税関係法令等の規定により課された、又は課されるべき税の額が、当該物品をこの法律の施行の日以後に当該区域以外の本邦の地域に輸入するものとした場合に課されることとなる関税及び内国消費税の額に比し著しく低い物品で政令で定めるものが、同日から起算して一年以内に当該地域へ移出される場合には、政令で定めるところにより、当該移出を輸入とみなして、関税法その他関税に関する法令の規定を適用する。この場合において、当該物品に対し課されるべき関税の額は、当該移出の時に適用されている本邦の関税法等(沖縄の生産に係る物品にあつては、内国消費税に関する法令)の規定(この法律の規定を除く。)により計算した関税及び内国消費税の額の合計額から沖縄の関税関係法令等(沖縄の生産に係る物品にあつては、内国消費税に関する法令に相当する沖縄法令)の規定により計算したこれらの税に相当する税の額の合計額を控除した金額に相当する金額として政令で定めるところにより計算した金額とする。

第八十七条 偽りその他不正の行為により第八十五条第一項の規定による関税又は内国消費税の払戻しを受け、又は受けようとした者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前項の違反行為については、関税法第百十条の規定は、適用しない。

3 第一項の犯罪に係る関税又は内国消費税の払戻金に相当する金額の三倍が五十万円をこえるときは、情状により、同項の罰金は、五十万円をこえ当該払戻金に相当する金額の三倍以下とすることができる。

4 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

 一 第八十三条第四項において準用する関税定率法第十三条第六項の規定に違反した者

 二 第八十三条第四項又は第八十四条第三項において準用する関税定率法第二十条の二第二項の規定に違反した者

5 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第一項又は前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各項の罰金刑を科する。

6 関税法第十一章の規定は第一項及び前二項の犯則事件(関税に係る部分に限る。)の調査及び処分について、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和三十年法律第三十七号)第二十六条の規定は第一項及び前項の犯則事件(内国消費税に係る部分に限る。)の調査及び処分について、それぞれ準用する。


 (国税に関する経過措置等についての政令への委任)

第八十八条 第七十二条から前条までに定めるもののほか、国税(関税、とん税及び特別とん税を含む。以下この条において同じ。)に関する法令の沖縄への適用についての経過措置、課税の軽減又は免除に関する特例を定めている沖縄法令の規定に相当する本土法令の規定がない場合における当該特例の暫定的適用に関する措置その他沖縄の復帰に伴い必要とされる国税に関する事項については、政令で必要な規定を設けることができる。


 (税関貨物取扱人等に対する給付金の支給)

第八十九条 国は、次に掲げる者で政令で定める要件を満たすものに対し、その転業又は転職の円滑化等に資するため、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、特別の給付金を支給することができる。

 一 税関貨物取扱人法(千九百五十六年立法第六十号)第十二条の規定により税関貨物取扱人の業務に従事することを許可された者(次号において「税関貨物取扱人」という。)で、沖縄の復帰による当該業務の量の減少に伴い、その営む当該業務を廃止することとなるもの(次項において「廃止業者」という。)

 二 税関貨物取扱人(前号の規定により特別の給付金の支給を受けるものを除く。)の従業者で、同号に規定する当該業務の量の減少に伴い、離職を余儀なくされることとなるもの

2 廃止業者が前項の給付金の支給を受けた場合には、第六十八条第二項に規定する政令で定めるところに準じて、政令で定めるところにより、当該廃止業者に対する課税の特例措置を講ずるものとする。


 (国有の財産の管理及び処分の特例)

第九十条 この法律の施行の日において沖縄県の区域内に所在する国有の財産のうち、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第六条第二項の規定に基づきアメリカ合衆国から譲渡を受けた財産で政令で定めるもの及び公用又は公共の用に供される政令で定めるその他の財産については、政令で定めるところにより、関係地方公共団体に対し、無償又は時価より低い価格で譲渡し、又は貸し付けることができる。

2 沖縄県の区域内に所在する国有財産(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二条に規定する国有財産をいう。)のうち、昭和二十一年一月二十八日において神社の用に供し、若しくは供するものと決定し、又は旧国有財産法(大正十年法律第四十三号)の規定に基づき寺院若しくは教会に無償で貸し付けていた財産については、政令で定めるところにより、当該神社、寺院又は教会(当該神社、寺院又は教会が宗教法人法第四条の宗教法人となつたときは、当該宗教法人(その一般承継人である宗教法人を含む。))に対し、無償又は時価より低い価格で譲渡することができる。

3 沖縄県の区域内に所在する国有の財産のうち、この法律の施行の際琉球政府、沖縄の市町村その他の法人又は個人が使用し、又は収益することを認められている財産で、国が琉球政府の事務若しくは事業を承継する者、沖縄の市町村その他の法人に相当する者又は当該個人(これらの者の一般承継人を含む。)に引き続き使用させ、又は収益させるものについては、前二項の規定の適用を受ける場合を除き、政令で定める期間内は、従前と同一の条件で使用させ、又は収益させることができる。


 (金地金の売払いの特例)

第九十一条 国は、この法律の施行の日から起算して五年を経過する日までの間、政令で定める日前から引き続いて沖縄県の区域において貴金属製品製造業を営んでいる者に対し、政令で定めるところにより、その者が政令で定める用途に供する金地金(大蔵大臣がその定める数量の範囲内において行なう割当てを受けた数量の範囲内のものに限る。)を時価より低い価格で売り払うことができる。


 (外国投資家に係る株式の所有の認可等)

第九十二条 この法律の施行の際外資に関する法律(昭和二十五年法律第百六十三号)第三条第一項第三号に規定する技術援助契約でその期間及びその対価の支払期間のうちこの法律の施行の日以後の期間が一年をこえるものを沖縄居住者(同日において沖縄に住所又は居所を有する個人及び沖縄に主たる事務所を有する法人その他主務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)との間において締結している同項第一号に規定する外国投資家(以下この条において「外国投資家」という。)及びその相手方は、当該技術援助契約を同日以後六月をこえる間継続しようとするときは、主務省令で定めるところにより、同日から起算して六月以内に申請して、当該継続について主務大臣の認可を受けなければならない。

2 この法律の施行の際沖縄法人(沖縄法令により設立された法人をいう。以下この条において同じ。)の株式若しくは持分(外資に関する法律第三条第一項第四号に規定する持分をいう。次項において同じ。)、沖縄法人の発行した社債又は沖縄居住者に対する貸付金債権(この法律の施行の日から当該社債又は貸付金債権の元本の償還の日までの期間が一年以下であるものその他当該社債又は貸付金債権の取得が外国為替及び外国貿易管理法に基づく命令の規定の適用により短期の国際商業取引の決済のためのものであるとされるものを除く。)を所有している外国投資家は、当該株式若しくは持分、社債又は貸付金債権をこの法律の施行の日以後六月をこえる間引き続いて所有しようとするときは、主務省令で定めるところにより、同日から起算して六月以内に申請して、当該所有について主務大臣の認可を受けなければならない。

3 主務大臣は、前二項の規定による認可をするに際し、必要な条件を附することができる。この場合において、前項の規定による認可(株式又は持分の所有に係るものに限る。)の申請をした外国投資家が当該申請の時において当該株式又は持分の所有により沖縄法人を実質的に支配しているものとして主務省令で定める者に該当するときは、当該条件には、当該沖縄法人の事業所の設置又は移転に関する条件を含むものとする。

4 外資に関する法律第十四条第二項の規定は、第一項又は第二項の規定による認可を受けた外国投資家について準用する。

第九十三条 前条第一項又は第二項の規定による認可を受けなければならない者で、当該認可の申請の期間内にその申請をしなかつたものは、三万円以下の罰金に処する。

2 外資に関する法律第二十九条の規定は、前項の違反行為について準用する。

    第五節 文部省関係


 (沖縄の学校その他の教育機関に関する経過措置)

第九十四条 この法律の施行の際沖縄の学校教育法(千九百五十八年立法第三号)の規定により設置されている学校又は各種学校は、政令で定めるところにより、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の規定による学校又は各種学校となるものとする。

2 この法律の施行の際琉球政府又は教育区の設置する学校その他の教育機関(沖縄法令の規定による琉球大学及び琉球大学短期大学部を除く。)は、それぞれ沖縄県又は当該教育区と区域を一にする市町村の設置する学校その他の教育機関となるものとする。


 (沖縄の学校の卒業者の卒業資格等)

第九十五条 沖縄の学校教育法による小学校、中学校、高等学校、大学、盲学校、聾学校若しくは養護学校を卒業し、又はこれらの学校の課程若しくは修業年限の一部を修了した者は、学校教育法による相当の学校を卒業し、又はこれらの学校の相当の課程若しくは相当の修業年限の一部を修了した者とみなす。

2 昭和二十一年一月二十九日から沖縄の学校教育法の施行の日の前日までの間に沖縄に存在した学校で学校教育法第一条に規定する学校における教育に相当する教育を行なつたものを卒業し、又はその課程の一部を修了した者の資格に関し必要な事項は、文部省令で定める。


 (私学共済組合法に関する特例等)

第九十六条 沖縄私学共済組合の組合員であつた者は私学共済組合の組合員であつた者と、その者の沖縄私学共済組合の組合員であつた期間は私学共済組合の組合員であつた期間とみなす。

2 前項の規定により私学共済組合の組合員であつた者とみなされた者につき、沖縄私学共済組合法附則第十八項の規定により沖縄私学共済組合の組合員であつた期間に算入された期間(沖縄私学共済組合の成立の際まで引き続いている期間に限る。)は、私学共済組合法の適用については、その者の私学共済組合の組合員であつた期間とみなす。

3 沖縄私学共済組合法の規定により取得した長期給付を受ける権利は、私学共済組合法の相当規定により取得した長期給付を受ける権利とみなす。

4 第二項の規定により私学共済組合の組合員であつた期間とみなされた期間を有する者につきこの法律の施行の日以後に生じた給付事由に係る給付の額については、私学共済組合法の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該期間中私学共済組合の組合員として掛金を負担した者に係る給付の額との均衡等を考慮して、その一部を減額することができる。

5 前項に定めるもののほか、沖縄私学共済組合の組合員であつた者その他政令で定める者に係る私学共済組合法による長期給付の受給資格及び給付額その他同法に規定する事項については、同法の規定にかかわらず、政令で特別の定めをすることができる。

6 沖縄私学共済組合法による次に掲げる事項については、なお従前の例による。

 一 この法律の施行の日前に生じた組合員の資格の取得及び喪失に関する事項

 二 この法律の施行の日前の期間に係る標準給与に関する事項

 三 この法律の施行の日の属する月前の月分の年金たる給付又は同日においてまだ支給していない一時金たる給付に関する事項

 四 この法律の施行の日の属する月前の月に係る掛金に関する事項


 (著作権法に関する経過措置)

第九十七条 最初に沖縄において発行された著作物(最初に本邦の地域外において発行されたが、その発行の日から起算して三十日以内に沖縄において発行されたものを含む。次項において同じ。)でこの法律の施行の際沖縄の著作権法(明治三十二年法律第三十九号)による著作権の全部が消滅しているもの(この法律の施行の際著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)による保護を受けているものを除く。)については、著作権法中著作権に関する規定は、適用しない。

