農業委員会等に関する法律の一部を改正する法律

法律第七十二号(昭三二・四・二〇)

 農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

 第三条第一項中「但し」を「ただし」に改め、同条第三項を次のように改める。

3 前項の規定によりその区域を二以上に分けてその各区域に農業委員会を置いた市町村にあつては、市町村長は、都道府県知事の承認を受け、その全部又は一部の農業委員会の区域を変更するとができる。

 第三条第五項中「区域を」の下に「、第三項又は第四項の承認をしたときは当該市町村の名称並びにその区域に変更があつた農業委員会又は新たに設置された農業委員会の名称及び区域を」を加え、同項を同条第六項とし、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。

4 前項に規定する市町村にあつては、市町村長は、都道府県知事の承認を受け、その全部又は一部の農業委員会を廃止して、その廃止された農業委員会の区域につき廃止された農業委員会の数をこえない数の農業委員会を置き、又はその廃止された農業委員会の区域を他の農業委員会の区域に含ませることができる。

 第五条第六項を第七項とし、同条第五項の次に次の一項を加える。

6 会長は、委員としての任期が満了したときは、その地位を失う。

 第六条第一項中「左に掲げる事項」を「次に掲げる事項」に改め、同項第三号中「各号の外」を「各号のほか」に改め、同条第二項及び第三項を次のように改める。

2 農業委員会は、その区域内の次に掲げる事項に関する事務を行うことができる。

 一 農地等の利用関係についてのあつせん及び争議の防止に関する事項

 二 農地等の交換分合のあつせんその他農地事情の改善に関する事項

 三 農業及び農村に関する振興計画の樹立及び実施の推進に関する事項

 四 農業技術の改良、農作物の病虫害の防除その他農業生産の増進、農業経営の合理化及び農民生活の改善に関する事項

 五 農業生産、農業経営及び農民生活に関する調査及び研究

 六 農業及び農民に関する事項についてのけいもう及び宣伝

3 農業委員会は、前二項に規定する事務を行うほか、その区域内の農業及び農民に関する事項について、意見を公表し、他の行政庁に建議し、又はその諮問に応じて答申することができる。

 第六条に次の一項を加える。

4 第二項の規定は、同項に掲げる事項に関する市町村長その他の市町村の執行機関の法令(条例を含む。)の規定に基く権限の行使を妨げない。

 第七条第一項中「十人から十五人まで」を「政令で定める基準に従い、十人から四十人まで」に改める。

 第十条の二に次の三項を加える。

2 市町村長は、農業委員会の選挙による委員の選挙につき、特に必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、都道府県知事の承認を受けた場合に限り、政令で定める基準に従い、条例で、当該農業委員会の区域を分けて二以上の選挙区を設けることができる。

3 前項の場合において、各選挙区において選挙すべき農業委員会の委員の定数は、おおむね選挙人の数に比例して、条例で定めなければならない。

4 第二項の規定により農業委員会の委員の選挙につき選挙区が設けられた場合において、選挙人の所属の選挙区は、その住所による。

 第十一条中「第十八条(第一項但書を除く。)」を「第十八条」に、「第九十条」を「第八十七条第一項(重複立候補の禁止)、第九十条」に改める。

 第十一条の表中

第十七条第一項及び第二項第十八条

市町村の区域

農業委員会の区域

第十七条第一項及び第二項

市町村の区域

農業委員会の区域

第十八条

市町村の区域

農業委員会の区域

第十五条第五項

農業委員会等に関する法律第十条の二第二項

に改める。

 第十一条の表下欄中「若しくは国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)」を「、第十一条において準用する第八十七条第一項若しくは国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)」に改める。

 第十二条を次のように改める。

 (選任による委員)

第十二条 市町村長は、選挙による委員のほか、次の各号に掲げる者を委員として選任しなければならない。

 一 省令で定める農業協同組合及び農業共済組合が組合ごとに推薦した理事各一人

 二 当該市町村の議会が推薦した農業委員会の所掌に属する事項につき学識経験を有する者五人以内

 第十五条第四項及び第五項中「第十二条第一項」を「第十二条」に改める。

 第十六条の見出しを「委員等の辞任」に改め、同条中「委員」を「委員又は会長」に改める。

 第十七条中「第十二条第一項」を「第十二条」に改める。

 第十九条の次に次の一条を加える。

 (部会の設置及び構成)