2 最初に沖縄において発行された著作物でこの法律の施行の際沖縄の著作権法による著作権の一部が消滅しているもの(この法律の施行の際著作権法による保護を受けているものを除く。)については、著作権法中その消滅した権利に相当する著作権に関する規定は、適用しない。

3 著作権法の施行前に最初に沖縄において発行された沖縄の著作権法の著作物である実演又はレコードでこの法律の施行の際沖縄の著作権法による著作権が存するもの(この法律の施行の際著作権法による保護を受けているものを除く。)については、著作権法第七条及び第八条並びに同法附則第二条第三項及び第五項の規定にかかわらず、同法中著作隣接権に関する規定(同法第九十五条及び第九十七条の規定を含み、同法第百一条の規定を除く。)を適用する。

4 前項に規定する実演又はレコードに係る著作隣接権の存続期間は、沖縄の著作権法によるこれらの著作権の存続期間のうちこの法律の施行の日において残存する期間(その期間の満了する日が著作権法の施行の日から起算して二十年を経過する日後の日であるときは、その二十年を経過する日までの間)とする。

第九十八条 この法律の施行前に沖縄の著作権法第十八条第一項若しくは第二項の規定に違反する行為又は同法による著作権若しくは出版権を侵害する行為によつて沖縄で作成され、又は沖縄に輸入された著作物、実演又はレコードの複製物で、この法律の施行の時において国内で作成されたとしたならば著作権法による著作者人格権又は著作権、出版権若しくは著作隣接権を侵害する行為によつて作成されたものとなるべきものをこの法律の施行後に情を知つて頒布する行為は、著作権法第百十三条第一項第二号に掲げる行為とみなして、同号の規定を適用する。

2 この法律の施行前に沖縄の著作権法による著作権又は出版権を侵害することなく沖縄で作成され、又は沖縄に輸入された著作物、実演、レコード又は放送に係る音若しくは影像の複製物(この法律の施行の際著作権法による保護を受けている著作物、実演、レコード又は放送に係るものに限る。)を沖縄県の区域以外の本邦の地域において頒布する目的をもつてこの法律の施行後に当該地域に移入する行為は、当該複製物がその移入の時において国内で作成されたとしたならば著作権法による著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成されたものとなるべき場合には、同法第百十三条第一項第一号に掲げる行為とみなして、同号の規定を適用し、その同号に掲げる行為とみなされる行為に係る複製物を当該地域において情を知つて頒布する行為は、同項第二号に掲げる行為とみなして、同号の規定を適用する。

3 この法律の施行前に本土で作成され、又は本土に輸入された著作物、実演又はレコードの複製物(この法律の施行の際沖縄の著作権法による保護を受けており、かつ、この法律の施行の日から新たに著作権法による保護を受けることとなる著作物、実演又はレコードに係るものに限る。)を沖縄県の区域において頒布する目的をもつてこの法律の施行後に当該区域に移入する行為は、当該複製物がその移入の時において国内で作成されたとしたならば著作権法による著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成されたものとなるべき場合には、同法第百十三条第一項第一号に掲げる行為とみなして、同号の規定を適用し、その同号に掲げる行為とみなされる行為に係る複製物を当該区域において情を知つて頒布する行為は、同項第二号に掲げる行為とみなして、同号の規定を適用する。

第九十九条 この法律の施行の際沖縄の著作権法による著作権が存する著作物でこの法律の施行の日から新たに著作権法による保護を受けることとなるものについては、同法第十五条及び第十六条の規定は、適用しない。

2 著作権法第二十九条に規定する映画の著作物で前項に規定する著作物に該当するものの著作権の帰属については、なお沖縄の著作権法の規定の例による。

3 著作権法の規定は、写真の著作物で第一項に規定する著作物に該当するものの著作権の帰属について沖縄の著作権法第二十四条又は第二十五条の規定により生じた効力を妨げない。

4 二人以上の者が共同して創作し、かつ、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができる著作物で、第一項に規定する著作物に該当するものについては、沖縄の著作権法第十三条第一項及び第三項の規定は、法律としての効力を有する。

5 前項に規定する著作物は、著作権法第五十一条第二項又は第五十二条第一項の規定の適用については、共同著作物とみなす。

6 第四項の規定は、この法律の施行の際沖縄の著作権法による著作権が存する実演又はレコードでこの法律の施行の日から新たに著作権法による保護を受けることとなるものについて準用する。

    第六節 厚生省関係


 (介輔)

第百条 介輔(この法律の施行の際沖縄法令による介輔である者をいう。以下この条において同じ。)は、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十七条の規定にかかわらず、医師の不足している地域として厚生大臣が定める基準に従い沖縄県知事が指定する沖縄県の区域内の地域において、従前沖縄法令により認められた業務を行なうことができる。ただし、第三項において準用する同法第七条第一項又は第二項の規定により、その業務を禁止されたときは、この限りでない。

2 この法律の施行の際沖縄法令により認められた地域(前項の規定により沖縄県知事が指定した地域を除く。)においてその業務を行なつている介輔については、その者が引き続き当該地域においてその業務を行なう場合に限り、当該地域を同項の規定により沖縄県知事が指定した地域とみなして、同項の規定を適用する。

3 介輔については、医師法第七条(第三項後段及び第四項を除く。)、第十九条から第二十四条の二まで、第三十二条及び第三十三条の規定を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第七条第一項

厚生大臣

沖縄県知事

免許を取り消す

業務を禁止する

第七条第二項

厚生大臣

沖縄県知事

免許を取り消す

業務を禁止し

第七条第三項

取消処分

禁止処分

再免許を与える

その禁止処分を取り消す

第七条第五項

厚生大臣又は都道府県知事

沖縄県知事

官吏若しくは吏員又は医道審議会の委員

職員

第七条第七項

厚生大臣

沖縄県知事

第三十二条第一号

第七条第二項

沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百条第三項において準用する第七条第二項

第三十三条

、第二十条から第二十二条まで又は第二十四条

又は沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百条第三項において準用する第二十条から第二十二条まで若しくは第二十四条

4 刑法第百三十四条第一項、第百六十条及び第二百十四条の規定の適用については、介輔は、医師とみなす。

5 介輔が行なう業務に関して医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十九条の規定を適用する場合においては、同条第一項第一号中「医師又は歯科医師」とあるのは、「介輔」とし、同項第二号の規定は、適用しない。

6 介輔が病院及び診療所以外の場所において公衆又は特定多数人のためその業務を行なう場合においては、当該場所を診療所とみなして、医療法の診療所に関する規定(第三条第一項の規定を除く。)を適用する。この場合において、同法第七条第一項及び第二項中「医師及び歯科医師」とあり、同法第八条、第十二条第二項、第十五条第一項及び第七十三条第一項中「医師、歯科医師」とあり、同法第十条中「医師」とあり、同法第六十九条第一項第四号、第二項及び第三項中「医師又は歯科医師」とあるのは、それぞれ「介輔」とする。

7 医療法第五条及び第七十二条から第七十四条まで並びに前項後段の規定は、介輔が公衆又は特定多数人のため往診のみによつてその業務を行なう場合に準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第七十二条第一号

第六十九条第一項から第三項まで、若しくは第六項

沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百条第七項において第五条第一項の規定を準用することにより適用される第六十九条第一項から第三項まで若しくは第六項

第七十三条第一項

第五条第二項

沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百条第七項において準用する第五条第二項

第七十四条第一号

第八条から第十二条まで

沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百条第七項において第五条第一項の規定を準用することにより適用される第八条若しくは第九条

8 沖縄法令の規定により行なつた第六項に規定する場所に係る届出は、同項の規定により診療所とみなされた場所について医療法の相当規定により行なつた届出とみなす。

9 第六項に規定する場所については、医療法第三条第一項の規定にかかわらず、介輔診療所又はこれに類する名称を附けることができる。

10 政令で定める法律の規定(当該規定が罰則である場合及び当該規定に違反する行為につき罰則が設けられている場合を含む。)の適用については、介輔は、医師とみなし、第六項に規定する場所は、診療所とみなす。

 (歯科介輔)

第百一条 歯科介輔(この法律の施行の際沖縄法令による歯科介輔である者をいう。以下この条において同じ。)は、歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第十七条の規定にかかわらず、歯科医師の不足している地域として厚生大臣が定める基準に従い沖縄県知事が指定する沖縄県の区域内の地域において、従前沖縄法令により認められた業務を行なうことができる。ただし、次項において準用する同法第七条第一項又は第二項の規定により、その業務を禁止されたときは、この限りでない。

2 歯科介輔については、歯科医師法第七条(第三項後段及び第四項を除く。)、第十九条から第二十三条の二まで、第三十条及び第三十一条の規定を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第七条第一項

厚生大臣

沖縄県知事

免許を取り消す

業務を禁止する

第七条第二項

厚生大臣

沖縄県知事

免許を取り消し

業務を禁止し

第七条第三項

取消処分

禁止処分

再免許を与える

その禁止処分を取り消す

第七条第五項

厚生大臣又は都道府県知事

沖縄県知事

官吏若しくは吏員又は医道審議会の委員

職員

第七条第七項

厚生大臣

沖縄県知事

第三十条第一号

第七条第二項

沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百一条第二項において準用する第七条第二項

第三十一条

、第二十条、第二十一条又は第二十三条

又は沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百一条第二項において準用する第二十条、第二十一条若しくは第二十三条

3 前条第二項及び第四項から第十項までの規定は、歯科介輔及び歯科介輔が業務を行なう場所について準用する。この場合において、同条第六項中「「医師」」とあるのは、「「歯科医師」」と読み替えるものとする。


 (准看護婦に関する特例)

第百二条 公衆衛生看護婦助産婦看護婦法(千九百六十八年立法第百四十九号。以下この条において「立法第百四十九号」という。)附則第十三条第一項の規定により設置された臨時准看護婦養成所又は厚生大臣が指定するこれに準ずる准看護婦の養成所を卒業した者は、保健婦助産婦看護婦法(昭和二十三年法律第二百三号)第二十二条の規定にかかわらず、沖縄県知事が行なう准看護婦試験を受けることができる。

2 前項の規定により准看護婦試験を受け、これに合格した者に係る准看護婦の免許は、沖縄県知事が与える。

3 前項の規定により免許を受けた准看護婦は、沖縄県の区域以外の本邦の地域においては、保健婦助産婦看護婦法第六条に規定する業をしてはならない。ただし、厚生大臣が指定した講習会の課程を修了した者については、この限りでない。

4 第二項の規定により免許を受けた准看護婦に対する保健婦助産婦看護婦法第二十一条の規定の適用については、同条第三号中「准看護婦」とあるのは、「准看護婦(沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百二条第三項ただし書に規定する講習会の課程を修了した者に限る。)」とする。

5 この法律の施行の際立法第百四十九号附則第十三条第二項の規定により准看護婦試験を受け、これに合格している者は、第一項の規定により准看護婦試験を受け、これに合格した者とみなし、この法律の施行の際同条第二項の規定により准看護婦試験を受け、これに合格したことにより同立法による准看護婦となつている者は、第二項の規定により免許を受けた准看護婦とみなす。

6 第三項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

7 立法第百四十九号附則第十一条第一項の規定により届出をした者は、昭和四十九年二月二十四日までは、保健婦助産婦看護婦法第三十二条の規定にかかわらず、沖縄県の区域において、同法第六条に規定する業をすることができる。ただし、次項において準用する同法第十四条第二項又は第四項の規定により、その業務を禁止されたときは、この限りでない。

8 前項に規定する者については、保健婦助産婦看護婦法第十四条第二項、第四項及び第五項(後段を除く。)、第十五条第二項から第五項まで、第三十七条並びに第四十四条の規定を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第十四条第二項

都道府県知事

沖縄県知事

免許を取り消す

業務を禁止する

第十四条第四項

都道府県知事

沖縄県知事

免許を取り消し

業務を禁止し

第十四条第五項

取消処分

禁止処分

再免許を与える

その禁止処分を取り消す

第十五条第二項、第三項及び第五項

都道府県知事

沖縄県知事

第四十四条第二号

第三十五条から第三十八条まで

沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百二条第八項において準用する第三十七条

 (社会福祉事業法等に関する特例)

第百三条 昭和四十九年三月三十一日までの間においては、沖縄県の区域内の市及びその長は、社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)及び精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)の規定の適用については、それぞれ町村及び町村長とみなす。

2 社会福祉事業法第十三条第七項及び第八項の規定は、前項の規定により町村とみなされた市がこの法律の施行の日において福祉に関する事務所を設置する場合の当該設置については、適用しない。


 (厚生年金保険法等に関する特例等)

第百四条 沖縄の厚生年金保険法(千九百六十八年立法第百三十六号)による被保険者であつた期間(昭和四十五年一月一日以後の期間に限るものとし、同立法による脱退手当金の計算の基礎となつた期間を除く。)は、当該被保険者の種別に応じ、それぞれ当該種別に相当する厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)による被保険者であつた期間とみなす。ただし、同立法による第三種被保険者であつた期間(この法律の施行の際同立法による年金たる保険給付を受ける権利を有する者の当該保険給付の額の計算の基礎となる期間を除く。)は、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)による老齢、廃疾、脱退又は死亡に関する保険給付(葬祭料を除く。)については、同法第十七条の規定による被保険者であつた期間とみなす。

2 沖縄の国民年金法(千九百六十八年立法第百三十七号)による被保険者であった期間(昭和四十五年四月一日以後の期間に限る。)、保険料納付済期間又は保険料免除期間は、それぞれ国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)による被保険者であつた期間、保険料納付済期間又は保険料免除期間とみなす。

3 沖縄の厚生年金保険法又は沖縄の国民年金法の規定により取得した年金たる保険給付又は年金たる給付を受ける権利は、政令で定めるところにより、厚生年金保険法又は国民年金法の相当規定により取得した年金たる保険給付又は年金たる給付を受ける権利とみなす。

4 沖縄の厚生年金保険法又は沖縄の国民年金法による被保険者であつた者その他政令で定める者に係る厚生年金保険法、船員保険法又は国民年金法による老齢年金等の受給資格及び通算老齢年金の額その他これらの法律に規定する事項については、これらの法律、厚生年金保険及び船員保険交渉法(昭和二十九年法律第百十七号)及び通算年金通則法(昭和三十六年法律第百八十一号)の規定にかかわらず、政令で特別の定めをすることができる。

5 沖縄の厚生年金保険法又は沖縄の国民年金法による次に掲げる事項については、なお従前の例による。

 一 この法律の施行の日前に生じた被保険者の資格の取得及び喪失並びに被保険者の種別の変更に関する事項

 二 この法律の施行の日前の期間に係る標準報酬に関する事項

 三 この法律の施行の日の属する月前の月分の年金たる保険給付若しくは年金たる給付又は同日においてまだ支給していない一時金たる保険給付若しくは一時金たる給付に関する事項

 四 この法律の施行の日の属する月前の月に係る保険料に関する事項

    第七節 農林省関係


 (農業委員会の委員の選挙権等に関する経過措置)

第百五条 次の各号に掲げる者は、農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第十一条において準用する公職選拳法(昭和二十五年法律第百号)第十一条第一項の規定の適用については、それぞれ、同項第二号、第三号又は第四号に掲げる者とみなす。

 一 沖縄法令の規定(第二十五条第一項の規定によりなおその効力を有することとされる沖縄法令の規定を含む。以下この条において同じ。)の罪を犯し禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者

 二 沖縄法令の規定の罪を犯し禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)

 三 選挙に関する沖縄法令の規定の罪を犯し禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者


 (農林共済組合法に関する特例等)

第百六条 沖縄農林共済組合の組合員であつた期間又は任意継続組合員であつた期間は、農林共済組合の組合員であつた期間又は任意継続組合員であつた期間とみなす。

2 沖縄農林共済組合の成立の時にその組合員となつた者につき沖縄農林共済組合法附則第五条の規定によりその組合員であつた期間とみなされた期間(昭和二十一年一月二十九日以後の期間に限る。)のうちその成立の際まで引き続いている期間は、農林共済組合法(第二十一条を除く。)の適用については、農林共済組合の組合員であつた期間とみなす。

3 沖縄農林共済組合法の規定により取得した年金たる給付を受ける権利は、農林共済組合法の相当規定により取得した年金たる給付を受ける権利とみなす。

4 第二項の規定により農林共済組合の組合員であつた期間とみなされた期間を有する者につきこの法律の施行の日以後に生じた給付事由に係る給付の額については、農林共済組合法の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該期間中農林共済組合の組合員として掛金を負担した者に係る給付の額との均衡等を考慮して、その一部を減額することができる。

5 前項に定めるもののほか、沖縄農林共済組合の組合員であつた者その他政令で定める者に係る農林共済組合法による退職年金等の受給資格及び通算退職年金の額その他同法に規定する事項については、同法の規定にかかわらず、政令で特別の定めをすることができる。

6 沖縄農林共済組合法による次に掲げる事項については、なお従前の例による。

 一 この法律の施行の日前に生じた組合員又は任意継続組合員の資格の取得及び喪失に関する事項

 二 この法律の施行の日前の期間に係る標準給与に関する事項

 三 この法律の施行の日の属する月前の月分の年金たる給付又は同日においてまだ支給していない一時金たる給付に関する事項

 四 この法律の施行の日の属する月前の月に係る掛金に関する事項


 (農業者年金基金法に関する特例)

第百七条 沖縄県の区域内に住所を有する者に係る農業者年金基金法(昭和四十五年法律第七十八号)第二十三条第一項第一号の規定の適用については、当分の間、当該区域における農業経営の現況を考慮して政令で定める要件に該当する者は、同号に掲げる者に該当する者とみなす。

2 前項に定めるもののほか、沖縄県の区域内に住所を有する者に係る農業者年金基金法による経営移譲の要件、この法律の施行前に沖縄の区域内に住所を有していた者に係る農業者年金基金法による経営移譲年金等の受給資格期間及びその額その他これらの者に係る同法に規定する事項については、同法の規定にかかわらず、政令で特別の定めをすることができる。


 (小作地所有制限に関する特例)

第百八条 沖縄県の区域内にある小作地については、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第六条第一項の規定は、この法律の施行の日から起算して六月間は、適用しない。

2 沖縄県の区域内にある小作地についての農地法第六条第一項の規定の適用については、同項中「市町村の区域」とあるのは、「市町村の区域(その隣接市町村の区域内の地域で市町村長が政令で定めるところにより沖縄県知事の承認を得て当該市町村の区域に準ずるものとして指定したものを含む。)」とする。

3 沖縄県の区域内に住所を有する者がその住所地の属する市町村の区域以外の沖縄県の区域内に所有している小作地は、当該小作地及びその所有者の住所地が、その区域内の土地をアメリカ合衆国が使用することとなつたことに関連してこの法律の施行の日の前日までに行なわれた市町村の分立によりその区域を縮小した市町村として農林大臣の指定するもののその縮小の直前の区域内にある場合には、農地法第六条第一項の規定の適用については、その所有者の住所地の属する市町村の区域内にある小作地とみなす。

4 沖縄県の区域内にある小作地のうち、昭和十九年七月一日以後この法律の施行の日の前日までの間に他の市町村に住所を移転した個人(この法律の施行の日以後の住所地がその移転前の住所地の属する市町村の区域内にない個人及びこれに準ずる個人で政令で定めるものに限るものとし、昭和二十七年四月二十八日以後に他の市町村に住所を移転した個人にあつては、その使用に係る土地をアメリ力合衆国が使用することとなつたことに伴いその住所の移転をした個人に限る。)若しくはその一般承継人(この法律の施行の日以後の住所地がその移転前の住所地の属する市町村の区域内にない者及びこれに準ずる者で政令で定めるものに限る。)若しくはこれらの世帯員(農地法第二条第六項に規定する世帯員をいう。)である者がこの法律の施行前から引き続きその移転前の住所地の属する市町村の区域内に所有している小作地(農地法第七条第一項第二号から第十六号までに掲げる小作地を除く。)であつて、その面積の合計が一ヘクタール(農地法第六条第一項第二号の規定による公示がされているときは、その公示に係る面積)をこえないもの(農林省令で定めるところにより当該小作地である旨の農業委員会の確認を受けたものに限る。)又はその小作地の所有権をこの法律の施行の際の所有者から承継した一般承継人(その承継の時以後の住所地がその小作地のある市町村の区域内にない者及びこれに準ずる者で政令で定めるものに限る。)がその承継後引き続き所有している小作地(農林省令で定めるところにより当該小作地である旨の農業委員会の確認を受けたものに限る。)は、農地法第六条第一項第一号の規定にかかわらず、所有することができる。

5 農地法第九十条第一項の規定は前項の場合に、同条第二項の規定は前三項の場合に準用する。

6 この法律の施行後、沖縄県の区域内の市町村につき、農業委員会等に関する法律の規定により最初に行なわれる農業委員会の委員の選挙により農業委員会が成立する日までは、第四項の規定の適用については、同項中「農業委員会」とあるのは、「市町村長」とする。


 (種苗の登録名称使用に関する特例)

第百九条 沖縄において、昭和四十六年六月十六日以前からこの法律の施行の日まで継続して、他人がこの法律の施行の際農産種苗法(昭和二十二年法律第百十五号)第七条の規定による登録を受け又は当該登録の出願をしている種苗の名称を使用して、業として当該種苗の販売をしている者は、この法律の施行後(この法律の施行の際他人が当該登録の出願をしている場合にあつては、その出願に係る当該登録の後)も、農産種苗法第十条第一項の規定にかかわらず、沖縄県の区域内に限り、当該登録に係る種苗の名称を使用して、業として当該種苗の販売をすることができる。その者の一般承継人についても、同様とする。


 (食糧管理法に関する特例等)