第十九条の二 農業委員会に第六条第一項第一号及び第二号並びに同条第二項第一号及び第二号に掲げる事務を処理するため、農地部会を置く。

2 農地部会は、次の各号に掲げる委員をもつて構成する。

 一 選挙による委員が互選した者十人から十五人

 二 第十二条第一号の委員が互選した者

 三 第十二条第二号の委員が互選した者

3 農業委員会に第六条第二項第三号(基本的な方針の決定を除く。)から第六号までに掲げる事務及び同条第三項に規定する事務(行政庁の諮問に対する答申を除く。)を処理するため、一又は二以上の部会を置くことができる。

4 前項に規定する部会は、次の各号に掲げる委員をもつて構成する。

 一 選挙による委員が互選した者

 二 第十二条第一号の委員が互選した者

 三 第十二条第二号の委員が互選した者

5 第二項及び前項の互選に関し必要な事項は、政令で定める。

6 第二項各号及び第四項各号の委員の定数は、条例で定める。この場合において、第二項第二号及び第三号の委員の定数の合計及び第四項第二号及び第三号の委員の定数の合計は、それぞれ第二項第一号の委員の定数又は第四項第一号の委員の定数の三分の一をこえないようにしなければならない。

7 部会に部会長を置く。部会長は、部会の委員のうちから総会で選任する。

8 部会長が欠けたとき又は事故があるときは、部会の委員のうちから総会があらかじめ定める者がその職務を代理する。

9 農業委員会は、その所掌事務を行うにつき部会長を不適当と認めるときは、総会でこれを解任することができる。

10 選挙による委員の定数が二十人以下である農業委員会にあつては、農地部会及び第三項の部会を置かない。

 第二十条を次のように改める。

 (職員)

第二十条 農業委員会に農地主事及びその他の職員を置く。

2 職員の定数は、条例で定める。

3 職員は、農業委員会が任免する。ただし、農地主事の任免に関しては、都道府県知事の承認を受けなければならない。

4 農地主事は、政令で定める一定の資格を有する者でなければならない。

5 職員は、会長の指揮を受け、農業委員会の事務に従事する。

6 農地主事は、その意に反して、その職務を免ぜられ、他の職務に転ぜしめられ、又は身分上不利な取扱をされた場合には、農林大臣にその事情を述べることができる。

7 前項の場合には、農林大臣は、その事情を審査し、これに対する意見を都道府県知事及び農業委員会に述べることができる。

 第二十一条から第二十三条までを次のように改める。

 (総会)

第二十一条 農業委員会の委員の会議(この章において「総会」という。)は、会長が招集する。ただし、会長及びその職務を代理する者がともに欠け若しくは事故があるときの総会又は農業委員会の選挙による委員の一般選挙の後最初に行われる総会は、市町村長が招集する。

2 会長は、在任委員の三分の一以上の者から書面で総会に付議すべき事項を示して総会を招集すべき旨の要求があつたときは、総会を招集しなければならない。

3 総会は、在任委員の過半数が出席しなければ、開くことができない。

4 次条第四項の規定は、部会を置かない農業委員会の総会について準用する。

 (部会の会議及び総会と部会との関係)

第二十二条 第十九条の二の規定により部会の所掌に属させられた事項については、部会の議決をもつて当該農業委員会の決定とする。

2 総会は、部会に対し、何時でも、その所掌に属する事項について報告を求めることができる。

3 部会の委員以外の委員は、部会長の許可を受けて、部会に出席して意見を述べることができる。

4 都道府県知事が第六条第一項に掲げる事項を処理させる緊急の必要があると認めたときは、次項の規定にかかわらず、農地部会の会議を開くことができる。

5 前条第一項本文、第二項及び第三項の規定は、部会の会議について準用する。この場合において、同条第一項本文及び第二項中「会長」とあるのは「部会長」と読み替えるものとする。

 (議決の方法)

第二十三条 総会及び部会の議事は、出席委員の過半数で決する。可否同数のときは、会長又は部会長の決するところによる。

 第二十四条中「但し」を「ただし」に、「第二十二条第一項」を「第二十一条第三項」に、「農業委員会の会議」を「総会」に改め、同条に次の一項を加える。

2 前項の規定は、部会に準用する。この場合において、同項中「第二十一条第三項」とあるのは「第二十二条第五項において準用する第二十一条第三項」と読み替えるものとする。