第百十条 沖縄県の区域においては、食糧管理法(昭和十七年法律第四十号)第三条、第四条ノ二及び第八条ノ二から第八条ノ六までの規定並びに同法第九条第一項の規定に基づく命令の規定で政令又は農林省令で指定するものは、当分の間、適用しない。

第百十一条 政府は、当分の間、予算の範囲内において、沖縄県の区域の全部又は一部をその地区とする農業協同組合で、政令で定めるところにより、沖縄産米穀でこの法律の施行の日の属する年以後の生産のものをその生産者から一定価格を下らない価格で買い入れ、かつ、その買入れに係る沖縄産米穀を売り渡す業務を行なうものに対し、政令で定めるところにより、その業務の実施によつて生ずる損失の補てんに充てるための交付金を交付することができる。

2 前項の一定価格は、この法律の施行の日の属する年以後の政令で定める一定年間に生産される米穀については、政令で定めるところにより、稲作振興法(千九百六十五年立法第五十七号)第十五条第二項の規定に基づき定められた沖縄産米穀の買入基準価格でこの法律の施行の際適用されているものに相当する額を基準とし、この法律の施行後における米穀の本土買入価格(食糧管理法第三条第二項の規定により定められる米穀の買入れの価格をいう。以下この項において同じ。)の変化の状況を参酌して、当該一定年間の経過後政令で定める一定年間に生産される米穀については、その期間の満了の時に、その額が、その品質が沖縄産米穀に類似する米穀に係る米穀の本土買入価格に相当するものとなるように、その額をこれに漸次近づけることを旨として、その期間の経過後に生産される米穀については、その品質が沖縄産米穀に類似する米穀に係る米穀の本土買入価格を基準として、それぞれ農林大臣が定める。

第百十二条 この法律の施行後政令で定める一定年間に、沖縄県の区域において消費される米穀を食糧管理法第四条第一項の規定により売り渡す場合(飼料用米穀として売り渡す場合を除く。)におけるその売渡しの価格は、同条第二項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、飯用米穀として売り渡す場合にあつては、米穀の管理及び価格安定に関する立法(千九百六十五年立法第五十八号)第九条第一項第二号の消費者価格の最高限でこの法律の施行の際適用されているものの額に相当する額からその売渡しに係る米穀を沖縄県の区域において販売するのに要する標準的な費用の額を控除して得た額を、加工又は製造の原材料用米穀として売り渡す場合にあつては、沖縄において米穀の加工又は製造を業とする者がこの法律の施行前に買い入れた米穀の買入価格(その者が輸入した米穀については、その買入価格にその輸入に要した運賃その他の諸掛の額を加えて得た額)に相当する額をそれぞれ基準とし、この法律の施行後における米穀の本土売渡価格(食糧管理法第四条第二項の規定により定められる米穀の売渡しの価格をいう。次項において同じ。)の変化の状況を参酌して、農林大臣が定める。

2 前項の一定年間の経過後政令で定める一定年間に、沖縄県の区域において消費される米穀を食糧管理法第四条第一項の規定により売り渡す場合(飼料用米穀として売り渡す場合を除く。)におけるその売渡しの価格は、同条第二項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その期間の満了の時にその額が米穀の本土売渡価格に一致することとなるように、その額をこれに漸次近づけることを旨として、農林大臣が定める。

第百十三条 この法律の施行後政令で定める一定年間に、沖縄県の区域において消費される麦を食糧管理法第四条ノ三第一項の規定により売り渡す場合におけるその売渡しに係る同条第二項の標準売渡価格は、同条第三項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、沖縄において麦の加工又は製造を業とする者がこの法律の施行前に買い入れた麦の買入価格(その者が輸入した麦については、その買入価格にその輸入に要した運賃その他の諸掛の額を加えて得た額)に相当する額を基準とし、この法律の施行後における麦の本土標準売渡価格(同項の規定により定められる麦の標準売渡価格をいう。次項において同じ。)の変化の状況を参酌して、農林大臣が定める。

2 前項の一定年間の経過後政令で定める一定年間に、沖縄県の区域において消費される麦を食糧管理法第四条ノ三第一項の規定により売り渡す場合におけるその売渡しに係る同条第二項の標準売渡価格は、同条第三項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その期間の満了の時にその額が麦の本土標準売渡価格に一致することとなるように、その額をこれに漸次近づけることを旨として、農林大臣が定める。

第百十四条 沖縄県の区域内にある米穀の売買取引については、米穀の販売の業務を営む者は、この法律の施行後政令で定める期間内は、当該区域において消費される米穀を食糧管理法第四条第一項の規定により売り渡す場合におけるその売渡しの価格及びその売渡しに係る米穀を当該区域において販売するのに要する標準的な費用の額を参酌して農林大臣が定める価格をこえる価格により、契約をし、又は対価を支払い、若しくは受領してはならない。ただし、当該区域をその地区の全部又は一部とする農業協同組合が沖縄産米穀をその生産者から買い入れる場合その他政令で定める場合は、この限りでない。

第百十五条 農林大臣は、第百十一条から前条までの規定の施行に必要な限度において、米穀の生産者又は米穀若しくは麦の販売、加工、製造、運送若しくは保管を業とする者に対して必要な事項の報告を求め、又はその職員に、これらの者の事務所、事業場、倉庫その他必要な場所に立ち入り、帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第百十六条 第百十四条の規定に違反して契約をし、又は対価を支払い、若しくは受領した者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。

3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、当該各項の罰金刑を科する。


 (森林国営保険法の適用延期)

第百十七条 沖縄県の区域内にある森林については、森林国営保険法(昭和十二年法律第二十五号)は、この法律の施行の日から起算して三年間は、適用しない。


 (海区漁業調整委員会の委員の選挙権等に関する経過措置)

第百十八条 第百五条各号に掲げる者は、漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第八十七条第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる者とみなす。

    第八節 通商産業省関係


 (特許法に関する特例)

第百十九条 この法律の施行前にした特許出願に係る特許権の効力は、この法律の施行の際沖縄にある物には、及ばない。ただし、特許出願後に沖縄において生産され、又は輸入された物については、その物が引き続き沖縄県の区域内にある場合に限る。

2 この法律の施行前に沖縄において特許出願に係る発明の実施である事業又はその事業の準備がされていた場合には、特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第七十九条中「現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている」とあるのは、「沖縄においてその発明の実施である事業をしていた者又はその事業の準備をしていた者は、その実施又は準備をしていた」と読み替えて、同条の規定を適用する。この場合において、この法律の施行の際存する特許権についての通常実施権は、この法律の施行の日に発生したものとみなす。

3 前項の規定により通常実施権を有する者以外の者であつて、沖縄において昭和四十六年六月十六日(第百二十一条及び第百二十二条において「基準日」という。)以前からこの法律の施行の日まで継続してこの法律の施行前にした特許出願に係る発明の実施である事業をしていたもの(以下この項において「発明実施者」という。)は、その実施をしていた発明及び事業の目的の範囲内において、かつ、沖縄県の区域内に限り、業としてその特許発明の実施をする権利を有する。ただし、当該事業の開始が沖縄の不正競争防止法(千九百六十一年立法第七十六号)の施行後である場合において、当該事業の開始の際沖縄において他人が当該特許出願に係る発明の実施である事業をしており、かつ、発明実施者がその事実を知りながら当該事業を開始したとき(発明実施者が当該特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又は当該特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得した者である場合を除く。)は、この限りでない。

4 前項の規定による特許発明の実施をする権利は、特許法による通常実施権とみなす。

5 特許法第九十九条第二項の規定は、前項の規定により特許法による通常実施権とみなされた特許発明の実施をする権利について準用する。


 (実用新案法に関する特例)

第百二十条 前条の規定は、実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)を沖縄に適用する場合に準用する。


 (意匠法に関する特例)

第百二十一条 この法律の施行前に沖縄において意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業又はその事業の準備がされていた場合には、意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第二十九条中「現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている」とあるのは、「沖縄においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしていた者又はその事業の準備をしていた者は、その実施又は準備をしていた」と読み替えて、同条の規定を適用する。この場合において、この法律の施行の際存する意匠権についての通常実施権は、この法律の施行の日に発生したものとみなす。

2 前項の規定により通常実施権を有する者以外の者であつて、沖縄において基準日以前からこの法律の施行の日まで継続してこの法律の施行前にした意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしていたもの(以下この項において「意匠実施者」という。)は、その実施をしていた意匠及び事業の目的の範囲内において、かつ、沖縄県の区域内に限り、業としてその登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利を有する。ただし、当該事業の開始が沖縄の不正競争防止法の施行後である場合において、当該事業の開始の際沖縄において他人が当該意匠登録出願に係る意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしており、かつ、意匠実施者がその事実を知りながら当該事業を開始したとき(意匠実施者が当該意匠登録出願に係る意匠の内容を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は当該意匠登録出願に係る意匠の内容を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得した者である場合を除く。)は、この限りでない。

3 前項の規定による登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利は、意匠法による通常実施権とみなす。

4 第百十九条第一項の規定はこの法律の施行前にした意匠登録出願に係る意匠権について、同条第五項の規定は前項の規定により意匠法による通常実施権とみなされた登録意匠又はこれに類似する意匠の実施をする権利について準用する。


 (商標法に関する特例)

第百二十二条 この法律の施行前に沖縄においてこの法律の施行前にした他人の商標登録出願に係る指定商品又はこれに類似する商品についてその商標又はこれに類似する商標の使用がされていた場合には、商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第三十二条第一項中「日本国内」とあるのは「沖縄」と、「現にその商標が自己の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている」とあるのは「沖縄においてその商標が自己の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた場合において、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の施行の日まで継続してその商品についてその商標の使用がされていた」と読み替えて、同項の規定を適用する。

2 この法律の施行前から沖縄においてこの法律の施行前にした他人の商標登録出願に係る指定商品又はこれに類似する商品についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた者であつて、その使用をしていた結果この法律の施行の際沖縄においてその商標が自己の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているもの(前項の規定により商標の使用をする権利を有する者及び基準日後において、かつ、他人の商標登録出願後にその商品についてその商標の使用を開始した者を除く。)は、次の各号の一に該当する場合を除き、継続してその商品についてその商標の使用をする場合は、その商品についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。

 一 その商標の使用を開始する以前から当該商標登録出願に係る商標又はこれに類似する商標が他人の業務に係る当該商標登録出願に係る指定商品又はこれに類似する商品を表示するものとして沖縄において需要者の間に広く認識されていたとき。

 二 不正競争の目的をもつてその商標の使用をしていたとき。

3 当該商標権者又は専用使用権者は、前二項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る商品と自己の業務に係る商品との混同を防ぐのに適当な表示を附すべきことを請求することができる。ただし、前二項の規定により商標の使用をする権利を有する者が沖縄県の区域において当該商品について当該商標の使用をする場合は、この限りでない。

4 前三項の規定は、この法律の施行前にした防護標章登録出願に係る防護標章登録に基づく権利について準用する。

    第九節 運輸省関係


 (自動車の検査に関する特例)