 第二十五条の見出し中「農業委員会への」を削り、同条中「農業委員会」を「総会又は部会」に改める。

 第二十六条中「農業委員会の会議」を「総会及び部会の会議」に改める。

 第二十八条中「農業委員会の会議」を「総会又は部会の会議」に、「農業委員会が」を「それぞれ総会又は部会の会議で」に改める。

 第三十二条第一項及び第二項中「農業委員会の議決」を「総会又は部会の会議の議決」に改め、同条第一項中「(決定、裁定及び裁決を含む。以下本条において同じ。)」を削り、「但し」を「ただし」に改め、同条第三項中「第一項但書」を「第一項ただし書」に改める。

 第三十四条第二項及び第三項中「存続する。」を「存続するものとし、従前の農業委員会の委員及び職員は、引き続きその存続する農業委員会の委員及び職員となるものとする。」に改める。

 第四十条第二項中第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。

 五 第六条第二項に掲げる事項に関し農業委員会に協力すること。

 第四十一条第二項第一号を次のように改める。

 一 当該都道府県農業会議の地区内の市町村に置かれる農業委員会が委員会ごとに委員のうちから指名した者(市町村の区域内に二以上の農業委員会がある場合には、当該農業委員会が協議して当該農業委員会の委員のうちから指名した者)各一人

 第四十一条第二項第五号中「以下第四十三条第五号」を「第四十三条第四号」に改める。

 第四十一条中第三項及び第四項を削り、第五項中「第二項」を「前項」に改め、同項を第三項とする。

 第四十二条に次の四項を加える。

2 会議員は、会則の定めるところにより、あらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて議決権を行うことができる。

3 前項の規定により議決権を行う者は、出席者とみなす。

4 代理人は、二以上の会議員を代理することができない。

5 代理人は、代理権を証する書面を都道府県農業会議に提出しなければならない。

 第四十三条第二号中「第四十一条第五項」を「第四十一条第三項」に、同条第三号中「第五十五条第一項第一号に掲げる者が第四十一条第二項第一号の規定により会議員となつた場合において」を「第四十一条第二項第一号の規定により会議員となつた者にあつては」に改める。

 第四十三条中第四号及び第六号を削り、第五号を第四号とし、同条第七号を同条第五号とする。

 第四十四条の見出しを「(賛助員等)」に改め、同条に次の一項を加える。

2 都道府県農業会議は、その業務を行うにつき必要があるときは、その地区内の市町村に置かれる農業委員会その他農業に関する公共的団体等に対し協力を依頼することができる。

 第四十五条第一項中第十一号を第十二号とし、第九号及び第十号を一号ずつ繰り下げ、第八号の次に次の一号を加える。

 九 部会に関する規定

 第四十六条第二項中「会議において」を「会議員の会議(以下この章において「総会」という。)において」に、「但し」を「ただし」に改める。

 第四十七条の次に次の一条を加える。

 (部会の設置及び構成)

第四十七条の二 都道府県農業会議に農地法によりその所掌に属させられた事項を処理するため、農地部会を置く。

2 農地部会は、次の各号に掲げる会議員をもつて構成する。

 一 十人から十五人までの間で都道府県知事が定める定数に従い、第四十一条第二項第一号の会議員が互選した者

 二 第四十一条第二項第六号の会議員

3 都道府県農業会議に第四十条第一項に規定する事項(農地法によりその所掌に属させられた事項を除く。)及び同条第二項各号に掲げる事項(行政庁の諮問に対する答申を除く。)を処理するため、一又は二以上の部会を置くことができる。

4 前項に規定する部会は、それぞれ次の各号に掲げる会議員をもつて構成する。

 一 十人から十五人までの間で都道府県知事が定める定数に従い、第四十一条第二項第一号の会議員が互選した者

 二 第四十一条第二項第二号の会議員

 三 第四十一条第二項第三号の会議員

 四 第四十一条第二項第四号から第六号までに掲げる会議員が都道府県知事の定める定数に従いそれぞれ同条同項同号の会議員のうちから互選した者

5 第二項第一号並びに前項第一号及び第四号の互選に関し必要な事項は、省令で定める。

6 都道府県知事は、第二項第一号並びに第四項第一号及び第四号の会議員の定数を定め又はこれを変更するときは、これを告示しなければならない。この場合において、第四項第一号の会議員の定数と同項第二号から第四号までの会議員の定数の合計が等しくなるようにしなければならない。