第百二十三条 沖縄県の区域内に使用の本拠を有する道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号。以下この節において「車両法」という。)第十三条第一項に規定する登録自動車又は車両番号の指定を受けた二輪の小型自動車の使用者が同法第六十二条の規定による継続検査を受ける場合において次項の規定による指定検査人検査合格証を提出したときは、同条の規定の適用については、当該自動車は、運輸大臣に対する提示があり、かつ、同法第三章の規定による保安上の技術基準に適合するものとみなす。

2 この法律の施行の際沖縄の道路運送車両法(千九百五十四年立法第四十五号。以下この節において「沖縄車両法」という。)第五十四条の規定による指定を受けている検査人(以下この節において「指定検査人」という。)は、この法律の施行の日から起算して二年を経過する日までの間、前項に規定する自動車について指定検査人検査合格証を交付することができる。

3 指定検査人は、運輸省令で定めるところにより当該自動車が車両法第三章の規定による保安上の技術基準に適合するかどうかを検査し、その結果これに適合すると認められるときでなければ、指定検査人検査合格証を交付してはならない。

4 指定検査人は、指定検査人検査合格証を交付するときは、同時に指定検査人検査合格標章を交付しなければならない。

5 指定検査人検査合格証及び指定検査人検査合格標章には、運輸省令で定めるところにより、有効期間を附さなければならない。

6 指定検査人は、指定検査人検査合格証の交付を受けようとする者から手数料を収受する場合においては、車両法第百二条第一項の規定に基づく継続検査に係る手数料の額の範囲内においてしなければならない。

7 自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号。以下この節において「自賠法」という。)第九条第三項及び第四項の規定は、指定検査人検査合格証及び指定検査人検査合格標章の交付について準用する。この場合において、同条第四項中「道路運送車両法第九十四条の五第四項の規定により保安基準適合証の提出があつた場合」とあるのは、「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律第百二十三条第一項の規定により指定検査人検査合格証の提出があつた場合」と読み替えるものとする。

8 指定検査人検査合格証の交付を受けた自動車が運輸省令で定めるところにより当該自動車に係る有効な指定検査人検査合格標章を表示しているときは、車両法第五十八条第一項及び第六十六条第一項の規定は、当該自動車について適用しない。

第百二十四条 指定検査人は、運輸省令で定める基準に適合する自動車の検査設備を備えなければならない。

2 指定検査人の禁止行為及び職務に専念する義務については、沖縄車両法第七十二条及び第七十三条の規定の例による。

3 運輸大臣は、指定検査人が前条第三項から第六項までの規定、同条第七項において準用する自賠法第九条第四項の規定、第一項の規定、前項においてその例によることとされる規定又は次条第三項の運輸省令の規定に違反した場合は、当該指定検査人に対し、指定検査人検査合格証及び指定検査人検査合格標章の交付の停止を命ずることができる。この法律の施行前に沖縄車両法第七十四条に規定する場合に該当した指定検査人であつて同条の規定による処分がなされていないものに対しても、同様とする。

4 車両法第百三条の規定は、前項の規定による処分をする場合について準用する。

第百二十五条 車両法第百条の規定は、指定検査人の業務に関する報告及び指定検査人の事務所その他の事業場への立入りについて準用する。

2 車両法第百二条の規定は、第百二十三条第一項の規定により指定検査人検査合格証を提出して同法第六十二条の規定による継続検査の申請をする者については、適用しない。

3 指定検証人の遵守すべき事項並びに指定検査人検査合格証及び指定検査人検査合格標章の様式その他指定検査人検査合格証及び指定検査人検査合格標章に関し必要な事項は、運輸省令で定める。

4 前条第三項の規定並びに同条第四項において準用する車両法第百三条及び第一項において準用する同法第百条の規定に基づく運輸大臣の権限は、政令で定めるところにより、沖縄総合事務局長に委任することができる。

5 指定検査人及び指定検査人の業務に従事する者は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

第百二十六条 行使の目的をもつて指定検査人検査合格標章を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造に係る指定検査人検査合格標章を使用した者は、三年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 行使の目的をもつて指定検査人検査合格標章に紛らわしい外観を有する物を製造し、又はこれを使用した者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

3 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第百二十三条第三項の規定に違反した者

 二 指定検査人検査合格証を交付してはならない場合に指定検査人検査合格標章を交付した者

 三 第百二十四条第三項の規定による指定検査人検査合格証及び指定検査人検査合格標章の交付の停止の処分に違反した者

4 指定検査人検査合格標章を当該自動車以外の自動車に使用した者は、三万円以下の罰金に処する。

5 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第百二十三条第六項の規定に違反した者

 二 前条第一項において準用する車両法第百条第一項の規定に基づく報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 三 前条第一項において準用する車両法第百条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対し虚偽の陳述をした者

6 指定検査人の業務に従事する者が、指定検査人の業務に関し、第三項又は前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その指定検査人に対して当該各項の罰金刑を科する。


 (沖縄の自動車損害賠償責任保険契約等に関する経過措置)

第百二十七条 沖縄の自動車損害賠償保障法(千九百六十二年立法第九十一号。以下この節において「沖縄自賠法」という。)で定める自動車損害賠償責任保険の契約(自賠法第二条第一項に規定する自動車(第六項を除き、以下この節において単に「自動車」という。)に係るものに限る。)であつてこの法律の施行の際締結されているもの(以下この節において「沖縄責任保険契約」という。)のうち対人損害(自動車の運行により他人の生命又は身体が害された場合において生じた損害について被保険者が賠償責任を負うことにより受けることあるべき損害をいう。以下この節において同じ。)のてん補に関する部分及びこれに係る自動車の運行による事故に関する損害賠償については、自賠法の規定(第十六条の二、第十九条の二、第三章第五節及び第八十二条の二の規定を除く。)の適用があるものとする。ただし、この法律の施行前に発生した自動車の運行による事故に関する損害賠償については、なお従前の例による。

2 沖縄責任保険契約の対人損害のてん補に係る保険金額は、基準日(この法律の施行の日から起算して十四日を経過した日(その日の前日までに保険契約者が保険者に対し自賠法第十三条第一項に規定する保険金額による旨を申し出たときは、保険者がその申出を受けた日の翌日)をいう。以下この項において同じ。)以後に発生する自動車の運行による事故に関しては、同条第一項に規定する保険金額とし、基準日前に発生する自動車の運行による事故及び基準日前に当該契約の保険契約者が保険者に対し約定した保険金額による旨を申し出た場合における基準日以後に発生する自動車の運行による事故に関しては、当該約定した保険金額とする。

3 沖縄責任保険契約に係る被保険者が自賠法第三条の規定によつて損害賠償の責めに任ずる場合において、当該契約の対人損害のてん補に係る保険金額が約定した保険金額によるものであるときは、政府は、被保険者が保険金の支払を受け、又は被害者が同法第十六条第一項の規定により損害賠償の支払を受けた後、被害者の請求により、同法第七十二条第一項後段に規定する金額から被保険者又は被害者の当該支払を受けた金額を控除した金額の限度において、その受けた損害のうち当該支払を受けた金額をこえる損害をてん補する。

4 自賠法第七十三条、第七十六条第一項及び第七十七条の規定は前項の規定による損害のてん補について、同法第七十四条及び第七十五条の規定は同項の規定による請求権について、それぞれ準用する。この場合において、同法第七十三条第二項中「その金額」とあるのは、「その金額から沖縄責任保険契約の被保険者が支払を受けた保険金の額又は被害者が第十六条第一項の規定により支払を受けた損害賠償額を控除した金額」と読み替えるものとする。

5 沖縄責任保険契約により保険者がてん補すべき対物損害(自動車の運行により他人の物が損壊された場合において生じた損害について被保険者が賠償責任を負うことにより受けることあるべき損害をいう。以下この条において同じ。)の範囲は、被保険者が民法の規定により賠償責任を負うことにより受けることあるべき対物損害の範囲に変更されるものとする。ただし、この法律の施行前に発生した自動車の運行による事故に関する損害賠償については、なお従前の例による。

6 前項の規定は、沖縄自賠法第二条第一項に規定する自動車で自賠法第二条第一項に規定する自動車以外のものに係る沖縄自賠法で定める自動車損害賠償責任保険の契約であつてこの法律の施行の際締結されているものにより保険者がてん補すべき損害の範囲について準用する。

7 沖縄責任保険契約の保険契約者は、保険者に対する意思表示により当該契約を将来に向つて対物損害のてん補に関する部分を有しない契約に変更することができる。

8 前項の規定により沖縄責任保険契約が対物損害のてん補に関する部分を有しない契約に変更されたときは、保険者は、保険契約者に対し、当該契約の対物損害のてん補に係る保険料の一部に相当する政令で定める金額を支払わなければならない。

第百二十八条 この法律の施行の際沖縄県の区域において運行の用に供されている自動車で沖縄自賠法第五条の規定の適用を受けていなかつたものに係る対人損害をてん補することを目的の全部又は一部とする保険契約(沖縄責任保険契約を除く。)であつてこの法律の施行の際締結されているもの(以下この条において「沖縄任意保険契約」という。)により保険者がてん補すべき対人損害の範囲は、当該自動車について自賠法で定める自動車損害賠償責任保険の契約が締結されたときは、当該契約によりてん補すべき損害額をこえる対人損害の範囲に変更されるものとする。

2 前項の場合において、沖縄任意保険契約の保険契約者は、保険者に対し、当該契約の対人損害のてん補に係る保険料のうち同項の規定により保険者がてん補すべき対人損害の範囲が変更されることに伴い減少する危険の当該減少分に相当する政令で定める金額の支払を請求することができる。

3 沖縄任意保険契約(その保険者が自賠法第六条に規定する保険会社であるものに限る。)で第一項の規定により保険者がてん補すべき対人損害の範囲が変更されたもの(次項において「上乗せ保険契約」という。)の保険契約者は、保険者に対する意思表示により、当該契約が対人損害のてん補のみを目的とするときはこれを解除し、当該契約が対人損害以外の損害のてん補をも目的とするときはこれを対人損害のてん補に関する部分を有しない契約に変更することができる。

4 前項の規定により上乗せ保険契約が解除され、又は変更されたときは、保険者は、保険契約者に対し、当該契約の対人損害のてん補に係る保険料の一部に相当する政令で定める金額を支払わなければならない。


 (琉球政府の海難審判庁がした裁決及びこれに対する訴え等に関する経過措置)

第百二十九条 沖縄の海難審判法(千九百六十二年立法第六十二号)の規定により琉球政府の海難審判庁がした裁決は、当該裁決に係る海技従事者又は水先人の免許がこの法律に基づく政令の規定によりこれに相当する船舶職員法(昭和二十六年法律第百四十九号)の規定による海技従事者の免許又は水先法(昭和二十四年法律第百二十一号)の規定による水先人の免許とみなされる場合において、そのみなされる免許又はこれに係る業務に関し、海難審判法(昭和二十二年法律第百三十五号)の相当規定により沖縄県を管轄区域に含む地方海難審判庁がした裁決とみなす。ただし、当該裁決に対しては、同法第四十六条の規定にかかわらず、高等海難審判庁に第二審の請求をすることができない。

2 前項の規定により沖縄県を管轄区域に含む地方海難審判庁がしたとみなされる裁決に対しては、この法律の施行の際なお沖縄の海難審判法の規定による訴えを提起することができる期間が満了していない場合に限り、海難審判法第五十三条第四項の規定にかかわらず、訴えを提起することができる。

3 前項の訴えを提起することができる期間は、この法律の施行の日から起算して三十日とし、不変期間とする。

4 第一項の規定により沖縄県を管轄区域に含む地方海難審判庁がしたとみなされる裁決に対する訴えは、那覇地方裁判所の管轄に専属する。

5 前項に規定する訴えは、沖縄県を管轄区域に含む地方海難審判庁の長を被告とする。

6 第四項に規定する訴えに係る裁判において裁決が取り消された場合には、沖縄県を管轄区域に含む地方海難審判庁は、当該事件について海難審判法の規定により審判を行なわなければならない。当該審判に係る事件についての裁決に対する訴えに係る裁判において更にその裁決が取り消された場合も、同様とする。

7 前項の規定による審判については、海難審判法第五十六条第三項の規定を準用する。

8 第六項の規定による審判に係る裁決については、第一項ただし書の規定を準用する。

9 第六項の規定による審判に係る裁決に対する訴えについては、第四項及び第五項並びに海難審判法第五十三条第二項及び第三項の規定を準用し、同条第四項の規定を適用しない。

10 海難審判法の規定は、この法律の施行前に発生した海難に係る事件(琉球政府の海難審判庁が裁決をしたものを除く。)について適用があるものとする。

    第十節 郵政省関係


 (公衆電気通信法に関する特例)

第百三十条 昭和四十六年六月十七日以前に琉球電信電話公社法に基づく琉球電信電話公社に対して行なわれた加入電話加入契約(契約の期間が三十日以内の加入電話に係るものを除く。)の申込みがこの法律の施行の日以後に日本電信電話公社から承諾された場合における設備料は、公衆電気通信法(昭和二十八年法律第九十七号)別表の規定にかかわらず、当該申込みが昭和四十五年十一月二十日以前に行なわれたものであるときは一加入電話ごとに九千円、当該申込みが同月二十一日から昭和四十六年六月十七日までの間に行なわれたものであるときは次の表に掲げる額とする。

料金種別

料金額

一 単独電話に係るもの

一加入電話ごとに

三万円

二 共同電話に係るもの

 

 

 イ その電話機(公衆電気通信法第三十六条に規定する附属的なものを除く。ロにおいて同じ。)の数が二個である場合

一加入電話ごとに

二万円

 ロ その電話機の数が三個以上である場合

一加入電話ごとに

一万円

三 構内交換電話に係るもの(構内交換設備及び内線電話機に係るものを除く。)

一加入電話ごとに

三万円


 (電波法に関する特例)

第百三十一条 琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定第八条に規定するヴォイス・オブ・アメリカ中継局については、この法律の施行の日から起算して五年間、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の規定にかかわらず、同条(同条に基づく取極を含む。)の定めるところによる。

第百三十二条 昭和四十六年六月十七日において琉球列島高等弁務官の免許を受けた無線局により英語による放送及びこれに附帯する業務を行なつていた者で、この法律の施行の際当該無線局について琉球列島高等弁務官の免許を受けて当該放送及び業務を行なつているものは、この法律の施行の日に、電波法第四条第一項の規定により当該英語による放送をする無線局及び当該放送に附帯する業務の用に供する無線局についての郵政大臣の免許を受けたものとみなす。この場合において、当該みなされた免許の有効期間は、同法第十三条第一項の規定にかかわらず、この法律の施行の日から起算して五年とする。

2 前項に規定する者がこの法律の施行の際当該無線局により日本語による放送及びこれに附帯する業務を行なつている場合には、その者は、この法律の施行の日に、電波法第四条第一項の規定により日本語による放送をする無線局及び当該放送に附帯する業務の用に供する無線局についての郵政大臣の免許を受けたものとみなす。この場合において、当該みなされた免許の有効期間は、同法第十三条第一項の規定にかかわらず、この法律の施行の日から起算して一年とする。

3 この法律の施行の際琉球列島高等弁務官の免許を受けて航空機の無線局その他の政令で定める無線局(第一項及び次項に規定する無線局を除く。)を開設している者は、この法律の施行の日に、当該無線局について電波法第四条第一項の郵政大臣の免許を受けたものとみなす。この場合において、当該みなされた免許の有効期間は、同法第十三条の規定にかかわらず、この法律の施行の日から起算して一年とする。

4 この法律の施行の際、沖縄においてアメリカ合衆国政府が開設している無線局又は琉球列島高等弁務官の免許を受けて琉球政府、琉球電力公社の設立(千九百五十四年琉球列島米国民政府布令第百二十九号)に基づく琉球電力公社、琉球水道公社の設立(千九百五十八年高等弁務官布令第八号)に基づく琉球水道公社若しくは航空通信の事業を営むアメリカ合衆国法人が開設している無線局に設置されている無線設備をこの法律の施行後引き続き使用して無線局を開設する者(国その他の政令で定める者に限る。)は、この法律の施行の日に、当該無線局について電波法第百四条第二項の規定により読み替えられる同法第四条第一項の郵政大臣の承認又は同項の郵政大臣の免許を受けたものとみなす。この場合において、当該みなされた承認又は免許の有効期間は、同法第十三条の規定にかかわらず、この法律の施行の日から起算して一年とする。

5 前各項の場合においては、当該無線局の呼出符号は、この法律の施行の日に、郵政大臣が指定するものとする。

6 第一項及び第二項の場合においては、電波法第百四条の二の規定の例により、当該英語による放送又は日本語による放送について放送事項の内容その他電波及び放送の規律に関する事項の適正な履行を確保するため必要な条件を附することができる。

第百三十三条 前条第一項から第四項までの規定により郵政大臣の免許又は承認を受けたものとみなされた者は、この法律の施行の日から起算して二月以内に、電波法第十四条第二項第二号から第十一号までに掲げる事項(当該無線局が放送をする無線局である場合は、同項第二号から第四号まで及び第六号から第十一号まで並びに同条第三項第二号及び第三号に掲げる事項)及び郵政省令で定める事項を郵政大臣に届け出なければならない。

2 郵政大臣は、前項の規定による届出を受理した場合において、混信の除去その他特に必要があると認めるときは、当該届出に係る周波数、空中線電力又は運用許容時間に代えて、当該無線局の周波数、空中線電力又は運用許容時間を指定することができる。

3 郵政大臣は、第一項の規定による届出を受理したときは、電波法第十四条第一項の規定の例により、当該届出に係る事項(第一項の郵政省令で定める事項を除くものとし、当該届出について前項の規定による指定をしたときは、その指定後の事項とする。)を記載した免許状を交付する。

4 この法律の施行の際設置されている無線設備で前条第一項から第四項までに規定する無線局に係るものについては、この法律の施行の日から郵政省令で定める日までの間は、電波法第三章の規定にかかわらず、郵政省令で定めるところによる。

5 この法律の施行の際前条第一項から第四項までに規定する無線局の無線設備の操作に従事している者は、この法律の施行の日から起算して一年間は、電波法第三十九条の規定にかかわらず、その無線設備の操作に従事することができる。

6 前条第一項から第四項までの規定により郵政大臣の免許又は承認を受けたものとみなされた者が同条第六項の条件に違反し、又は第一項の規定に違反して届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、若しくは第四項の郵政省令の規定に違反したときは、電波法若しくは同法に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したものとみなして、同法第七十六条第一項の規定を適用する。


 (放送法に関する特例等)

第百三十四条 この法律の施行前に沖縄の放送法第二十条の規定による届出をした者で、この法律の施行の際当該届出に係る受信設備を設置しているものは、この法律の施行の日に放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第三十二条第一項本文の規定により日本放送協会と契約を締結したものとみなす。

第百三十五条 沖縄県の区域において日本放送協会が徴収する受信料の月額は、当分の間、沖縄県の区域における日本放送協会の業務の実状及び社会的経済的事情を考慮して定められなければならない。

第百三十六条 郵政大臣は、第百三十二条第一項に規定する者が行なう英語による放送又は日本語による放送の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その者に対し、必要な勧告をし、又は資料の提出を求めることができる。

    第十一節 労働省関係


 (労働条件に関する経過措置)

第百三十七条 この法律の施行の際沖縄の労働基準法(千九百五十三年立法第四十四号)第八条の事業又は事務所に使用されている労働者は、この法律の施行の日から起算して一年を経過する日までに当該事業又は事務所を解雇された場合には、同立法第二十二条第一項の規定の例により、解雇手当を請求することができる。

第百三十八条 この法律の施行の際沖縄の労働基準法第四十条の規定又は琉球人被用者に対する労働基準及び労働関係法(千九百五十三年琉球列島米国民政府布令第百十六号。以下この節において「布令第百十六号」という。)第五十条の規定により年次有給休暇を積み立てている者は、当該年次有給休暇を請求することができる。

第百三十九条 この法律の施行の際布令第百十六号の適用を受けている被用者であつて、この法律の施行後も引き続き同一の使用者に使用されているものは、この法律の施行の日から起算して一年を経過する日までの間は、同布令第五十条b項の規定の例により、有給病気休暇を請求することができる。

第百四十条 この法律の施行の際沖縄の労働基準法第八条の事業又は事務所に使用されており、かつ、この法律の施行後も引き続き当該事業又は事務所に使用されている女子であつて、この法律の施行の日から起算して一年を経過する日までに労働基準法第六十五条の規定により休業することができるものは、沖縄の労働基準法第六十六条第三項の規定の例により、平均賃金の支払を請求することができる。

第百四十一条 第百三十七条から前条までの規定は、労働基準法第十三条の規定の適用については、同法の規定とみなす。


 (労働者災害補償保険法に関する経過措置等)

第百四十二条 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号。次条において「労災保険法」という。)の規定、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律(昭和四十年法律第百三十号。次条において「昭和四十年改正法」という。)附則第四十一条から第四十三条までの規定、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(昭和四十五年法律第八十八号。次条において「昭和四十五年改正法」という。)附則第三条の規定及び失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(昭和四十四年法律第八十五号)第十八条の規定は、沖縄の労働者災害補償保険法(千九百六十三年立法第七十八号)の規定の適用を受けていた労働者のこの法律の施行前に生じた業務上の事故に係る災害補償についても適用する。この場合において、この法律の施行前に支給事由の生じた保険給付の額その他必要な事項については、政令で特別の定めをすることができる。

第百四十三条 労働者災害補償(千九百六十一年高等弁務官布令第四十二号。次項において「布令第四十二号」という。)の規定(第二章第四条及び第六条から第八条まで、第三章第一条、第四章第二十条、第五章第三条から第五条まで、第六章並びに第七章第五条及び第八条の規定を除く。)は、同布令の適用を受けていた被用者のうち政令で定める者のこの法律の施行前に生じた業務上の事故に係る災害補償について、法律としての効力を有する。