7 部会に部会長を置く。部会長は、部会を構成する会議員が互選する。

 第四十八条から第五十条までを次のように改める。

 (総会の招集)

第四十八条 総会は、会長が招集する。

2 会長は、会議員の三分の一以上の者から書面で総会に付議すべき事項を示して総会を招集すべき旨の請求があつたときは、総会を招集しなければならない。

 (総会の成立)

第四十九条 総会は、会議員の過半数が出席しなければ、開くことができない。

 (総会の議決事項)

第五十条 次に掲げる事項は、総会の議決を経なければならない。

 一 第四十条第二項第一号の行政庁の諮問に対する答申

 二 毎年度の収支予算及び事業計画の設定及び変更

 三 毎年度の収支決算及び事業報告書の承認

 四 会則の変更

 五 その他会則で定める事項

 第五十一条の見出し中「議決」を「総会の議決」に改め、同条第一項中「都道府県農業会議の会議」を「総会」に改め、「(前条第二項の会議にあつては、その会議の長)」を削り、同条第二項中「会議において」を「総会において」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 (部会の会議)

第五十一条の二 第四十七条の二の規定により部会の所掌に属させられた事項については、その部会の議決をもつて当該都道府県農業会議の決定とする。

2 第四十八条、第四十九条及び前条第一項の規定は、部会の会議について準用する。この場合において、第四十八条及び前条第一項中「会長」とあるのは「部会長」と読み替えるものとする。

 第五十二条の見出し中「会議への」を削り、同条中「都道府県農業会議の会議」を「総会又は部会」に改める。

 第五十五条を次のように改める。

第五十五条 削除

 第九十一条中「又は第二項第一号」を削る。

 第九十三条第二号中「第四十八条第二項」の下に「(第五十一条の二第二項において準用する場合を含む。)」を加える。

   附 則

1 この法律は、昭和三十二年七月二十日から施行する。ただし、第三条の改正規定並びに次項、第三項、第五項、第六項、第九項及び第十一項の規定は、公布の日から施行する。

2 農業委員会の選挙による委員であつてその任期が昭和三十二年七月十九日前に満了するものの任期は、同日まで延長されるものとする。

3 選挙による委員の任期が昭和三十二年七月十九日に満了する農業委員会の当該任期満了に因る委員の一般選挙については、この法律の施行前であつても、その選挙すべき委員の定数及び選挙の区域に関する改正後の農業委員会等に関する法律(以下「新法」という。)の規定を適用する。

4 その選挙による委員の任期が昭和三十二年七月十九日以前から同年同月二十日以後にわたる農業委員会の選挙による委員の定数は、新法第七条の規定にかかわらず、当該委員の任期中は、なお従前の例による。ただし、当該委員の任期満了に因る一般選挙については、この限りでない。

5 一の農業委員会の区域の全部又は一部の地域が昭和三十二年七月十九日までに他の農業委員会の区域に含まれることとなる場合には、従前当該地域をその区域の全部又は一部としていた農業委員会の選挙による委員である者で当該地域内に住所を有するものは、その時に、当該地域を新たにその区域に含むこととなる農業委員会の選挙による委員となり、次の各号に掲げる期間在任するものとする。

 一 一の農業委員会の区域の全部が他の農業委員会の区域に含まれることとなる場合においては、関係農業委員会の委員の残任期間のうち、いずれか長い期間

 二 一の農業委員会の区域の一部が他の農業委員会の区域に含まれることとなる場合においては、その含むこととなる農業委員会の委員の残任期間

6 前項の場合において、当該農業委員会の選挙による委員である者の数が改正前の農業委員会等に関する法律第七条又はこの項の規定による定数をこえることとなるときは、当該数をもつて当該農業委員会の選挙による委員の定数とし、選挙による委員に欠員が生じ、又はこれらの委員がすべてなくなつたときは、これに応じて、その定数は、同条の規定による定数に至るまで減少するものとする。

7 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

8 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。

  第十条第十二号中「及び農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第五十五条第一項の代表者会議」を削る。

9 土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第二号中「第四項」を「第五項」に改める。

10 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第四百六条第一項第二号及び第四百二十五条第一項第三号中「委員」を「農地部会の委員(農地部会を置かない農業委員会にあつては委員)」に改める。

11 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。

  第九十条第一項中「第四項」を「第五項」に改める。

(内閣総理・農林大臣署名) 

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