2 前項に規定する災害補償のうち、布令第四十二号に定める支給事由がこの法律の施行後に生ずる場合の当該事由に係る補償については、同項の規定にかかわらず、当該被災被用者、遺族及び葬祭を行なう者は、政令で定めるところにより、労災保険法の規定、昭和四十年改正法附則第四十一条から第四十三条までの規定及び昭和四十五年改正法附則第三条の規定による補償に準じた補償を受けることができる。


 (失業保険に関する経過措置)

第百四十四条 沖縄の失業保険法(千九百五十八年立法第五号。以下この条において「沖縄失保法」という。)の規定による被保険者(以下この条において「沖縄失保法被保険者」という。)であつた者であつてこの法律の施行の日以後に失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号。以下この条において「失保法」という。)に規定する被保険者(次項において「失保法被保険者」という。)となつたものに関する失保法の規定の適用については、沖縄失保法の規定による被保険者期間(この法律の施行の日前に沖縄失保法に規定する受給資格者(以下この項及び第三項において「沖縄失保法受給資格者」という。)となつた者(第四項の規定により離職があつたとみなされることにより沖縄失保法受給資格者となつたこととなる者を含む。)については、当該受給資格に係る離職の日以前の被保険者期間を除く。)は、失保法の規定による被保険者期間とみなす。

2 この法律の施行の日(同日後に失保法被保険者となつた者については、同日後はじめて当該被保険者となつた日)前一年の期間内に沖縄失保法被保険者であつたことがある者が失保法第十五条第一項の規定に該当するに至つた後においてこの法律の施行の日以後に離職した場合における同法第二十条の二の規定の適用については、政令で特別の定めをすることができる。

3 この法律の施行の際沖縄失保法受給資格者である者(次項の規定により離職があつたとみなされることにより沖縄失保法受給資格者であることとなる者を含む。)は、失保法に規定する受給資格者とみなす。

4 この法律の施行の際沖縄失保法被保険者である者であつて、沖縄において沖縄失保法が効力を有せず、かつ、船員保険法が効力を有しているとした場合においては同法第十七条の規定による被保険者であることとなるものが引き続き同条の規定による被保険者となつたときは、その者については、この法律の施行の日の前日に沖縄失保法第三条第二項に規定する離職があつたものとみなす。

5 沖縄失保法の規定による日雇労働被保険者であつた者に関する失保法第三十八条の六第一項並びに第三十八条の九第一項及び第二項の規定の適用については、政令で特別の定めをすることができる。

6 この法律の施行の日の属する月の翌月以後に失業した失保法に規定する日雇労働被保険者であつて、当該失業の日の属する月の前二月間にもつぱら沖縄における適用事業(この法律の施行の日の属する月前の月については、沖縄失保法被保険者を雇用する事業主の事業をいい、同日の属する月以後の月については、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)第四条の規定により失業保険に係る労働保険の保険関係が成立している事業をいう。)に雇用されたものに関する失保法第三十八条の六第一項並びに第三十八条の九第一項及び第二項の規定の適用については、政令で特別の定めをすることができる。


 (軍関係離職者に関する経過措置)

第百四十五条 この法律の施行の際軍関係離職者等臨時措置法(千九百六十九年立法第百四十七号。以下この条において「沖縄軍離職者法」という。)第二条に規定する軍関係離職者である者は、駐留軍関係離職者等臨時措置法(昭和三十三年法律第百五十八号。以下この条において「駐留軍離職者法」という。)第二条に規定する駐留軍関係離職者である者と、当該軍関係離職者のうち沖縄軍離職者法第二条第一号に係る者は、駐留軍離職者法第二条第一号に係る駐留軍関係離職者である者とみなして、同法第十条から第十三条まで及び第十八条から第二十条までの規定を適用する。


 (緊急失業対策法の効力等に関する経過措置)

第百四十六条 この法律の施行の日に沖縄県の区域に居住する失業者であつて、同日前二月間に十日以上沖縄の緊急失業対策法(千九百五十六年立法第二十四号)の規定による失業対策事業に使用されたもの及び労働省令で定めるこれに準ずるものは、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法(昭和四十六年法律第六十八号)附則第二条の規定の適用については、同条に規定する失業者とみなす。

2 前項に規定する失業者は、緊急失業対策法(昭和二十四年法律第八十九号)第十条第二項の規定の適用については、公共職業安定所長が中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法による改正前の職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第二十七条第一項の規定により指示した就職促進の措置を受け終わつた者とみなす。

    第十二節 建設省関係


 (土地区画整理に関する経過措置)

第百四十七条 この法律の施行の際沖縄の土地区画整理法施行法(千九百六十九年立法第七十六号)第九条の規定による改正前の沖縄の都市計画法(千九百五十三年立法第三十四号)第十三条の規定により現に土地区画整理を施行している土地区画整理組合及びその施行する土地区画整理並びに同立法第十四条の規定により現に市町村が施行している土地区画整理については、この法律に別段の定めがある場合を除き、沖縄の土地区画整理法施行法第二条から第六条までの規定は、法律としての効力を有する。この場合において、沖縄の土地区画整理法施行法第三条第三項中「同法」とあるのは「土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)」と、同条第五項中「新法第十四条」とあるのは「土地区画整理法第十四条」と、「新法の」とあるのは「同法の」と、「新法第十七条」とあるのは「同法第十七条」と、同条第六項中「新法」とあるのは「土地区画整理法」と、「行政主席」とあるのは「沖縄県知事」と、同条第七項中「新法」とあるのは「土地区画整理法」と、「第二十一条第四項」とあるのは「第二十一条第六項」と、同条第八項中「新法第二十一条第二項」とあるのは「土地区画整理法第二十一条第三項」と、同立法第四条第二項中「前項」とあるのは「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の施行の日から起算して五年以内に、前項」と、「新法」とあるのは「土地区画整理法」と、同条第三項中「新法第三条第三項」とあるのは「土地区画整理法第三条第三項」と、「新法の」とあるのは「同法の」と、「規則」とあるのは「命令」と、同立法第五条及び第六条の見出し中「新法」とあるのは「土地区画整理法」と、同条中「新法第百三十条」とあるのは「土地区画整理法第百二十八条」とする。

2 この法律の施行の日から起算して五年を経過した日において前項に規定する土地区画整理で市町村が現に施行しているものは、その日において、廃止されるものとする。

3 沖縄の土地区画整理法施行法第三条第一項に規定する旧組合又は土地区画整理についてこの法律の施行後同項の規定により効力を有する旧組合に関する規定の失効前又は沖縄の土地区画整理法施行法第四条第一項に規定する土地区画整理についてこの法律の施行後同項の規定により効力を有する市町村施行に関する規定の失効前にした行為に対する罰則の適用については、これらの規定の失効後も、なお従前の例による。これらの規定の失効前にした行為に対する沖縄の土地区画整理法施行法第九条の規定による改正前の沖縄の都市計画法第十三条第二項において準用する沖縄の旧耕地整理法(明治四十二年法律第三十号)第八十七条の規定による補償金額決定の請求についても、同様とする。

4 第一項の土地区画整理について、沖縄の土地区画整理法施行法第九条の規定による改正前の沖縄の都市計画法第十三条第二項において準用する沖縄の旧耕地整理法第三十条第四項の規定による換地処分の告示があつた場合においては、当該告示を土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)第百三条第四項の規定による換地処分の公告とみなして、同法第百七条第三項の規定を適用する。

5 この法律の施行後沖縄の土地区画整理法施行法第四条第一項の規定により市町村が施行する土地区画整理が第二項の規定により廃止された場合において、当該市町村の徴収すべき清算金でまだ徴収されていないものがあるときは、当該徴収すべき清算金は、地方自治法第二百三十一条の三第三項に規定する歳入とする。


 (違反建築物等の取扱い)

第百四十八条 この法律の施行の際沖縄に存する建築物若しくはその敷地又は沖縄において建築、修繕若しくは模様替えの工事中の建築物若しくはその敷地が沖縄の建築基準法(千九百五十二年立法第六十五号)若しくはこれに基づく規則の規定に違反しており、又はこれらの規定に違反している部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第三条第二項の規定は、適用しない。

2 前項の規定は、建築基準法第六十六条又は第八十八条第一項に規定する工作物について準用する。


 (地代家賃統制令の適用除外)

第百四十九条 地代家賃統制令(昭和二十一年勅令第四百四十三号)は、沖縄県の区域には、適用しない。

    第十三節 自治省関係


 (沖縄の合併市町村等に関する財政援助その他の措置)

第百五十条 国は、沖縄の市町村でこの法律の施行の際沖縄の市町村合併促進法(千九百五十六年立法第八十四号)第二条第二項の合併市町村であるものに対し、政令で定める期間内に限り、同立法第十三条、第十五条及び第二十五条から第二十五条の三までの規定の例に準じ政令で定めるところにより、予算の範囲内で、必要な財政援助その他の措置を講ずるものとする。

2 国は、沖縄県の区域内の市町村が政令で定める日までの間において市町村の合併の特例に関する法律(昭和四十年法律第六号)第二条第一項の市町村の合併をし又はしようとする場合には、同条第二項の合併市町村及び市町村の合併をしようとする市町村に対し、政令で定める期間内に限り、沖縄の市町村合併促進法第十三条、第十五条、第二十三条及び第二十五条から第二十五条の三までの規定の例に準じ政令で定めるところにより、予算の範囲内で、必要な財政援助その他の措置を講ずるものとする。


 (沖縄県の職員等の給与に関する経過措置)

第百五十一条 沖縄県及び沖縄県の区域内の市町村は、地方自治法第二百四条第二項の規定にかかわらず、同項に規定する手当のほか、この法律の規定により当該地方公共団体の職員となる者の受けるべき給料の額が当該地方公共団体の職員となる際その者の受けていた従前の給料の額に達しないこととなる場合その他の場合で政令で定める場合においては、当分の間、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、特別の手当を支給することができる。

2 沖縄県及び沖縄県の区域内の市町村は、地方自治法第二百四条第二項の規定にかかわらず、同項に規定する手当のほか、医師又は歯科医師である職員に対し、当分の間、条例で定めるところにより、特別の手当を支給することができる。

3 地方自治法第二百四条第三項の規定は、前二項に規定する特別の手当について適用する。


 (沖縄県の職員等の公務災害補償に関する経過措置)

第百五十二条 次に掲げる者に係る公務上の災害補償については、第五十六条の規定を準用する。この場合において、同条第一項中「国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)」とあるのは「地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)」と、「同法の規定並びに国家公務員災害補償法の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第六十七号)附則第六条及び第八条」とあるのは「同法」と、「人事院規則」とあるのは「政令」と読み替えるものとする。

 一 琉球政府の職員で第三十二条の規定により沖縄県又は沖縄県の区域内の市町村の職員となるもの

 二 琉球政府の職員のうち、この法律の施行前に離職し、又は死亡した者で当該離職又は死亡の時において地方公共団体又はその機関が行なう事務に相当する事務に従事していたもの

 三 前二号に掲げる者に準ずる者として政令で定める者


 (公職選拳法に関する経過措置)

第百五十三条 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める間、公職選挙法第九条及び第十条に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。

 一 次号及び第三号に掲げる者のほか、沖縄法令の規定(第二十五条第一項の規定によりなおその効力を有することとされる沖縄法令の規定を含む。)の罪を犯し禁錮以上の刑に処せられた者(選挙に関する犯罪以外の犯罪による刑の執行猶予中の者を除く。)その執行が終わるまでの間又はその執行を受けることがなくなるまでの間

 二 沖縄法令の規定による選挙に関する犯罪により、この法律の施行の際沖縄法令に規定する選挙権及び被選挙権を有していない者 当該選挙権及び被選挙権を有しないこととされた日を起算日として当該選挙権及び被選挙権を有しないこととされる期間を経過する日までの間

 三 第二十五条第一項の規定によりなおその効力を有することとされる選挙犯罪に関する沖縄法令の規定の罪(以下この号において「沖縄選挙犯罪」という。)のうち公職選拳法第二百五十二条第一項の罪に相当する罪として政令で定めるものを犯し罰金の刑に処せられた者、沖縄選挙犯罪のうち同条第二項の罪に相当する罪として政令で定めるものを犯し禁錮以上の刑に処せられた者又は沖縄選挙犯罪のうち同条第三項の罪に相当する罪として政令で定めるものにつき刑に処せられ更にこれらの罪につき刑に処せられた者 それぞれ、同条第一項、第二項又は第三項に規定する期間に相当する間

2 前項第三号に掲げる者については、裁判所は、情状により、刑の言渡しと同時に、公職選拳法第二百五十二条第四項の規定の例により、同号に規定する期間について選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用せず、又はその期間のうちこれを適用すべき期間を短縮する旨を宣告することができる。

3 第一項第三号に掲げる者について、この法律の施行の日前に同号に規定する期間につき当該選挙権及び被選挙権を有しない旨の規定を適用せず、又はその期間のうちこれを適用すべき期間を短縮する旨の宣告がされている場合には、当該宣告は、前項の規定によりされた宣告とみなす。


 (琉球政府税の承継等)

第百五十四条 この法律の施行の際琉球政府が有している権利及び義務のうち、沖縄法令の規定により琉球政府が課した、若しくは課すべき、又は還付すべき地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による道府県税に相当するものとして政令で定める琉球政府税(以下この条において「県税相当琉球政府税」という。)に係るものは、その時において沖縄県が承継する。

2 地方税法の規定で政令で定めるものは、県税相当琉球政府税及び沖縄の市町村が課した、若しくは課すべき、又は還付すべき市町村税(これに係る督促手数料、延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金及び滞納処分費を含む。次項において「沖縄市町村税」という。)に係る徴収、滞納処分、還付、不服申立て、犯則取締その他の行為又は手続に関する事項についても、適用する。この場合において、これらの規定中事業税及び不動産取得税に係る部分は、市町村税に関する規定とみなす。

3 県税相当琉球政府税及び沖縄市町村税については、これらの税に関する沖縄法令の規定のうち、前項の規定によりこれらの税に適用される地方税法の規定に相当する規定以外の規定(罰則を含む。)は、本邦の法令としての効力を有する。


 (地方税法に関する経過措置)

第百五十五条 沖縄県及び沖縄県の区域内の市町村が課する法人の道府県民税及び市町村民税(以下この項において「法人の住民税」という。)について地方税法及びこれに基づく命令の規定中法人の住民税に関する部分を適用する場合には、当該規定は、この法律の施行の日以後に終了する事業年度分の法人の住民税及び同日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人税額に係る法人の住民税(清算所得に対する法人の住民税を課される法人の清算中の事業年度に係る法人税額及び残余財産の一部分配により納付すべき法人税額に係る法人の住民税を含む。以下この項において同じ。)について適用する。この場合において、同日前に解散した沖縄法令に基づく法人で同日の前日の属する事業年度終了の日までにその残余財産の確定していないものの清算所得に対する法人税額に係る法人の住民税については、当該法人が同日の翌日において解散したものとみなす。

2 沖縄県が課する法人の事業税について地方税法及びこれに基づく命令の規定中法人の事業税に関する部分を適用する場合には、当該規定は、この法律の施行の日以後に終了する事業年度分の法人の事業税及び同日以後の解散又は合併による清算所得に対する法人の事業税(清算所得に対する事業税を課される法人の清算中の事業年度に係る法人の事業税及び残余財産の一部分配により納付すべき法人の事業税を含む。以下この項において同じ。)について適用する。この場合において、同日前に解散した沖縄法令に基づく法人で同日の前日の属する事業年度終了の日までにその残余財産の確定していないものの清算所得に対する法人の事業税については、当該法人が同日の翌日において解散したものとみなす。

3 沖縄県及び沖縄県の区域内の市町村は、その住民の税負担を緩和するため、次の各号に掲げる地方税については、条例で定めるところにより、当該各号に定める率を地方税法に規定する税率として、これらの税を課するものとする。

 一 昭和四十七年度から昭和五十年度までの各年度分の自動車税 沖縄法令の規定による自動車税の税率を参酌し、これを毎年度逐次引き上げ、昭和五十一年度(バス以外の自動車にあつては、昭和四十九年度)において地方税法第百四十七条第一項各号に規定する税率となるように政令で定める率

 二 この法律の施行の日から起算して五年を経過する日までの間における軽油の引取り等に対して課する軽油引取税 沖縄県の住民の生活及び産業経済に及ぼす影響を考慮して政令で定める率

 三 昭和四十七年度分の個人の市町村民税の均等割及び所得割並びにこの法律の施行の日から昭和四十七年十二月三十一日までの間に支払われる地方税法第三百二十八条に規定する退職手当等に係る所得割 沖縄法令の規定による個人の市町村民税の税率を参酌して政令で定める率

 四 昭和四十七年度分の固定資産税 沖縄法令の規定による固定資産税の税率を参酌して政令で定める率

 五 昭和四十七年度分及び昭和四十八年度分の軽自動車税 沖縄法令の規定による軽自動車税の税率を参酌し、これを毎年度逐次引き上げ、昭和四十九年度において地方税法第四百四十四条第一項各号に規定する税率となるように政令で定める率

 六 この法律の施行の日から昭和五十三年三月三十一日までの間において使用する電気又はガスに対して課する電気ガス税(特別徴収に係る電気ガス税にあつては、当該期間において使用した電気又はガスとして政令で定める料金に係るもの) 基礎となる率を百分の一とし、これを毎年度百分の一ずつ引き上げ、昭和五十三年度において地方税法第四百九十条に規定する税率となるように政令で定める率

4 沖縄県は、条例で定めるところにより、昭和四十七年度分の個人の道府県民税に限り、個人の道府県民税の納税義務者のうち均等割のみの納税義務を有する者に対しては、均等割の額を免除するものとする。

5 沖縄県の区域内の市町村が課する昭和四十七年度分の個定資産税に限り、その免税点の額は、沖縄法令の規定による固定資産税の免税点の額を参酌して政令で定める額とする。

6 沖縄県の区域内の市町村が課する昭和四十八年度から昭和五十年度までの各年度分の固定資産税に限り、当該各年度に係る賦課期日において固定資産の価格の著しい変動等の事情があるため当該年度分の固定資産税の額が昭和四十七年度分の固定資産税の額を著しく上回る場合には、当該市町村は、政令で定めるところにより、政令で定める額を当該年度分の固定資産税の額から減額するものとする。

7 沖縄県の区域内の市町村は、条例で定めるところにより、昭和四十七年度分の軽自動者税に限り、原動機付自転車及び農耕作業用自動車以外の小型特殊自動車に対しては、軽自動車税を課さないものとする。

8 沖縄県の区域内の市町村が市町村たばこ消費税を課する場合における地方税法第四百六十四条及び第四百六十七条第二項の規定の適用については、当分の間、同法第四百六十四条第一項中「製造たばこ」とあるのは「製造たばこ(小売人が他の小売人に売り渡す製造たばこについては、自治省令で定めるところにより公社が小売人に売り渡す製造たばことみなす。以下同じ。)」と、「小売人の営業所」とあるのは「直接消費者に製造たばこを売り渡す小売人の営業所」と、同条第三項中「本数」とあるのは「本数として自治省令で定めるところにより算定した数値」と、同法第四百六十七条第二項中「小売人の営業所」とあるのは「小売人(直接消費者に製造たばこを売り渡す小売人とする。)の営業所」とする。

9 沖縄県の区域内の市町村は、条例で定めるところにより、沖縄の電気事業法(千九百五十二年立法第三十九号)第七十一条に規定する準電気事業者で電気事業法第二条第二項に規定する一般電気事業者とみなされるものが供給する電気(供給時間に制限のあるものに限る。)に対しては、電気ガス税を課さないものとする。

10 沖縄県及び沖縄県の区域内の市町村が課する昭和四十七年度分の地方税については、地方税法第三百四十九条の四、第三百四十九条の五、第三百八十九条、第五章第二節、附則第十七条から第三十条まで及び附則第三十四条から第三十六条まで並びに政令で定める規定は、適用しない。

11 前各項に定めるもののほか、沖縄県及び沖縄県の区域内の市町村が課する地方税の課税標準となる前年の所得及び課税総所得金額等の算定、課税期間等の相違に伴う必要な税額の調整、固定資産の評価の方法その他の必要な経過措置に関する事項については、政令で、地方税法の規定の適用につき必要な技術的読替えをし、又は同法の規定にかかわらず特定の定めをすることができる。

   第九章 雑則


 (政令への委任)

第百五十六条 この法律に定めるもののほか、本土法令の沖縄への適用についての経過措置、この法律において法律としての効力を有することとされ又はその例によることとされた沖縄法令の規定の技術的読替えに関する措置その他沖縄の復帰に伴い必要とされる事項については、当分の間、政令で必要な規定を設けることができる。

2 この法律の成立後に沖縄において法令の制定、改正又は廃止が行なわれたことにより、この法律の規定の適用につき支障を生ずることとなつた場合には、この法律の趣旨に照らし合理的に必要と判断される範囲内において、この法律の規定にかかわらず、政令で必要な規定を設けることができる。

3 前二項の規定に基づき制定される政令には、本土法令の制定又は改正の際の経過措置の規定に準ずる規定を設ける場合に当該経過措置の罰則に定める罰よりも重くない範囲内において罰則を設ける等、沖縄の復帰に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、罰則を設けることができる。


 (最高裁判所規則等への委任)

第百五十七条 この法律中「政令」とあるのは、前条第三項中「政令」とあるのを除き、日本国憲法第七十七条第一項に規定する事項については「最高裁判所規則」と、人事院の所掌事務に係る事項については「人事院規則」と、会計検査に関する事項については「会計検査院規則」とする。


   附 則


 (施行期日)

1 この法律は、球琉諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日から施行する。ただし、第六十八条第一項及び次項の規定は、この法律の公布の日から施行する。


 (球琉政府行政主席への通知)

2 内閣総理大臣は、この法律の内容を球琉政府行政主席に通知しなければならない。

(内閣総理・法務・外務・大蔵・文部・厚生・農林・通産産業・運輸・郵政・労働・建設・自治大臣署名) 

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